お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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 主人公が死んで交代するポケモン二次創作、反則だろこれ(「フラダリ転生」2部も原作キャラ全滅スタートだったしね…)


 というわけで第2部始まります。


第伍章 恋と宿縁の街に魂が踊る
#40.5 タイムライン


ー*-

 

 ユキコシポスト電子版

 「ワカナエ大乱、フロックス家により終息宣言」

 

 フロックス家次席、カグヤ・フロックス令嬢(15)は先程、未明から日没にかけ続いたラスト団ワカナエ島封鎖・ワカナエ市街反転暴走事件の終息を宣言した。

 カグヤ・フロックス令嬢によれば、一連の事件の主犯はフロックスホールディングスの権力を壟断していたクワズ副会長(52)であった。カグヤ令嬢は家長アオバ・フロックス令嬢(17)とともにクワズ氏を撃破し、またクワズ氏の部下でありラスト団を動かしていたコンフリー氏もホウエンチャンピオンダイゴ氏及びワカナエおみやオリザぐうじの協力を得て拘束された。またラスト団の目的であった『2000年前の破壊神の召喚』もまた阻止されたため、現在ワカナエ島は残敵掃討と復興準備に移行している。

 クワズ氏は撃破直後にフロックスセンタービル最上階から投身し、遺体は発見されておらず捜索が行われている。またコンフリー氏もホープ団により身柄を奪われ、捜査当局は「国際警察と協力し両氏の追跡及びフロックスホールディングスの暗部解体を速やかに進める」としている。

 

 ユキコシポスト電子版

 「速報:フロックス令嬢、危篤状態か」

 

 ワカナエ大学病院によれば、フロックス本社内謀反の鎮圧によりワカナエ大乱を終息させたアオバ・フロックス令嬢(17)は現在集中治療室に搬送され、危篤状態にあるとのこと。

 

 

 コンジキ医療ジャーナル緊急トピック版

 「ワカナエ大学医学部『どうして生きているのかわからなかったがなんとか峠を越した』」

 

 フロックス令嬢アオバ氏の病状について、ワカナエ大学病院は会見を開いた。 

 カグヤ令嬢は「コンフリー、暴走ポケモンひしめくワカナエ島、ステラーシステム不正使用をほぼ単身で突破し、クワズによって何度も心身ともに痛めつけられた姉上が、なんとか後遺症も傷も残らず快復しそうであるという奇跡について、天命と、治療に協力してくださった人々ならびポケモンたちに心から御礼申し上げます」とコメントした。

 担当医は「爆発によるもの及び人的暴力によるものと思われる数十の打撲傷及び爆傷を認め、致命所見としてはまず深刻な失血、複数の腹腔臓器からの出血、左腕及び両足の筋肉及び骨の複雑損傷が認められ、これらの病態の一部にはポケモンのワザにより応急的かつ強引に処置された痕跡が認められました。また数点の脳内出血が進行しており、搬送時意識が鮮明であったことは彼女の気力の凄まじさを示すものと考えています。

 処置としては、アドレナリン量低下前に麻酔及び混合粉ワザによる強制鎮静とショック症状対策を行い、出血とともにバイタルが悪化していたため低体温療法により身体機能を抑制、外科的処置による出血除去・デブリーフィング・大まかな組織修復とポケモンの能力による細胞的回復を繰り返し行うこととしました。現在は小康状態のまま冷却下にあり、細胞定着を待ち感染対策の後に覚醒とする予定です」と説明した。

 なお症状と治療の詳細については再来月の本誌に論文掲載される予定。

 

 ワカナエ新報SNSアカウント版

 「ワカナエ大乱被害規模判明 市街災害で最大規模」  

 消防及び治安当局は先程会見を開き、ワカナエ大乱の被害について発表した。

 ウォーターフロント地区(通称ワカナエ島)内では2割の建築物が全壊、3割が半壊となり、またポケモン暴走及び善意消失現象のため死者2万人負傷者3万人被害総額数百億円を数えた。なお善意消失中の事件については捜査は行われない見通し。

 同時に発生しワカナエ大乱終息とともに終息したホープ団おみや都市同時襲撃に関しては、人的被害はないものの建築物に若干の被害が出ている。

 

 コンジキ経済新聞

 「有識者会議答申『待った』」

 

 ワカナエ大乱の原因となったフロックスホールディングス内の謀反の責任を取り、フロックス家次席カグヤ令嬢は「家長であるアオバ令嬢の快復を待ちグループを解体する」方針を示していた。

