召喚とかいう無から生物が出現する現象を個性の一言で片付けるのやばない?   作:そるしあ

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あらすじは死んだと言ったな。

あれは嘘だ(合理的虚偽)



[幕間] お腹がへるしんぐ

 

 

 

前回のあらすじ!

 

入学早々始まった個性把握テスト! 最下位は除籍処分!?

 

いきなり夢破れる訳にはいかぬ! 頑張るぞうおお!!!

 

結果、二位。

 

そして、除籍処分は嘘とのこと。

 

なんやねん。

 

あらすじ終わり!

 

 

 

------------------------------

 

 

 

個性把握テストを行った次の日。

 

翔華は、八百万百と芦戸三奈と共に机を寄せ合い、顔を突き合せていた。

 

机に両肘をつき、顔の前で指を組む。

 

一度目を閉じてからゆっくりと開き、その顔に怪しげな笑みをたたえる。

 

諸君。

 

私はお肉が好きだ。

 

ステーキが好きだ。ハンバーグが好きだ。唐揚げが好きだ。トンカツが好きだ。

 

この地上で口にすることができる、ありとあらゆる肉料理が大好きだ。

 

「ねーヤオモモ」

 

「はい。なんでしょう」

 

お肉が焼けるときのジュウジュウという音が好きだ。

 

溢れ出た肉汁が口いっぱいに広がった時など心が踊る。

 

「これは何してるの?」

 

「私に聞かれても困りますわ・・・・・・」

 

諸君。

 

私はお肉を。灼熱地獄の様なアツアツのお肉を望んでいる。

 

君たちは一体何を望んでいる?

 

更なるカロリーを望むか?

 

情け容赦ない滝のような肉汁を望むか?

 

───牛肉(オニーク)豚肉(オニーク)鶏肉(オニーク)

 

 

 

よろしい。ならば焼肉(オニーク)だ。

 

 

 

「いただきまぁ」

 

翔華は焼肉弁当を口いっぱいに頬張った。

 

うまうま。

 

「あ、普通に食べ始めるんだ」

 

「たまに紗守名さんの事がよく分からなくなりますわ・・・・・・」

 

なんだい三奈ちゃん。

 

そんなにこのお肉が食べたいのかい。

 

しょうがないなぁ。

 

「はい、あーんしてぇ」

 

「え! いいの! やったぁ!」

 

「!?」

 

あーん、と大きく開けられた三奈ちゃんの口に、沢山のお肉を詰め込んでやる。

 

ほーら、大きく育つのよ〜。

 

「んー! うまー!」

 

「それはよかったぁ」

 

素材に拘って作った甲斐があったというものだ。

 

全体的に色合いが茶色すぎるのが玉に瑕だけど。

 

全国男子諸君、是非好きな食べ物だけ詰め込んだお弁当を作ってみてほしい。

 

絶対こうなるから。

 

「さ、紗守名さん! 私にも一口いただけないでしょうか!」

 

おや。

 

お肉の魔力に魅せられてしまった嬢ちゃんがここにもいたようだ。

 

やはりお肉・・・・・・! お肉は全てを魅了する・・・・・・!

 

大量のお肉を箸で掴み、百ちゃんの口元に寄せてやる。

 

「はい、あーんしてぇ」

 

「え、あ、あーん?」

 

ずいっと、大量のお肉を百ちゃんの口に詰め込む。

 

「むぐ!?」

 

ちょっと量が多すぎたかもしれない。

 

テガスベッター。

 

百ちゃんは頬を膨らませながらも、何とか口から零さずに食べようと必死になっている。

 

リスみたいでかわいいと思います。

 

「んぐ、んぐ・・・・・・ごくん」

 

みるみるうちに頬がしぼんでいく。

 

吸引力の変わらないただ一つの胃袋。

 

お肉を嚥下し終わった百ちゃんが、こちらを軽く()め付けてくる。

 

「紗守名さん! 私の口はそんなに大きくありません!」

 

「お味はいかがぁ」

 

「とても美味でしたわ!!!」

 

「ならよかぁ」

 

一転して、嬉しそうに語る百ちゃん。

 

ちょろい。

 

「あはは! 仲良いんだね!」

 

仲睦まじげに戯れる女子三人。

 

時はお昼休み。

 

