お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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サンゴジュおみやだいぐうじチャレンジのルール

 ・だいぐうじ・チャレンジャー双方ともにポケモン交代可能

 ・BREAKワザ「ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ」使用禁止(チャレンジャーのポケモンを確定一体一撃必殺できるのは不利すぎるため)。

 ・特別ルールとして、アオバ・フロックスはデュアルメガシンカ使用禁止(時間操作(ジオスケール)という神の領域に踏み込んだ御業は通常バトルの範疇を超えているため)。なおこのルールは秘匿される。


#59 最強決定_Who?

ー*-

 

 蒼玻/アオバがよりしろさまユキツヌシカミに敗北しはしたものの、しかし苦々しい判定勝ちを味わわせたスケートリンク場バトルから、一週間が過ぎた。

 

 紅葉が風に舞い、銀杏が道を埋めて異臭を漂わせる季節。

 

 「この前のバトル、ありがとう。

 

 私、前を向けるようになった気がする。」

 

 どこか晴れ晴れとした表情で、サンゴジュおみや「だいぐうじ」チューリップは堂々と告げ、プレミアボールをポケットから取り出した。

 

 「だから、私も、その強さに、挑む。挑んで...

 

 ...超えてみたい。私はまだまだいける、強くなれるって見たいけど、私は強い、誰にも負けないって示したい。

 

 行くよクレベースッ!」

 

 対峙する蒼玻/アオバもまた、静々と、袖の中からノブレスボールを取り出した。

 

 「それの耐久性ならよーく身にしみましたわ/だからもう、リベンジだ、シャンデラ!」

 

 多くのジムトレーナー、そして少なからぬ観客に見守られ、サンゴジュおみやバトルコートで、最強がさらなる強さに挑む戦いは始まったのだった。

 

 ーサンゴジュおみやだいぐうじの チューリップが しょうぶをいどんできた!

 

ー*ー

 

 (わけのわからない超耐久を持つユキコシクレベースには散々苦労させられた。けど、攻略法は見えている)

 

 「のろいッ!」

 

 (固定ダメージで崩す!これしかないっ!)

 

 シャンデラとユキコシクレベースの背に、杭が打ち込まれる。

 

 「…やっぱり!

 

 だったらこっちも速攻!『ひょうがほうかい』ッ!」

 

 シャンデラの真上に巨大な氷塊と岩塊が出現し、崩落した。

 

 だが、そこにもうシャンデラはいない。

 

 「それのタイミングが繊細なのは見ればわかりますわよ。なんせ重ねワザですものね。」

 

 ニトロチャージで加速したシャンデラは、降り注ぐ凍土砂を掻い潜り、時には焼き払ってユキコシクレベースへと接近していった。

 

 「跳んで(ジャイロボール)

 

 ユキコシクレベースが片足立ちとなり、そしてそのまま回転球と化して跳び上がる。…が、その動きは明らかに精細を欠いていた。

 

 「じこさいせいをする余裕は与えてない。だからわかるよな?

 

 いくら耐久力があっても、のろいをかけられてはジリ貧だって…!」

 

 「確かに、私は、攻めるしか、ない。

 

 だけど、じゃあ、クレベースの、本気の攻めに耐えられる?

 

 ひょうざんおろし。」

 

 回転球の周りに、いくつも、いくつも。

 

 それが「かげぶんしん」であるのではないか、誰もがそう疑うほど。

 

 十数の氷塊が、現れては落下し、砕け散りながらドリブルよろしく雪の中を跳ね回る。瞬く間にバトルコートは、雪玉が乱れ跳ねる地獄へ変貌した。

 

 無数の雪玉がシャンデラにぶつからんとドムドム飛び跳ねている。ニトロチャージで加速したところで、身動きままなるようにはならない。

 

 「…オーバーヒートで焼き尽くしなさいな!」

 

 「…ひょうざんおろし、続けて。」

 

 雪玉が減らない。むしろ増えている。

 

 (氷塊を作り出すほうが溶かすより速いですわね。どうします?/アオバちゃん、慌てるな。

 

 慌てるな?/でも打開の手段は…

 

 /先がないのはあっちなんだ。チューリップは『じこさいせい』の隙が欲しいために俺達を慌てさせなければならない/すみません、少しばかりわたくし、クールが足りませんでしたわね!

 

 でしたら蒼玻くん、次に迷い焦るのはわたくしではなく、だいぐうじさんのほうですわ…!)

 

 「シャンデラ、あやしいひかりですわ!」

 

 チラつくきらめきが、跳ね回る雪玉に乱反射し、バトルコート中を照らした。いくらユキコシクレベースが動き回ろうが関係ないー否、むしろジャイロボールで跳ね回るからこそ目を開いていなければならないー光は氷に散乱し、逃れることはできない。

 

 (どうしよう…?

