お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
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「アオバさん、西鉄には連絡が取れました。腕利きのトレーナー車掌をサンゴジュ駅で乗せ、装甲列車を並走させるので、安心してワカナエシティに向かってほしいそうです。」
「ありがとうですわ。ササユリさん。」
「いいえ。私にできることがあれば、なんでもおっしゃってください。」
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その動画は、突如としてネット上で生放送を開始し、アーカイブや切り抜きともども、デボン系の企業垢やタマムシジムリーダーのエリカ氏、ホウエンリーグ関係者によって瞬く間に拡散された。
「こんにちは。
みなさん、大変な中お聞きいただき、ありがとうですわ。
今回は、フロックス氏族氏上兼フロックス家家長、フロックス・ホールディンクス次期会長、アオバ・フロックスから、いくつかみなさんにお伝えしたいことがあります。」
:うわ美少女
:えっ…アオバ様、ののしってください。
「下賤なことを言うとコメ欄BANしますわよ。」
:すんませんした
:ゆるちて
「はあ...」
:憂え気な表情助かる
:今夜のオカズは殿上人
「アスピリン飲みたい…
...場も温まって緊張もほぐれましたので、本題に入らせていただきますわ。
まず最初に、現在大混乱中のワカナエシティのみなさんに、わたくしからひと言、言わなければなりません。すべてわたくしの不徳と力不足の致すところですわ。死傷者多数との報はすでに入っております。お見舞い申し上げますわ。わたくしも現在向かっていますのでしばしの辛抱をお願いしてしまいますが、御承知おきくださいませ。」
:アッアッ、そんなそんな
:ワイワカナエ民、避難所でばあちゃんと動画見てる ばあちゃんが感動で泣いてるんだけどどうしてくれるの?
:向かってる?え、フロックスセンタービルに不在なの???
:そういえばこの動画、部屋じゃないよな?生放送っぽいけど
:これ西列島鉄道ユキコシ本線じゃん、今はサンゴジュに向かってる感じか。トク0号とか鉄道雑誌でしか見たことねぇわ。
:トク2号とかならチャンピオン来たりフロックス家の方がカントー行くときにワカナエで見れるんだけどね。
「…えっと、『鉄オタ大興奮で草』とか言えばいいんですかしら?車庫に眠っていたものを引っ張り出していただいたのに思ったより大好評で何よりですわ。」
:草ってなんだよ、そういう時はヤドリギって言うんだよ
:お嬢ちゃんネットははじめてか?肩の力抜けよ
:ネットスラングニワカお嬢様たすかる
「…
...そうですわ。わたくしは今、ウスベニシティからワカナエシティへ向かう特別列車に乗っておりますわ。」
:流したwww
:あれ?妹は?シスコンってどっかのインタビューで言われてたけど...
「そうですの。本題はそれですの。コメントありがとうございますわ。
妹は...カグヤは現在、誘拐されておりますの...フロックス・ホールディンクスに。」
:は?
:は?
:は?
:は?
:は?
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@0dtdgfa
フロックス令嬢の生放送マジ!?
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@vrttyj
マジ ...マジ。
@qyjndrrd2234
フロックス令嬢、眼福すぎる。写真で見てキレイだと思ってたけど、あの写真もしかして不細工に加工してる?
@peropero
少女から大人になる多感な時期の美しさですねぇペロペロ。出回ってる写真は若干古いですから。
@qyjndrrd2234
フロックス令嬢、眼福すぎる。写真で見てキレイだと思ってたけど、あの写真もしかして不細工に加工してる?
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@qyjndrrd2234
お前キッショ。
@kaguyafanNo151
カグヤ様は?カグヤ様は!?おみや巡り以来の公式からの供給ないの!?
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@asgbt454
妹君、さらわれたって言ってるけど...
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@kaguyafanNo151
ア”?
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@asgbt454
ヒエッ厄介ファンコワイ...
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このあたりのこと、実は手帳とかカグヤから聞いたことでしか知らないんだよな...サバサバと語ってて「親の仇!」って感じじゃないからついつい印象が薄く...
「わたくしとカグヤは、もともと、ワカナエを飛び出して旅をしておりましたの。
それというのも、父、母、祖父の急死に不審な点があり、またカグヤが、このままでは副会長らフロックス本社幹部陣の傀儡となってしまうかもしれないと思ったから、ですわ。」
:フロックス家連続急死=闇深副会長陰謀説、ジョークじゃなくてマジなの!?!?
:えっ経営陣ギルティじゃん
:フ、フロックスの株価が下がり始めてる...こっわ
「ゴフク屋に襲われたりホープ団やラスト団と戦ったりもしつつ、おみや巡りで自分を鍛えていたのですが、
:あの「博物館の騒動動画にどこかの令嬢が映ってる」ってやつ、フロックスだったんだ...