 しかしユキコシ主要自治体・経済界・学識者によるフロックス社再編検討会議は昨日夕方、この引責的解体論に待ったをかけた。

 「フロックスがくしゃみをすればワカナエ経済は風邪をひく」、ワカナエ復興が必要なユキコシ経済は、経済の軸であるフロックスグループがこれ以上混乱を続けていけば数週間と保たず崩壊する。今必要なのは癌に侵された臓器の摘出で大量出血して死ぬことではなく薬を投与して臓器の癌を取り除くことだ…有識者会議はこう提言し、地方外の多数の機関・企業を加えた第三者委員会によりフロックスグループを再編することを提案している。

 

 

 ニュースbyフロックス

「フロックス社、なおもグループ解体のかまえ。背景には機能不全か?」

 

 フロックスグループは先程、クワズ前副会長体制解体のため罷免された取締役会に代わる臨時意思決定機関として事業部長・子会社長会議を招集し、「持株会社であるフロックスホールディングスは解散し、フロックスグループは解体しなければならない」という経営方針をあらためて再確認した。

 カグヤ・フロックス令嬢は既に、原因がクワズ前副会長にあるとしてワカナエ大乱の全補償費・寄附額を除く復興必要額を負担すると明言しており、その金額は莫大なものとなる。またフロックスセンタービルをはじめとして多くの中枢機能が反転暴走区域内にあり、善意消失現象によってホールディングス及び関連企業の人員・機材が大幅に失われグループの統括能力は現段階でも喪失していることから、フロックスグループの解体及び売却によって復興金額の捻出と各企業経営機能の回復を図るしかない、関係筋は記者の取材にこう答えている。

 一方で「フロックスという伝統的権威が失墜すれば、ホープ団の強化などの脅威があるユキコシ地方の情勢はさらに悪化する」との見方を示す有識者もおり、「フロックス家が経営を家から分離する非家業化こそが、クワズ前副会長の専横を招いたのでは」という意見も根強い。

 最終的な経営判断はアオバ令嬢の快復後となるもよう。

 

ー*ー

 

 「アオバ令嬢が、大乱後初めて、公の場に姿を見せました!

 

 ワカナエ大乱では自ら激戦に身を投じ重傷を負った一方、ラスト団ボスのクワズ容疑者が部下であったことなどから複雑な立場に置かれている彼女が何を語るのか、今、注目が集まっています!」

 

 「ニュースゆきぐにの者です。車椅子に乗られているようですが、怪我の様子などお聞かせ願えますでしょうか?」

 

 「はい。

 

 たくさんの方にご心配頂き感謝に耐えませんわ。怪我についてですが、ほとんど後遺症なく治りそうと担当医から聞いていますわ。足は、一度ちぎれて無理やりつなげたために快復に時間がかかるようですが、これも2週間ほどで治ると伺っておりますわ。」

 

 「ワカナエ新報の者です。

 

 現在ワカナエシティでは、ワカナエ大乱の責任をフロックスグループ全体及びフロックス家に求める声と、ワカナエ経済の完全な崩壊を望まずフロックスの強化をする声があり、グループ再編に関しまして意見が二分されています。この件に関しまして総帥のアオバさんはどのような方針をお考えでしょうか?」

 

 「はい。

 

 まず、妹から明言されていたように、フロックスホールディングスは解散、グループは解体となりますわ。わたくしたち姉妹自身の個人保有株は残留しますが、それ以外の一切の資本関係は消滅となり、持株会社としてホールディングスが保有していた株式はすべて売却されますわ。

 

 大乱の補償・復興費用は、ホールディングス解散に伴う株式売却益と、わたくしたちフロックス家自体の在外資産の処分で捻出する予定ですわね。」

 

 「それですと、ホールディングスは決定権を掌握できるだけの株式をグループ各企業に対して保有していましたから、その株式をすべて購入されてしまえば、フロックス系ユキコシ企業が他地方の資本に移ったり、あるいは資本独占状態ながらもフロックス家のノブレス・オブリージュとして安価に維持されてきた各種サービスが他資本に独占状態のまま移行し値上げやサービス低下が発生することが考えられますが、いかがお考えでしょうか?」

 

 「詳細は再編検討会議が検討中と聞いていますわ。ただ…

 

