龍騎外伝 仮面ライダーヒルツ   作:巽★敬

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本編では出さないと決めていたサバイブが参戦したらどうなるか?と言うifストーリーです。

前回執筆した「龍騎外伝 仮面ライダーヒルツ」の8話に
「仮面ライダーアウトサイダーズep1」で登場した王蛇サバイブ無限を登場させます。

時系列は8話終盤。龍騎がヒルツの召喚機をはじき返す直前に王蛇が乱入したと言う設定。

所持カードや攻撃手段など色々アウトサイダーズの物と比べアレンジしています。
公式で名称が公開されてないのでサバイブ化したベノスネーカーはHERO SAGAと同じく「ベノヴァイパー」と仮称します。


IF 「蛇の逆襲」

 小学校を襲撃したヒルツと交戦する龍騎の元へ、死んだと思われた王蛇が乱入する。

登場するや否や、彼は一枚のカードを取り出した。

金色の不死鳥が描かれ神々しく輝くカード。

 

サバイブ-無限-を。

 

「お前で試してやる。新しい玩具を....」

「は、はぁ?」

 

 沼川が仮面の奥で眉を顰める。するとどうだろう。

先ほどまで真昼だった周囲がまるで夜の様に暗転し始めた。

更に何処からともなく黄色い霧が立ち込め、王蛇の周りを囲みだす。

 異様な雰囲気を醸し出す王蛇にたじろぐ龍騎。

それは"この時間軸の彼にとっては"初めて見るカードだから。

 

「何だ...あのカードは...」

「特別支給品だ。ヤツからのな」

 

 その一言だけ説明される新たなる力の入手経緯。

ヤツとは勿論神崎士郎の事だ。

本来このカードは沼川如きに使用するには過剰戦力でしかない。

にも拘わらず王蛇に与えたと言う事はそれだけ士郎も沼川の所業に憤慨していたのかもしれない。

明確な意図は不明だが王蛇にとっては所詮些末事。

自分をイラつかせた人間を徹底的に叩き潰せる。それで十分なのだから。

 これまで感じた事の無い、異様な雰囲気に圧倒されヒルツは少しづつ後ずさりを始めた。

 

「へ、ヘルザリーチ!」

 

 何かヤバい。直感で危機感を覚えたヒルツは小型ヘルザリーチの大群を差し向けた。

だが標的に辿り着く前にヘルザリーチ達は王蛇が纏う黄色い霧に触れた途端、

まるでマグマにでも触れたかの様に次々と溶解する。

 予想外の光景に「はぁっ!?」と裏返った声を出すヒルツ。

 影響を受けたのはモンスターだけではない。

運動場の地面に生えた雑草や木々等、霧に触れた植物まで一瞬で枯れはじめる。

この霧は只の霧ではない。猛毒の霧なのだ。

 暫くして王蛇の持つベノバイザーが光沢に包まれ形が変貌する。

騎士の仮面を纏ったコブラを模した銃剣、ベノバイザーツバイへと。

 正に新しい玩具を見る様に「おぉ...」と関心の声を漏らす王蛇。

最後はカードを口部分のスロットにカードを差し込みベントイン。

 

《 SURVIVE 》

 

 召喚機から発せられるエコーのかかった無機質な音声に似合わず、神々しい金色の輝きが王蛇の全身を包む。

余りの眩しさに龍騎とヒルツは思わず目を覆う。

光が止み、視線を戻すと黄金の鎧を身に纏った王蛇の姿がそこには有った。

彼は進化したのだ。

 

仮面ライダー、王蛇サバイブ-無限-へと。

 

 王蛇サバイブは小さく笑いながら静かに歩み寄る。一歩一歩近づかれる度にヒルツは威圧され足が震えだす。

 

「こけ脅しだぁ!」

 

 何とか大声で恐怖を誤魔化しヘルザバイザーで顔面を斬りつける。

だが王蛇サバイブは平然としている。召喚機の刃が直撃してるのに。

再度斬りつける。三再度と繰り返し攻撃を当てたが王蛇サバイブのボディは傷一つ付かず新品の様に黄金の輝きを保っていた。

 

「畜生!!どうなってんだよ!?」

 

 いよいよ自棄になったヒルツは顔面を直接突き刺そうとした。

だが寸での所で素手で剣先を掴まれてしまう。王蛇サバイブは片手で剣先を握りしめたまま

ベノバイザーツバイを持った片手を振り上げる。次の瞬間、ヘルザバイザーは一撃の裏拳で砕け散ってしまった。

 