翔華と百ちゃんは、新たな友人である三奈ちゃんと共に教室でお昼ご飯を食べていた。

 

俺と三奈ちゃんは出会って一日の仲だが、三奈ちゃんの快活さも手伝って、お互いに下の名前で呼び合う程に仲良くなることができた。

 

百ちゃんは相変わらずの名字呼びだが、三奈ちゃんからは早速 “ヤオモモ” なる愛称を付けられたようだ。

 

ヤオモモ! そういうのもあるのか。

 

いいセンスだ。

 

自己紹介の際、名前を告げてすぐに「じゃあヤオモモって呼ぶね!」と言われた百ちゃんは少しだけ困惑していた。

 

凄まじい距離詰めスピードだ。

 

これが縮地ってやつか・・・・・・!

 

多分違う。

 

しかし、ふむ、愛称ね。

 

仮に俺に愛称を付けるとしたらどんなのになるのだろうか。

 

そう呼ばれることに違和感が無くなって久しい “さもな しょうか” という俺の名前。

 

そこから文字を取るってぇと。

 

サモショー?

 

なんかハラショーみたいで嫌だ。却下。

 

さもっち?

 

なんだかたま〇っちに出てきそうな名前だ。

 

誰かお世話してくれてもええんやで?

 

「二人は同じ中学出身なんだっけ」

 

「ん、そだよぉ。同中(おなちゅう)ってやつさぁ」

 

「おなちゅう・・・・・・?」

 

百ちゃんは、なんの事やらわかっていない様子。

 

そういや、造語とか略語に明るくないんだっけか。

 

前にも “テンアゲ” の事を揚げ物の類だと勘違いしていた事があったし。

 

食いしん坊さんか。

 

食いしん坊さんだったわ。

 

そんなこんなで談笑しながら食事を楽しむこと、しばらく。

 

お昼ご飯も食べ終わり、クラスメイト達が何人か教室に戻って来始めた頃。

 

翔華はふと用事を思い出した。

 

「あぁー・・・・・・先生に許可貰いに行かないとだったの忘れてたぁ」

 

「許可?」

 

「ちょっと前に話してた眷属の事さぁ。個性訓練も兼ねて学校内を連れ歩けないかと思ってねぇ」

 

「ぴこちゃんのことでしょうか。そういえば、前々から学校でも一緒に居たいと仰ってましたね」

 

なんならヒーロー科を志望した理由の一つがそれだからね。

 

ヒーロー候補生として学んでいく以上、個性の練度も高めていかなければならないため、そもそもの個性使用への制限が緩いのがヒーロー科だ。

 

つまり、ヒーロー科であれば、個性の一部である我が子達を校内で連れ歩くことも何らおかしくないのである。

 

Q.E.D.

 

ちなみに、初めのうちは小柄なぴこちゃんだけを連れ歩くつもりだが、いずれは皆を常駐させられないかと画策している。

 

雄英名物にしてやるからな。

 

覚悟しとけ(?)。

 

「午後の授業までまだ時間あるし、ぼちぼち行ってくるよぉ」

 

「ええ。午後の授業に遅れないよう気をつけてくださいまし」

 

「いってらっしゃーい!」

 

ひらひらと手を振りつつ、教室を出る。

 

ちなみに、翔華は職員室がどこにあるのかを知らない。

 

ついでに言うと、翔華には昔から方向音痴の()があった。

 

つまり、そういうことだ。

 

さーて。

 

職員室探すぞー。

 

 

 

------------------------------

 

 

 

───職員室を探し始めてから百年後。

 

んなわけあるか。

 

どんだけ探し回ってるんだ。

 

迷っても精々が十分くらいなもんやろがい。

 

───職員室を探し始めてから十分後*1

 

なんとか目的地まで辿り着いた翔華は、職員室の扉の前で二の足を踏んでいた。

 

職員室に! 入るの! 怖いんじゃ!!!