 …わたくしたち姉妹も検討会議もグループ各社も、無造作にユキコシ経済の屋台骨を切り売りしていいことがないということで一致を見ておりますわ。

 

 ワカナエに本社を置くグループ主要各社は大乱で甚大な被害を受けておりますし、自社株買いで経営権を回収することは不可能でしょう。おそらくは公社を設立して経営をコントロールすることになるのではないかしら。」

 

 「コンジキ医療ジャーナルの記者です。退院おめでとうございます。

 

 医療界ではアオバさんが後遺症なく恢復されたことに驚く一方で、高額な医療費を払える富裕層に医療リソースが集中し一般患者の救命が遅れるリスクについてたびたび議論されてきたことから、今回も多数の死傷者が出ている中でトップクラスの処置を行ったことに批判がないわけではありません。

 

 デリケートな質問ではありますが、どうお考えでしょうか?」

 

 「はい、ありがとうございます。

 

 今回のわたくしに関しては、多少の医療リソースがわたくしに割かれたことは問題ではありませんわ。先陣切って戦ったポケモントレーナーとそのポケモンに最大限の治療がなされないようでは、誰も悪に立ち向かいませんもの。富裕層だからというより、有名人だからこそ、先例になるわけにはいかない、そうではなくって?

 

 ただ、わたくしに最高峰の医療処置が行われたことは事実ですわ。関係者の皆様に厚くお礼申し上げるとともに、わたくしがために処置が遅れた方がいらっしゃったのなら、この場を借りて御悔やみ申し上げます。」

 

 「ツワブキ通信社の者です。ポケモントレーナーとして数か月旅をし、ダイゴおぼっちゃまと共闘なされたと聞いています。

 

 トレーナーになって思ったこと、またダイゴおぼっちゃまへのコメントなどありますでしょうか?」

 

 「はい。

 

 ダイゴさんには本当にお世話になりましたわ。妹が『今度はこの地方で雌雄を決そうよ」と言っていたとお伝えくださいな。

 

 トレーナーとしては...

 

 …本当に、かけがえのない、かけがえのない、旅でしたわ。トキトビからコンジキ、ワカナエまでの、わたくしたち姉妹の旅は。」

 

 「イッシュポストユキコシ支社の者です。

 

 一連の事件について、詳しく報道されているユキコシ地方内では『先代・先々代当主の暗殺により実権を簒奪し、年若い当主姉妹をも毒牙にかけ、大乱を引き起こした』としてクワズ前副会長の暗部組織を糾弾する声がほとんどです。しかしユキコシ地方外では、フロックス直系一族の減少もありフロックス家が監督責任を持てる状況ではなかったこと、フロックスグループとフロックス家があまり区別されず報道されていることもあり、グループトップでありアオバさんの責任を問う声があります。

 

 これに関して、何かコメントなどありましたらどうぞ。」

 

 「はい。

 

 …大変デリケートな話ですわね。わたくしとしてはたしかに副会長が大勢の犠牲者を出したことに会長としての責任がないと宣言できませんけれど…わたくしたち姉妹個人として、両親と祖父の仇でありわたくしたち姉妹をさんざん痛めつけたクワズの責任を一部でも肩代わりする…ということはあまり容れられる話ではございませんわね。」

 

 「ポケットインターナショナルの記者です。

 

 ステラーシステムの目的外使用について一言。」

 

 「…あんな超兵器だいっきらいですわ。判定勝ちでしたがわたくしとしてはあのバトルは敗北ですし。」

 

ー*-

 

 「シャンデラ...」

 

 沈痛な表情(?)で、シャンデリアのポケモンはゆらゆらと揺れた。

 

 炎はアオバの青い瞳の前で揺れる。

 

 「ディアンシー、通訳、頼めますかしら?」

 

 ”「『前みたいに不気味な魂じゃない。ちょっと大きいけど、普通のニンゲンの魂だしはっきり像を結んでる』だそうです...」”

 

 「…そんな気が、していなかったわけではありませんけど...」

 

 医者にも言われたのだ、「脳波にも、エスパータイプを使った精神観察でも、脳の思考回路及び霊魂状態に齟齬と異常は見られなかった」とー後頭部を十数回強打して脳に異常がないのは素晴らしい奇跡だが、「異世界から来た魂が憑依している」という状態が異常でないわけはないのだから、つまりそういうことになる。

 

 頭をぶつけて始まったミラクルな転生劇は、頭をぶつけられたことによって終わり、そうして、意識の深層に押し込められていたアオバが復活したーすべては収まるべきところに収まったのだ。アオバと、仲間たちの感情を置き去りにして。

