お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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HP攻撃特攻防御特防すばやさ
キュウコン73768175100100505
キュウコン(アローラ)73678175100109505
キュウコン(ユキコシ)7376907510091505
ユキツヌシカミ939611085120101625


ユキツヌシカミの特性:ごうせつ/えいきゅうひょうが

 ごうせつ:「ゆきふらし」のパワーアップ版。場に出ると天候がおおゆき状態となり、おおゆき状態が終わった時に自動で相手のポケモンすべてにゆきなだれが必中する。

 えいきゅうひょうが:フィールドがアイスフィールドとなり、場に出ている限りアイスフィールド状態が維持される。


 「事実上の神格(デファクト・レジェンド)」、定義をはっきり決めていませんが、コライドン・ミライドンが本来は「珍しいモトトカゲ変種」だったのにパルデアを救い伝説の名にふさわしい存在になったようなものなのかもしれませんね。(「神格」を「グラードン・カイオーガよろしく天変地異を引き起こす者」と定義するなら、デファクト・レジェンドとは「ちょっとかわった普通のポケモンの出でありながらも成長とともに力を身につけ、天変地異を起こせる地位に手をかけた者」か)


#57 最強の時限VS最強という限壁_When&With?(上)

ー*-

 

 ーサンゴジュおみやよりしろさまの ユキツヌシカミが しょうぶをいどんできた!

 

 「お姉ちゃん、がんばれー!」

 

 「うぅ、えっと、さっきは、その」

 

 「気にしてませんわよチューリップさん。それに貴女の言葉が拙くても/どっちも応援したいと言うのは察せられるからな。

 

 さて、どうするか…」

 

 ユキツヌシカミは姿こそ大きく神々しいユキコシキュウコンだが、しかし「頑張れば勝てる」などというシロモノでは明らかにない。

 

 名前からして、雪津神であり国主神なのだ。ユキコシ本草学はよりしろさまを伝説どころか変種としてすら認めていないが、しかし実際にはマイイカヅチやカミツラオロチと同じく事実上の(デ・ファクトな)神格ポケモンと考えたほうがいい。

 

 ”「好きなように、戦ってよいのですよ。」”

 

 ムゲンダイナとまでは言わずとも、土着神として、それこそザシアン・ザマゼンタほどの強さはあると見たほうがいい相手ーそれが、ユキツヌシカミ。実際に、イベルタルBROKENにとどめを刺したのもマイイカヅチであった。

 

 「好きなようにったってねえ…」

 

 並のポケモンでどうにかなる相手ではないなら、答えは一つしかない。

 

 「…準備と覚悟は、よろしくって?

 

 /ああ…できてるさっ…

 

 「ディアンシー!」」

 

 すでに数体の伝説ポケモンに挑んだ実績のある、ピンクの輝きを煌かせる姫。

 

 ”「なるほど、まぼろしのポケモン…それもかの盟約のディアンシーですか…あの時以来ですね…」”

 

 ”「私、ただのまぼろしではありません。

 

 歴代の御先祖様とも違います。

 

 アオバさん、蒼玻さん。」”

 

 指輪に嵌められたキーストーンが虹色に光り始める。

 

 「誇り高き俺達の燦然、誰にも超えられはしないさ!

 

 /直視すること能わざる高貴なる輝きに、ひれ伏すのですわ!

 

 デュアル/メガシンカ!」

 

 二重の絆が、ナノダイヤとピンクオーロラとなってディアンシーを彩った。

 

ー*ー

 

 チートにはチートをぶつけるんだよ!なんて言っても、こちらには限界がある。

 

 イベルタルに(ムゲン)ダイダイオウドウに(ムゲン)ダイウーラオスにムゲンダイナに(ムゲン)ウールー…そのたびにデュアルメガシンカが切り札になってきたし、その限界が足枷になってきた。

 

 だから俺とアオバちゃんは、毎日、基礎トレーニングもしてきたしメガシンカもデュアルメガシンカも繰り返してきて、多少は鍛えた。だけど、二重に重なる魂に同時に負荷をかけた結果として魂に軋むようなダメージが入る、この問題を根本的に解決できたわけじゃない。

 

 (短期決戦でいくしかありませんわね。ジオスケールを使えばますます長続きしませんし。)

 

 それにせいぜい3回しかジオスケールは使えない、時限のチートだな…

 

 ー*ー

 

 -ユキツヌシカミは 凍風をはなち 聖山の神気が 下界を浄める! 

