お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
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「イーブイ、できそうですの?」
ぶい…人間の言葉でなくても、その返答の意味くらい伝わる。
蒼玻は、イーブイと顔を見合わせ途方に暮れた。
ー*-
「これが、ナノハナキャッスルに伝わる伝承のうち、イーブイに関する部分じゃ。」
ハル・ブラシカは、どさりと巻物や折本(経文など、紙を蛇腹折りにした本)、冊子本を並べてみせた。
「ありがとうございますわ。ええと...
…えっと?」
読めない。まったく読めない。
ポケモン世界の言語は、アオバ・フロックスが知っていたものなら読めるようになっているー転生特典か憑依特典かは不明だがーはずなのだが、読めない。
(あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
俺は古文書を読もうと思ったのに、どれが文字でどれが絵かもわからなかった…
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが俺も何を読んでるのかすらわからん…頭がどうにかなりそうだ…
言語の壁だとかそんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ…
もっと意味不明なものの片鱗を味わったぜ…)
「ああ、待たれよ待たれよ。
アオバ殿、すべて草書体じゃから並の人間には解読不可能じゃぞ。」
-続け文字に崩し文字、筆記体アルファベットの比ではなく読みにくい文体のそれが、筆で古紙に書かれているのだから、それを言語として認識することすら困難なのは当然である。ナノハナの乱の前にハルが「どうせそなららには見つけられん」と言ったのもむべなるかなであった。
「イーブイは決して珍しいポケモンではない。はつげんちょうせいも、ユキコシ在来のイーブイの血が濃ければ、そう珍しいことではない。そして時代をさかのぼるほどイーブイの血が純系に近づくのは当然じゃのう。ということで、はつげんちょうせいの記録に限っても、これだけの手記、記録、文書、詩、絵図...とまあこういうわけじゃ。」
「民俗学をしたいわけじゃないの。お姉ちゃんと私には、逃げたコンフリーやウキクサ...BREAK進化をも超えた進化やら、もう1000年は戦い続けてるゲリラ、そういうものと戦える、大事なものも守りたいものも守れる、そういう力が、早く欲しい。」
「…わかっておる。
事実、ほとんどの記録は大したことを書いておらん。
『イーブイのはつげんちょうせいを見た、○○の環境に触れて××に進化し、しばしののちイーブイに戻った』程度の事件記録じゃ。特にジョウトやカントーからの訪ね人が物珍しさに書き残している例が多い…が、そなたのイーブイとは度が違うの。」
「度?」
「はつげんちょうせいイーブイは使いにくい、これはもうユキコシでは常識じゃ。バトルのたびになんらかの手段で数分だけそれもタイムリミットもわからずどれかのタイプに進化する、それだけでも使いにくい。
1体持つだけでどの進化系が出てくるのか読みにくくなり臨機応変に戦えるようになると言えば聞こえは良いが、どの進化系としても本当のそれに比べて劣る…進化したてなんじゃから熟練度が0に等しいしの。」
水によってシャワーズに、電気によってサンダースになれる...と言えば相手はどちらが出てくるかわからず困るかもしれないが、よく考えればシャワーズとして水を扱う特訓もサンダースとして電気を扱う特訓もほとんどしたことがないイーブイなのだ。だったらシャワーズとサンダースを鍛えておいて交代させればよい。
