お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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♪44 次元を制せよ彼女らの矜持、使命の少女が試すから

ー*ー

 「私が、ウコンジムジムリーダー、ハナツメ。

 

 ハナツメ・フロックスです。」

 

 その自己紹介を、アオバは切って捨てた。もとより、最初のウコンタウンからの使者がフロックスを匂わせてきた時点で、答えは決まっていた。

 

 「嘘ですわ。フロックスの姓を名乗るに値する人間はもう数少ない…シンシューにはいないはずですわよ。」

 

 「…お姉ちゃんを愚弄するというのなら、その御簾引っ剥がしてでも」「その必要はありません。」

 

 御簾を上げ、ハナツメは姿を現した。

 

 …その可憐で楚々とした顔に、カグヤは呼吸も脈絡も止めた。だってそれは、彼女の敬愛する最愛の姉…アオバに、そっくりだったから。

 

 「ドッペル、ゲンガー…?」

 

 そんなわけはない。ポケモンの影響を受けているわけでもないだろうし、ましてやメタモンやゾロアークが化けているわけもないだろう。

 

 「すべて、知りたいですよね?

 

 知るべきなのです、フロックス家2000年の中で忘れてしまったことも、知り得なかったことも。

 

 ですから…私に勝てば、その権利を与えましょう。」

 

 【ウコンジムジムリーダーの ハナツメが 勝負を挑んできた!】

 

 「それでは、本当のウコンジムジム戦を、始めるとしましょうか。」

 

 「それではこちらも、わたくし自ら、本気で参ることにいたしますわ。」

 

 蒼玻/アオバとハナツメ。そっくりな2人の美少女が、バトルコートで正対する。

 

 「フーディン!」「シャンデラ!」

 

 とりあえずタイプ相性は悪くない…しかしそれで油断できないことなど、蒼玻/アオバも承知の上だ。

 

 「シャンデラ、ニトロチャージ。」

 

 「フーディン、避けるのです。そして。」

 

 炎を纏い突貫してくるシャンデラ。それをギリギリ躱し…そしてフーディンからサイコパワーが溢れ出す。

 

 ハナツメの手の先、ディスクが輝いていた。

 

 【フーディンは フーディンEXに オーバーラップした!】

 

 「構わずニトロチャージですわ!」

 

 シャンデラは、すばやさを上げ続けながらフーディンEXへ突撃を繰り返す…だが、当たりそうにない。

 

 (…速い!段違いに!これがポケモンEXか…!/聞くと、見ると、戦うとでは大違いですわね…!)

 

 とはいえいずれはフーディンEXは避けられなくなる。ニトロチャージのすばやさ上昇が、EXオーバーラップの「2倍」を上回るのはすぐだ。

 

 フーディンEXの顔面に、シャンデラが正面衝突する…その直前のタイミングが、ハナツメが反撃の指示を出す時。蒼玻/アオバは身構え…だから、次のハナツメの指示に、目を丸くする。

 

 「フーディン、テレポート。」

 

 フーディンがボールに戻る。何らかのポケモンが、代わりにハナツメの懐から飛び出す。そのポケモンへ、炎を纏うシャンデラが衝突する。

 

 ーシャンデラは とくせいが ミイラになっちゃった!

 

 「デスカーン…!」

 

 棺桶から飛び出す霊体の腕が、シャンデラを取り押さえていた。

 

ー*ー

 

 「シャンデラ、オーバーヒートですわっ!」

 

 デスカーンを倒したいのもそうだが、早く拘束から逃げ出さなくてはならない。何しろゴーストタイプはシャンデラの弱点だ。

 

 棺桶が勢いよく燃え上がり、デスカーンがバタバタと暴れる。それでもシャンデラは腕の中から抜け出せない。

 

 ーデスカーンの シャドーボール!

 

 オーバーヒートで燃え尽き寸前のシャンデラ。依然として押さえつけられた身体に、シャドーボールが直上から降り注ぐ。

 

 (…一発くらいなら耐えるはずですわ!/特に、オーバーヒートを耐えるくらい防御方面に振っているんならな…!)

