お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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はい(10話ほど書き溜めて投稿しようとしたらモデル地方に震災が起きていました)(北陸はいいところだよ4県7国全部行ったけども というか今年の夏も行きます)

卒論のご機嫌がナナメすぎるので2月中旬から本格投稿を開始する予定です…が3月末の学会発表のご機嫌によっては超スロー更新になるかもです…


#2 YOUは何しに北陸へ?

ー*-

 

 蒼玻(アオバ)は、日本の何処にでもいる学生だった。百人に聞けば百人ともが「平凡過ぎて特に覚えていない」と口をそろえるような存在である。

 

 彼をそうさせしめた特徴はいくつもあったけれど、一番注目すべき原因は「何事にも中途半端」ということであった。

 

 例えば彼はオタクだったけれど、自分で何かを書いたり描いたりするわけでもなく漫然とアニメを見て、次のクールが来たら忘れている、そういうタチであった。知り合いに何かを薦められても、オタク系の百科事典でキャラやあらすじを読んで満足してしまいコミックを買って語り合ったりまではしないー何事にも意義を見出せない、だから熱意が足りない、そしてすべてがニワカで中途半端に終わる…そういう困った青年だったのである。

 

 漫然と生きてきた彼でも、ポケモンくらいは知っていた。ただ蒼玻は、ゲームを買うにも一万円を超える出費をためらうような子ども時代、難しそうな対戦に手を出す気が起きないで明日また明日と引き延ばす学生時代を過ごし、アニメは家族にとびとびで見せられ、そうしてカードゲームはかじったことがあったがそれすら大学で友達を作るのがめんどくさいと思っているうちに対戦相手がいないため自然にやめてしまった、筋金入りのニワカだった。

 

 何事にもそれをわざわざ為すほどの意義を感じられないから手を出さない、そうしているうちに彼は、ちっぽけな自分がこの先わざわざ頑張って生き続ける意義すら見失い...そして生きるつもりもない彼はあっさりと流行病で死んでしまったのである。

 

 そんな彼が、考えられる限りー考えるにも多少無理があるがーもっとも”ガチ”な、ポケモンの世界に転生してしまったのは、なんの因果だったのだろうか。

 

 ともあれ、運命の神が存在するならば、今度こそ神は蒼玻に、生きて何かを為させる意義を与えたもうたのだろう...

 

ー*-

 

 俺だって、ポケモンの世界がおおむねどんなもんだったかくらいは知っている。ニワカは百も承知だけど、ニワカはニワカなりに無意味な好奇心で「ポケモン 地方 モデル」の検索サジェストだって見たことがある。

 

 だけど、ユキコシ地方などという地方は聞いたことがない。

 

 ただまあ、少々手間取ったけれど、今自分がどういう立ち位置なのか把握することはできた。

 

 ユキコシ地方は北陸地方だ。南を山岳に、北を海に挟まれた細長い立地で、カントー・ジョウトと隣接し、冬は雪に覆われるーこれ以上なく北陸だ。ワカナエシティは新潟、サンゴシュシティは富山、コンジキシティは金沢、ヌレバタウンは輪島、ウスベニシティは福井、グンジョウポートタウンは敦賀、そして自分が今いるトキトビ島は佐渡島...ここまで主要都市の場所も一致されればわからないほうがおかしい。

 

 ただもちろん、日本の北陸とこの世界のユキコシはかなり異なる。ライドポケモンが主要な交通手段として発達したことから交通網がさほど発展しておらず、その上に世界有数の豪雪地帯である北陸地方に輪をかけて冬の雪が激しく、冬季数か月はほぼ外界から途絶されることがもっとも大きな区別点だ。

 

 そして幸いというべきかそれとも万事休すと言うべきか、どうやら俺が宿っているこの少女は、それなりに身分がある、要するに御令嬢であるらしかった。いやまあ目覚めた時のやたら肌触りのいい和服で予想はついてたけど。

 

 フロックスホールディングス次期会長、アオバ・フロックス(17)。家族は妹のカグヤ(15)のみ。ワカナエシティの本社に戻ればすぐにでもお飾りの会長職に祭り上げられる血筋ながら、諸事情あって妹とともに放浪中。

 

 「…というか明らかに厄ネタだよなあ。だって現に襲撃されてるし…」

 

 修行兼視察としてユキコシを回っているなんて建前だ。アオバ嬢は間違いなく、自分の両親は死んだのではなく殺されたのだと考えて犯人探しにユキコシを回っているーその経緯をわざわざ手帳に書き留めてくれていたからこそ、蒼玻は自分が目覚めたその場所で手早く自分の立場を把握することができたのだ。そしてアオバ嬢をゴフク屋ー雇われのならず者が襲ったのは、そういうことなのだろう。

 

 「…痛いのは、やだなあ。

 

 …やられないようにするには、強くなるしかない、か…」

 

 問題は、一体で攻防全てを担える特殊なディアンシーは、どうやら自分を見捨てて去っていったということだ。

 

 「そりゃ見捨てるよな。だって絆がないんだもん、中身が別物だから。」

 

 メガシンカは人とポケモンの絆で起きるーとはよく言われるが、つまりそれはトレーナーの中身の魂が入れ替わるとメガシンカポケモンに見捨てられるということであったらしい...蒼玻は「盟約の指輪(キーストーン)」を撫で、ため息をついた。

 

 「…町に戻るか。」

 

 妹が心配していることだろう。ただ、まだ見ぬ妹に正体を話すべきかは議論の余地がありそうだ。どのみちカモフラージュの技術は必須になってくるだろうし。

 

 「はあ…コホン、はぁ、頭が痛いですわ...」

 

 この後めちゃくちゃお嬢様言葉の練習した。




ユキコシ地方:雪越地方 この地方を特徴づける雪と、「越の国」に由来している。ポケモン世界は基底現実よりも新幹線のような交通網が発達しておらずまたポケモンが容易に天候を変えるために雪が降り始めた山脈や嵐が起き始めた海(≒日本海)を越えることは至難で、そのためユキコシ地方は冬になると山脈と海を雪に閉ざされ事実上の冬の孤島と化す(正確には、越えようと思えば越えられるがもし道中の山でこおりタイプポケモンの機嫌を損ねようものなら命はない)

フロックス・ホールディンクス:ユキコシ地方最大の企業グループ持ち株会社。

お好きな財閥を御想像ください、そのグループトップでだいたいあってる。略称は「PhHDグループ」。鉛筆からロケットまでを司る大財閥。フロックス家自体が古い名家でもある…やったね蒼玻くん、転生チートだよ!(白目)
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