「おまけに、はつげんちょうせいは...個体差はあるじゃろうが進化の条件がそんなに緩いわけではない。落雷や高威力のでんきワザ、かみなりのいしでの進化はちょくちょく起きておるが…」
遺伝子が極めて不安定に壊れているからと言って、いくらなんでも乾電池に感電して進化するわけがない。マッチ棒やらなにやらを隠し持ち、はつげんちょうせいを使いやすくする...蒼玻がいつの間にか身につけていたその戦術ができることは、明らかに異常なのである。
「おそらくその鍵は、『意思』じゃ。」
ほれ...3つの古文書を、ハルは順番に並べた。
ー*-
「『1つ、外界の環境変化に頼らずにはつげんちょうせいするため、意思を研ぎ澄ますことで自らのリアルな感覚を錯覚させること』...と言われても困りますわよねえ...」
-「1枚目のこの文書は、ホウエンから来た剣術の達人が、ここナノハナキャッスルの城下町でイーブイとともに道場を開いていた剣士に挑んだ話じゃ。
剣士が得意としていたのは『自在の剣』...ホウエンの剣術家は、人間どうしの果し合いにポケモンを交えることをイカサマのようなものだと憤り、勝負を挑んだが、ともに同じ技を高め合う剣士とポケモンの姿に感銘を受け、勝つためにポケモンと力を合わせるユキコシ剣術を『まったく別の武術としてなら認めることができる』と書き残しておる。」
-「そんな拾遺物語を語ってほしいわけではありませんわ。」
ー「問題は『自在の剣』じゃ。明らかに剣士のポケモンは『自在に姿を変える』イーブイであり、はつげんちょうせいを使いこなしておる。道具を用いておる様子や環境の変化に左右された様子もない。そして、そのイーブイの力を剣に込めることにより、自在に炎水草雷氷闇それに
炎を纏う剣や電気を纏う剣、それだけでも対処に困るシロモノだろうに、8つの属性を自由自在に切り替える剣術と言うのだから、魔剣と呼ぶべきナニカである。通りすがりの剣術家がキレて勝負を挑むのも致しかたない。
-「剣士のイーブイは、炎や感電や水どころか、まったくの無手でイーブイをはつげんちょうせいさせられた...?」
-「そのヒントを、剣術家が書き残しているんじゃ。
剣士の道場の教えは自在剣でもポケモンとの剣でもなく、『心をぶつける』剣だったんじゃな。」
ー「心を、ぶつける?」
-「『気』、あるいは『波導』...
聞いたことはないかの?きわめてすぐれた武術家は、殺気だけで雑魚を気絶させることができる、という話を...
そういう、まあ、”オカルト”じゃと思う。」
ー「強い意志を剣に乗せることで、戦う相手に意思を感じさせるのではなくぶつける...って理解であってる?」
ー「あってはおらんじゃろうがその理解でも良かろうぞ。大切なのは『気迫』『威』と呼ばれるような強い意思は時に錯覚となり、錯覚すらも超えて物理的な影響力をももたらす…ということじゃ。」
ー「そして、それが剣士のイーブイのはつげんちょうせいの鍵…研ぎ澄まされた意思で、自らに錯覚させていた?環境を?」
ー「イーブイは環境の変化を感覚することで進化する…ならば、研ぎ澄まされた殺気が試合相手に死を錯覚させるように、研ぎ澄ました意思により自らに環境の変化を錯覚させて進化させることができる…わけがないが、そなたの極めて進化しやすい特殊なイーブイならば、できないことはないかもしれぬの。
それに、心当たりは、あるのではないかの?」
「それはもちろん、確かに、心当たりはありますけれど…」
1度目のはつげんちょうせいは、蒼玻もろとも死にそうなタイミングで、イーブイにヒトモシの炎が触れることにより、極限状態、霊的要素のある炎、そして蒼玻を救いたい意思があわさり発動した。
