「変身!」
「変身!」
電話ボックスにカードデッキをかざした青年2人は腰に出現したベルト「Vバックル」にカードデッキを装填し、姿を変えた。
一人は全身が炎の様に赤く頭部に龍の紋章が描かれたライダー、仮面ライダー龍騎。
もう一人は黒に近い紺色をメインカラーとした如何にも騎士と言う風体のライダー、仮面ライダーナイト。
変身を終え、2人のライダーは電話ボックスの窓からミラーワールドへと突入。
現実世界とミラーワールドの狭間を結ぶ異次元空間「ディメンションホール」を次元移動マシン「ライドシューター」で駆け抜けミラーワールドに到着。ヘルザリーチと戦闘に入る。
「ギシュシュユ、シャアア!!」
到着するや否やヘルザリーチは体を起こし側面に位置する口の中から巨大な針「ヘルザリューター」を龍騎、ナイト目掛けて伸ばしてきた。そのスピードは弾丸にも匹敵し刺されればタダでは済まない。
二手に分かれ回避する龍騎とナイト。尚もヘルザキューターを伸縮し続けるヘルザリーチ。
「コイツ、デカい割に素早いぞ!」
「中々の大物だな」
しかし龍騎とナイトは臆する事なく対応し続ける。
回避中にも龍騎はガントレット型の召喚機「龍召機甲ドラグバイザー」にカードを挿入。
ナイトは剣型召喚機「翼召剣ダークバイザー」にカードをセットした。
《SWORD VENT》
《SWORD VENT》
音声と共に二人のライダーの元に出現する二本の武器。
龍騎は契約モンスターであるドラグレッダーの尻尾「ドラグテイル」に似た柳葉刀「ドラグセイバー」を。
ナイトは契約モンスター・ダークウイングの尻尾を模した槍「ウィングランサー」を所持した。
ナイトはウィングランサーでヘルザキューターを何度も裁き、その隙に龍騎は空高くジャンプし空中からドラグセイバーを振り上げヘルザリーチを斬りつけ様とした。
「でやあああ!」
しかし、ここでヘルザリーチは全身を複数の小型蛭へと分裂させる。龍騎の攻撃をやり過ごした後、幾つもの小型蛭が二人の体に纏わりついた。
「うわっ!? 気持ち悪りぃ何だよコレ!」
「面倒だ」
だがこれでもナイトは臆するなくダークバイザーにカードを装填する。
《NASTY VENT》
すると空から蝙蝠型契約モンスター、ダークウィングが飛来し強力な超音波「ソニックブレイカー」を発動。
超音波を受けた小型ヘルザリーチ達は忽ち痙攣をおこし始め動きを止め、体に付着した個体もボロボロと地面に落下する。
「よし俺も!」
《STRIKE VENT》
龍騎もナイトに続きカードをドラグバイザーにベントイン。
右腕に契約モンスターであるドラグレッダーの頭部を模した武器「ドラグクロー」が装備された。
そして龍騎の動きに合わせたドラグレッダーが高熱火球「ドラグブレス」を放つ必殺技、「ドラグクローファイヤー」を放った。
「はああぁぁぁぁ、ハアッ!!」
小型ヘルザリーチの群れは瞬く間に焼き尽くされ数を減らされていく。
「.....オイオイ嘘だろ...押されてんじゃねえか!?」
カードデッキを持つ者は現実世界から鏡を通じてミラーワールドの光景を視認出来る。
この戦闘の一部始終を現実世界の電話ボックスの窓から見ていた沼川は非常に動揺を隠せない。
大勢の人間を喰らい十分パワーアップしたと思っていたヘルザリーチがここまでピンチになるとは。
契約モンスターはライダーの力の源。倒されれば力を失い袋の鼠も同然。
沼川は大慌てでヒルツに変身し ―掛け声など一切無く― 、鏡の中へと突入。
ライドシューターでディメンションホールを抜けライダー達の居る戦場へ辿り着き、そのままアクセルを全開で突っ込んだ。
「うおおおおああああああ!」
「!!」
「うお!?」
無我夢中で特攻を仕掛けたが難なく回避するライダー2人。
急停止させたライドシューターから降りるヒルツ。
「仮面ライダー、って事はこのモンスターは!」
「ヤツが契約してる訳か」
唐突の乱入者に身構える龍騎とナイトに対し、ヒルツは震える手で「吸血剣ヘルザバイザー」を構えた。その隙に残存の小型ヘルザリーチの大群は何処かへ撤退。ドラグレッダーとダークウィングは後を追うにも小さすぎる標的が散り散りに散らばったので追跡を断念。
初となるライダーとの戦闘。一抹の恐怖と武者震いが彼を襲う。
(やってやる...やってやるぞ....モンスターだって始末してんだ...人だって殺せるんだ...負ける訳無え!)
