召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない? 作:そるしあ
個性把握テスト編なのですが、妙に筆が乗ってしまい、かなりの長文になりそうだったので二話に分割しました。
前回のあらすじ!
初登校だぜぇーーー!!!
あらすじ終わり!
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「「「「「個性把握テストぉ!?」」」」」
息ぴったりやん、君ら。
タイミングだけでなく、イントネーションや音程まで完璧とは恐れ入る。
そんなことある???
阿吽の呼吸の使い手やん。
阿吽柱やん。
まだ顔を合わせて間も無いんだが。
もしや、雄英高校ヒーロー科の門を叩いた以上、このレベルの連携は当たり前に出来て然るべきなのだろうか。
「入学式は!? ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間無いよ」
ほんとに悠長なことしてる時間無いかもしれん。
俺も可及的速やかに連携力を高める必要が出てきてしまった。
今こそ前世で培った社会性と協調性を発揮すべき時だ。
やったろやないけ!
俺だってちょっと練習すれば、他の人と同じタイミング、同じイントネーション、同じ音程で、全く同じ掛け声ができるように・・・・・・。
いや無理じゃん???
ムリムリの実の全身無理人間だ(?)。
それは普通に超能力の域ではなかろうか。
全力で以心伝心に努めたとて、予行練習も無しにあそこまでシンクロすることは通常有り得ないだろう。
どれくらい有り得ないかというと、百ちゃんが近接武器を振り回しながら「ぶち殺しますわよ!」とか言い出すくらいには有り得ない。
そんな百ちゃんは嫌だ。
脳内の百ちゃんがメリケンサックを手に、ヴィランをしばき回し始めた。
そんな百ちゃんは・・・・・・ちょっとありかもしれん。
「───個性使用禁止の体力テスト。国は、未だ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない」
脳内の百ちゃんがチェーンソーを取り出してきたあたりで、妄想をやめて先生の話に耳を傾ける。
個性使用禁止の体力テストか。
中学の時にやったなぁ。
俺が50m走で転んで膝を擦りむいた時、百ちゃんが大慌てでガチガチの医療道具を取り出し始めたことがあった。
あれには驚いた。
ただの擦り傷やて。
メスなんて何に使うん。
周りの女子達も真っ青な顔をして俺を囲んでいた。
中には、ほんの僅かな出血を見てスプラッタ的な悲鳴をあげる子も居た。
迫真すぎるって。
終いにゃ、その沈痛な雰囲気の生徒達を見て、俺が大怪我をしたと勘違いした先生が救急車を呼び出してしまう始末だ。
そんな貧弱そうなのか、俺。
───貧弱貧弱ゥ!!!
やかましいわ。
「実技入試成績のトップは爆豪だったな」
なんやと。
彼が首席なのか。
「中学の時、ソフトボール投げ何メートルだった」
「67メートル」
次席だった俺としては悔しさが無いことはないが、それ以上に尊敬の念が湧いてくる。
これまでの言動を鑑みるに、実技試験での彼の
つまり、彼はほぼ
つよつよちゃんだ。
「じゃ、個性を使ってやってみろ」
結構効率良く
すごいぞバクゴー・・・・・・お前がナンバーワンだ!!!
白線の円へと向かう爆豪の背中に、心の中で賞賛を送る。
ちゃんと聞いてなかったけど、何やら個性ありでソフトボール投げを行うようだ。
彼への評価を上方修正したこともあり、自ずとその結果にも期待が高まる。
「円から出なきゃ何してもいい。はよ、思い切りな」
先生の言葉を受けて、大きく振りかぶる爆豪。
わくわく。
「死ねェ!!!」
ドカァーン!
えぇ・・・・・・。
あまり強い言葉を遣うなよ。
びびるぞ。
彼への評価が再度下降していく音が聞こえる。
↓↓↓ ティウンティウン ↓↓↓
彼の放ったボールは、爆音とともに煙を吹き出しながら遠くへと飛んで行った。
さながら大砲だ。
たーまやー。
「まず自分の最大限を知る」
あ、彼の暴言はスルーして普通に進行するんだ、先生。
「それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
そう言いながら、“ 705.2m ” と表示された手元の端末をこちらに向ける。
従来の体力テストではまず見られないような大記録だ。
その結果にクラスメイト達が俄かに湧き立つ。
ほーん。
ちょっと面白そうやん。
オラわくわくすっぞ!
