お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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学会発表の準備にひと段落ついた(あるいは、ひと段落ついたと思い込んでいる)ので投稿!


#35 ワカナエおみやよりしろさま「カミツラオロチ」への/からの試練(ガチ)

ー*-

 

 「コンフリー、貴方に聞きたいこと、聞けと言われたことがあるのですわ。尋問、付き合ってくださるかしら?」

 

 「ここを通してくれないかな?さもないと...ぼくが最強だって、示してあげることになるよ。」

 

 「その答えはどちらもノー、だよ。

 

 アオバ嬢?ことここに至っていまさら価値はないよ。フロックスはじきにワカナエ島ごと失墜する。

 

 チャンピオンダイゴ?今ここに君臨する最強はキミじゃない...この林檎(カミツラオロチ_BROKEN)さ。

 

 だから、勝てるとわかっている相手に妥協するほど、非効率的なことはない。」

 

 「勝てるとわかってる?ちげえな。

 

 そうやってやる前から結果を決めつけている根性なしに、熱意、気合、根性、情熱、志が負けるわけないだろ。

 

 だから...見せてやるよ、情熱の力を。

 

 まだ、やれるよな、アップリュー。」

 

 「それはそれで話がわかりやすくていいですわね。

 

 ラスト団との決着もよりしろさまへの挑戦も同時に終わらせる、これこそ貴方のお好きな『効率的』ってやつではなくって?」

 

 「キミらのような悪党に、いつまでも人々とポケモンを苦しめさせておくわけにはいかないね。

 

 さあ、一番強くてすごいってどういうことか、見せてあげよう。」

 

 「ここでキミたち全員を倒して晒し上げるのが、一番、封鎖時間の期待値が高そうだな。

 

 では、さくっと終わらせようか、きまぐレーザー_BROKEN。」

 

ー*-

 

 8条の光線が、3、3、2ずつの束となって宙をなぞる。

 

 「アップリュー、そらをとべ!」

 

 「懐からバレットパンチ!」

 

 「アクアジェットで回避ですわ!」

 

 オリザのアップリューが姿を消し、ダイゴのメタグロスがきまぐレーザーの狭間を縫って金色の林檎へと殴り掛かり、追いすがるレーザーを器用にかわして蒼玻のブロスターが空を舞う。

 

 「石のきらめき、絆となれ!メガシンカ!」

 

 「さあ、心構えはよろしいかしら?BREAK進化!」

 

ー*-

 

 「…子守歌代わりだ。

 

 お転婆次女、お前に、歴史の講義をしてやろう。」

 

 脳波検査機にも似たコードだらけのヘッドセットをかぶせられ、眠気を必死に耐えていたカグヤに、副会長は高速でメールや電話をさばく手をいったん止め、話しかけた。

 

 「…そう?時間は私の味方だと思うんだけど?」

 

 (私の心と、あのマハリハグルマ。その2つで何かをたくらんでいるとして、たぶん私が抵抗してちゃそれは成功しない。だから、私を催眠するか洗脳しようとしてこのヘッドセットがある…としたら、寝落ちするわけにはいかないし、どんな話でも起き続ける助けになるなら価値がある…

 

 ...私が長く起きているほど助けが間に合う可能性があるのに、いくら街が大変そうだからって、どうにかできるのかな…?なにか、自信がある…?それとも催眠とは別の手が...?)

 

 「そもそも『盟約の血筋』とは何か、どうしてフロックス家はユキコシで名家として長きにわたり君臨してきたのか…そしてそんな一族にもかかわらず始まりの物語が伝承レベルですら完全に逸失しているのはなぜか、考えたことはあるかね?

 

 …さらに言えば、ラスト団によるBREAKフィールド崩壊で誰もが善なる心を失うはずのこの状況で、なぜお転婆次女、君だけが正気と良心を保っているのか…?」

 

 マハリハグルマに、黒い粒子状のフィールドホールが降りかかっていた。

 

ー*-

 

 「メタグロス、コメットパンチ!」

 

 「ブロスタ―、りゅうのはどう!」

 

 「アップリュー、Gのちからぁ!」

 

 まさに裂帛の気合い、攻撃が叩きこまれるーだが、サーチライトのように宙をかわるがわるなぞる光線は降り注ぐ小さなリンゴを消し炭にし、メガメタグロスを吹き飛ばして崩れかけのビルへ叩きつけ、跳び回るブロスターBREAKを追随し続ける。

 

 「迎え撃つよりも撃たせた方が期待値が高いね。

 

 カミツラオロチ_BROKEN、じしん_BROKEN。」

 

 黒くスジ割れた黄金林檎が、飛び跳ねた。

 

 着地ー激震がビルをシェイクしてメガメタグロスを生き埋めにし、ダイゴと蒼玻はたまらず膝をつく。

 

 「二本の足でしっかり独り立ちするっていう気合いが足りねえな?

