お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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学会準備がヤバなので更新遅延します。


#34 カミツラオロチ

ー*ー

 

 「時にお転婆次女...

 

 ...なぜ、盟約は途絶えたのかな?」

 

 「カスオヤジに言うわけないでしょ。」

 

 「ふむ...では推測で代替するとしようか。

 

 アオバ嬢は今も活動してあまつさえ呼び掛けている、ディアンシーとともにいたとの報告をゴフク屋から受けている…つまり、アオバ嬢に問題があったわけではなく盟約は結び直された。

 

 ディアンシーに問題があったのでもアオバ嬢の行状が問題だったわけでもないとすれば、問題はアオバ嬢の魂...

 

 ...魂の代替、とか。」

 

 「…」

 

 「何を驚くことがある?

 

 魂が別物に変わってしまったという昔話、珍しくはないだろう。『クスネ憑き』などという伝承もあったはずだ。まあ人ならぬものに変わってしまったのか取り付かれたのか知らんがね。

 

 メガシンカの絆には魂、心の結びつきが必要だ。心根的に資格を失ったのでなければ魂そのものがなくなって資格を失ったとしか思えないだろう?怪我で魂が変質したのかな?」

 

ー*-

 

 定刻通りーダイヤ上にない特別列車であるため定刻というべきか怪しいがー西列島鉄道トク系0号グンジョウ車輌基地発ワカナエ駅行きは、1両の装甲列車を並走させ、朝から走り通しで昼のワカナエ駅に到着した。

 

 たった数時間にして倒壊と火災が相次ぎ煙を全体的にたなびかせるワカナエ島が、駅ビル越しにうっすらと見える。

 

 「マラカッチ来るぞっ!ミサイルばりに気を付けろっ!」

 

 「ドサイドン突っ込んできますっ!」「ロズレイド、ソーラービーム!これ以上進ませるな!」

 

 「オノノクス、押し通れっ!」

 

 「オオスバメ、10時の方向!」「ヤドラン、やるわよ、メガシンカ!」

 

 駅前広場はすでに戦場となっている。ラスト団が孤立させているワカナエ島から近い上に反転暴走発生範囲の南端でもあるワカナエ駅には、ワカナエ島に続く大通りから暴走ポケモンが押し寄せているのだ。

 

 いざとなれば細長い駅舎を防壁とできるが、それは最後の手段と皆わかっていた。ここを最終防衛ラインとする覚悟で、死に物狂いで、大通りを向かってくる暴走ポケモン達を迎え撃つ。

 

 駅南のバスターミナルにはバスはすでにおらず、ライドポケモンが集まり市中から薬品やどうぐを運んできていた。

 

 そんなさなか、通過全線が折り返し運転を行っているはずのワカナエ駅ホームにシックな車両が滑り込んできた時、誰からともなく歓声が上がった。

 

 「来たぞ!アオバ嬢とダイゴさんだ!」「勝つる!これで勝つる!」「押し返せるぞっ!」

 

 ホームに降り立った蒼玻とダイゴが手を振る。そして、ボールを構える。

 

 -首の後ろがひりつくような不快な予感に、蒼玻はとっさに身をよじらせた。

 

 -ネンドールの テレポート!

 

 蒼玻の真後ろに、壺のようなポケモンが突如として出現する。身体からかすかに舞い降る金色の粒子は、ネンドールのBREAKオーラ異常...暴走を示していた。

 

 ネンドールの身体が、明らかに膨張する。

 

 (だいばくはつ...!?間に合わない...ッ!せめてポケモンたちは...ッ!)