ヒーロー科らしい、個性を活かした取り組みを前に、皆も心を踊らせているようだ。
口々に「面白そう」、「さすがヒーロー科」などと言って盛り上がっていた。
「面白そう、か」
だがそれが相澤の逆鱗に触れた!
「ヒーローになるための三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい」
ごめんて。
「よぉし」
何やら不敵な笑みを浮かべる先生。
嫌な予感がする。
「八種目トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」
「「「「「はあーーー!?」」」」」
息ぴったりやん、君ら。
翔華は出遅れた。
やはり彼らの連携力には目を見張るものがある。
初日にして明確な差をまざまざと見せつけられた翔華は、必ずや彼らに追いついてみせると自らを奮い立たせた。
いやそんな場合ちゃうわ。
ペナルティ重すぎん?
追いつく以前にコースから脱落する可能性が出てきてしまった。
現実には、釣竿でコースへと復帰させてくれるような、雲に乗ったゴーグルボーイはいないのだ。
つまり、一発退場だ。
なんということでしょう。
笑顔で初登校したその日に除籍処分を受け、死んだ顔で下校するなどと。
そんな悲劇的ビフォーアフターだけは避けなくてはならない。
「生徒の如何は俺たちの自由」
そう言って前髪を搔き上げる先生。
「ようこそ。これが雄英高校ヒーロー科だ」
くそっ。そういうの、ちょっとかっこいいぞ。
翔華の
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───第一種目:50メートル走
『来て、ゆにちゃん』
角の生えた白い馬が、その翼をはためかせながら光とともに出現する。
「なっ!? 今どっから出てきた!?」
「あれはペガサス・・・・・・いや、ユニコーンか!?」
「かっこいい〜!」
ふふん。
うちの子は美しかろう。
翔華は鼻高々に、ゆにちゃんの背中に飛び乗る。
・・・・・・なんか
余程興奮しているのか、鼻息が荒いように見える。
え、何・・・・・・こわ・・・・・・。
「位置について、よーい」
ゆにちゃんを挟む足の力を少し強め、目を瞑る。
パァン!
発砲音とともに勢い良く駆け出すゆにちゃん。
空を切るようなその速さは、今にも飛び上がって行くのではないかと感じられる程だ。
なんならちょっと飛んでた。
「3秒15」
おお。
メガネの男子程では無い*1が、なかなかの記録なのではなかろうか。
さすがゆにちゃん。
略して、さすゆに。
「はえー! かっけー!」
「疾く駆けし純白の天馬・・・・・・!」
「さすがの速さですわね」
皆の賞賛の声が心地良い。
我が子を褒められると、自分の事のように嬉しくなる。
そして、例の男子は相変わらず鼻息が荒かった。
───第二種目:握力
くっくっく・・・・・・。
ついにこの時が来たようだな。
ハンカチを咥え、これ見よがしに手を叩いて鳴らし、そのまま両手を握り合わせる。
何人かの視線がこちらに向く。
もう何人かは百ちゃんの方を見ていた。
百ちゃんの個性──“創造” で創り出した万力を使って、とんでもない記録を出しているようだ。
さすが百ちゃん! おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!
そこにシビれる! あこがれるゥ!
いや何しとん。
万力て。
向こうに気を取られたが、こちらはこちらで召喚に集中することにする。
『来い! れむちゃん!』
ズゴゴゴゴ
個性の発動とともに、れむちゃんと呼ばれた眷属が、明らかに他二体とは違う音を立てながらが現れる。
それは3メートルはあろうかという程の巨体で、幾つもの大きな岩が人の形を成したような姿をしており、その顔はとても温和そうだ。
実際この子は虫も殺せない性格をしている。
というか、今更だけど俺の個性普通にやばない?
