お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
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「お姉ちゃんは、蒼玻くんを取り戻したい、そのために旅に出たい、あってる?」
「ええ。」
「…お姉ちゃん、自分が何言ってるか、わかってる?」
「もちろん。わたくしがこの身体の奥底に閉じ込められるとともに現れ、そして現れたときと同じようにして消えてしまった大切な人を取り戻したい、そう言っていますわ。」
「それがどういうことか…
…お姉ちゃん、奇跡はそう何度も繰り返さないんだよ。
本来死んでいるはずだったのに蒼玻くんが宿って助かった。
蒼玻くんの中で、お姉ちゃんが眠り続けていた。
蒼玻くんと同時に死ぬはずだった肉体に復活できた。
…蒼玻くんの痕跡はもうない。ないんだよ?
お姉ちゃんがあの時トキトビ島で死ななかった、あそこまで仲間を集めて無事にお姉ちゃんを連れてきた。
…そして、お姉ちゃんをよみがえらせた。
蒼玻くんは、彼は、もう死んだ人で、あそこで天命を果たした。
…消え去るのが役目だったんだよ…
ひとつの身体に魂は2つも宿れない。死んだ人はよっぽど生き返れない。
このフロックスセンタービルまでの帰結をすべてひっくり返して蒼玻くんを呼び戻す、そんなことは...!」
「ええ、鮮明でないとはいえ、わたくしはすべて見てきましたわ。
だからこそ、わたくしは蒼玻君を取り戻したい…!例えそれがどんなに摂理に、条理に反していても!」
「お姉ちゃん、私はそれが、お姉ちゃんのためになるとは思わない。
どんなに旅の間、お姉ちゃんのことを心配していたか、わかってる?蒼玻くんに当たったことも、夜ひっそり泣いたことだってある!お姉ちゃんのためとはいえ、危険なことにお姉ちゃんの身を晒すんだから!
それに蒼玻くんを呼び戻したら、もう一回入れ替わりにお姉ちゃんが消えちゃうかもしれない!同じ身体に魂は2つ現れないんだよ!?わかってる!?
だいいち蒼玻くんが本当によみがえるのかすらわからない。お姉ちゃんが植物状態になって肉体を蒼玻くんが動かしていたように、蒼玻くんも外に出られないだけ...そうじゃないって、最新医学もシャンデラも言ったんでしょ?
社会的にも、私たちはまだ安定してない。グループも家もまだまだ薄氷を踏んでる。社会的にしなくちゃいけないことだってまだまだある。
あるかないかもわからない希望的観測にすがって、家を傾けなすべき義務も放り出して、再び危険に身を晒して、それで最終的に選ばなきゃいけないのは魂の破滅かもしれない…
私だって蒼玻くんのこと、寂しくないわけない。残念じゃないわけじゃない。お別れだってまだ言えてない…!だけど、だけど...
…ひとりのオトコのためにお姉ちゃんが無謀な賭けに歩み出すのを黙って見ているのは、お姉ちゃんのためになるとは思えない。」
「すべて、承知の上ですわ。
けれどわたくしはそうしたい。そう、心がどうしようもなく叫ぶのです。
アオバ・フロックスではなく、この旅を夢うつつから見てきたポケモントレーナーアオバが、蒼玻くんを好きになって、もう一度会いたいと思うのですから…!」
「私は恋のことはわからない。お姉ちゃんが蒼玻くんをどれくらい大切に想っているのかもわからない。だって好きな気持ちは結局その人だけのものだから。
だけどお姉ちゃんが蒼玻くんを好きなの以上に、私はお姉ちゃんが好き。
そしてお姉ちゃんの未来のために、今のために、無事のために...