 

 「蒼玻くん...本当に、成仏してしまったのかしら…」

 

 イーブイなど、悲しみのあまり、床にしなびて布切れのようになっている。

 

 「…それでも、わたくしは、諦めませんわ。

 

 絶対に。」

 

 イーブイの、シャンデラの、ブロスターの、クリムガンの、オリセクトの、ディアンシーの眼に、輝きがともった。

 

 「わたくしは、絶対に、貴方を取り戻す。

 

 例え冥府に足を向ける必要があろうとも、蒼玻くんを、現世に、呼び戻して見せますわ。」

 

 ー今度は現実で、貴方と。

 

ー*-

 

 「以上が、ユキコシ本草学会の結論だよ。

 

 なにか、質問はあるかな?諸君らの知見を募りたいんだ。」 

 

 「シンオウチャンピオンのシロナです。

 

 …カクミガシ博士、あなたたちの考えには大きな間違いがあるわ。」

 

 「…ほう、聞かせてくれたまえ。」

 

 「これはあまり知られていないことだけれど…

 

 …ギラティナは確かに暴れ者と言われているけれど、ギンガ団事件の時はアカギを連れ去っただけで何もしなかった。

 

 やぶれた世界とつながる穴が開いたからと言って、ギラティナが飛び出してきていきなり暴れるとは考えづらいわ。

 

 最近見つかったヒスイ時代の伝承でも、ギラティナはアルセウスと対抗するために人をたぶらかして時間と空間の神を狂わせはしたけれど、改心してヒスイ地方を守ることにした…とされているわ。

 

 2000年前そちらで何があったのかわからないけれど、その『闇から顕れた伝説のポケモン』にはしっくりこないところがあるわ。それに、『ユキコシ神話に基づく破壊と創造の再現』についても…今のギラティナが危うくユキコシ地方を滅ぼしかけていたという話自体それほどあたしには信じられない。

 

 何か、大きな見落としをしている…そんな気がするの。」

 

ー*-

 

 ワカナエ通信

 「フロックスグループ新体制、安定へ。『推載』プランに関係各者合意」

 フロックスグループ・ワカナエシティ・再編検討会議・フロックス家は、ワカナエ大乱後のグループ新体制について合意に達したと発表した。

 フロックスホールディングスを解散しワカナエ大乱復興会社へと再編、ホールディングスが保有する全株式の売却益とフロックス家の個人在外資産売却益によって復興会社が大乱被害の補償と復興費用を供出する。

 ホールディンクスの保有全株式のうち、グループ経営決定権を掌握できる50.1%の各社株式は、フロックス家・主要自治体・グループ各社等が合同設立する『フロックスグループ再編公社』が保有し、ワカナエ大乱で失われた経営機能の早期回復を行う。

 フロックスグループ再編公社はフロックス家を「推載」し、法的地位のない名目上のトップに支持することで、グループの秩序と統合を維持する。

 一連の手続きにより、フロックス家は持ち株会社解体という巨大な自腹を切って部下による大乱惹起の責任を取り補償と復興を主導、それに対して政財界が公債と自社持ち出しでホールディングスに代わる経営本社を設立して経営を安定化し大乱による喪失機能を回復、またクワズ容疑者により傷つけられたフロックス姉妹への見舞金・名誉回復の証として公社を献上するという体裁がなされる。

 再編公社は公益企業であることから、サービス・物価の市民生活への影響はホールディングス体制のまま維持されるが、経営決定権は法的にはフロックス家から大きく分離されると見られている。

 

ー*-

 

 「カグヤ、旅に出ますわよ。準備はよろしくって?」

 

 「…お姉ちゃん。

 

 いくらお姉ちゃんでも、うんついてく、とは答えられないよ。」

 

 「そんなこと、とうに推察の上ですわ。それでも...と言えば、わたくしの覚悟、わかるかしら?」

 

 「…そうだねお姉ちゃん。

 

 じゃあ…

 

 …姉妹喧嘩、しよっか。」




 書き溜めがない(3月26日現在)し主人公が変わって書きにくい(このアオバ・フロックス令嬢とかいう奴のこと作者もよくわかってない)し新学期の研究と院生活始めないといけないのでまた更新速度悪くなります。 なお次のおみやは、今までちょくちょく不穏な様子を見せてきたウスベニおみやです。
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