お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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そういえば:タイトルを変えました(長すぎて表示の途中で途切れるのでセンス最悪だった)(というかタイトルにスペース入れて調整できるんだ...)


#14 「ハードモードってクリア報酬はいいんだよな(初回クリア可とは言ってない)」

ー*-

 

 「すまんのぅ、本当はもう一度わしがバトルすべきなんじゃが、絶対安静を言い渡されてしもうたし、工房も街も忙しぅてのぅ。」

 

 その体のあちこちに包帯を巻きながらもアテは元気そうである。

 

 「そのかわり、おぬしに感謝したいという者がおってのぅ。

 

 ほれ、よりしろさま、アオバの嬢ちゃんじゃよ。」

 

 サジンノリュウが翅を震わせると、ピンクの支脈から天国のしらべが鳴り響く。

 

 「普段の試練は、サジンノリュウの尻尾の先のカケラを1つもぎとればそれをおみや巡り成就の証として授けるというものじゃ。」

 

 証は自分の手で勝ち取れというわけである。

 

 「じゃが、サジンノリュウにも思うところがあるようじゃな。

 

 今回はグレードアップじゃ。」

 

 (...それ、もらえるものだけじゃなくて難易度もアップするんだよな...?)

 

 「い、いえ、そこまでしていただかなくてもけっこうですわ。」「いや、コイツは一度言ったら聞かんでのぅ。」

 

 (クソ!)

 

 「トリプルバトルじゃ。サジンノリュウはフライゴン2体を守るそうじゃから、おぬしは3体でフライゴン2体を倒せ。勝てばよりしろさまのカケラを3つやろう。」

 

 (しかも難易度に見合ってなさそうだし…)

 

 アスピリンをくれ(頭が痛い)ー蒼玻はぼやいた。

 

ー*-

 

 「明日のよりしろさまの試練、一番大事なのはブロスター、貴方ですわ。おわかりかしら?」

 

 ブロスターが然りと頷く。

 

 「サジンノリュウの弱点はほのお・はがね・いわ・どく・ひこうだけどよりしろさまって祀られるくらいですから弱点を突こうが生半可な攻撃は通らないとみるべきですわ。ブースターにはつげんちょうせいしようがヒトモシがほのおワザを撃とうが、たぶんサンドスローイングで消火されるだけでしょう。

 

 で、フライゴンですわ。弱点はドラゴン・こおり・フェアリーですので、カギはブロスター、貴方の『りゅうのはどう』ですわね。

 

 サジンノリュウがフライゴンを守るバトルであることは既に聞いている。その観点からもブロスターは有効だ。なにせブロスターBREAKの「ロックオン」は次の一撃を必中かつ高威力にする。つまりサジンノリュウが守ろうが「サンドスローイング」が視界を完全に奪おうがフライゴンをBREAKワザ抜きで倒し得るというわけだ。

 

 「けれどそのためには確実にブロスターに、それも最低2回、『ロックオン』からの『りゅうのはどう』を撃たせなければなりませんわ。それなりの時間がかかる工程ですので...

 

 イーブイ、ヒトモシ、頼みますわね。」

 

ー*-

 

 サジンノリュウの両側に、フライゴンが従者のように滞空する。

 

 「バトル、はじめ!」

 

 緊張感が満たすバトルコートで、蒼玻は開始の合図と同時に叫んだ。

 

 「ブロスター、BREAK進化ですわ!」

 

 バトルコートにどこからともなく金色の粒子が沸き上がり、ブロスターの青い体へと凝縮、金色に染め上げる。

 

 同時にサジンノリュウもまた、尻尾の先を金光で輝かせていたーBREAKフィールド、BREAKオーラとは要するに2000年の歴史を通じてユキコシ地方に蓄積した「強者のオーラ」なのだから、よりしろさまほどの強者ともなれば祝福は借りるものではなく授けるもの、わざわざBREAKフィールドを使うまでもなく自らの力でBREAKワザの連撃が可能なのである。

 

 「来ますわよBREAKワザ。手はずどおりに!」

 

 ヒトモシの頭の上で、光がチカチカ点滅を始める。

 

 腕の先にピンクの光をまとっていたサジンノリュウが、あわてて目を閉じた。バトルコートに沸き上がりつつあった砂煙が消えていく。

 