「!!?」

 

目の前の現実を受け入れられないヒルツに対し、大蛇サバイブは何度もベノバイザーツバイで斬りつけた。

何度も、何度も。まるで切れ味を調べるかの様に。

一撃を浴びる度にボディに大きな傷が付けられ伏せてしまったヒルツ。

王蛇サバイブは更に追い打ちをかけようと歩み寄る。余りの実力差にすっかり怯え切ったヒルツは再びヘルザリーチの大群を呼び出し防御に徹した。

 

「ひぃ! 来るなあああぁぁ!」

 

 相変わらず飽きもせず他力本願でワンパターンである。

王蛇サバイブもそう感じた様で、鼻で笑いながら一枚のカードは引き抜く。

 

「鬱陶しい。良い加減失せろ」

 

 引いたのはらせん状に絡まった大量のアドベントカードが描かれたカード。

王蛇サバイブはそれをベノバイザーツバイにある二つ目のカードスロットに入れグリップを押し込んだ。

 

《STRANGE VENT》

 

 するとスロットから一度カードが飛び出すが、先ほどとは違い絵柄が巨大な氷の結晶に変わっていた。王蛇サバイブは「ほぉ?」と軽く関心した後もう一度カードを読み込ませた。

 

《FREEZE VENT》

 

 途端に周囲で蠢いていた大量のヘルザリーチの群れが氷の様に凍結し動かなくなってしまった。

 

「え...?」

 

 次々と起こる異常事態に脳が処理しきれないヒルツを王蛇サバイブはベノバイザーツバイで斬りつけた。

 ストレンジベントは一度読ませると状況に応じて様々なカードに変化する特殊なカードだ。

今変化したのは対象を瞬時に凍結させしまうフリーズベントだ。

本来このカードは一体の対象しか効果が発揮しないのだが、ヘルザリーチは元々一つの個体が分裂しただけでなのでこの様に複数体に効果が適用されたのだ。

 

「ん?」

 

 ふと王蛇サバイブは何かに気づき足元に視線を移す。

全てが凍結しその場で制止したヘルザリーチの大群。

その中に一体だけ見た目が異なる、赤い体色をした個体があった。統一された集団の中で一つだけ異色を放つ物が有れば誰でも興味を示す。

 怪物と比喩される浅倉でも、そこは人の本能に従順である。

まじまじと赤い個体を凝視する王蛇サバイブを見てヒルツは焦った。

 

「お...おい、止め...――」

 

 ヒルツの制止も聞かず、王蛇サバイブは勢いよく赤い個体を踏み潰した。

するとどうだろう。

赤い個体は小さく爆散した後、他の個体が次々と霧の様に消滅していくではないか。

 遂には全ての小型ヘルザリーチ群が完全に消滅してしまう。

今のは分裂時にのみ出現し複数個体を統括するヘルザリーチの本体だ。

これを叩けば分裂体の全個体が消滅すると言う仕組みだ。

 

「あれが弱点だったのか...」

 

 ずっと側で観戦状態だった龍騎が呟いた。

前回での戦いの傷が痛んだのもあるが、彼は王蛇サバイブのあまりの強さに圧倒され動けなかった。

下手に割り込めば自分も危うい。

 そうこうしてる内にヒルツの体に変化が起きた。

カードデッキの紋章が消えローアンバーのボディがくすんだ青灰色に変色した。

 これはブランク体と呼ばれ、全ライダーに共通して存在するモンスターと契約する前の姿だ。

モンスターの恩恵が無いのでその戦闘スペックは悲しい程ひ弱である。ヘルザリーチを失ったヒルツはこの形態に変貌し大幅に弱体化したのだ。

 

「あ....あぁ.........」

 

 化物染みた強敵を前に契約モンスターは死滅、自身も大幅パワーダウンとあまりに絶望的過ぎる状況にヒルツは死を覚悟した。

 だが元から死ぬ予定だった故か同時に痛快でもあった。

既に十分すぎる程人は殺せた。他のライダー達を陥れる準備は整っている。

 神崎士郎から貰ったメモの文章をほぼコピペしただけだがあらゆる掲示板にライダー達の個人情報は書き込み済みだ。今は悪戯だの創作だの思われるだろうが事件を切欠に事実だと世間は認識する筈。自分は一躍時の人として世界を轟かす。勝ち逃げしたまま死ねると思うとそれだけで満足な笑みが零れた。

 