 

 蒼玻がボールをバッグに突っ込む。ダイゴの声が遠くに聞こえる。

 

 「間に合えェェ!」

 

 誰かの叫声ー爆発は来ない。

 

 「あ、あれ...?」

 

 じめじめと水気をネンドールにまとわりつかせ、キングドラがその上に直立していた。

 

 「『しめりけ』、間に合ったみてェだな。」

 

 「グラエナ、かみくだいてしまいなさァい!」

 

 ネンドールが、突き飛ばされるようにしてグラエナに連れ去られていく。

 

 蒼玻は、キングドラとグラエナを差し向けた下手人を探した。

 

 「…アクア団にマグマ団?なんのつもりだ。」

 

 発見は、ダイゴの方が早かった。そして下手人の服装は、ホウエンチャンピオンにとってあまりに因縁深かった。

 

 「そりゃ俺たちもおてんとさまに顔向けできねェ悪党だがよォ」「街で生きていることに変わりはないんですよ。」

 

 よく見れば、ロケット団どころか、フレア団の制服までも見つかる。

 

 「…貴方方にも、貴方方の良心があるのですわね。」

 

 「任侠、ってヌスビトのアニキが言ってましたぜ。」「流れてきてこの街で生きることになったのですから、街は守らないと。」

 

 蒼玻はもう一度周りを見回した。

 

 おのおのの組織の制服を着たゴフク屋がちらほらいるだけではない。市民がー学生が、主婦が、サラリーマンが、老人が、バリケードを築き、ボールを持ち、薬を運び、戦っている。誰もかれも皆、疲れてはいるが、決して絶望などしていない。

 

 「ダイゴさん、ここは大丈夫そうですわ。

 

 先を急ぎますわよ!」

 

ー*-

 

 「コンフリー、そろそろ頃合いではないのかね?」

 

 通信機の向こうに、青年は返答する。

 

 「まだまだ、効率が悪すぎる。もう少し期待値を上げたいですね、クワズさん。」

 

 「…ふむ、それはいつだ?」

 

 「俺の読みなら、あと...

 

 ...おっと。」

 

 轟音、そして、青年の手が通信機ごと吹き飛んだ。

 

 「…物騒だが上の下だね。人道を無視して期待値最大を取る、嫌いじゃないよ。」

 

 血は流れず、傷口から火花が散るー義手。

 

 「まさかこんなへなっちい攻撃でやられるほど根性ねえとは思わなかったぜラスト団。」

 

 日に焼け真っ黒な肌、薄汚れたワイシャツとズボン一枚...男はその風体どおり、豪快な声で、コンフリーへと話しかけた。

 

 空から、キャモメが突っ込んでくる。

 

 「情熱ゥ!」

 

 男が叫びながらパンチを繰り出したその瞬間、キャモメが弾き飛ばされていった。

 

 「…聞きしに勝る無茶苦茶ぶりだね、ワカナエおみやぐうじ、オリザ。

 

 ...片腕では効率が悪いな。」

 

 ガコッ、コンフリーの腕が肩から外れ、そしていつの間にかもう片方の手に持っていた義手がガコリと嵌められる。

 

 「…お前さんもなかなか無茶苦茶だと思うぜ。まあ情熱は足りてなさそうだけどな。」

 

 「生身の身体が実験のたびに傷つかないように注意するのは効率悪いからね。『歯車は大事にせず使いつぶして入れ替えたほうがいい』、うちのボスの言葉さ。

 

 俺はラスト団ナンバーツー、コンフリー。悪いがキミがこのワカナエ大橋を突破できる確率は、ゼ・ロ・パ・ァ・セ・ン・ト、だ。

 

 アブソル、メガシンカ。」

 

 動作を確認するように、コンフリーが人差し指を振る。同時に、アブソルに白い翼が生えた。

 

 「はん。

 

 ラスト団、俺の気合を止めるには根性が足りねぇな!