 

 シャドーボールの爆発が終わる。シャンデラが解放される。

 

 「シャンデラ、反撃ですわ!」

 

 シャンデラはふわりと浮かび上がり、再び火勢を上げ。

 

 ー直後、虚空に出現した何者かの手が、シャンデラを地面へと叩き落とした。

 

 「…なっ…」

 

 明らかにデスカーンの手ではない。というより、一瞬だけ見えたあの手は…

 

 「シャンデラ戦闘不能!チャレンジャーは次のポケモンを!」

 

 「え、ええ。イーブイ、いきますわよ!」

 

 蒼玻/アオバにとってイーブイは表の切り札。ただ、デスカーンに接触した場合は特性の「ミイラ」によってこちらの特性が無効化されてしまう。もしユキコシ在来イーブイの「はつげんちょうせい」が無効化不可能な特性ならば良いが、フォルムチェンジ特性ではなく一時的進化特性なので断言はできないのだ。

 

 特性「はつげんちょうせい」が封じられた場合、素のイーブイではフーディンEXに対して弱すぎる。かといって接触ワザを使わないとワザを3つ使い切れず、最強威力の「とっておき」を使えない(まあ使えたとしてもゴーストタイプのデスカーンには通用しないのだが)。

 

 「なんか、いろいろ制約が多そうですね。

 

 デスカーン、いたみわけ。」

 

 イーブイが、ガクッと足を折った。

 

 シャンデラのオーバーヒートで気絶寸前だったデスカーンは半ばまで回復。逆にイーブイは一挙に体力の半分を喪失。

 

 「さらにおにびです。」

 

 「はつげんちょうせい、ブースター!」

 

 おにびがイーブイを取り囲み、衝突する…寸前に、炎に反応してイーブイがブースターへ進化。ほのおタイプによってやけどを無効化した。

 

 「打ち返すのですわ!ほのおのうず!」

 

 おにびでサーブをするかのように、ブースターは炎をデスカーンへぶつける。炎海がデスカーンを呑み、消えない炎が棺桶にまとわりついて苛む。

 

 (これで、ダメージレース的にはひとまず…/いえ、そうも言い切れませんわね。さっきの「手」はいったい…)

 

 「やけどがダメならもうどくです!どくどく!」

 

 「はつげんちょうせい、サンダース!

 

 かみなりですわ!」

 

 デスカーンが影手で猛毒の塊を投げつけ、サンダースが躱そうと走り回りながら雷光を発射する。 

 

 超鈍足のデスカーンではかみなりを避けられない。そして、サンダースならば、自分に向かって飛んでくるどくどくを避けられる…

 

 躱すために、向かってくる猛毒液から左へ、サンダースが横っ跳びした。次の瞬間、さらに左の虚空から「手」が出現して、サンダースを右へと張り叩いた。

 

 強烈な叩撃、さらに猛毒の被弾。サンダースはもはや満身創痍だ。もっともかみなりをもろに受けたデスカーンとてそれは同じ。

 

 次の一撃でデスカーンは退場する…が、サンダースも猛毒状態によってすぐに気絶の憂き目。そんな中、ハナツメも、そして蒼玻/アオバも、違うことを考えていた。

 

 (デスカーンはもう何も耐えられない…と思っていることでしょう。

 

 ですが、一回くらいなら、サンダースの攻撃と同時に不意をつけば、デスカーンから攻撃を外させつつサンダースを仕留めさせられます…!「手」を出すチャンスは、サンダースが攻撃姿勢を取るその瞬間…!)

 

 (蒼玻くん、見えましたかしら?/ああ、「手」…前代未聞だけど、そういうことらしいな…!/ならば、逆転のタイミングは一つ、イーブイに攻撃を準備させるその瞬間ですわ…!)

 

 「デスカーン、シャドーボール!」

 

 「見てから回避余裕ですわよ!サンダース、でんこうせっか!」

 

 デスカーンの影手からシャドーボールが乱射される。サンダースが、肢体を電光で輝かせながら駆け回り、シャドーボールを避ける。

 

 「今です!」「今ですわ!…イーブイ…」

 

 サンダースの避けた先、空間が裂けて「手」が出現する。

 

 ー?????の ディメンションハンド!