その後だって、別に蒼玻のイーブイはシャワーを浴びるたびにシャワーズになるわけではないが、バトル中にブロスターのアクアジェットによっては進化している…もちろんタダの水とワザとしての水は違うのだろうが、「進化しようという意思」がなければ環境の変化があっても必ずしも進化するわけではないことは事実だ。
蒼玻のイーブイは、意思によって多少ははつげんちょうせいの発動をコントロールできる…
…そして、鍛えた者は時に、研ぎ澄ました意思をリアルな感覚として錯覚することができる…
…つまり、研ぎ澄ました意思によって任意に進化することが、理論上は可能なのだ。
ー「今の進化方法ですら、もしや負担がないとはいえんじゃろう。ブースターになるためにいちいち毛を焦がすのもリスキーじゃし、いつも迂遠な手段に頼れるとは限らん…進化の石を使えるなら使ったほうがいいじゃろうな。
店売りで7つすべて揃えても良いが、どうせならサツキ渓谷の発掘現場に行ってみい。化石ポケモンを手に入れられるやもしれぬしな。
…それはさておき、本題じゃ。
炎やら水やらの環境を自らの意思で自らに錯覚させるというのは、つまり、自らの空想で自らにありもしない火傷や溺水を錯覚させる…ということじゃ。」
殺気だけで他人に死すら錯覚させられる歴戦のサムライでも、自らにそれをなせる境地に到れるかは怪しい…ハルはそう述べた。
ー「しかし剣士のイーブイはそれをなしておる。記録を読む限り、剣士は試合中にイーブイに道具などは渡しておらんで、イーブイが『自在に』姿を変えているからの」
ー「そんなことを言っても無理ですわよ…」
ー「ああ待て待て。話を聞け。
さすがに炎や電気や氷は求めぬ。想像するにもよくわからぬエスパーもじゃ。じゃが…
…水に濡れること、草や森の香り、夜の闇、そしてそなたとの絆…シャワーズ、リーフィア、ブラッキー、それになによりニンフィアは、『自らの意思で自らに錯覚を通して実感させる』ことが可能じゃろ。」
言うは易し行うは難し、である。
「そんなこと言われても、ですわよね…
あれはバトルの間での緊迫感と通じ合う感じがあってのことでしたし…」
今となっては、いくら撫で回したところでニンフィアに進化することはできない。まして他の三種をや、だ。
「お姉ちゃん、イーブイ、ハーブティー淹れたよ?」
「ありがとうですわ。」
森林浴アロマオイルを焚く。ハーブティを飲む。
ゴクゴク…なるほど、草の力がみなぎるのを感じる。
「イーブイ、はつげんちょうせいですわ。」
そしてイーブイは輝き、体に満ちた力が草葉を生やし、リーフィアへと進化する。
「…でも、このアロマオイルの香りとハーブティの味、みなぎる草木の力を、想像だけで身体に満たすのは、難しいですわよね…」
ー*ー
「2つ目は、『進化時に、はっきりと進化先を意識しない』ことじゃ。」
「「は?」」
蒼玻とカグヤ、魂的には姉妹ではないのに、声がハモった。
「ちょっとハルちゃん?さっきと言ってること違うよ?リアルに感覚するほどの強い錯覚を研ぎ澄ました意思で自分に起こす…って言ってたのに、進化先をイメージするな?」
「自分を進化先に固定したら融通が効かなくなるぞよ、ということじゃ。もちろんこの話単体ではさほど重要ではないが、しかし3つ目の奥義には1つ目の『研ぎ澄ました意思』と同じく、重要じゃろうな。
『■■五年霜月一日、余はイーブイ試合を見たり』」
「待ってくださる?イーブイ試合?それは…なんですの?」
「ああ忘れておった。『御大臣雪中浪記』、ジョウトの戦乱時代に旧ウスベニシティに滞在していた貴族の日記じゃ。
この貴族、大のもふもふ好きであったようでな、ジョウトにもその記録が残っておる。時の権力者が彼の機嫌を取るためにトリミアンを輸入しただとかな。」
「…もしかして、ユキコシ地方にウールーを持ち込んだ人って…」
「それがのうカグヤ、それはわからんのじゃ。まあ輸入時期と彼の性格を考えればありえると言われておるが…