…私はお姉ちゃんの旅立ちを、止める。」
「あら、ではつまり…わたくしの蒼玻くんへの気持ちと、カグヤのわたくしへの気持ちで…」
「うん、戦おう、お姉ちゃん。
トレーナーなら目と目が合ったらポケモンバトル。目覚めた時から、こうなる天命だったんだよね!」
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どのポケモンを出すのか、お互い最初から、決まっていた。
「頼みますわよ…」「行くよ、マイパートナー。」
アオバが袖からノブレスボールを取り出し、カグヤがドレスのポケットからノブレスボールを掲げる。
「イーブイ!」「グレイシア!」
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あのイーブイの切り札は「はつげんちょうせい」...進化系の姿を得ることで、事実上自由にタイプを変えられるし、なんだったら8種類の進化系すべての可能性を虚像として出現させることもできるし、BREAKワザはチート級の専用ワザ。
だから、初撃はもう、決めてた。
「ゆきげしきBREAK!」
「…はつげんちょうせい。」
そうだよね、そうするしかないよね、はつげんちょうせいなしじゃちょっと鍛えただけのどこにでもいるイーブイなんだから。進化系のグレイシアに勝てるわけないんだから。
「ふぶき」「…ふぶき」
そう、お姉ちゃんにできることは限られてる。
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ユキコシ在来イーブイが持つ特性「はつげんちょうせい」は、要するに通常のイーブイの特徴「遺伝子が不安定すぎて8通りもの進化をする」がさらに極端になったものである。極度に壊れた状態にある遺伝子は炎に触れたり絆を感じたりと緩い条件で簡単にイーブイを進化させるが、しかし遺伝子が不安定過ぎるために進化状態を保つことすらできず短時間でイーブイへと退化してしまう。
アオバのイーブイは鍛錬と血統によって、「はつげんちょうせい」を使いこなし、想像力だけで好きな進化系へ進化し、さらに実体を進化させず力だけを進化させることで進化系の虚像を出す術を、それを8通り重ねることで進化系の虚像8体を出し戦う絶技を身につけていたーが、どんなに鍛えてもしょせん「はつげんちょうせい」でしかない。先手で極端な環境に置かれてしまった場合、その不安定に壊れた遺伝子はイーブイを進化させ、そして進化系のまま環境が解除されるまで戻ることができなくなるのだ。
(グレイシアとグレイシアのミラーマッチ...えげつない趣向ですわね…)
ただのミラーマッチではない。ハル・ブラシカが「どの進化系としても本当のそれに比べて劣る…進化したてなんじゃから熟練度が0に等しいしの。」と蒼玻に告げたように
-それが証拠に、アオバの、グレイシアになったイーブイは、押されていた。打ち合うふぶきは、一方的にかき消されているに等しい。
「こおりのつぶてですわ!」「ゆきなだれっ!」
先制攻撃すればそれを逆手に取り後手逆撃ワザを使われるートレーナーとしての読み合い、習熟度でもまた、アオバはカグヤの後塵を拝していた。
(ポケモンでもトレーナーとしても劣る…
…まあ、特にいまさら驚くことでもありませんわね。)
「イーブイ、でんこうせっかですわ。」
「ふぶきで抑えて。」
全力疾走するアオバのグレイシアを、吹きすさぶ雪嵐が覆い隠す。未だ身体を冷やされることに慣れないはつげんちょうせいグレイシアは少しずつ減速してしまう。
「スピードスター」「ゆきなだれ」
止まった吹雪の中から星屑が旋回しカグヤのグレイシアへとぶつかっていく。少し遅れて、アオバのグレイシアを包む吹雪が崩れ去った。
純白の雪景色の中、出現した雪山からにゅっとアオバのグレイシアが顔を出す。ぶるぶる首を振って雪を振り払う。雪がキラキラと輝く。
「…お姉ちゃん。諦めて。私はお姉ちゃんのポケモンを必要以上に傷つけたいわけでも、お姉ちゃんに挫折をつきつけたいわけでもないの。」
「いいえ。
お嬢様たるもの、どんな時も欲張りで、諦めが悪くて、そして…
…切り札と行きますわよ。」
グレイシアを押しつぶしていた雪から、金色の粒子が舞い、そして蒸気が上がっている。
「…なるほど?お姉ちゃんらしいよ。」
ゆきなだれで完全に見えなくなっているその瞬間にBREAKワザー空間のオーラリチャージは全然終わっていないのでよりしろさま専用ワザーを用意していたのか…カグヤは自分でも気づかぬ間に笑みをこぼし、そして自らも正二十面体の結晶をポーチから掲げた。
(蒼玻くん、やはり貴方の旅は、今日につながっていましたわ。)「『はんえいのいしずえ』!」
ゆきげしきが作り出す純白のバトルコートがふつふつと蒸気を上げて見る間に溶けていき、雪の下から地面が覗き、そして地面が赤熱していく。
「グレイシア、息を吸って…
…跳んで。」
「イーブイ、打ち出しなさいな!」
ひときわ大きく、アオバのグレイシアが剥き出しとなった地面を叩く。跳び上ったカグヤのグレイシアの真下で真っ赤に溶解した地面がゴボゴボと泡立ち、そして黄金のインゴットが真上、カグヤのグレイシアの腹めがけて勢いよく飛び出した。
カグヤの手から金色の粒子が、形の良い唇からは涼しい声が漏れる。「『ザ・グレイシャル』…」
カグヤのグレイシアが、息を止め、両手両足を大きく広げ、金色の粒子を纏う。
(お姉ちゃん、7おみや巡り成就ってどういうことか、見せてあげるよ。)
インゴットがカグヤのグレイシアの柔らかい下腹部を打とうとしたまさにその時、カグヤの最後のセリフとともに、グレイシアは息を吐いた。
「『オールフリーズ』」
その吐息は、世界が凍る合図だった。
融けて泡立つ地面が、接触寸前のインゴットが、キン!という高い音とともに静止する。
白い霧が湧き出し、あっという間にすべてをホワイトアウトさせる。
静けさに包まれたバトルコート。息を呑んだのは誰だろうか?。
(…霧氷を作り出すワザ、かしら…?)