 「ふむ、よく考えたのぅ。ダメージ系の状態異常、例えばどくはサジンノリュウの膨大な体力を削ることはできんが、こんらんは通ってしまぅからのぅ。」

 

 「しかも、よりしろさまがたねポケモンのあやしいひかりごときで混乱して人事不省になるわけにはいかないってよりしろさま自身が思っているから、溜め時間の間にあやしいひかりを出せばBREAKワザを封殺できる、お姉ちゃん考えたね。」

 

 観客席でアテとカグヤが呑気に話している。

 

 サンドスローイングによる場の掌握は一筋縄ではない...そうなれば当然、よりしろさま達は直接攻撃をするしかない。2体のフライゴンが口を開いた。

 

 「でんこうせっか、アクアジェット、ニトロチャージ!避けなさいな!」

 

 りゅうのはどうがヒトモシとブロスターBREAKを襲う。ワザによる高速移動で回避した2匹、それにイーブイは勢いそのままにフライゴンめがけて飛び上がった。

 

 サジンノリュウとフライゴン2体が頭を下げる。そしてそのまま、突撃をかわし地面へと突っ込む。

 

 わずかに砂が舞い、3体の姿が消えうせた。

 

 「…走り続けるのですわ!」

 

 3体が使ったのは「あなをほる」だろう。地中から飛び出してきたときにダメージを受けないようにするためには常に動き続けて避けるのが一番だー蒼玻はそう思った。しかし、並の地面ポケモンならばいざ知らずフライゴンは異なる。

 

 バトルコートに砂が湧きたつ。

 

 -ナックラーは砂地に擂り鉢状の穴を掘り、獲物の接近を振動で感知し、砂を跳ね上げて獲物を巣へと転落させる。その振動感知能力がフライゴンにも引き継がれており、そして砂の跳ね上げこそが、サジンノリュウのBREAKワザ、サンドスローイングなのだ。

 

 膨大な量の砂が舞い上がり、イーブイ、ヒトモシ、ブロスターBREAKを空へと打ち上げる。目を開けられないことで視界を失ったであろう3匹へと、2体のフライゴンが地面から飛び出し砂煙の中を飛んでいく、サジンノリュウほどではなくとも蟲毒のごとき生存競争を生き延びたフライゴンは、空も地中も同じであるかのように動けるのだ。

 

 崩壊する砂柱のてっぺんへとフライゴンがドラゴンダイブで上り詰め、体当たりを敢行しようとしたその時だった。

 

 ブロスターBREAKが、目をつむったまま右腕のハサミを開いた。

 

 銀色の閃光がきらめく。

 

 「りゅうのはどう!?目が見えないのに撃つのか!?」「いつの間にロックオンしてたの!?」

 

 さにあらず、水中活動をするブロスターは当然、波や水流のような流体の動きを感知できる。すなわち、砂の柱の中に半分うずもれているならば、砂の中を高速でかっ飛んでくる物体の方向くらいはわからないわけがない。

 

 ヒトモシがフライゴンとともに砂の柱から飛び出して空高く打ち上げられ、逆にもう一体のフライゴンが銀色のビームによって砂の柱から叩き出されて地面に叩きつけられる。そして砂の柱が火砕流のごとく崩落しすべてを砂煙で覆い隠した。

 

 「いけたかしら...?」

 

 なかなか収まらない砂煙の中へ目を凝らす。

 

 2体のフライゴンのシルエットが見えた。

 

 「しとめきれませんのね…

 

 ...なっ!?」

 

 砂煙が晴れた時、蒼玻もそしてブロスターBREAKも目を剥いたーフライゴンはどちらもほぼ無傷でぴんぴんしている。片方は強力なドラゴン技を受けたはずなのに、元気さに遜色がないのだ。そしてその中央で、サジンノリュウが何やらピンクのオーラを発していた。

 

 「…まさか」

 

 砂の柱から叩き出されていたのは確かにフライゴンだった。サジンノリュウはフェアリータイプを持ち、りゅうのはどうを無効化できる。…何も知らなくてもなんとなく、何が起きていたかの予想はつく。

 

 「サジンノリュウは、ドラゴン技をオーラか何かで軽減できる...?」

 

ー*-

 