…なにぶん400年前の『旧』ウスベニシティじゃ。この後すぐに、貴族はジョウトへ帰り日記は散逸することになる。
貴族がウスベニの殿様にやってもらったイーブイ60匹の試合についても、当家が所有しておるのは決勝戦の記録だけじゃ。」
「それで、注目の優勝イーブイはどのようなものでしたの?」
「『かのイーブイ、またも、余も目を疑いたる変幻自在ぶりを見せたり。
他のイーブイはイーブイに戻らざりては再び
余、西町少将を触りて、その奥義を知りにけり。西町少将のサンダースになりたる時の毛並み、いともふもふなりて、サンダースよりもイーブイに似たり。』
…イーブイがはつげんちょうせいを持つのはイーブイの間だけ、進化すれば進化先の特性を代わりに得る…とする定説には穴があり、ならば進化しても安定せずすぐに退化することは特性はつげんちょうせいでなくてなんなのか…と言われておる。じゃが、進化先がはつげんちょうせいを持つのではなく、進化してもなおわずかにはイーブイのままであり従ってはつげんちょうせいが残っているとするのが妥当、妾はこの
「優勝イーブイはとりわけ、『進化しつつも、はっきりと進化しきらず、進化先から別の進化先へとはつげんちょうせいを繰り返すこともできた』ってわけね…」
はつげんちょうせいは完全解除の予兆は見えるとはいえ発動時にタイムリミットはわからないし、再発動はすぐできるが特性はつげんちょうせいそのものをイーブイでないと持てないため一瞬でもイーブイに戻る必要がある…これもはつげんちょうせいの弱点である。
例えば氷タイプポケモンを倒すために炎を使ってブースターにはつげんちょうせいするとする。いつまで炎ワザ前提の戦いを続けられるかはわからないし、もし相手の氷タイプが水タイプワザを使ってきたら直接リーフィアやサンダースになることはできず、いつ来るかわからない解除を待ってイーブイとしてはつげんちょうせいを使うまでは弱点ワザに叩かれ続けることになる。
ところがイーブイ試合の優勝イーブイは、「イーブイ成分」的なものを多少残すことによって進化先でのはつげんちょうせいを可能にした。すなわち、ブースターになっている間に水ワザをくらったら、その水ワザで即座にシャワーズになれたのである。そして進化先でのはつげんちょうせいを繰り返し続ければ弱いイーブイになる隙は生まれない。ある程度は弱点狙いかつ隙狙いであろうイーブイ試合においてこれがアドバンテージなのは言うまでもなかった。
「そのために、あえて、進化を明瞭にしすぎないで、
「これも難しそうですわね…」
ー*ー
「イーブイ、ちょっとだけイーブイのまま、サンダースになれますかしら?」
…なに言ってるのこのひと?と言わんばかりに、イーブイは首をひねる。
蒼玻も首をひねってみながら、一生懸命こすった下敷きをイーブイに押し当てた。
ビリビリ…イーブイの毛が逆立つ。イーブイが足に力を込める…別に何も起こらない。
「うーん、もう一回。」
ゴシゴシゴシ。ゴム手袋で電気を逃げなくした手で下敷きを掴み、ウールーの背に擦り付ける。
「これくらいかしら。イーブイ、はつげんちょうせい。」
静電気がこもるのは心地よくなかったのか、ウールーが
今度こそ、下敷きを押し付けられて逆立った毛が輝き出し、サンダースへの進化を遂げる。
「イーブイ、ここから進化できますかしら…?」
チャッカマンを取り出し、ボウと火を出す。
…普通にチリチリとサンダースの毛が焦げた。サンダースが首を振る。
「ではランプラー、ちょっとイーブイに炎を…」
火があらわだったヒトモシのころと同じにしないでくれ…ランプラーは思い、おにびを腕に灯してそっとサンダースにぶつけた。
…サンダースは悶えた。あわてて蒼玻がきずぐすりを吹きかける。
「難しいですわね…」
クリムガンが、そりゃそうだろと言わんばかりに首を振った。
ー*ー