「.....ははは...はははは! 良いさ、どうせ死ぬ予定だったんだ!お前等がデカい顔してるのも今の内だ! 俺が死んだ後はお前等の人生も滅茶苦茶に―—――うぐぁっ!?」」

 

しかしヒルツの譫言は直ぐに途切れる。

王蛇サバイブが彼の首根を鷲掴みし片手で高々と持ち上げたからだ。

 

「あぁ? 何か言ったか?」

 

 数秒ほど地に足の付かない間抜けを眺めた後、強烈なヤクザキックをお見舞いする。

 

「ごほぉっ.....」

 

 鉄球でも直撃したかの様な衝撃が腹部を襲い吹き飛びその場で悶絶するヒルツブランク体。

仮面の奥は吐血と吐しゃ物で酷い有様だろう。

 ヒルツは、沼川は今になって思い出した。もう故人とばかり決め付け然程気にしてなかったが、この仮面ライダー王蛇こと浅倉猛だけひと際イカれた経歴の持ち主である事を。

 イライラしたと言う理由だけで大人数を手にかけ脱獄まで果たす凶悪犯。

社会性や道徳感などとっくに捨て去った浅倉に対し人生を手駒にした揺さぶり等何の意味も辞さない。

 

 悶絶するヒルツを見下しながら、王蛇サバイブは無慈悲に切り札をベノバイザーツバイに装填する。

 

「消えろ。今度こそ」

《FINAL VENT》

 

 音声に従い、何処からか現れたベノスネーカーの体が光り輝く。

次の瞬間全身の装甲が光ながら砕け散り、左右に車輪が付いたメカニカルなコブラが姿を現した。

サバイブの効果でベノスネーカーもベノヴァイパーへと進化したのだ。

 ベノヴァイパーは一声雄叫びを上げた後、大型の二輪車に変形し疾走。

王蛇は高くジャンプしそれに飛び乗ると、前方で往生するヒルツブランク体を軽く跳ね飛ばす。

 

「がはぁっ!」

 

 全身の骨が軋む様な痛みに襲われるヒルツブランク体。

 普通に繰り出せばブランク体など今の一撃だけで絶命出来る威力だが、王蛇サバイブはあえて力を抑制している。それ所か先の攻撃全てを彼は手加減していた。何故そうしたのか理由は簡単、一瞬で始末するのでは面白くないからだ。

 イラつく相手を手早く殺しては不完全燃焼だ。徹底的に痛ぶってから始末する。

単純だがそれが一番苛立ち解消の特効薬だ。

 

 王蛇サバイブは片手でハンドルを操作しながらベノバイザーツバイを取り出し空中を舞うヒルツに刀身を向けた。すると刀身がまるで蛇の如く伸長し、空中でヒルツの首に巻き付き彼を地面に地面に叩きつける。そして、そのまま全身を引き摺りだした。

 

「がああああぁぁぁ!!あがあああああああああああ!!!」

 

 今まで感じた事も無い激痛と苦しみに成すすべなく藻掻き苦鳴を上げるヒルツ。

必死で解放されようと抵抗するが巻き付いた刀身はびくともしない。

ベノヴァイパーはそのまま校門を抜け一般道路へと飛び出した。

 ここはミラーワールド。

法にも縛られず対向車も通行人も居ない無人の公道など最早私有地同然。

スロットルを上げベノヴァイパーを更に加速させる。さしずめ100キロは優に越えるだろうスピードで引き摺られ、ヒルツは大量の火花を散らしながらその身を摩擦力で削っていく。

更にはカーブを曲がる度に建物や縁石ブロックなどあらゆる附属物に何度も激突。

全身の骨と言う骨が砕ける感覚を覚えた。

 

 

 

 一方、運動場に残された龍騎は自分の不甲斐なさを悔やんでいた。

今回の事件は一週間前にヒルツをナイトから庇った自分にも責任がある。

 本気で殺そうとまで考えた。あのまま王蛇が来なかったら本当に手にかけてたかもしれない。だが戦闘が終わり冷静になった途端、自分は人の命を奪った十字架に耐えられただろうか?と自問する。

 あんな死んで当然の奴にすら、今となっては命を奪う事を躊躇いだした。

結局自分は覚悟が無いだけじゃなはいのか?