 

 さあ情熱燃やし尽くしてやるぜ!バシャーモ、メガシンカ!」

 

ー*-

 

 はっきり言えば、オリザはこの作戦最大の脅威だ。

 

 ワカナエ島を遮断し続け、かつ時が成るのを待たねばならない今、精神論なんていう確率計算不可能な方法で策を正面から突破しかねない無茶苦茶ぐうじは、絶対に止めなければならない。

 

 クワズさんのため、ユキコシのため、ラスト団のため、俺のため。

 

 「アブソル、じゃれつく。」

 

 「熱意を一段上げるぜ、ビルドアップ!」

 

 ...ほのお型ならばやりようもあるが、かくとう型に対しての期待値は高くない。よりしろさまを引きずり出すためには、もうすこし確率を高めておいた方がいいな...したっぱを集めておくか。

 

 「情熱が燃えるぜ!フレアドライブ!」

 

 「ふいうちだ。動きを利用してかわせ。」

 

 ...今のをくらっていれば耐えられなかったな。長くはないか。

 

 「そんな気合の入ってねえ攻撃が、俺たちに効くはずねえだろ?

 

 介錯してやれ、ばかぢから。」

 

 ...防御が下がる!この時を待っていた。

 

 「今だっ!アブソル戻れ!総攻撃っ!」

 

ー*-

 気絶したアブソルがボールに戻るよりも早く、アブソルへその炎拳を振り下ろした体勢でいたメガバシャーモに、色とりどりの攻撃が降り注いだ。

 

 「んなっ!跳べバシャーモっ!そんな気合のねえ攻撃に負けるな!」

 

 十数人の目付きの悪い男女が、向こうに見える大橋やあちらそちらのビルの屋上や窓や裏路地で、ポケモンとともに立っている。卑劣な袋叩きに、オリザは髪の毛を逆立て怒っただが、冷徹なコンフリーには、通じない。

 

 「発破!」

 

 地面が爆発し、脇のビルが崩れ始める。跳ぼうとしていたメガバシャーモは、打ち上げられたところをビルの倒壊に巻き込まれることになった。

 

 砂煙ー無数のコンクリ片が、大通りに散乱する。

 

 しかし、その中でも、瓦礫の山にガサガサと動きがあった。

 

 メガバシャーモの拳が、鉄筋クズを弾き飛ばし、にょきっと飛び出す。

 

 「なんとしぶとい...」

 

 舌打ちをしながら、コンフリーが指をパチンとならすー「じしん、一斉攻撃」

 

 激震が大通りだったところを襲い、バシャーモの手が力なく垂れた。

 

ー*-

 

 「…戻れバシャーモ。

 

 ...ラスト団、こっちが正々堂々サシでメガシンカ勝負したってのに、集団攻撃と小細工たあ根性足りねえなあ。

 

 いいぜ。そっちがその気なら...よりしろさま直々に、根性叩き直してやる。」

 

 オリザが、無造作にボールを取り出すー赤と紫の塗り分けは、そのボールが、高貴な出自のトレーナーか神聖なポケモンにしか使えないノブレスボールであることを示していた。

 

 フロックスのおひざ元、ワカナエでノブレスボールに入る、フロックスの手持ちでないポケモンなど、たった一体。

 

 輝きとともに、巨大なリンゴが、瓦礫を蜜で濡らしながら君臨する。

 

 「来たか、カミツオロチ。」

 

 コンフリーの緊張に満ちた声を聞き、8本の―5本ではないし7本ですらないー龍首が、鎌首をもたげて周囲を睥睨する。

 

 「果蜜の大蛇(カミツオロチ)ってだけじゃねえ。神が連なりし大蛇(カミツラオロチ)だ。こいつの情熱、ちぃとばかり効くぜ?」

 

 ーカミツラオロチの きまぐレーザー!