「3つ目は、もっとずっと古い、ユキコシに人里ができ始めたころの記録じゃ。
『カハリヤツカゲ』そう呼ばれし獣がおった。」
「『カハリヤツカゲ』?」
「なんですのそれ?」
「『曰く、ユキコシと呼ばれし蛮地、知られぬ獣あり。その獣はいとらうたげなる風貌をして肉は美味、眠りたる間に狩ること
「8つの影を帯びる…外来のイーブイが血を薄め、人が守って野生が弱まる前の、極めて原種のユキコシイーブイには、複数の進化先に同時に進化する能力があった…ってこと?いやいやそんないくらなんでもありえないよハルちゃん。」
「自分ではない別種のポケモンの力をまとう方法ならすでによりしろさまのカケラによる専用BREAKワザがある。第一BREAKワザ自体、『空間にオーラとして蓄積した、かつて行き抜いた強者の力を借り、一時的に強者になる』ものじゃろ。
力場が関係するかは知らぬが、イーブイが進化先の力を持てる…それも進化として実体化するほどではない微妙な進化を8つ重ねることができる可能性、無視はできまい。」
「…ナインエボルブースト、ですわね。」
アローラ地方に伝わるイーブイのZワザ、ナインエボルブースト。あれもまた、イーブイが進化先8種の力をまとい能力が上昇する。力を授かるのではなくはつげんちょうせいによって自分のうちから呼び覚ますことになるが、道筋と結果は細い
「…だから、意思による錯覚での進化と、あえての不明瞭な進化、その2つを重ねることで、環境要因としては両立してない8つの進化を同時に薄く達成する、それを提案したわけじゃ。」
「…でもお姉ちゃん、ハルちゃん、無理だよそんなの!
『研ぎ澄ました意思だけでリアルに錯覚する』『錯覚で進化する』『進化のイメージを不明瞭にして進化度合いを不完全にする』このすべてを両立して『進化前ポケモンが8つの進化先に同時に少しだけ進化することで結果的に進化先の力すべてを身にまとう』なんて!
やろうとしていることすべてが困難なのに過程全部が矛盾してる!」
トキトビという離島がユキコシ在来イーブイの力をある程度混血から守っていたにしろ、無理なものは無理だ。
「無理強いはせん。1つ実践するだけでも強くなれるじゃろうから特化するのもありじゃ。
…じゃが、2つの奥義をあわせて、百鬼夜行と謳われしカハリヤツカゲの境地を得れば、伝説にも迫ろうぞ。」
「矛盾?なぜできないと?コンフリーもやったんだぞ。」
アオバではない、蒼玻の、その言葉を聞き、カグヤは両手を広げ降参の意を示した。
「…暖かい間になるべく進みたいし、道中意識する程度にしてね。旅の足は止めないからね!」
ー*ー
「ヌシさま、すみません、ヌシさまの御子様を、お預りしても良いでしょうか?」
クリムガンはコクコクと頷いた。そして大きな手を蒼玻に差し出す。
「ええ、貴女の願う通り、彼を幸せにしますわ。きっと後悔はさせませんわ。」
蒼玻が爪の先を握る。そして、子どものクリムガンが、大きなぬしクリムガンに抱きつく。
3人は、しばらく離れることがなかった。
ー*ー
「城中の文書、あれほど見せて良かったのでござろうか?」
「ツグツラ、細かいことを気にしとらんで養生せい。それに妾らはお二人に救われた身であろうが。」
「しかし、はつげんちょうせいの奥義は隠されてきたものですぞ…」
「…おいカゲミツ、はじめて聞いたぞそれ。」
「もうおみやでもヌレバの伝統爺とウスベニの妖怪しか語り継いでおるまいよ、とっくに終わった話なのだからな。ツグツラもっと書を読め。」
「なにおうやるか!?」「2人とも、黙って寝ておれ。
あれじゃろ?完全な進化ではなく中途半端に能力としてまとうとバトンタッチ系のワザを介して強力すぎるBREAKワザが使えてしまうし、意思による自在な進化の切り替えをフルスペック状態でやられるとただのイーブイが多彩な災害を起こし得るからこそ、不安定すぎるはつげんちょうせいの低減と失伝が計られていた…とかいう…」