 

 降らせろ、りゅうせいぐんだ。」

 

 -反動の攻撃力低下は情熱と根性でなんとかしろ。

 

 小さな星の欠片が、赤熱して降り注ぐ。カミツラオロチ_BROKENの姿が見えなくなる。

 

 「やったか…?」「ダイゴさんそれフラグですわよ…」

 

 クレーターと化した路面の中央に、黄金林檎は変わらず座していた。

 

 「キミたち頭数揃えてもその程度かな…?

 

 やれ、きまぐレーザー_BROKEN。」

 

 4条、3条、1条。束ねられた光線は、様子をうかがって滞空するアップリューとブロスターBREAKを、崩れたビルの中のメガメタグロスを、狙い過たず撃ち抜いた。

 

 「戻れっ!」「戻るのですわ!」「気合いため直してくれ。」

 

 どう考えても早くジョーイに見せるべきであろうーもっともその余裕はない。

 

 「メレシー、行け!」「オリセクト、頼みますわ。」「ドータクン、熱意上げていくぞ!」

 

 石マニア、カセキマニアのダイゴをして、未だユキコシ外に公開されていない未知のカセキポケモンに興奮する余裕などない。なにせメレシーに金色と黒の粒子がちらつき始めたのだから。

 

 (ッ!?そうじゃん!ダイゴはホウエン出身、ユキコシについては付け焼刃!)

 

 「おっと根性が足りねえぞてめえ!ドータクン、てっていこうせんでメレシー吹き飛ばせっ!」

 

 「ダイゴさん、次からはこれを!」

 

 暴走寸前のメレシーがビルに叩きつけられて気絶し、蒼玻がダイゴへとバッグを投げ渡す。

 

 (カグヤが「透明なカケラ」は貴重だしどうせフェアネスバトルじゃ使えないし悪目立ちしたり強盗が出るだけだから使うな...って言ってたの、正解だな...1匹に1つよりしろさまのカケラ持たせるとしても足りるとは限らないのか...)

 

 現在蒼玻が持っているカケラは、キンレン1つ、ヌレバ3つ、コンジキ1つで計5つ。ディアンシーはメガストーン、ブロスターはBREAK進化で反転暴走を防げるにせよ、とても他人に貸す余裕があるわけではない。もっとも1つオークションに出せば豪邸が立つ「透明なカケラ」を5つも投げ渡すのも褒められたことではないが。

 

 「あ、ああ、すまない。

 

 ...ところで彼は持たせていないみたいだが…」

 

 「あー…根性でなんとかさせてる。なあドータクン?」

 

 (...いや、苦しそうに見えるんだが…)

 

 「もう少し力場をいじれば暴走させられるんだろうね。まあ効率はこっちのほうがいいだろう。」

 

 腕を振り下ろした瞬間、レーザーがドータクンを撃ち抜いた。舌打ちし、オリザがドータクンをボールに戻す。

 

 「今ですわ!いわなだれっ!」

 

 ビル影に潜んでいたオリセクトが、被るようにして背中のアームの先に付けている甲羅を、勢いよく前へと振った。

 

 ゲノセクトと呼ばれる予定だったポケモンが想定されているようにビームを撃ちはしない。原種たるこのポケモンはそのかわり、石を正確に投射することができる。

 

 コンクリ塊の雹が、ドータクンを向いたままだったカミツラオロチ_BROKENへと降り注ぎ、瞬く間に生き埋めにする。

 

 それごときで仕留められるとは誰も思っていない。

 

 「オリセクト、むしのさざめきBREAKですわっ!」「ネンドール、だいちのちからだ!」「ワタシラガ、リーフストームBREAKで決めやがれ!」

 

 3体のポケモンが、岩屑の上へと飛び上がり、攻撃を放つ。

 

 爆発ーその中から、咆哮の多重奏とともに8条のレーザーが空へと撃ちだされた。

 

 オリセクトの蒼い身体が、ネンドールの無機質な身体が、ワタシラガのコットンが、空高く吹き飛ばされる。

 

 (...っ、これでもダメ!?

 

 BROKEN進化がBREAK進化のチートパワーアップなら、フラージェスの時と同じで特効で攻めるしかないか…!)