 

 ーユキツヌシカミの ごうせつ!

 

 ー大雪が降り注ぐ!

 

 ーユキツヌシカミの えいきゅうひょうが!

 

 ーフィールドは 凍てつくアイスフィールドになった!

 

 スケートリンクが吹雪に包まれ、当然のように床面は凍りつく。ユキツヌシカミは早くも雪の中に姿を消した。

 

 (これでは手のつけようがありませんこと?/一回目のジオスケール、使うか…?)

 

 ”「そう、しましょう。タイミングをあわせますよ!」”

 

 -デュアルメガディアンシーの ダイヤストーム・アクセラレーション!

 

 天候「おおゆき」と言えども結局は「ゆき」「あられ」の激しいバージョンに過ぎず、天候状態の時間制限を受けるー「ごうせつ」は「おわりのだいち」「はじまりのうみ」ではないのだ。従って、時間加速能力であるアクセラレーションの領域に巻き込めばおおゆきは終了する。

 

 たった数マイクロ秒ではあるがジオスケール発動の負荷は大きく、蒼玻/アオバの息は荒くなった。しかしそれでもおおゆきはやませなければならない...「ゆき」状態で発動する確定一撃必殺ワザ「ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ」は何を隠そう、サンゴジュおみやよりしろさまユキツヌシカミが配るBREAKワザだからだ。

 

 ダイヤの旋風に巻かれ、ユキツヌシカミが何本か毛を散らす。

 

 しかしまたデュアルメガディアンシーも、そのダイヤの表面にかすり傷がついていたーアクセラレーションは一見すれば時飛ばしの能力だが実体は時間加速、「おおゆき」を終わらせたぶん、終わるまでに受けるはずだったダメージの一切を一瞬で受けることになる。さらには、豪雪の期間終了した後必ず起こる現象…ゆきなだれをもだ。

 

 「なおさら時間をかけられないな...

 

 ディアンシー、近接戦で行くぞ!」

 

 一筋のピンクの輝きが鋭利に伸び、剣を成す。

 

 ーデュアルメガディアンシーの ラディアント・レイピア!

 

ー*-

 

 無茶だーだいぐうじチューリップは、バトルが始まった時点ですでに確信していた。

 

 よりしろさまと呼ばれる個体は、コンジキおみやのラッタ(彼らは個体ではなく個体群全体を一つのよりしろさまとして定義される)を除き、すべて元となる通常個体がいて、それに対するぬしポケモンだーそう言うことになっている。

 

 「でも、よりしろさまは、ただのキュウコンじゃない...

 

 ...人の身で勝てる相手じゃないって...」

 

 メルメタルに対するキンノコブシ、フライゴンに対するサジンノリュウ、カミツオロチに対するカミツラオロチ、ムウマージに対するサマヨウミタマ、ライコウに対するマイイカヅチ、そしてユキコシキュウコンに対するユキツヌシカミ...それはスペックとしてメガシンカ並の強化であり、しかして、それだけではない。

 

 「よりしろさまは雪山を支配し氷河そのものを作り出す、最強の存在...神格にあらずして事実上の(デファクト)神格(レジェンド)に列せられた、そういう存在...

 

 ...人の子が、たかだか珍しいだけのまぼろしのポケモンと代々盟約を結んで、抗える存在じゃない...」

 

 畏敬に満ちた震え声ー今だけは、カグヤと蒼玻/アオバの2人いや3人がスケートリンク内にいるのにもかかわらず、人見知りもそっちのけで饒舌に言葉が流れる。それくらいに、畏れ多いことなのだ、ユキツヌシカミに挑むという事は。

 

 「いやチューリップさんビビりすぎじゃない?