「まゆつばでござるな。最初に外からイーブイを持ち込んだ頃にはカハリヤツカゲを抑えるつもりがあったのやもしれぬが、自在に進化するイーブイ一体でなくともポケモンの軍団をボールに隠しえるのでござるから。」
「能力が乏しく使い勝手に乏しいからこそ今では在来イーブイは虐待の対象となっておる、聞けばあのイーブイも捨てられていたそうじゃし。
第一、進化先の能力をまとって他のポケモンへのバトンタッチはアローラでのナインエボルブーストの運用で、自在な進化の切り替えとそれによる攻撃はカントーロケット団のブースター・シャワーズ・サンダース進化&退化チップで実現されておる。秘匿したって今更じゃろ。」
たかがイーブイよりもよっぽど
「任せたぞ、アオバ、カグヤ…いや、フロックス姉妹…」
「お気づきであられたかハル様…」
(…いや、フロックス姉妹でもない…任せたぞカグヤ・フロックス、そして、
「人を見抜く力。ツグミツから受け継いだもの、じゃよ。」
ー*-
「時にコンフリー、進捗はいかがかな?貸したフラージェスを逸失した報告を受けているよ。」
「ええ、順調ですよクワズさん。アレは実験が失敗したから捨てたんじゃない、もうあの個体でやることはないから捨てただけです。状況は3段階目に移行しましたから。
そもそも予定としてはBREAK
「1つ目が、とにかくオーラ濃度を大規模に揺るがすことによる力場の不安定化、ひいては反転暴走。
2つ目が、オーラを小規模で精密に制御することによる、力場の加護と不安定力場の恩恵の両立。」
「大変でしたよ。アオバくんにも言いましたがね、鍋料理とアイスクリームで絶品パフェを作るような矛盾したシステムですからね。」
「それはコンフリー、お前が安定力場と不安定力場両方の最大効率を追い求めたからではないのか?」
「だって鍋もアイスも美味しいですよ。抹茶とアイスで抹茶パフェができるんですから、もっとおいしくしたってかまわない。確率が0でなければ、そこに解はあるんですよ。
それで3つ目です。次は簡単だ。今度は
「神話の再現、か。」
「ええ。
かつて心を司る3体は、心の力、他者への敬意といたわりの力が活きる大地となるように、加護…BREAK力場をこの地に作り、その時この地方で生き残っていたポケモンの子孫が進化を、生き返らされた、あるいは後からやってきたポケモンがワザを使えるようにしました。
オーラ濃度を完全なる0…小数点以下10桁でも20桁でもないまったくの0とし、そこから急激に上げることで、俺たちは神話を再現できる。」
「同時に、誰も見たことのないオーラ濃度0の世界…それは三神によって祝福が授けられる前、『壊れた神』が創り直した壊れたユキコシ地方の再現となる…」
「ええ。
クワズさんの計画どおり、ついに
濃度コンマ以下23桁、今回のナノハナキャッスルでの実験で、フラージェスBROKENが発散する粒子の計算値です。」
「映像で見たぞ。ドス黒いまでの粒子…確かに、聞いた通り、『破壊されたユキコシに降り注ぐ漆黒の雪』のようだった。
それに、粒子によってマハリハグルマが異常を示すのもな。」
「濃度0を再現すれば、古代人のプログラミングで与えた役目どおり、
クワズさんの理論は上の上だったわけです。」
「歯車と神の力で世界を
新たな時代の夜明けは近いぞ...!」
次話で能登エリアおしまいです!トキトビ(=佐渡)編と同じように案内入れようかな…と思いつつ佐渡は去年行ったけど能登は大学受験前にしか行ってなくてさすがに記憶が古いのと、トキトビと違って使える形式がwiki形式くらいしか思い当たらない(開き直って設定資料形式もありではあるが…)
それと書き溜めがある範囲もおしまいになります、実験室にこもりっぱなしだからね、仕方ないね…