 

 黄金の色のビームが、瓦礫を、ビルを、路地裏を、通りを、運河を、橋を舐める。

 

 きまぐれな8体の神の怒りは、ラスト団のポケモンやしのびよる暴走ポケモンを次々と一撃でしとめ、終わる気配もない。

 

 だが、熾烈な攻撃で仲間のポケモンが壊滅していく中でも、コンフリーは涼しい顔をしていた。

 

 いや、涼しい顔などしていない。

 

 その表情は...にじみ出る狂気で輝いていた。

 

 「クワズさん...時は満ちたぞ。」

 

ー*-

 

 煙が各所に漂うワカナエ島に、金色の粒子が再び湧きあがる。

 

 輝く金色の粒子に混じり、光を吸い込むかのような漆黒の粒子が雪のようにしんしんと降り始める。

 

ー*-

 

 黒いスジが入った黄金の林檎。

 

 作家や叙述詩家がその場にいたのならば、誰もがそれをこう形容しただろうー「禁断の果実」。

 

 ぎょろり、金色と黒色の粒子を撒き散らし、カミツラオロチの目が四方を睨む。

 

 「…テメエ、よりしろさまに、何をした。」

 

 「…よりしろさま...力場(フィールド)...敬意といたわり...そのすべてが、自省とともにある効率の悪い偽りだ。

 

 活性化した濃密な力場が、疎密波がもたらすオーラの希薄化が、この地方の真の姿を暴き出す...!」

 

ー*-

 

 ウォーターフロント地区に立ち並ぶ商店街、住宅地、ビル群...まさに戦場であるそこで、異変が起きていた。

 

 「死ねっ!」「お、お前、どうして…」

 

 「ハッサム、かわらわり!...は!?加減しろバカ!」

 

 黒い粒子がどこからか満ちては消え、入れ替わりに金色の粒子が満ちては消える。

 

 「貴様が消えれば遺産は総取りってわけだ。どうせこの焼け野原、誰にもわからねえよ。」

 

 「あたしは、なんのために、ここに...?」

 

 「ぜったいれいどでマジで絶対零度にする奴ある!?」

 

 罵声が、悲鳴が、喘鳴が、叫声が、驚声が、呆声が。

 

 「前々から課長のこと気に入らなかったんすよねえ」

 

 「燃えろ!燃えろ!全部燃えてしまえ!」

 

 「泣き声が毎晩うるさかったからだよ。」

 

 「そうだ!銀行行こうぜ!」

 

 「昨日の晩飯の仕返しだ、ハサミギロチン!」「アンタと付き合うのホントは嫌だったのよ!だいもんじ!」

 

 包丁が、ナイフが、ライターが、ガソリンが、バットが、ワザが。

 

 「証拠を消すより交番消した方が早ええよなあ!」

 

 「おまえなんかだいっきらいだ!ぶっころす!」「このまえのテストではなまるもらってたくせに!」

 

 「みんなを助けなきゃ...あれ...?なんで...みんなのために何かしなくちゃなんだっけ...?」

 

 「ずっとピーマン食えってウザかったんだよな。」「宿題もしないガキとかいらないのよね。」

 

 「ポケモンの内臓!ずっと見たかったんだ!」

 

 怒りが、愉悦が、快楽が、欲望が。

 

 「『とびはねる』で家が吹き飛ぶなんて...コイキング...お前...絶対に...っ!」

 

 「誰が生き残るのか、わくわくするねっ!」

 

 「…It show time!」

 

 「全部、全部ゲットだ!」

 

 「まだ、まだむしゃくしゃするぅー!...次は人ぶっ壊すかぁー!」

 

ー*-

 

 「何をした...?」

 

 「何って、オリザくん、BROKEN化だよ。

 

 ほら、善悪ってのは、正常な世界のウラオモテだろ?常にともにある、ユキコシ(壊れた世界)を除いて。」

 

 「…どういうことだって聞いてるんだよ!わかるように説明しろ!」

 

 「落ち着けよ、感情は効率を低下させるぞ?