 

「クソ!...俺って奴は....」

 

 どこまでも優柔不断な自分が疎ましく龍騎は一人感情任せに地面を叩く。

 ヒルツに王蛇、そしてヘルザリーチの大群が消えた運動場は先ほど戦場が幻であった様に思える。だが現実世界から零れるサイレンの音が悲劇を暈さない。

青い空には高く舞い上がるドラグレッダーの咆哮が響いた。

 

 

 

 

 やがてベノヴァイパーは大量のコンテナが立ち並ぶ造船上に辿り着く。

有る程度走り終えると王蛇サバイブは急ブレーキをかけ弾みでヒルツブランクを放り投げた。

 勢いよく飛んで行くヒルツブランクはやがて4段積みのコンテナ群に激突。

陥没する程の衝撃を受けたコンテナは他のコンテナも巻き添えて轟音を立てながら崩れさる。

 

「………ああぁあ………ああ………うううう…………」

 

 瓦礫の山に仰向けになったヒルツ。

口から洩れるのは呻き声のみ。ボディは傷だらけで拉げ塗装は剥げ、全身と言う全身が骨折し両手足は明後日の方向に曲がりスーツが破けた左膝からは骨がむき出しになっていた。

 歴史に名を刻むだの意気込む気も、あんな事しなければと後悔する余裕も今の彼には残っていない。

表現出来ない程の苦痛。ただそれだけ。

 死ぬ事がこんなにも痛々しく苦しい物なのかと後悔しても後の祭り。

 

 すると指一本動かせない彼の視線の先に、死神が乗る二輪車の影が映った。

数百メートル程距離はあるも、停車した死神は今にも自分を轢殺そうと空ぶかしで煽ってるのが解った。

 

「........」

 

暫しして死神、王蛇サバイブはペダルを踏み無言でベノヴァイパーを発進させる。

猛スピードでヒルツブランク体に直進して行った。

 みるみる内に距離を縮めていき、身動きすら取れず確実に死が近づく恐怖と絶望が襲いかかる。

 

「......ぁあぁう...だず...げt......」

 

 無駄な足掻きで今更助けを求めたが、肺が潰れたのか呂律が上手く回らない。これまでの彼の行いを考えれば当然の報いだろう。

 

 一定数の距離まで来ると、王蛇サバイブはハンドルから手を離しベノヴァイパーの座席を蹴って高々とジャンプ。

 残ったベノヴァイパーはハンドル部である頭部の口から毒液を吐き散らしつつヒルツに追突する。

 

「――――――っ」

 

 声にもならない叫び声。

ベノヴァイパーの鋭利な先端が腹部に突き刺さり腸と腎臓が張り裂けた。

脊椎が千切れ、全身の血が逆流しスーツ内のあらゆる毛穴から血が吹き出る。

この時点で既に絶命してると言っても過言ではないが、尚も追撃が続く。

動き拘束されたヒルツの頭上に、王蛇サバイブがベノバイザーツヴァイを降り下げ急降下してきた。

 

「はああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

黄色いオーラを身に纏った刀身が、頭から体を綺麗に一刀両断。

悲鳴を上げる事も出来ず、ヒルツは跡形も無く爆散するのだった。

 

 やがて爆煙が薄くなる。

爆心地には粉々に粉砕したカードデッキの破片が散らばっていた。

 ヒルツの死を確認し終えた王蛇サバイブはベノヴァイパーの座席の上でつまらなそうに溜息を吐く。

 

「下らん……」

 

 苛立ちは一応晴れた。新しい玩具は中々面白い。

だがあんな雑魚相手では過剰戦力過ぎて欠伸が出る。やはり戦いとは張り合いが無ければ意味が無い。

どちらが死ぬか解らない血生臭い命の奪い合い。

それこそが王蛇、浅倉威が求む全てである。

 

 やがて王蛇サバイブは再びベノヴァイパーを発進させ

何処かへと走り去っていった。

 

 

              - 終 -

 

 

 




※ 補足

ファイナルベントの流れは
ベノヴァイパーがバイクに変形 → 敵を引き摺り前方に多り投げる → ベノヴァイパーと同時攻撃と言うイメージです。
やたら引き摺りが長いのは浅倉がそれだけイライラしてたのと、
ベノヴァイパーもCGではなくドラグランザーとダークレイダーみたく実物二輪車の改造だったら?と言うもしもを意識した為です。

龍騎サバイブと被ってますが
設定上オーディンも所有してるらしいので同じ無限サバイブ繋がりでストレンジベントを所持させてます。

龍騎が直接葬るエンドも有りとは思いましたが、やはり彼に殺人はしてほしくなかったので
こう言う役は浅倉が一番適してるかなと。
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