:ホープ団と!?もしかしてナノハナタウンに来られました!?
「ナノハナはいいところでしたわね。城主のハル姫にもお世話になりましたわ。
話を戻しますわ。コメントも増えてきて追いきれませんもの。
カグヤをさらったゴフク屋は、ワカナエシティへ向かうと言っていましたわ。それにわたくしたち姉妹の身柄を利用したい者がいるとすればそれは副会長。ですからわたくしは本社へと赴き、副会長を締め上げることにしましたの。」
:おともします!
:トレーナーとして実力どうなの?さすがに誰か邪魔するんじゃ...しかも放送してるし…
:ってか今フロックス本社ビルって絶賛戦場中だよな?
「それはもちろん、全部突破しますわ。ちょうどいい助っ人もおりますし、ね。」
俺は、そっと隣に手を振った。
:えっなに
:か、彼氏?
:の、脳が破壊される...
「いや、わたくし彼氏もフィアンセもおりませんわよ。」
...だいたい中身男だし…
「やあ。よろしく。放送にお邪魔しているよ。ホウエンチャンピオンの、ダイゴさ。」
:ダイゴさん!?
:大誤算!?
:石マニアのダイゴ!石マニアのダイゴじゃないか!翡翠と化石と金鉱石はもうお土産に買ったのかい!?
「ははは...
ボクが一番強いからと、頼られたんだ。フロックスセンタービルまで、ボクが同行するよ。」
:もしかして、ムクゲ社長が戒厳令に抗議してたのって
「もちろん、ポケモントレーナーとして、無制限対空砲火兵器なんてものを使ってほしくはないという思いはあるよ。いくらポケモンが暴走してこのままでは人間が危ないとはいえ、落としどころを見つけたい思いもね。
ただ...
...ここから先は、アオバちゃんに、言ってもらった方がいいかな。」
「結論から言わせてもらいますわ。
今、戒厳令によってワカナエの大乱に対処しようとしているフロックス本社は、フロックス家とは関係がありませんわ。それどころかフロックスを簒奪した敵なのです。
...もちろん彼らにも良心ある者は多く、また現在行われている救援物資の市中輸送や熟練トレーナー派遣などの施策は大変的を射ておりますわ。しかし、それでも今のフロックス本社と副会長は誘拐犯であり逆賊、そしてその指示に一片の野心もないとはとても言い切れないのが実情ですわ。
身内の恥ではありますけれど、わたくしの力が及ばないばっかりに事態を混迷させてしまっておりますけれど、どうかみなさん、フロックス本社を信用しきらないでくださいませ。」
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...
フロックスグループのネット部門ってこんなに弱いのか?荒らしやbotや、もっと言えば動画削除もありえると思ってたんだけど...
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「すごい動画が出てきましたね…」
「アルソミトラ、もしかしてこれもお前の謀かァ?」
「いいえ、何もかも予想外でした...しかし仇敵フロックスの内情はかくもガタガタとは...
...チャンスですね。」
「攻め込むの?」
「いいえ...とは言い切れません。
本侵攻にはまだまだですが、ユキコシ地方をもう少しガタガタにしておいたほうが、私たちホープ団にとって望ましい結果になるでしょう。
各おみやを荒らしてみましょうか。ハッカはウスベニ、サンゴジュ、コンジキを、ウキクサはキンレン、ヌレバ、グンジョウポートをお願いします。
別に占領や略奪は不要です。ただ、おみやのぐうじを刺激してワカナエ救援に駆け付けられないようにすれば、都市間の不和を煽ればよいので、騒動を長く引き伸ばしてください。」
「わかったよ。」
「ダルいこったァ。お前はどうするんだアルソミトラ。」
「私は少しサイバー空間に潜ります。フロックス本社も荒らしてみましょうか。このままではすぐに動画削除されてしまいますのでね。」
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「おいあの動画対処したか?」
「いやまだだ。」
「上層部はフェイクだからさっさと削除させろって言ってるぞ。まあ信じそうになるのもわかるが長いものには巻かれとけ。」
「うーん、でも消そうとするとパソコンが重くなるんだよ。これって天命ってやつじゃねえの?それになんか俺の心が、消しちゃダメだって言ってるんだよな。」
「そうかよ。まああれだ、さっきから急にサイバー攻撃受けてるし、忙殺されて暇がないってことにしとこうぜ。」
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:ワカナエ市役所の者です。フロックス本社は簒奪者なので信頼するな、頼りすぎるなとのことですが、現実問題として現在ワカナエ島をまとめられる勢力はフロックス本社しかいません。
広域避難もディメンションウォールとステラーシステムを持つフロックス本社を念頭に計画されています。
どうすればよいか、フロックスとして考えはありますでしょうか?
