お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
ユキコシメガアブソルの仕様はこんな感じです。
-メガアブソルの 滅びのカウントが 0になった!
ーメガアブソルの だいろっかんが 滅びを感知した!
-メガアブソルは 滅びを まぬがれた!
ーメガアブソルは ロックオン状態に なった!
-メガアブソルの ディザスターウイング!
-厄禍が 迂転する!
-メガアブソルは こうげきを 避けた!
-ディザスターウイングの こうげきりょくが ぐーんと上がった!
(なおこれでもナーフしている、元ネタのメガアブソルEXの「ディザスターウイング」は「相手の山札を一枚トラッシュしてそれがトレーナーズならダメージ倍」なのでそのまま再現すると「攻撃の余波が人か私物に当たったらダメージ倍」という迷惑ワザになってしまう…)
ー*-
「ランプラー、アブソルを良く視るのですわ。」
蒼玻は、信じている。ポケモンというファンタジーの力を。ポケモンというゲームキャラの力を。
それは、この世界がもうひとつの現実だからといって、少しも揺らぐ力ではない...
ランプラーの青い炎がゆらゆら揺れた。
メガアブソルの額、太極図の毛が、わずかに震える。
「アブソル、ふいうち」
カクミガシの指示が飛ぶ。メガアブソルはぎこちなく動き出し、身体をゆっくりと滑らせてランプラーへ襲い掛かった。
ランプラーはといえば、すいと避けつつも炎で相変わらずメガアブソル、いやメガアブソルの瞳の向こうの魂を視つめている。
「キミ、本当に研究者に向いてるよ…」
「戦いに大事なのは精神を揺さぶりつつ必勝法を立ててその実行手段を確保すること、そう大切な方から教わりましたの。」
カグヤが「お姉ちゃん...」とつぶやいた。
メガアブソルは、とうとう完全に硬直するーランプラーは魂を求めてさまよい、魂を吸い取る不吉なポケモンであり、この上ない「災厄」だ。その実力は、トキトビで昏倒し失われたアオバの意識を呼び覚ますくらいには強力でもある…その「魂に働きかける力」は、メガアブソルにとって明らかな脅威であり、迫る災厄になるー「だいろっかん」が、魂を狙われているという災厄に対して発動し、メガアブソルの身体をそれ以外のことに集中できなくしてしまうのだ。
「ならばこうしよう。ディザスターウイング」
再び、額の太極図が迫る災厄を捻じ曲げる。
「無駄ですわよ。だって本当に魂に危害を加えるつもり...は...」
確かにそれほど大きくはないが、あまりにも不吉で禍々しい黒翼を背負い、メガアブソルが打って変わって飛び掛かった。
「いや、『どうせ回避できる』『実際には訪れさせるつもりはない』災厄なら発動しないワザじゃ、ないから。
未来は未定なんだよ。」
ーその厄禍は迂転するー
幻影の黒翼が、ランプラーを至近から襲う。メガアブソルを見つめていたランプラーに、避ける余裕はない。
「ッ、いたみわけ!」
ランプラーが地面に叩きつけられたその直後、闇がランプラーとメガアブソルを包み、メガアブソルががくっと膝をつく。
「猶予を与えるなっ!そのまま第二撃!」「いけない!のろいですわっ!」
一回り大きな幻影を纏う黒翼が、ランプラーに迫る。例え災厄の力を借りていなくても、
だがそれでも、倒れる直前、確かにランプラーは己の役割を果たして見せた。
メガアブソルの背に杭が打ち込まれ、ランプラーはボールに回収される。
「…いつもいつもこんな役回りで申し訳ないですわ。
それでは、最後の最後、決めますわよ。」
「ははっ、『のろい』か。これはちょうどいい、『災厄』だね。」
リベンジ、いたみわけ、のろい...メガアブソルの体力は既にかなり削られていて、のろいのダメージがもう一度来れば耐えられそうにはない。そもそもゲーム的に言うならば「いたみわけ」はお互いの体力を足して等分するワザ、体力が半分持っていかれる「のろい」でランプラーが沈んだ以上、メガアブソルの残り体力も半分以下であり、どう頑張っても回復ワザを持たない以上は2度ののろいダメージに耐えきる術がない。
(「災厄の回避」で次ののろいダメージを回避されるリスクはあるけど...!
大学教員として、研究者としての矜持を持つ博士が「未来に於いて災厄をもたらすワザ」、「災厄が訪れる前兆があるワザ」が対象と言明したからには、状態異常は対象にしていないはず...!それに賭ける!)
(集中させれば「のろいの回避」はできなくはないかもしれないし発動するかどうかまだ未解明ではある…けれど回避できないなら耐えられないし回避できたとしても彼女の真打が「だいろっかん」強制発動中の隙を見逃すとは思えない...のろいダメージが来る前に決着を付ける!)
