お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
ー*-
「これが、わたくしの身体ですの...」
アオバ・フロックスは、そのみずみずしい肢体をおそるおそる撫で、しみじみと呟いた。
誰しも自分の身体など子供の頃から見慣れているであろうに、何度も何度も自分の身体を見、鏡を見、神聖なものを触るかのようになぞるのは、別に彼氏に何か言われたからでも、手術を受けたからでもない。
「…きちんと手入れしてきたんだろうなあ、アオバちゃんは...」
-中身が、他人だからである。
蒼玻ー全く違う世界から転生してきた男子大学生ーは、初めて見る女子の身体のなまめかしさに鼻血を出す寸前だった。
「…この髪、どうすればいいんだ...?」
銀髪と言うにはいささか白みが強すぎる、流れるような髪。さすがに三つ編みは妹のカグヤにほどいてもらったが、血が染みさえしたそれを手入れし、アオバの努力を無駄にしないようにしなければならないというのは、なかなか大きなプレッシャーである。なにしろ蒼玻は前世ではユニクロの服と1000円カットをコーディネートしていたような人間だ。
「えっと、シャンプーシャンプー...
...リンス?コンディショナー?なんだそれ...じゃなくて、なんですの、それは...」
(どうせ後で混ざるんだし全部混ぜて使っちゃえ)
信じられないことを考え、蒼玻は髪の毛を、限界まで優しく漉きつつこびりついた砂や血を落としていく。
(...うわ、頭皮もツヤツヤ...)
頭を洗うために目をつぶり、あえて体の手入れという難しいことを考えることで、身体に対して抱く雑念をごまかす...こざかしい考えはしかし、目をつぶったそばから破綻した。
(すべすべしてる...これが女の子の肌...うわ二の腕すっごいやわらかい...もしかして胸と同じ柔らかさ...ってコトは...ってコト!?)
語彙力がなくなっている…人間というのは、見えなくなるとかえって想像してしまうたちなのだ(余談だが、アオバは巨乳というほどではないが断じて貧乳ではない。そしてそれは残念ながらシスコンの妹の存在と無関係ではない)。
やっとのことで髪を洗い終えたが、試練はむしろここからである。身体を直かつ入念に洗わなくてはならない。
(こ、股間とか乳首とかどうしよう...)
むろん、自分が男であることも童貞であることも、不衛生の言い訳になりはしない。
「うぅ...」
ともすれば指で突いたり突っ込んだりといったエロ漫画で見たような構図を再現する衝動に駆られる。
(そーっと、そーっと洗って...)「ひゃんっ!」
「何してるの!?お姉ちゃんの身体を汚したら殺すからね!」
姉の身体の世話を見るべきか、それとも年頃の令嬢として男に身体を見せるのを慎むべきか...悩みぬいた末に風呂場の外に待機することにしたカグヤが叫ぶ。
「い、いや、ちょっと敏感なところを触ってびっくりしただけ...」
「そう。わかってるよね?」
(ヒエッ...)
雑念って恐怖で飛ぶんだなあ、蒼玻は思い知った。
「ところでカグヤ、聞きたいことがあるのですが」
「お姉ちゃんはそんな言い方はしない。」
「聞きたいことがありますわ。
...ブラとショーツは、...いいとして、わたくし、このあと着物を着ますのよね?」
「私がドレスでお姉ちゃんが着物、ずっとそうだったしね。動きにくい?そのうち慣れると思うよ。私はそれでおみや巡りやったし。」
「そうではなくて...
...その、着付けってどうやってすればいいのか、わかりませんわ。」
「…はー...
...お姉ちゃん、特訓ね。」
精神力だけでなく生活力も、まだまだ蒼玻には足りないらしかった(あと、洗い方がまるでなっていなかったので結局カグヤは恥を忍んで蒼玻と入浴することになった)。
ちなみにアオバ・フロックスの胸はソニア博士なみです。ただし普段は着物なので着やせします。
作者は女装経験があるので(唐突なカミングアウト)言っておきますが帯を結び袴を履くのはそこまで難しいことではありません。ただこの主人公の身分はそれなりの令嬢なので、帯の結び方だけで数十通りはくだらない着付けについて選び方結び方着方のTPOにあわせての選択を覚えるのはさぞ至難でしょう。