こんなめちゃんこでかい生物が無から出現するんだもの。
このレベルの現象をただ個性の一言で片付けていいのか、我ながら甚だ疑問である。
「こ、今度はなんだあ!?」
「デカ過ぎんだろ・・・・・・」
「まあ! この子は初めて見ましたわ!」
いつの間にか百ちゃんもこちらに来ていた。
「そういや百ちゃんもはじめましてだったねぇ。この子はれむちゃん、ゴーレムのれむちゃんだよぉ」
れむちゃんがおもむろに手を挙げて挨拶する。
ちゃんと挨拶できてえらい。
百億万点あげちゃう。
「さっきの馬といい、どーゆー個性なの!」
ピンクで黒目の女子が話しかけてきた。
「あ! 私、芦戸三奈! よろしくね!」
「こりゃどうも、ボクは紗守名翔華だよぉ。個性でいろんな子を喚びだせるんだぁ。よろしくねぇ」
お互いに自己紹介をして、握手を交わす。
握手したからにはもう友達だ。
アシド、マイ、フレンド。
「さぁれむちゃん、ぐぐーっとやっちゃってぇ」
上手いことれむちゃんに握力計を摘ませ、力を加えてもらう。
結果は605キログラム。
これは50メートル走に引き続き、全体で二番目の記録だった。
万力には勝てなかったよ・・・・・・。
───第三種目:立ち幅跳び
青い空。
白い雲。
空を駆けるゆにちゃん。
いっつぁびゅーてぃふぉーわーるど。
「まさかとは思ったけど、やっぱ飛ぶんだな」
「天翔る純白の天馬・・・・・・!」
「絵になるなー」
ジャンプ力ぅ・・・・・・ですかねぇ・・・・・・。
やはりゆにちゃんは人の目を引くようだ。
この芸術的なまでの美しさがそうさせるのだろう。
ふふーーーん。
「紗守名、そいつはどれくらい飛んでいられるんだ」
「どうですかねぇ。まだまだいけそうかなぁ・・・・・・ゆにちゃん、どぉ?」
ぶるるっ
「全然余裕みたいですねぇ」
「そうか」
先生はそう言って手元の端末を操作し、こちらにその画面を向けた。
そこには、“∞” の文字が映し出されていた。
「「「無限!?」」」
「すっげ! 無限が出たぞ!」
わお。
むげーんだーいなー。
いや歌ってる場合ちゃう。
これはとんでもない記録なのではないか。
これで立ち幅跳びに関しては、流石に俺達が一番になるだろう。
さすゆに。
───第四種目:反復横跳び
特に工夫できることもなかったので、普通に左右にぴょんぴょん跳ねた。
記録も至って普通。
記録トップは個性を上手く活用していた背の低いブドウみたいな男子だろうか。
女子のテスト中にガン見していた男子だ。
わかるぜ、その気持ち。
俺だって興奮することは無くても、暴れ回る双丘には自然と目が行ってしまうのだ。
ばいんばいんしよる。
俺も見られてたけど。
なんすか。
今まで男子からそういう目を向けられる機会が無かったので、いざそうなるとなんとも言えない感覚になる。
百ちゃんの方が凄いやろ。
胸がイャンガ〇ルガみたいな動きしてたぞ。
さて、これでテストの半分が終わった。
ここまで、二位、二位、一位、十位と、中々悪くない結果を残している。
残りは、ボール投げ、持久走、上体起こし、長座体前屈だ。
持久走はほぼ上位が確定してると言っていいだろう。
なんてったってゆにちゃんがいる。
スピード1500、スタミナ1500、パワー1600、根性1100、賢さ1400、ダートS、長距離Sの超豪傑馬だ。
なんのステータスやねん。
もっと根性育成せんかい。
うまぴょいするぞ(?)。
上体起こしと長座体前屈については、恐らくほとんどのクラスメイトが素の状態で測定することになるだろう。
個性を活かしづらい種目だからね。
俺もあまり自信があるとは言えない。
それでも、他での好記録がある分、例えその二種目が最下位だったとしても問題はない。
以上を踏まえると、既に俺が最下位になる可能性は限りなく低いと考えられる。
ボール投げで堅い記録を出せたなら、もはや可能性はゼロに等しくなるだろう。
だが油断してはいけない。
勝ったな! とか、やったか!? みたいなのはフラグだって学んだんだ。
あの巨大ヴィランロボット、未だに許してないからな、雄英。
よーし。
残りの四種目も頑張りますかね!
翔華は気合いを入れ直すために頬を叩いた。
百ちゃんに自分を大事にしろと怒られた。
しょぼん。
体力テストで一番苦手な種目はシャトルランです。
あれなんの拷問なんです?
▼以下、軽い眷属紹介。
名前:れむ
能力:ゴーレム
・通常の召喚方法であれば、喚ぶ際に2~4メートルの間で大きさを決められる。
・サイズが大きければ大きくなるほど、翔華への負担も大きくなる。
・パワーや硬さなどの能力値は、翔華の個性の練度による。
外見:大きな岩が人の形を成した姿
・全体的に土色で、ゴツゴツした体をしている。
・非常に穏やかそうな表情をしているが、翔華の身に危機が迫ると非常に恐ろしい形相になる。