「う、うりゃあああああ!」
「うわ! ちょっと待て!」
まずは龍騎に向かって刃を振るった。理由は単純。何となく弱そうに感じたからだ。
しかし龍騎は若干慌てながらもヒルツの攻撃を全て回避、途中ドラグクローの口でヘルザバイザーを受け止めた。
「な!?」
「落ち着けっての!」
「ぐおっ...」
ドラグクローでヘルザバイザーを掴んだまま、龍騎はヒルツの腹部にキックを放つ。
思わずバイザーから手を放し、体制を崩すヒルツだったが「なら今度はコイツだ!」とナイトに殴りかかり距離を詰める。
「....ふん」
しかしナイトは無駄な動きも一切なく回避し直ぐにウィングランサーの柄で殴り反撃。
胸を強打しヒルツはよろよろと後ずさりしてしまう。
「モンスターの方がずっと歯応えが有った。さてはお前、素人だな?」
「素人...だと?」
ナイトの言葉にヒルツは怒りを覚えるがこれは当然の結果であった。
そもそも沼川はモンスターを倒したのは3体だけ、以降はヘルザリーチに捕食させるだけで自分では全く戦闘を行っていない。それで経験値が増える訳も無く、既に幾多ものモンスターやライダーと戦闘を繰り広げている龍騎とナイトでは月と鼈の実力差である。
「......俺が素人?.....ふざけんな.....ふざけんなクソがああ!!」
実力差を認めたくないヒルツは愚かにも再度攻撃を仕掛けたが、ナイトは再び回避。同時に足払いで転倒させ、ヒルツの顔面にウイングランサーを突きつける。
「ひぃ!?」
「やはり素人か....」
(つ、強えぇ!? 冗談だろ、俺よりずっと強いじゃねえかコイツ等!)
完全に思い上がっていた事を実感させられたヒルツこと沼川。
このままでは殺される。悔しいがここ一旦逃げるしかなさそうだ。そう思い命乞いする事にした。
「ま、ま、待ってくれ、俺が悪かったよ!どうか勘弁してくれ!」
「何?」
「契約モンスターが死にかけてたから加勢しただけなんだよ! だから頼む、命だけは助けてくれ!」
とっさに土下座するヒルツに対し憤慨したのは龍騎だ。
「助けてって、よく言えるなそんな事。お前のモンスターが関係ない人を襲ってたんだぞ!」
(....?)
龍騎の言葉にヒルツは一瞬面を喰らった。殺し合いに参加するヤツなど皆人の命を軽視する気の触れた連中だと思ってたからだ。しかし直ぐに考えを切り替えその場凌ぎの嘘をつく。
「それも...悪かったと思ってる!! ご、ご覧の通り俺は新参者だ...まだモンスターを上手く手懐けてないんだ...今後は気をつける!」
「ほう?........」
真っ赤な嘘ではあるが、決して有り得ない話ではない。
ミラーモンスターは一度決めた獲物は絶対に諦めないと言う性質がある。
モンスターによっては契約中だとしてもライダーがしっかり管理しなければ契約前に狙った人間を捕食する事もあるのだ。
ヒルツの様な貧相な人物が、ヘルザリーチの様な強力なモンスターを扱えきれるかは確かに怪しい。
しかし龍騎もナイトもそう簡単に信じるつもりは無い。
以前にも私利私欲の為に契約モンスターに人を捕食させるライダーに出会った事が有るからだ。
ナイトは尚もウイングランサーを突きつけたまま問う。
「一つ聞くぞ。最近、モンスターの仕業だろう失踪事件がやたら増えてるが....お前が指示してるんじゃないのか?」
(?...ライダーバトルってのは意外とクソ真面目な連中が多いのか?...)
ナイトの問いに対しヒルツは更に疑問を浮かべた。
どうやらコイツ等は戦いに無関係な人間が犠牲なる事は嫌いらしい。
だとすれば何と言う甘ちゃんだろうか。となれば、上手く言いくるめてこの場は撤退出来るかもしれない。そう思い適当な嘘を続けた。
「違う!俺は知らない!」
だがナイトはウィングランサーの先を更に顔面に押し付け、全く逃がす気は無い様子。
「そうか.......まあ、どっちにしろ命乞いなんて無駄だ。 ライダーになった時点で、覚悟は出来てるんだろ?」
「ひぃぃ!」
が、ここで龍騎がナイトを制止した。
「待てよ蓮! 殺さなくたって現実世界(向こう)でデッキだけ壊して契約モンスターも倒せば済むんじゃないのか?」
「......相変わらず甘い馬鹿だなお前は? そんな事しても他のモンスターに狙われる可能性は変わらない。それにコイツが無関係な人間を襲ってるかもしれないんだぞ?」
「"かもしれないで"お前は人の命奪えるのかよ!? 俺はお前にそんな罪背負ってほしくないんだ!」
「余計なお世話だ!邪魔だ退け」
ナイトは龍騎を殴り飛ばし再度ウィングランサーを構え
「悪く思うな」
突き刺そうと大きく振り上げた。死を覚悟するヒルツ。
しかし
《ADVENT》
「!?」
「シャアアアアア!!」
突如響き渡る、この場に居る3人の物ではない機械音声。
3人が反応した直後に、巨大なコブラの様なモンスターが姿を現し口から毒液を噴射。
龍騎とナイトを狙ったようで済んでの所で回避する二人だが、一人の紫色のライダーが剣を片手に乱入し斬りつけて来た。
「ぐあっ!」
「楽しそうだなぁ?......俺も仲間に入れろぉ......」
「浅倉!?」
凶悪殺人犯・浅倉威が変身したライダー、仮面ライダー王蛇はコブラ型の契約モンスター・ベノスネーカーの尻尾を模した剣、ベノサーベルを振り回し龍騎とナイトを圧倒し距離を離す。
その後、後ろで呆気に取られているヒルツにゆっくりと顔を向けた。
「あぁ?」
「っ!!」
瞬間、ヒルツの全身に言いようの無い悪寒と冷や汗が走った。
直接見えない筈なのに、王蛇の仮面の奥の瞳がまるで獲物を見つけ微笑んだ獣の様に感じたからだ。
「新顔かぁ.....面白い...一緒に遊んでけよ!」
そう言って王蛇は楽しそうな笑い声を上げ、ベノサーベルを振りかざした....