「…イーブイ、ふぶきで吹き飛ばして。」
返事が霧の向こうから響いたその直後。
キン!再び音が響き、そして一瞬で霧が晴れた。
ふぶきの風によってではない。
完全なる無風のバトルコート、その中央で、スケートリンクのごとく凍結した地面の上に、2体のグレイシアの形の氷の彫像が屹立していた。
「サンゴジュュおみやのよりしろさまのワザ『ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ』…これが、この地方のトレーナー道の、目指す果てだよ。」
ぜったいれいどをも超える、世界を凍てつかせる神の偉業。
(お姉ちゃんにはある?この高みに上ってくる覚悟が。これよりもさらに手強い相手に挑む力が。そしてその、必要性が。)
ー*ー
今まで使わなかったからには条件が厳しいのかしら…けれど、先程は明らかに、発動の瞬間物体の運動をも止めていた…使える状態にさえされてしまえば危険極まるワザですわね。
幸いBREAKワザですから、カケラのオーラチャージが終わるまでは…このバトル中にはもう使われないけれど…これがサンゴジュならカグヤはまだグンジョウポートのよりしろさまのワザは見せていないし、わたくしも持っているワザが4つ、それにウスベニの「ごう・みっかみばん」も…
…届きませんわね。ポケモンの強さも、わたくしの強さも、そしてわたくしたちの境地も。
「グレイシア、ぜったいれいど。当たるまで。」
…いくら命中率が低くても、こちらが凍りついていれば命中まで手も足も出ない…というわけですわね。
「氷を溶かすか砕くしかない、そうだよねお姉ちゃん。でもそれができるワザは…」「いいえ、スピードスター!」
ー*ー
カグヤは絶句した。
まさか自分の姉が、「なかなか命中しないが当たれば一撃必殺」のぜったいれいどに対して「必ず命中するがダメージが少ない」スピードスターで対抗してくるとは思わなかったのだ。
神々しくもバトルを支配する「ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ」の威力はチートを突き抜けたもので、なんとこおりタイプか天候耐性持ちでなければ範囲内すべてが一撃必殺されてしまう。しかし一撃必殺範囲攻撃というふざけた性能はローコストでもローリスクでもなく、もしこの世界がゲームならばネタ配信でしか使われないであろうワザなのだ。そのデメリットの一つとして、凍りつくのは敵味方限らないどころか発動者自身をも含める、ということがある。
自らを包む氷を打ち破る術に乏しいグレイシアにとって、一度氷の彫像となった今取り得る選択肢は、あがいてなんとか脱出を試みるか、氷越しに攻撃するかであることは確か…なのだが。
(…ウソ、だからって、ぜったいれいどで追い詰められてる最中にスピードスター…?)