 「カロス地方のゼルネアスというポケモンは、伝説のポケモンとして命を自ら分け与えるためにオーラを持ち、それは帯びている属性からフェアリーオーラと呼ばれるそうじゃ。

 一方でサジンノリュウにそれほどの権能はない。じゃが、厳しい競争で死んでいった同胞の生命を受け継いでおるサジンノリュウにも生命の力は確かにあり、それを必要な時に仲間を守るために放出する、それがサジンノリュウのフェアリーオーラじゃ。」

 

 その権能は、時としてドラゴン技をオーラだけで無効化しうる。

 

 アテの声が聞こえていなくても、蒼玻もサジンノリュウのヤバさは察していた。

 

 「ブロスター、みずのはどうのほうが通りがいいかもしれませんわ。」

 

 再びブロスターBREAKの右腕のハサミが開く。サジンノリュウの両手が金色を帯びる。

 

 撃ちだされた水弾が、フライゴンの手前で沸き上がった砂の壁に衝突し吸収される。

 

 「サンドスローイング、ワザの迎え撃ちにも使えるんですのね…」

 

 「よりしろさまの試練はよりしろさまのワザを授けるためのもの。ワザの使い方を教えてくれるなんて、気合が入ってるね…」

 

 りゅうのはどうは効かない。攻撃は砂の壁に吸収される。あやしいひかりを絡め手で使おうにもヒトモシはどこへ飛んでいったのかまだ戻ってくる気配がない。

 

 「じり貧と言うにはまだ早いですわ。ブロスター、アクアジェット。接近戦ですわよ!」

 

 金色の身体が跳び上がり、水流を噴射して縦横無尽に駆け回る。追われるフライゴンもまた自在に向きと高度を変え、容易に真後ろを取られることはない。

 

 そんな中で、フリーになったサジンノリュウの瞳が、ヒトモシをじろりとにらんだ。

 

 -弱点をとられかねないほのおタイプは早く倒してしまおう。

 

 サジンノリュウの手が再び輝く。そして、砂の柱がビルほどにも打ち上がり、ヒトモシを青空へと吹き飛ばした。

 

 ぺちゃん、たったの一撃でヒトモシはつぶれた豆腐のようにへばり、炎が消えていないのが奇跡というところまで追い込まれた。

 

 お次はアイツだ...サジンノリュウがイーブイを指さすと、2体のフライゴンは空中で構え、突進の姿勢を見せる。

 

 ブロスターがイーブイの前に立ちふさがる。

 

 フライゴンが左右に一体ずつに分かれる。ブロスターは...同時に2方向にはハサミを向けられない。

 

 完全に、詰み。それでも蒼玻は「イーブイを見捨てて逃げ延びて反撃しろ」とは言わないし、ブロスターもまた、自らイーブイをかばうことを諦めたりはしない。

 

 これが、仲間というもの...ヒトモシは、なぜだか、閉じようとする瞳を背けることができなかった。

 

ー*-

 

 うまれたときには、あのくらいどうくつの中にいた。

 

 いのちをたべて、ひとりでいきてきた。

 

 ずっと、そうだとおもってた。

 フシギで不気味で強引で、だけどであってすうじかんでいのちをかけてかばってくれる、このへんなニンゲンにつれだされるまで。

 

 イーブイもブロスターも、かちめがうすいのにたたかっている。それなのに、ボクはなにもできなくて、いいのかな?

 

 あのどうくつからつれだして、こうしてなかまだとおもってくれたみんなのために、なにもしなくて、いいのかな?

 

 まえにすすまなくて、かわらなくて、いいのかな?

 

 …ううん。

 

ー*-

 

 フライゴン2体が頭を下げ、突撃しようとしたまさにその時だった。

 

 フライゴンの背後に禍々しい杭が現れ、2体の背中、いやサジンノリュウも含めた3体の背中に突き刺さったのだ。しかもその杭は、金色の粒子を振りまいていた。

 

 仕立て人はいずこに...探すまでもない。もう一か所、金色の粒子を集めている場所を探せばいいのだから。

 

 ゆっくりとオーラが霧散していくそのただなかで、ランプラーが、だらんと倒れていた。

 

 「『のろい』をBREAKワザにして範囲攻撃にしたのじゃのぅ。それにしてもいやはやこの土壇場で進化とは面白い。ひょっひょっひょ。」

 

 「ヒトモシ、いえ、ランプラー…貴方の犠牲、無駄には致しませんわ。

 

 背中を痛打されたこと、突然呪われたことでフライゴンもサジンノリュウも能力が下がっている。挑むなら今だ。

 

 「ブロスター、りゅうのはどう。『聞いていらして?』」

 

 指示しながら、蒼玻はその真意よ届けと祈り、目配せをした。

 

 はたして、サジンノリュウからピンク色のオーラが放出される。

 

 ブロスターが、水流をまとい、跳び上がった。イーブイがその背にしがみつく。

 

 サジンノリュウがうろたえるーりゅうのはどうではない!?