 

 グンジョウのトチュウぐうじはもっと...」

 

 「マイイカヅチさまはユキツヌシカミさまと同等の存在だけど、トチュウさんともども『責任』に脳みそを焼かれているので...」

 

 歴史が記録されていない時代から先住した2体とは異なり、数百年しか生きていないはずのサマヨウミタマやキンノコブシにすら、ぐうじたちは一歩引いて、敬意を払っていた。毎年代替わりするサジンノリュウは例外だが。

 

 「…あー…私はワカナエ育ちだから…

 

 ...ほら、ワカナエぐうじってさ...」

 

 「…あっ、わかる、暑苦しいよね。あれ先代が物心ついたころからそうだったらしいよ…」

 

 「カミツラオロチは気に食わないことがあると暴れる荒神だしぐうじは根性熱意馬鹿だから相性はあうんだろうけど...」

 

 -畏敬の念とかなしに拳で語り合ってわかりあってそう...

 

 「ま、まあとにかく!

 

 確かによりしろさまは偉大だよ?でもそれってさ、結局『強さ』じゃん。」

 

 「…えっと、カグヤさん、何を...?」

 

 当たり前すぎる。強大だからこそ、あふれ出した強さがBREAKオーラとして周りに授けられ、そうして信仰されるに至ったのだから。

 

 言うまでもないことを、なぜ隣に座る次女令嬢は言ったのか...?

 

 「決まってるでしょ。

 

 最初から言ったじゃん。

 

 『人と人、人とポケモンがつながることで生まれる強さ』を見せてあげるって。

 

 負けないよ。

 

 決して神の御業にも劣らないよ。私のお姉ちゃんと、お姉ちゃんが認めて、私が認めざるを得なかった男は。」

 

ー*-

 

 ピンクの剣が激しく、閃光を引き結ぶかのように何度も何度もユキツヌシカミに迫るーだが、そのどれも、届いていない。

 

 つららばり?そのように見える氷の針がいくつも空中に現れ、最高硬度を誇るはずのダイヤの剣と斬りあってしのぎを削っているのだ。サイコキネシスで操られているがよろしく、誰にも握られることなくである。

 

 (...ワザでは、ありませんわね…)

 

 ”「よく、わかりましたね。」”

 

 あっさりユキツヌシカミは手抜きを認めた。そうなのだ、浮かび斬り結ぶ氷剣はつららばりでもサイコキネシスでもなく、漏れだした冷気で形成された氷晶がこれも漏れだしたサイコパワーで操られている程度の、そう、手品のようなものだ。

 

 ”「そうです。人の子よ、私は手を抜いています。

 

 本気では戦いませんし、読心も使いま」”

 

 (いいえ?

 

 それでは、読んで戦えるものなら戦ってみなさいな。)

 

 アオバはあえて、心が読めることが知られているよりしろさまを、挑発した。

 

 「ディアンシー、斬りこみなさいなっ!」

 

 (アオバの指示はブラフ!下がってムーンフォースだ!)

 

 ユキツヌシカミが氷剣を動かし、ダイヤの剣を迎え撃とうとする、その鼻先へ、月光を集めたビームが撃ち込まれた。

 

 ”「な...」”

 

 自らの読心能力、はてやま三神ことユクシー・アグノム・エムリットから授かったはずの能力が破られ、読心結果に反する動きをされたーユキツヌシカミがささやかながら動揺する。

 

 ”(私が、心を読み間違えた?ならばもう一度...)”

 

 (続けてもう一度ムーンフォースですわ!

 

 /氷は取り除けた!上段から斬りこめっ!)

 

 ムーンフォースを受け止めようと、分厚い氷の盾を真正面に生成する...だが、がら空きになった真上から、ダイヤの剣を握ったデュアルメガディアンシーが舞い降り、その背を斬りつけた。

 

 「貴女、わたくしの心は読めても、わたくしたちの心が読めるわけではない、そうですわね。」

 

 ”「無口なわけではないというわけですか、あなたの中に棲まう伴侶とやらは...」”

 

 斬られた毛をはらりと何本か落とし、ユキツヌシカミはアオバの瞳を睨む。そこに「青」はあっても「蒼」はない。

 

 「サマヨウミタマが蒼玻くんの魂を視れなかったことから、わたくし、せっかくならこれを活用しないかと考えましたの。

 

 蒼玻くんが普通にしゃべるから、てっきり心も読めているものだと驕りましたわね、ユキツヌシカミ。

 

 /そしてお前は、これからはアオバちゃんの心ですら信用できない。裏で俺が指示を出していないことに賭ける博打はできないからな。

 

 ディアンシー!ダイヤストームッ!」

 

 ついでに言えば声による指示もまた信用に値しないー蒼玻/アオバはここに、特性「ごうせつ」に続き、読心能力という2つめのユキツヌシカミのアドバンテージを奪い取ったのだった。

 

 そしてそれはまた、ユキツヌシカミがやっと、本気になってしまったということでもあった...