...俺はアオバちゃんじゃない。責任も負えないし戒厳指揮権なんてもってのほかだ。だけど、だから、俺の心を言うべきなんだろう。
「…フロックス家としてはともかく、
この有事、みなさんは、みなさん自身を信じるべきなのです。みなさん自身の中に眠っている誇り高い心、誰かの力になりたいという心があるのでしたら、そういった心の底から沸き上がってくる善を、縁の下でも上でもどこでもいいから活かし、後は手と手を取り合うだけでどんな困難も超えられる...その一助となればと、わたくしも参戦するつもりですわ。」
...ワカナエは助ける、カグヤも救う、副会長とラスト団は殴る、できるかどうかじゃない、俺だって、やるしかないんだ...!
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ホープ団の各都市一斉侵攻は、ワカナエ大乱ほど危機的な状況ではなかったため国際的にはさほど注目されなかったが、ユキコシ地方内ではそこそこの騒動を引き起こした。
「やれやれ...マニュアルどおり、ワカナエ行きジェットフォイルを手配したんですがね…サーフゴー!」「よそ見してる場合かァ?オムスター、行け!」
「ひょっひょっひょ、カメックスの功より年の功とはうそっぱちじゃのぅ。サジンノリュウ、気張っていかねばならんな。」
「まったく、このカクミガシを大学の外へ足労させるだなんて。これも厄禍に数えられたりしないかね?さぁホープ団、実験台にしてやるから光栄に思いたまえよ?ユキコシ本草学の礎になるんだ!」
「この怨念渦巻くウスベニおみやに攻めてくるなんて...ゆるされない...ゆるされないよ…!」
「俺たちには力がある、責任がある、務めがある…!グンジョウ発電所にはコラッタ一匹入れさせねえ...!」
「あたしらホープ団陸軍を前にして一人とは、舐められたもんだね?サンゴジュおみや。」「うう、人いっぱいいる...でも、怖くない...だって私はだいぐうじ...!うぅ...」
人数としてみれば多くて数十人、大したことはない。けれど精鉱場や鳴き砂浜、駅前や霊場や発電所...要地に現れ、ゲリラ戦のノウハウで戦うホープ団に、とてもぐうじたちはワカナエへの出立などできそうになかった。
-ワカナエシティは孤立無援で、ワカナエ島はもっと孤立無援。そんな投稿が、SNSでは拡散されていた。暴走ポケモンとラスト団の二重苦で炎上し、制空権だけでも取り戻せるビーム兵器ステラーシステムの使用にも足踏み、頼みのフロックス・ホールディンクスすら信頼していいかわからなくなり、ワカナエシティは重苦しい雰囲気に包まれていた。
ひとり、それを吹き飛ばす者がいた。
「はっはっは!やってきたぜワカナエ駅!見えるぜワカナエ大橋!聞こえるぜラスト団!
このワカナエおみやぐうじオリザと、熱い情熱とたぎる勇気と迸る気合が、道を切り開いてやるぜ!」
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「着信非通知?誰かしら...」
「…アオバの嬢ちゃんの連絡先で、あっているのですかな?」
「…誰ですの?」
「そうですな。ここはひとつ、ノーネームとでも名乗らせてもらいましょうですかな。」
「怪しい電話ですわね。あいにくわたくし、不審電話に付き合っている暇は」
「ラスト団のボスとたくらみ、知りたくはないですかな。」
「!?知っているのですわね!?」
「自分の名前もないノーネームの分際で人の名前など告げられないのですな。
したっぱも奴の名前は知らない、ですが幹部、そうですな、コンフリーなど、知っていましょうな。『ボスの名を言え』で一発、勝利さえすれば尋問も要らないのですな。
その結果が驚くような答えでも良ければ、の話にはなりますがな。」
「…わかりましたわ。
それで、貴方はいったい...って切れた...」
・フロックス副会長のカグヤ誘拐
・ワカナエ大乱(ラスト団のワカナエ島封鎖)(反転暴走)
・戒厳令騒動
・フロックス副会長の陰謀
・ホープ団各都市一斉襲撃
ダイゴ「やることが...やることが多い...!」
次回予告
蒼玻、ダイゴ、オリザ、フロックス家、ラスト団、ゴフク屋...すべての役者が集う、騒動の中心地ワカナエシティ。
「ふむ...では推測で代替するとしようか。」
「ラスト団、俺の気合を止めるには根性が足りねぇな!」
「果蜜の大蛇ってだけじゃねえ。神が連なりし大蛇だ。こいつの情熱、ちぃとばかり効くぜ?」
「この壊れた地方に満ちるオーラ。我々ラスト団は破壊と祝福を統べ新たなステージへと進むためにここにいる…!」
次回「#34 カミツラオロチ」