 

 (トレーナーの指示、今回はあえて、言葉通りに受け取らないでほしい…通じた!

 

 …そしてフライゴンの群れを率いる賢いよりしろさまなら、人間の指示を聞いて、対策するはず…!)

 

 「イーブイ、今ですわっ!」

 

 アクアジェットが、フライゴンのそばを通り過ぎる…その瞬間、音の波動(チャームボイス)が、未だ呪いから立ち直れないフライゴン2体を真上から叩きのめした。

 

 イーブイ、否、ニンフィアが、声を張り上げ、力を授けてくれると伝わるよりしろさまから受け取ったばかりのフェアリーの力を撒き散らす。

 

 あえて口頭の指示を無視するブロスターに、よりしろさまの力を利用するイーブイ...皮肉にも思われる戦況にカグヤがまばたきも忘れて手に汗を握る。

 

 「イーブイ、飛び降りて全力を出すのですわ!」

 

 フライゴンを助けようと意識を真下へ向けたサジンノリュウの背へと回り込み、ブロスターが水流を纏ったまま吶喊した。

 

 衝突(クラッシュ)

 

 さすがのサジンノリュウも空中でよろめきふらつき、体勢を立て直しながら自分を攻撃してきたブロスターの姿を探そうと振り返る…だが、そこにはブロスターの姿はなかった。それどころか背に乗っていたはずのニンフィアもいない。

 

 「イーブイ、今!」

 

 真正面、シャワーズが、落下しながらも、水の球を口にくわえながら口を大きく開いている。

 

 サジンノリュウは驚きながら両手の先に輝きを宿した。真下、バトルフィールドに再び砂が巻きあがり始める。

 

 一方、サジンノリュウの背後では、のろいのダメージとチャームボイスの音圧で地面に叩きつけられ起き上がろうとするフライゴン2体を、赤いビームが照準していた。

 

 「りゅうのはどうですわ!決めますわよ!」

 

 閃光、そして銀色の龍の顎が、フライゴン2体を呑み込む。ブロスター自身がくさってもぬしクラスのポケモンなのだ。フライゴンを倒せないはずもなかった。

 

 砂が巻きあがり、柱を為して、シャワーズを呑み込み天へと突き飛ばす…だが、たった寸秒、遅かった。

 

 発射された水球がサジンノリュウを正面から叩く。「サンドスローイング」のコントロールをしているサジンノリュウは迎撃することができず、撃墜こそされるわけもないが身体を濡らし高度がズレる。その背を、みずはどうがしたたかに打つ。

 

 砂の柱が崩壊し、砂山の中央でぐったり倒れるイーブイに、もはやサジンノリュウは意識を向けなかった。

 

 入れ替わり攻撃と前後からの挟撃を果たしフライゴン2体も倒した小癪な相手、ブロスターを、強くにらむ。

 

 「おぉ、よりしろさま、本気を出すのじゃなぁ…!」

 

 ピンクに輝く支脈が細かく震え、旋律を奏でる。

 

 「ブロスター、アクアジェットで回避の準備を。」

 

 ブロスターが再び跳び上がったその時、バトルコートが震え、砂煙が視界を薄暗くした。

 

 (サンドスローイングか!?それも特大の!?)「ブロスター、高く跳んで!」

 

 砂嵐が巻きあがり…しかし、柱となって突き上がりはしない。

 

 サジンノリュウへと竜巻のように砂嵐が集まり、そしてサジンノリュウは砂の渦をまとった。

 

 「まずいっ、とにかく逃げ回るのですわ!」

 