 

 聞こえるだろ?あの狂乱が。」

 

 ワカナエ島...指呼の先、橋の向こうから、誰も感じたことのない異様な雰囲気が漂っていた。そして、根性にあふれたオリザの耳には、とても聞くに堪えない音声もまた。

 

 「この地方を大災厄(カタストロフ)で一度破壊し、再び再構築した神は、その時、善という概念が欠けた状態でこの地方を創り上げた。

 

 BREAK力場(フィールド)は、はてやま三神が被せたヴェール、敬意やいたわりそして誇り...他者や自者への善なる心を受け継ぎ貸し与えるBREAKワザや進化の機能はあくまで副産物...主目的は、それそのものだ。」

 

 「…この黒い粒子、まさか。」

 

 実体のない黒い雪、あるいは霧雨...オリザは、それがなんらかの粒子ではない...「有」ではなくむしろ「無」であることに気付いた。

 

 フィールドホール(力場の穴)。オーラ濃度が完全な0、すなわち、力場が存在しない空間点。そもそもBREAK力場の存在しない他の地方が闇に落ちていないことからわかるように、あくまでも、周囲に輝くBREAK力場の超高濃度結晶粒子が放つ金色の光との対照で生まれている錯覚。

 

 「『BREAK力場が存在しない』すなわち、はてやま三神が力場によって『善』という概念を付け加える前、再構築された瞬間のユキコシ地方そのものだ。」

 

 ブラウザの拡張機能を消すようなものだ。悪で構築された壊れた世界(ユキコシ)から、善という拡張機能(BREAKフィールド)を削除したら、どうなるか?

 

 そして、力場を消去することによって跳ねのけられたオーラは、そのぶん高濃度になり、ワカナエ島は、きわめて高濃度のオーラと、オーラ濃度0の空間がひっきりなしに入れ替わる世界と化す。入り混じる金色と黒の粒子の意味は、それだ。

 

 「ポケモンだけじゃない、人もだ。オーラから力を授かることはできなくても、『善』の概念の消失の影響は受ける。

 

 ...キミこそ、どうしてまだ正気を保っている?オリザぐうじ、キミの行動原理は『悪』なのか?」

 

 「いいや、違うさ。

 

 ...なんか力が抜けるような感覚はする。これが善とか良心とか正義とかってやつなんだろうな。失ってはじめて気づく大切さなのかもしれねえ。

 

 ...でもなぁ。俺の行動原理は、善とか悪とかそんなみみっちい二元論じゃねえんだよ。」

 

 「…ふむ、なんだい?後学のために、教えてくれ。」

 

 オリザは、最高のキメ顔でハイパーボールを投げた。

 

 「教えてやるよ…俺たちの『情熱』を!アップリュー、ダイマァックス!」

 

 ガラルではないために二度とガラル粒子をため込まないダイマックスバンドを投げ捨て踏み潰し、オリザは叫んだ。

 

 「切り札ごときでいい気にならないでもらいたいね。

 

 この壊れた地方に満ちるオーラ。俺は、我々ラスト団は、破壊と祝福を統べ新たなステージへと進むため、ここにいる…!その成功の期待値は、ヒ、ャ、ク、パ、ァ、セ、ン、ト、だ...!

 

 カミツオロチ_BROKEN、きまぐレーザー_BROKEN!」

 

ー*-

 

 キョダイアップリューが、銀色の龍顎を吐き出す。「りゅうのはどう」だ。

 

 黒くスジが入った割れかけの黄金林檎龍は、8条の細い光線を、黒と金の粒子を撒き散らしつつ吐き出した。

 

 奔流と奔流が、交錯する。

 

 爆発。

 

 ー決着は、一瞬だった。

 

 りゅうのはどうと喰い合っていない残り7条の光線が、キョダイアップリューを襲ったのだ。

 

 キョダイ林檎を光線が貫き、龍頭がもだえ、そしてアップリューは全身からガラル粒子を放出して小さく転がった。

 

 「…熱意が、足りなかった...だと...!?」

 

 「しょせんよりしろさまに仕えるぐうじ如きが、BROKEN状態のよりしろさまに勝てるはずがないだろう...!