どう考えてもあがいたほうがマシだ。確率論的に、カグヤのグレイシアが力尽きるより先にアオバのグレイシアにぜったいれいどが当たるのだから。だいたい、一撃必殺ワザを受け続け自らも動けない中で取る行動が「気にせずダメージを積んでいく」であることが並々ならぬ胆力を示している。
尊敬する姉の肝の座りようを舐めていたーカグヤは思った。それに、アオバの顔も見えない氷の彫像の中で、迫る一撃必殺ワザの恐怖に耐えながらもスピードスターを放ち続けるイーブイ(グレイシア)のことも甘く見ていたと。
(それでも変わらない。グレイシアは氷に守られていてスピードスターの威力は弱まってる。ゆきげしきはBREAKワザで使ったからまだまだだいぶ続くし、ゆき天候の間グレイシアの防御力は高いままで、アイスボディの回復も効き続ける。それにスピードスターはいずれ私のグレイシアを包む氷を砕き、むしろ助けることになる。
まだ、私の勝ちは見えたままだよ、お姉ちゃん)
氷の彫像を星屑が削るさまを眺めながら、一撃必殺のビームが見当ハズレの方向へ飛んでいくのを見ながら、カグヤはそう心を落ち着かせた。
そしてすぐに気がついたー何かおかしい。いくらなんでも、今自分のグレイシアに攻撃することがむしろ氷を砕き救出することにつながらないと気づかないはずはない、と
。
(お姉ちゃん、何を考えて…?)
直後。
アオバのグレイシアを包む氷が弾け飛び、中からグレイシアが宙へと舞った。
「えっ…」
(そんなはずは…!だって凍りついた中では身体はほとんど動かせないしグレイシアじゃ熱出して融かすこともできない!どうやって…!?)
「肉を切らせて...
…骨を断つのですわ!
ワカナエおみやのよりしろさまのカケラ。蒼玻が命を費やした大乱で、オリザぐうじから授かったアイテム。それが、アオバのグレイシアに8条のレーザーを放たせる。
束ねられた8条が、氷の彫像を貫く。爆発とともに氷晶がはじけ飛ぶ。
爆炎の中から、凍り付いたバトルコートを後ろへ滑り、足を踏みしめて制動ーカグヤのグレイシアが見つめる先に、アオバのグレイシアはゆっくりと降り立った。
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やっと、睨み合いのシチュエーションへ持ってこられましたわ。
わたくしの、「スピードスターを自分へも」という意図がイーブイに伝わるか、そして伝わったとしてカグヤに妨害されないか、そもそも氷を割る手段として有効なのか…すべては賭けでしたが、氷漬けの対策としてやはり正解でしたわね。
「でんこうせっか!」
「ゆきなだれ!」
来ますわね、後攻必中ワザ!
「イーブイ、はつげんちょうせいですわっ!」
「使えないはずっ...!?」
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アオバのグレイシアが、電光とともにカグヤのグレイシアへ突進する。
凍結したバトルコートを数m滑って止まり、カグヤのグレイシアは背後を振り返った。
すでに、相手の攻撃をトリガーとして発動する「ゆきなだれ」の雲が湧きたっている…だが、肝心の
はつげんちょうせいは極端な環境下では発現させられる進化先が限られるーだが、「自らが進化することで得る力」のみを発現させることで進化先の虚像を生み出す極意も、はつげんちょうせい自体の発動キャンセルも、使えなくなったわけではない…「半分だけはつげんちょうせいを解除し、再発動して、新しく得られた進化先の力は自分の変化ではなく外側の虚像として出す」...ような無茶苦茶が、理論上では可能なのだ。この場合、傍からは2匹に「かげぶんしん」したように見えるが、本体も虚像もグレイシアとしての力を半分ながらも持っているためしっかりワザを出し威力もある。
「イーブイが初めてはつげんちょうせいの極意に目覚めた時、わたくしもいたのですわよ?
ふぶきに身を隠しなさいな!」
雪雲が崩壊し、アオバのグレイシアの片方を襲う…直後、2匹ともが吹雪に包まれて見えにくくなる。
(...吹雪に隠れたらどうせ見えないのに2匹に増えたのはなんで?「ゆきなだれ」を1/2で避けるため?本当にそれだけ?)
吹雪の渦がだんだんカグヤのグレイシアへと迫ってくる。
「…とりあえず、こちらもふぶきで吹き飛ばして!」
纏い渦巻くふぶきと、吹き付けるふぶきー二重の吹雪が、アオバのグレイシアとその虚像を完全に覆い隠す。そしてカグヤのグレイシアのふぶきの威力が勝り、視界を晴らそうとしたまさにその瞬間。
「スピードスターで迫るのですわ!」
渦巻く吹雪が星屑に変じ、吹き付ける吹雪に逆らっていっせいにカグヤのグレイシアへと殺到した。
(大丈夫、まだスピードスターなら耐える…!)