 ブロスターがはちゃめちゃにアクアジェットで上空を飛び回る…だが、サジンノリュウを覆う砂の球が震えとともに壮大な旋律を奏でると同時に、ブロスターの動きが乱れる。

 

 「サジンノリュウの真骨頂は攻撃力ではなく群れを率いるものとしてのバフデバフじゃ…特性『デューンプリズン』と専用BREAKワザ『サンドスローイング』による妨害…だが一つだけ、サジンノリュウらしい妨害ワザでありながらも強烈な攻撃力を持つワザがある。」

 

 旋律がブロスターの動きを妨げる中、砂の渦が、宙を斬った。

 

 「『デザートゲイザー』。砂で増幅した羽音によってマヒさせ、砂嵐をまとうことで迎撃を許さず、その強力な飛行能力で以て突貫する!『砂の魔術師』『ヌレバのよりしろさま』の名にふさわしい最強ワザじゃぁ!」

 

 フライゴンのライバルガブリアスはおろか、メガガブリアスもひとひねり…そう謳われるワザは、自分の身体ごと砂の渦でビルをも斬り、しかしながら直前に発せられる旋律が逃げることを許さない…ブロスターはボロボロになって静かにバトルコートに落下した。

 

 サジンノリュウはフンと鼻息を鳴らした。

 

ー*-

 

 「よく頑張ったのぅ。フライゴン2体を倒すばかりかサジンノリュウに本気を出させるその実力、ここぞという時に進化を引き寄せる運、入れ替わり攻撃やわざと指示の無視をさせる知力と連携力…どれをとっても、いいツヤをしておる!あれからよく己となかまを磨いた!」

 

 人を高級漆器みたいに言うなー蒼玻は思ったが口には出さない。

 

 「これは攻略のあかし、ヌレバジムバッジと『砂浜のカケラ』じゃ。カケラは3つと思ったが、特別に4つやろう。妹に助けてもらったんじゃろぅ?わけてやるがよいぞぃ。」

 

 「感謝しますわ。」「ありがとう。」

 

 「今後も、己を磨き、経験を塗り重ね、人生を美しい宝物とするのじゃ!ほっほっほ!

 

 そうじゃ、そのために儂からもうひとつ、餞別をやろう。」

 

 「プレゼント、ですの?」

 

 「そうじゃ。とは言ってもモノではない…

 

 …アオバ嬢ちゃんにカグヤ嬢ちゃん、苦労しておるじゃろぅ?事情があって名家の姉妹が2人きりで旅、本家の会社もなにやらきなくさいとなれば…」

 

 「…あー、じいちゃんにもカンゾウさんにもバレたし、お気に入りの服はやめて擬態したほうがいい?」

 

 「…いや、街中で和服やドレスを見ても珍妙じゃとは思うかもしれんが別に身元を特定はできんじゃろ。フロックス姉妹の私服を知らん人間からすれば場違いなべっぴん少女にしか見えんし、私服を知るほど知っている人間なら、儂みたいに耄碌しとってもどうせ顔でわかる。嬢ちゃんたちはめんこすぎる。」

 

 (いや、アンタ耄碌してないっていうかハツラツとしすぎだろ。)

 

 「むろん、儂らぐうじは信用できる立場じゃ。そう挑戦者のことを漏らしはせんし漏らさせられもせん。」

 

 よりしろさまを祀る立場として人格者である彼らは、悪い人物や怪しい人物にフロックス姉妹のことを伝えはしないし、無理やり吐かせることができるような弱者でもない。だが、旅で出会う全ての人物がそうとは限らない。

 

 「伝手を使えないし、ぐうじ以外でカグヤ嬢ちゃんの前回のおみや巡りで会った人々の力も頼れん。苦慮しておるじゃろぅ?」

 

 アテは、蒼玻の足元のイーブイを指さした。

 

 (確かに、ユキコシ基準でもイレギュラーらしいこのイーブイについては、誰かに聞きたかったんだよな…)

 

 「ナノハナキャッスルに行くのじゃ。ブラシカの嬢ちゃんが、力を貸してくれよぅ。連絡は儂がしておくわぃ。」




本当はよりしろさまのカケラの譲渡はご法度です(ジム認可を受ける前はこれがおみや攻略の証だったので)。ただカグヤは一度ヌレバおみやを攻略したことがあるのと、蒼玻の奮闘を称えて特別にアテが許しました。
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