お互いの思惑が交錯する中、最後の戦いが、始まった。
「さあ今度こそ、今度こそ成功させますわよ…
『はつげんちょうせい』、イーブイッ!」
ー*-
「さあ、一撃で決めようか」
「そうですわね。」
「…とでもいうと思ったかいお嬢様。
実験の前提条件はちゃんと整理しないとね!」
閃光がイーブイの直上に瞬き、虚空から衝撃がイーブイを殴りつけた。
「みらいよち!それ『も』待ってましたわっ!」
(本当はランプラーで抑えて炎ワザでいたぶりつつブースターへはつげんちょうせいする火種を用意したかったけど、こうなりゃ仕方ない...!いちかばちかだ...!)
未来予知という神秘、エスパーの力が、ダメージと引き換えにイーブイの五感を震わせる。
五感が感じ取った不確かな実感を、イーブイの意思が確かな実感へと変えていく。
それでも、完全な進化をすることはない。有り余る力をものにしても自分の在り方を見失わぬよう、しっかり地面を踏みしめる。
ニンフィアが、ブラッキーが、グレイシアが、エーフィーが、重なりダブる虚像となってイーブイの身を包んだ。
「おおっ!?これは初見だ!学生諸君ちゃんと記録しているな!?はつげんちょうせいにこんな使い方があったとは!これは実体として進化せずに進化によって得る力だけを先行して得ているのか!?興味深い!体重は?タイプは?特性は?ワザ範囲は!?」
早口でまくしたてるカクミガシにややドン引きしながらも、蒼玻はイーブイに蒼い瞳を向けた。
つぶらな黒目が、蒼玻を見つめる。
「行きますわよイーブイ...」
「おっと、興奮している場合ではなかったね。」
(コイツ急に賢者タイムになるなよ…)
ー
「おんがえしBREAKッ!」
「ディザスターウイング!」
イーブイに、空間に蓄積した強者のオーラが金色の粒として収束する。
メガアブソルの太極図に、目には見えない災厄のパワーが収束する。
イーブイとその背後の虚像ニンフィア、ブラッキー、グレイシア、エーフィーが、金色のオーラを纏う。
メガアブソルの黒い翼が、「次に受ければ倒されるゴーストタイプののろい」というこの上ない災厄によって、禍々しい気配を帯びる羽ばたきの風圧だけで観客たちを後ずさりさせるほど巨大化する。その姿はまるで大きな鳥ポケモンのようだ。
「やっておしまいッ!」「実験は終わりだねッ!」
ー*-
-本当に、ただの「おんがえし」でいいのかな?
-こんな自分を拾って、信じて、そして大切にしてくれるひとが、「おんがえし」が一番いいと
-満足に進化もできない自分に、よくわからない古い言い伝えを引っ張り出してこんな
-自分も、蒼玻のために、大切なひとのために、精いっぱいの力をささげたいな。
ー
ー*-
ニンフィアが
ーその厄禍は迂転するー
メガアブソルの巨大な黒翼が宙を薙ぎ、次の瞬間災厄をも力とした幻影の黒翼がイーブイの両側から迫る。
大きく開かれた翼、その胸元へと4つの光が突っ込んでいく。
爆炎がメガアブソルとイーブイを包み込む。
蒼玻とカクミガシだけが、身じろぎもせず、煙の向こうを見通そうと見つめている。
((まだ、終わりじゃない))
ー灰色の煙の中から、金色の閃光と化した
2体が、もんどりうって地面に墜落する。
「…これは、両者戦闘不能、ですわね。ゆっくりお休みくださいませ。」
「すぐに医務室に連れていくとしよう。案内は必要かな?
ああ学生諸君、カメラのビデオを見せてくれ。私の推測が正しければ...」
「博士、アブソルは直撃時点でメガシンカ解除、イーブイは落下中に力尽きてます。」
カクミガシは、いっそ誇らしそうにうなずいた。
「うむ...おめでとう。キミの勝ちだよアオバくん。講評はビデオを見てから送らせてもらおう。
何か、コメントはあるかな?」
「そうですわね…」
「…いまさらになって、偉そうなことを言うのが怖くなった、などと思わないでくれたまえ。最後まで忌憚のないことを言ってくれる方が、通りすがりの旅人として風情があるんじゃないかい?」
「わかりましたわ。それでは...
...雑学、迷信、民俗学...それも悪くないものでしてよ。
たまには外の世界を見て新しい視点を取り入れてみるのもいいのではなくって?なにしろ深窓の令嬢でも旅をして、見たことのないポケモンやワザ、世界を知る御時世ですわ。
これで、どうかしら?」
「うん、いいね、合格だ。」