 

ー*-

 

 ーユキツヌシカミの じんつうりき!

 

 蒼玻/アオバとデュアルメガディアンシーがこめかみを押さえる。

 

 -ユキツヌシカミの ふぶき!

 

 ガクッと気温が低下し、霧...いや、ダイヤモンドダストの発生で視界が不明瞭になっていく。

 

 「薙ぎ払いますわよ!」

 

 -デュアルメガディアンシーの ダイヤストーム!

 

 ピンクのナノダイヤの風が吹く。だが、すぐさま、より強い「じんつうりき」が、トレーナーもろともデュアルメガディアンシーを封じた。

 

 ーユキツヌシカミの つららばり!

 

 -ユキツヌシカミの サイコキネシス!

 

 十数の氷弾が撃ち出され、デュアルメガディアンシーを追い回す。

 

 ティアラ・ヴェールのようにまとうナノダイヤの煌めきが、ほとんどの氷弾を削り砕くが、それでも氷片は飛沫のごとくデュアルメガディアンシーの身体に降り掛かってその身にダメージを与えていく。

 

 (ジリ貧か…!/これが、雪山の化身なのですわね…!)

 

 指示を出す側の蒼玻/アオバとてノーダメージではない。デュアルメガシンカが掛ける魂への負荷、一度のジオスケール発動…のみならず、寒さそのものが、上着をしているとはいえ彼女の身体を凍えさせている。

 

 (こうなりゃ一撃で挽回するしかないぞ!アオバちゃん、時間を稼いでくれ!)”「はい、蒼玻さん!」”(承りましてよ!)

 

 「はてやまの雪の化身と言っても大したことはございませんわね。」

 

 ”「いきなり何を言います?あなたの心には焦りと疲れしか視えませんよ?」”

 

 「ええわたくしはそうかもしれませんわ。けれど、わたくしの相方はどうでいらして?

 

 心も読めない、定石たる天候操作にも失敗した…

 

 今の貴女は、やたらと強いユキコシキュウコンでしかありませんわ!」

 

 そんなことは微塵も思っていない。アオバにこの啖呵を切らせているのは、令嬢として当主として海千山千の大人と舌戦と心理戦を演じられるよう躾けられた17年の人生そのものだ。

 

 ”「よくもまあ。神威の真意も知らぬ人の子が、吐きますね。」”

 

 ーユキツヌシカミの ふぶき!

 

 すべてを、白銀が包む。

 

 デュアルメガディアンシ―を雪が埋め、真後ろの蒼玻/アオバの肩と髪にも雪が積もる。

 

 「神に至れどもしょせんは獣、力で従えることしか知りませんのね。」”「何を...!」”

 

 観客席から氷柱が垂れ、空調が警告音を鳴らす。

 

 呼気は瞬時に白く濁り、睫毛眉毛には霜が育つ。

 

 「もう、限界ですわよ…

 

 ...強がりも...」

 

 ”「でしょう?」”

 

 「ですから…

 

 /…今だぜ、ディアンシーッ!」

 

 ”「まさかずっと時間稼ぎを…っ!?」”

 

 -デュアルメガディアンシーの ラディアント・レイピア!

 

 針のように細く鋭い、光の剣。レーザーよろしく天井まで一気に伸びたそれが、ズンと、猛吹雪の中へ振り下ろされた。

 

ー*-

 

 音すらも置き去りにする光の斬撃に、すべての反応は一拍遅れて発生した。

 

 斬撃の通り道に生まれた真空が突風を起こし、猛吹雪が乱れる。

 

 吹雪に満ちた白い視界の向こうから、照明の灯が差し込む。

 

 そして、白い雪に、一筋の()が混じった。

 

 ”「…最初から、このつもり、でしたか…!」”

 

 「着実に準備していれば対策されてしまいますわ。けれど...」

 

 激昂すればムキになって守りがおろそかになる。雪で視界を閉ざされればこちらの準備が見えなくなる。じっくり準備した一撃を味わわせるに充分だ。

 