 

 「クリムガン、懐に入ってほのおのパンチですわっ!」

 

 「ダグトリオ、すなじごくで封じ込めろっ!」

 

 「エアームド、どくどくだ!」

 

 さすがぐうじにチャンピオン、何も言わなくても、蒼玻の狙いを悟ってカミツラオロチ_BROKENへの妨害工作をしてくれる。

 

 「パワーウィップ_BROKEN。まとめて吹き飛ばせ。」

 

 金色の粒子を振りまく蔓が、宙を薙ぐ。炎を纏う拳で黄金林檎を殴りつけていたクリムガンも、遠巻きに砂を吐きかけるダグトリオも、空から様子をうかがうエアームドも、すべてが薙ぎ払われてしまった。

 

 「…だんだん雑になってませんこと?」

 

 「キミたちの底が見えたからね。

 

 さあ、次は何を出してみる?」

 

 「こおりタイプに弱いことまでは変わってないよね。

 

 こうやってやるのかな?プテラ、こおりのキバBREAK!」

 

 「底?根性に底値があるとでも?タチフサグマ、かたきうちだ。」

 

 「…無理でも無駄でもやらないといけないことってあるんですわよ。そうですわよねシャンデラ、あやしいひかり!」

 

 「ちっ...

 

 こもれ、カミツラオロチ_BROKEN。」

 

 あやしいひかりをくらうわけにはいかないー8匹の龍が、黄金林檎の中へと姿を消す。

 

 黄金林檎へと、タチフサグマの強腕と、プテラの凍牙が、黒くスジが入った黄金林檎へと襲い掛かる。

 

 林檎がうごめいた。痛みを感じたことを明らかにする震えをみせた。

 

 「よし、手ごたえがあるぞ!タチフサグマ、そのまま」「待ってくれオリザくん!」

 

 ブルブルッ...黄金林檎が、金色の粒子を振りまき震える。

 

 -カミツラオロチ_BROKENの じこさいせい_BROKEN!

 

 ーカミツラオロチ_BROKENの きまぐレーザー_BROKEN!

 

 8つの穴から、レーザーが噴き出す。

 

 「ヤッベ...ブロッキング!」

 

 たった1本のレーザーーそれでも、がっちり組まれたタチフサグマの腕を貫き、タチフサグマをひれ伏させた。林檎にガジガジ噛みついていたプテラなど、両翼を撃ち抜かれて倒れ伏す。

 

 「戻れプテラっ!」「耐えてくれタチフサグマ、リベンジBREAK!」

 

 殴り掛かるタチフサグマへ、束ねられた太い光条が迫る。

 

ー*-

 

 「フロックス家の始まり、『ユキコシを守る』盟約...

 

 ...それにふさわしい歴史は、1つじゃないかね?」

 

 「…いいえ、大災厄(カタストロフ)は違う。

 

 だって、フロックスは渡来系、ユキコシに千年ちょっと前に入ってきた人々の初めの一人...それだけは伝わってるでしょ?だいたい、時空すら破壊されたっていう大災厄(カタストロフ)でどうやって生き残るの?何かを...ユキコシを守るの?」

 

 「守り方はそれこそ『盟約』だろうな。あのディアンシーの特徴は...」

 

 ー邪気、害意、悪意のシャットアウト。「こわれた」ユキコシ地方へのアンチテーゼ。

 

 「パズルだよ、これは。

 

 どうして、誰も生き残れなかったはずの2000年前の大災厄(カタストロフ)が語り継がれているのか?」

 

 「…どこかに消えうせた古代ユキコシ文明の末裔、ホープ団じゃないの?」

 

 「違うな。

 

 その後1000年弱、再び渡来系の人々が文明を築くまで、ユキコシの記録は残っていない。つまり、ホープ団は1000年畏れて近寄らないほどに大災厄(カタストロフ)から逃げ腰だったんだよ。

 

 ならば、破壊されたユキコシの中で三神が破壊神と戦い、破壊神がユキコシを創り直し、三神が祝福(BREAKフィールド)を授けた様子など、伝わるわけがあるまい。

 

 語り継げたのは生き残りだよ、その状況を見ることができる、ユキコシ内部での...おそらくは、BREAK進化ポケモンと同じたぐいだろう。」

 

 ーユキコシの再創造で生き返った、あるいは後からやってきたポケモンの子孫はBREAKワザを、大災厄(カタストロフ)を生き残り生きたまま再創造を経験したポケモンの子孫はBREAK進化をする。

 

 「そのポケモン達は、偶然とか自分の努力で生き残ったわけではなくて...

 

 ...『ユキコシを守る』ってまさか。」

 

 「その守るための力が、メガディアンシーなのだろう。特別な...そして、おあつらえ向きのメガディアンシーをね。

 

 古代ユキコシ文明は人的被害を出した形跡無く遺跡を遺して消えうせた、つまり彼らは大災厄(カタストロフ)の前兆を感知していた可能性が高い。

 

 大災厄(カタストロフ)を生き残り、生き残らせたメガディアンシーは、そのために適切な特殊能力を持っていた。

 

 ...わかるかね?