「ゆきなだれっ!」
ーカグヤに失敗があったとすれば。
それは、吹雪に包まれる寸前のアオバのグレイシアへ、アオバがウィンクしていたことに気付かなかったことだろうか。
吹雪が雪雲に変わり始めたその瞬間、アオバのグレイシアの姿が消えた。
(...虚像!?
じゃあ、本体は!?)
グレイシアの虚像が消えた、何処を探してもカグヤのグレイシア以外にグレイシアはいない…いや。
迫りくるスピードスターがカグヤのグレイシアにぶつかった瞬間、星屑の雨に混じって突進してきた何かに巻き込まれ、カグヤのグレイシアはもんどりうって転がった。
ぶつかってきたのは、アオバのグレイシアー否、グレイシアのサイズではスピードスターに隠れることはできないーはつげんちょうせいは既に解除され、そして、グレイシアの状態とはいえすべてのワザを使用済みだ。
「イーブイ、とっておき!」「グレイシア、早くイーブイから離れて!」
イーブイの周りで、スピードスターよりも格段に大きい、チラチラまたたくいくつもの星が現れる。
もつれあったグレイシアとイーブイの真上では、グレイシアへの直前の攻撃者ーイーブイをターゲッティングしたままの「ゆきなだれ」の雪雲。
雪雲が崩壊し、星々が爆発的に瞬いた。
雪煙の向こう、2体が倒れるのが見えた。
ー*ー
「…相打ち、か…
お姉ちゃん、こんな決着で、いいの?」
「ええ、すべてを出し尽くして、相打ちにできましたから。
これが、わたくしの気持ちですわ。」
「…そっ。
じゃあ、お姉ちゃんは、相打ちを狙ってたんだね、やっぱり。」
「あわよくば、ですわよ。
勝ったからと無理にカグヤにわたくしの意見を押し通したいわけではございませんもの。もちろんそれでもかまいませんでしたが。」
「…ううん、そこまで考えてこの決着なら、いろんな意味で、私の完敗だよ。
お姉ちゃんはやっぱりすごい。私の自慢の…大切な…大切な、お姉ちゃん。」
「…わたくしにとっても、他にやりようもあったのでしょうけれど、辛勝としての相打ちですわよ?」
「わかってる、わかってるから…
…お姉ちゃんが本気だってことも、私と同じくらい強い気持ちだってことも、それでいて私に私自身の気持ちで決めてほしくて相打ちにしたことも、わかったから…
…わかってたから…
…でもやっぱり、心配だよ…嫌だよ…」
-お姉ちゃんを危険にさらすのも、魂の呼び戻しという危険で無茶な試みをゆるすのも。
「カグヤ...」
「それがお姉ちゃんの路だって言うなら、私はお姉ちゃんを支えたい。
お姉ちゃん、私に、力を貸させて?」
「もちろん、よろこんで、ですわ。
蒼玻くんを取り戻す旅、始めますわよ!」
「ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ」(サンゴシュおみやよりしろさまの専用ワザ)
ユキコシに於いて、ぜったいれいどよりも絶対的なこおりタイプ最強ワザ。ただし発動条件は厳しく、さらに複雑な戦闘に向かない。
発動条件:天候が「ゆき」かつ相手よりも後手
効果:発動中のすべてのワザをキャンセル、「世界を凍り付かせる」。ホワイトアウトに包まれた中で次に相手が行動した時に、過冷却状態の霧が一斉凍結し、バトル参加者のすべてを氷の中に閉じ込め、こおりタイプ及び天候耐性持ち以外をひんしにする。
一撃必殺範囲攻撃ではあるが以下のようにデメリットも多く、また対策されて当然であるため使いにくい。
・こおりタイプの手練れがいれば警戒されるので天候塗り替えで阻止されてしまう
・こおりタイプはひんしにならない、かつ自身含めてすべてのポケモンが凍り付くため、多数戦闘の場合は相手の無事なポケモンや追加投入されたポケモンにより凍結中の自分のポケモンがタコ殴りにされかねない
・一斉凍結が発生した場合は凍り付いてひんしにするが、すばやさが速い場合ほのおワザによって凍結よりも早く過冷却霧を加熱すればまぬがれられる