 「…崇められるのに慣れ過ぎて貶される耐性がないだろうなと思ってたけど、やっぱりか。

 

 狙い通り、一撃、入れさせてもらったぜ。

 

 今のうちに詰めろっ、ディアンシーッ!」

 

 ”「はいっ!」”

 

 ユキツヌシカミが構えたその時にはもう、無数のナノダイヤのチカチカとしたヴェールが眼前に迫っていた。

 

 ”「なっ、早いッ!」”

 

 大上段に振り下ろされる光のレイピアを、氷の盾を生み出して防ぐ。

 

 激しく素早く繰り出される突きを、氷の小塊でパリィする。

 

 横薙ぎの剣戟を、華麗な雪上ステップで避ける。

 

 2体はまるで剣舞のように、幾度も、光る剣と氷を交錯させる。

 

 ”「離れっ」”「剣を伸ばせっ!」

 

 レイピアの間合いの外に逃れることもユキツヌシカミにとってそう簡単ではない。「ラディアント・レイピア」はディアンシーが剣を作り出すワザであり、ネギガナイトのネギなどと異なってある程度は伸縮するのだ。

 

 「スキを与えてはなりませんわっ!/畳みかけろっ!」

 

 ”「ならば、こうしましょうか。」”

 

 -ユキツヌシカミの じんつうりき!

 

 キリキリ刺すような頭痛に、デュアルメガディアンシーの動きが鈍り、蒼玻/アオバが顔をしかめる。

 

 ユキツヌシカミが、デュアルメガディアンシーから飛びのき、そのレイピアの間合いから逃れる。

 

 ”「そして。

 

 自然の力を。

 

 神罰を。

 

 私はここに代行します。

 

 ザ・グレイシャルワールド」”

 

 ーユキツヌシカミの...

 

 金色の粒子が、スケートリンク中に湧いて荘厳な光でリンクを包む。

 

 (な...!?雪が降っていなくても、BREAKワザを...!?

 

 /蒼玻くん、こうなっては致し方ありませんわ!)

 

 ”「オールフリーズ」”

 

 テレパシーでありながら、その声はあくまで厳かに、脳内を揺らした。

 

 ーザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ!

 

 白い霧、消える音、風一つないスケートリンク...世界が、凍り付いた。

 

ー*-

 

 もしかしたら...一瞬でも、何かを見せてくれるのでは、そうあの令嬢に期待したのが間違いだった。

 

 よりしろさまの権能は、私たちサンゴジュおみやが神に等しいと崇めるその御力は、「雪に支配された世界で生きる」「雪に支配された世界を作り出す」というもの。

 

 ”ザ・グレイシャルワールド(氷河の世界よ)オールフリーズ(止まれ)”...ずっと昔のだいぐうじが付けた大仰な名前だって、決して名前負けしてない。

 

 「無理だよ…」

 

ー*-

 

 氷霧が晴れて、そこには、デュアルメガディアンシーの形をした氷像が立っていた。

 

 光のレイピアも、ナノダイヤのヴェールも、デュアルメガディアンシー本体の強靭な防御力も、すべてを瞬間凍結させる超常のワザの前ではなんの意味もなさなかった。

 

 ぜったいれいどをも超える超絶一撃必殺ワザの前では、普通ならば氷ポケモンと言えども凍結を免れ得ないが、さすがにこのワザの元祖たるユキツヌシカミはその九尾の一部を凍らせるのみで、ディアンシー氷像をじっと睨んでいる。

 

 -それでも。

 

 ”「なんと...まあ...

 

 ...なぜ?なぜ?」”

 

 デュアルメガシンカは解除されていない。氷像の中からは、ピンクの輝きが漏れ出している。

 

 言うまでもなくディアンシーはこおりタイプを持っていない。メガシンカだろうがデュアルメガシンカだろうがタイプは変わっていない。そして「ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ」の効果範囲内では、凍結より早く高熱で自らを温められるポケモン、あるいはこおりタイプでなければ、一撃必殺される...しかしディアンシーは、このどれにも当てはまらない。

 

 ”「なぜ、ディアンシーは、まだ倒れていないのですか…?」”




10000字超えたので上下に切って同時投稿しました。
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