 

 そんな能力はドンピシャなタイミングで宿らない。とすれば、そこには誰かの意図が介在する...ありえるのは、前兆を感知し、高い技術力を持っていた古代ユキコシ文明だ。」

 

 前兆に対して、逃げたか、逃げずにディアンシーと「盟約」で立ち向かったか...そういうことだ。

 

 「フロックス家...お前は、2000年前にどこかへ逃げ失せた謎の古代文明の、真の、唯一の、そして自身で望んだ、末裔というわけだ。」

 

 -伝説の破壊神による破壊も、その後の「善の概念が欠け闇の力に満ちた」再創造直後のユキコシ地方も生き残ったBREAK進化ポケモン、その子孫はBREAK進化中ならば反転暴走に陥ることがない。同じように、かつてずっと過酷な状況でも闇落ちしなかったのだろうフロックス家の直系だからこそ、善の概念が繰り返し消失するBROKEN反転暴走空間でも、キーストーンもカケラもなしにカグヤは耐えている。

 

 「ゆえにお転婆次女、お前を闇落ち、暴走、そういった状況にすることは力場の精神作用だけでは不可能で、迂遠な手段を取らざるを得ないんだが…

 

 ...しかしいいこともある。

 

 マハリハグルマは世界に引っ掛かった『壊れた歯車』だ。引っ掛かったのは、大災厄(カタストロフ)の時だろう。

 

 今、ラスト団によってBREAK力場(フィールド)はほとんど壊されている。すなわち、ワカナエシティは程度の差はあれ再創造直後...ミクロ的には、善の概念が存在しない破壊神の世界だ。マハリハグルマは、よりダイレクトに、世界を巻き込み、回転することができる。

 

 承知の通りだが、心を司る三神...ユクシー、アグノム、エムリットと互角に三日三晩闘い、時空をも破壊し、そしてなんなく丸々一地方を再創造できるポケモンはそうはいない。そして、そいつが普段何処にいるのかはわかっている。」

 

 アルセウスではないー強すぎる。

 

 ディアルガ、パルキア?いや、彼らもまた違う。時間と空間、片方しか操れず、そして特に闇系ではない。

 

 伝承は語るー「(異界)」から顕れた伝説のポケモン。

 

 「聞こえるだろう?ほら。」

 

 黒い粒子を浴びるマハリハグルマから、幾筋ものヒビが分岐し、太くなり、広がり、脈動し...そして、ヒビから、確かにその声は聞こえてくる。

 

 -ギゴガ(ギゴガゴーゴーッ)シャーンッッッ(ビシャーンッ)

 

 「ギラティナ...!?」

 

 「奴は今も、この地方を世界の裏(やぶれたせかい)から狙っている。

 

 この世界を悪意から守る善意、敬意、いたわりのヴェール(BREAKフィールド)はすでに剥がれた。

 

 世界が壊れたその時の血筋を、いや魂を受け継ぐフロックスだけが、大災厄(カタストロフ)の時に引っ掛かったマハリハグルマを再び回し、その力を十全に振るわせることができる。

 

 もはやユキコシを守る者はいない。」

 

 「…カスオヤジ、貴方、いったい何を...」

 

 「…ああ、言い忘れていたっけ?」

 

ー*-

 

 「こりゃあにっちもさっちもって感じだな...」

 

 オリザとダイゴが、最後の1体のボールを握る。

 

 「ええ...

 

 形成、立て直した方が良さそうですわ。シャンデラ、のろいBREAK。」

 

 杭が黄金林檎とシャンデラを強く打ち、シャンデラが墜落し8匹の龍が怒りの声を上げる。

 

 「今ですわ!いったん退きますわよ!」




 次回予告

 勝ち目なき強敵「カミツラオロチ_BROKEN」。

 「...俺に根性がもう少しあれば...」

 誰も阻むことなく進んでいく、副会長の陰謀。

 「俺はフロックス・ホールディンクス副会長」

 誰も超えることのできない、コンフリーらラスト団によるワカナエ島封鎖。

 「さて、次は何処から飛び出してくるかな?」

 反転暴走によりポケモンどころか人間までも悪に暴走し、破綻したワカナエ市街。

 「方法なら、一つ思いつきましたわよ。」

 それでもトレーナーたちが戦うその先に、真相と真打が待ち受ける。

 「アオバちゃんっ!」

 次回「#36 ラスト団」乞うご期待。
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