 

 カミツラオロチ_BROKEN、もう一度、きまぐレーザー_BROKEN!」

 

 8条の光線が束ねられ、オリザの全身を呑み込もうと迫る。

 

 「うぉぉぉぉっ!

 

 気合ぃぃぃぃっ!」

 

 オリザが目を見開き、こぶしを握り締め、腕を大きく引く。

 

 「パァァァンチ!」

 

 生身の人間が、神の気まぐれに気合を振り絞ったとて...

 

 閃光。

 

 オリザの網膜を、光が呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 爆風が、オリザを吹き飛ばした。

 

 前に突き出したまま爆風をくらい、変な方向に曲がった腕を、ゴキゴキ回してガチリと気合で嵌め直す。

 

 「メタグロス、ごくろう。

 

 ...やあ、ぼくの、出番かい?」

 

 「間に合った、ようですわね…ブロスター。」

 

 「おうよ、ありがとな。情熱あるみてえだし助太刀頼むわ。

 

 お前ら、名前は?」

 

 「ぼくの名はダイゴ。一番、強くてすごいトレーナーさ。」

 

 「わたくしはアオバ。アオバ・フロックスですわ。」




 力場の本来の機能は「善の概念の実装」であり、「敬意、いたわりなどの強い善なる心を持つポケモンの力をオーラとして保存し、祝福として授ける」機能はオマケ。力場とオーラの関係ははっきりしていませんでしたが、正確には海と水のようなものです。通常はパワーアップとして受け取れるのは波の高さの部分だけで、その下の水深は「善の概念」を溶かしているのに使われていますが、オーラ濃淡勾配が大きすぎる反転暴走範囲ではポケモンが本能・悪>良心・善となるほどに「善を含む水かさ」が浅い”波の谷間”と膨大なBREAKオーラで超強化する”波の尾根”がひっきりなしにポケモンを襲い、そしてBROKEN空間では「善という概念が存在しないフィールドホール(=海底まで見える、無水の”波の谷間”)」と「金色の粒子=オーラで超々強化する”波の尾根”」が繰り返し襲った結果、人間もポケモンも善を消失して欲望のまま行動し、ポケモンはパワーアップし、惨劇が訪れます。

 アップリューのキョダイマックスについては、メルメタルのキョダイマックスが「とおい ちほう(≠ガラル)の しんわに のこる ひとつめのきょじん」とされている以上ガラル以外でもダイマックス可能と考えています。もっともダイマックスを可能にするガラル粒子をなんらかのデバイスで供給せねばならず、かつそれは再吸収できない以上使い捨てでしょうが…(つまりダイマックスバンドの購入数だけガラル外でダイマックス使用できることになり課金トレーナーのほうが実績が上がりかねないので公式戦では禁止になるのでしょう)(なお本作のBREAKワザ・進化はその原理を支えるBREAK力場がユキコシ地方にしかないので外の地方では不可能という設定です。ポケカXYBREAKもレギュレーションマーク無いもんね。)



 カミツラオロチ(ワカナエおみやよりしろさま) ドラゴン/くさ

 西域からかつてやってきたと伝わる、大型のカミツオロチ。通常のカミツオロチと異なり7ではなく8つのオロチュからなり、そのすべてが実から首を出すことができる。

 気に入らないときまぐれに神威を振るい、災害級の惨事を引き起こすことすらある。一方で気に入った者には豊作をもたらす。

 種専用ワザの「きまぐレーザー」は、強力な範囲攻撃or超強力な一点攻撃へと変貌している。神の気まぐれは重い。

 「禁断の果実」カミツラオロチ_BROKEN ドラゴン/くさ

 ワカナエおみやよりしろさまがBROKEN進化させられたすがた。なお本来カミツオロチはBREAK進化しない。

 リンゴは黄金に染まり、熟れすぎて皮が裂けようとしているかのように黒いスジが奔っている。その姿はまさに禁断の果実。
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