 

心なしか、中から禍々しい気配すら感じてくる*2

 

ここに入るのは酷く億劫ではあるが、いつまでもまごまごしていては午後の授業に間に合わなくなってしまう。

 

翔華は意を決して、目の前の扉へと近づく。

 

ひゃー、緊張するぅ。

 

コンコンコン

 

「失礼しまぁ」

 

頭を低くしながらそそくさと職員室に入り、扉をそっと閉める。

 

そして室内を見渡し、相澤先生と目が合う。

 

「ひぃ」

 

「?」

 

思わず、小さな悲鳴が口から零れた。

 

翔華は、個性把握テストの一件から、相澤先生の視線にちょっとした恐怖感を覚えていた。

 

「・・・・・・どうした」

 

「い、いやぁ・・・・・・えへへぇ」

 

相澤先生の視線に怯えつつも、曖昧な笑みを浮かべて誤魔化す。

 

ホームルーム等の多対一の状況ならば、そこまで恐怖を感じなかったのだが。

 

一対一となるとどうにも駄目になるようだ。

 

「あのぉ。ご相談したいことがあるのですが、今お時間よろしいでしょうかぁ」

 

「問題は無いが、時間は有限。手短にな」

 

ひとまず、ぴこちゃんを校内で連れ歩く許可を貰うべく、その旨と理由を伝える。

 

ちょっとぷるぷる震えながらではあるが。

 

ボクわるいスライムじゃないよ。

 

 

 

───少女説明中

 

 

 

「───つまり、個性訓練のために眷属とやらを連れ歩きたいから、その許可が欲しいと」

 

「ですねぇ」

 

そう伝えると、何故か相澤先生はこちらをじっと見つめてきた。

 

な、なんすか。

 

見つめちゃイヤー!

 

ハニーフラッシュ!(?)

 

「・・・・・・まぁ、いいだろう。上には俺から伝えておく」

 

「ほ、ほんとですかぁ」

 

「嘘をついてどうする」

 

わっほーい!

 

今この瞬間より、素晴らしき学園生活が約束されたも同然になった。

 

我が世の春、来たる。

 

───春ですよー。

 

脳内に顔を出してきた春告精の手を取り、脳内で踊りながら花びらを撒き散らす。

 

びば! 麗しの学園生活!

 

「だが、くれぐれも問題を起こしたりするなよ」

 

「わかってますよぉ」

 

あんまり分かってなさそうな様子でニマニマする翔華。

 

相澤先生は小さくため息をつき、じとりと翔華を睨む。

 

ビクッと翔華の体が僅かに硬直した。

 

それを見て怪訝そうな顔をする相澤先生。

 

「おい」

 

「な、なんでしょうかぁ」

 

「さっきからどうした」

 

相澤は、翔華が職員室に入ってきた当初から様子が少しおかしい事に気付き、訝しんでいた。

 

まさか「あなたの視線が怖いんです」なんて言うわけにもいかない翔華は、その質問に答えることができずに視線を宙に泳がせた。

 

「言いたいことがあるならハッキリしろ」

 

「えとぉ・・・・・・そのぉ・・・・・・」

 

「なんだ」

 

相澤先生の顔がより一層険しくなる。

 

ひえっ。

 

「・・・・・・し」

 

「し?」

 

「失礼しましたぁー!!!」

 

ぴゅーん。

 

しょうかはㅤにげだした!

 

 

 

------------------------------

 

 

 

「・・・・・・」

 

翔華が飛び出して行った方向を静かに見つめる相澤。

 

「・・・・・・」

 

シンと静まり返った職員室。

 

「おい、相澤」

 

「・・・・・・なんだ」

 

思わず、プレゼントマイクが声をかけた。

 

「お前、あの子に一体何し───」

 

「誤解だ。俺は何もしていない」

 

食い気味だった。

 

「何もしてないのに入学早々あんな怯えられることあるか・・・・・・?」

 

「そんな事、俺が知りたい」

 

まだ新学期が始まってから二日目なのだ。

 

やったことといえば、入学式やガイダンスをすっ飛ばしての個性把握テストと、そこで告げた最下位の除籍処分通告くらいなものだ。

 

割とやっている。

 

だが、それらを除けば、今朝のホームルームくらいでしか顔を合わせていない。

 

それでああも怯えられることがあるだろうか。

 

「疑っちゃいねぇが、あんなか弱そうな女の子をいじめるもんじゃないぜ」

 

「仮にか弱いんだとしたら、そもそもヒーローになるべきじゃない」

 

「シヴィーーー!!!」

 

実技試験での彼女を見た時から要注意な生徒だとは思っていたが。

 

相澤には、翔華がまだ他にも問題を抱えているように思えてならなかった。

 

 

 

*1
仕切り直した

*2
気のせい





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