 

 サンダースが、虚空の「手」に頭から突っ込む。

 

 「…はつげんちょうせいだ、ブラッキー!」

 

 サンダースと「手」の衝突。それと同時に、サンダースがブラッキーに進化し…「手」は、次元の狭間の向こうへ押し返された。

 

 ブラッキーはそのままデスカーンに突撃し…接触する手前で引き返す。

 

 「…でんこうせっかは、ブラフ…でしたか。

 

 『手』を出させるための。」

 

 デスカーンへの接触ワザは特性を無効にする。「でんこうせっか」が本気の攻撃なわけがないのだ。

 

 「ええ、そのとおりですわ。

 

 あくタイプのブラッキーに無効化される攻撃…やはり『手』は、エスパーワザだったようですわね。」

 

 虚空の「手」はデスカーンからの攻撃ではない。いや、そもそものドクトリンが、「デスカーンに耐久させ、どく、やけど、『いたみわけ』で削りながら、虚空の『手』で唐突な攻撃と妨害を行い、相手を倒す」なのだろう。

 

 「…フーディンEXの、EX専用ワザ『ディメンションハンド』です。

 

 単純な殴打のワザ、ただし、このワザは、モンスターボールの中からも発動します。」

 

 それは前代未聞のワザ。ポケモンバトルという概念をも揺るがす、ボール内からのアタック。

 

 「予想と常識の埒外から不意をつける…のはいいにしても、『手』がフーディンなのは誤魔化したほうがいいのではないかしら?

 

 …無駄話で時間を稼がれるのも癪ですし、こんな隠し玉で翻弄されたのはもっと癪ですわ。」

 

 どく状態は回復させるし、自分たちにも隠し玉はある…蒼玻/アオバにも矜持というものがあるのだ。

 

 「それでは参りますわ、わたくしたちの隠し札。

 

 疑似BREAK力場(フィールド)、展開ッ!」

 

 濃密な、ユキコシ地方にて蓄積された「強者たちのオーラ」。それが展開され、バトルコートを覆う。

 

 「まずいです、デスカーン、シャドーボール!フーディン、ディメンションハンド!」

 

 猛毒に冒されたブラッキーへ、シャドーボールが殺到。同時に次元には穴が開き、フーディンEXの手が様子を伺う。

 

 「イーブイ、はつげんちょうせい、ニンフィアッ!BREAKワザですわッ!」

 

 ーニンフィアの とっておきBREAK(きらきらストーム)

 

 妖精の星屑が、ニンフィアを包み込んで己の毒素とフーディンEXの手を吹き飛ばしながら、デスカーンへ殺到。

 

 デスカーンは瞬時に戦闘不能へ追い込まれた。

 

ー*ー

 

 「デスカーン戦闘不能!おひいさま、最後のポケモンを!」

 

 「…最後、であってるの?」

 

 カグヤが、指を2本立てる。フーディンEXに、デスカーン…もう1体出すかそれともフーディンEXをもう一度出すか…「最後のポケモン」とは言わないはずだ。

 

 「ご存じないのですか?

 

 シンシュー地方のポケモンバトルでは、ポケモンEXは2体分として数えるのです。ですから、フーディンEXとデスカーンで3体分ですよ。」

 

 「ああそう言えば…ってことは。」

 

 カグヤの視線の先、ハナツメがボールを握っている。

 

 「フーディン、準備運動は絶好調でしたよね。

 

 ここから本番としましょうか!」

 

 ーハナツメは フーディンEXを くりだした!

 

 「イーブイ、もう一度ブラッキーにはつげんちょうせいですわ!」

 

 エスパーワザはあくタイプには通じない。もはや残りの体力はわずかとは言え、圧倒的に有利。

 

 「イーブイ、ふいうちですわ!」

 

 「フーディン、ディメンションハンドです!」

 

 (何!?/無効のはず…!?)

 

 ーブラッキーの ふいうち!

 

 ーフーディンEXの ディメンションハンド!

 

 フーディンEXを不意に後ろから襲うブラッキー、さらにその不意をついて出現する「手」。ブラッキーのフーディンEXへの到達が一拍遅れ。

 

 ーフーディンEXの きあいだま!

 

 ブラッキーがフーディンEXへ到達する直前、かくとうワザ最高クラスの一撃が、至近距離からブラッキーを襲った。




 ディメンションハンド

 エスパー 特殊 威力30 命中60 先制ワザ

 ボールの中からも発動し、またボールの内外に関わらず本来の攻撃手番を消費しない。

 命中の成否に関わらず、発動時、相手のワザの優先度を1下げる。
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