 

 こんらんさせられて、ますます残りの手数は減る、だけど、シャンデラは…けれどただでさえのろい状態、そう長くは…)

 

 わずかな逡巡…そしてチューリップは、ボールを取り出し回収ビームを向けた。

 

 「戻って、クレベース!」「影を踏め、シャンデラ!」

 

 回収ビームは、弾かれた。

 

 「まさか本当に、見ることが、あるなんて...かげふみシャンデラァ!」

 

 ーチューリップが追い込まれたのは、統計的な勝負であり、そして、博打だ。

 

 こんらん状態ならば一定の確率でじこさいせいに失敗し、しかし相手がシャンデラならばユキコシ含むいくつかの地方の一定割合が持つ隠れ特性「かげふみ」で交代に失敗する…そして、のろい状態で継続ダメージを受けているからには、いつかは交代かじこさいせいでの回復をするしかない…いや、こんらん状態で攻撃して自傷ダメージまで追加する余裕はないのだから、一刻も早くどちらかを選ばなければならない。

 

 「貴女、トレーナーとしては最強でも、どうやら天運まで強いわけではなさそうですわね。」

 

 案の定チューリップは選んだ。統計的にずっとマシな手を。こんらんでのじこさいせいの失敗よりは、目の前のシャンデラが隠れ特性「かげふみ」持ちでない可能性を。いや、選ぶように誘い込まれた。

 

 「シャンデラの最初の発見地(イッシュ)じゃ、『かげふみシャンデラなんていたらクソゲー、すりぬけだから許される』なんて言われるらしいな。」

 

 壊れた、そう称されるユキコシ地方だからこそ成立する、無法なレア特性個体。影なき洞窟で育ったヒトモシのみが持つ、影を踏む特性。

 

 「お前は一手打ち間違えたよ!アオバちゃんの言う『戦略的優位、戦力的優位、心理的優位』…心理的に、賭けに追い込まれて、負けたんだ!

 

 /カグヤ曰くの詰み(チェックメイト)というものではなくって?

 

 「ニトロチャージ」ですわ!/だ!」

 

 もはや追加の氷塊は落下してこない。いくら最強のクレベースでもジャイロボールとボールに戻るかまえに加えてひょうざんおろしまで同時に行えない。もうシャンデラに邪魔は入らない。

 

 火球と化したシャンデラが、ユキコシクレベースの雪板の背中に突進し…

 

 …直後に現れた「のろい」の杭が、ユキコシクレベースにとどめを刺した。

 

ー*ー

 

 「どうやら、今度こそ、私の対策、してきたみたいだね…!」

 

 それは、本気を出す宣言。

 

 「来て、バイバニラ。最強にふさわしい、バトルのために。」

 

 次に登場したのは、ソフトクリームが2つ並んだかのようなどこか珍妙なポケモン。が…そのユーモラスな見た目とは裏腹に、能力は凶悪なものだった。

 

 冷気を、身体に突き刺さったストローから吹き出す。空気中の水蒸気が凝縮し、小さな六角形の結晶がちらつく。

 

 -バイバニラの ゆきふらし!

 

 「特性『ゆきふらし』…」

 

 カグヤが呟く。

 

 -雪が 降り始めた!

 

 -降り始めた雪が 激しさを増している… 

 

 「チャレンジの季節は、選べるよね。

 

 あなたたちの、自業自得だよ。

 

 季節は今や、晩秋。ポケモンが雪を降らせなくとも、冬の足音が近づいているのは肌でわかる季節。

 

 -大雪が 降り注ぐ!

 

 「雪のフィールド、あなたたちに越えられる?」

 

 -バイバニラの オーロラベール!

 

 「さっさと焼き尽くせっ!」

 

 -シャンデラの ニトロチャージ!

 

 「続けてアイスフィールド展開!」

 

 -シャンデラの ニトロチャージ!

 

 -バイバニラの アイスフィールド!

 

 -フィールドが 凍りついた!

 

 -シャンデラの ニトロチャージ!

 

 おおゆき、オーロラベール、アイスフィールド。こおりタイプを助けるためにできることすべてを果たした代償に、バイバニラはもはやボロボロ、溶けかけていた。

 

 「戻って。あなたはもう、役割を果たしたよ。

 

 そしておいで、ハルクジラ!」

 

ー*-

 

 明らかにその雪鯨は鈍重だったし、名前もまた「クジラ」だった。

 

 だから蒼玻は勘違いした。相手が鈍足であると。先手を打ち続けられる相手だと。

 

 「ニトロチャージで炒めてやれ。」

 

 凍り付き雪に埋もれかけたバトルコートを這いまわる白鯨へ、真上から、火球と化したシャンデラが体当たりをかまそうとしー

 

 「回り込んで、アクアブレイクだよ。」

 

 ーそして、雪をかき分け跳び出したハルクジラが、水をまとった腕でシャンデラを上から殴りつけた。

 

 「な...」

 

 ふわふわのパウダースノーに、シャンデラが叩きつけられる。

 

 「続けてつららおとし。」

 

 降り注ぐ氷柱。シャンデラが浮かび上がるよりも早く、その腕を押さえつけ、そしてニトロチャージで燃え上がったシャンデラを氷柱ごとアイスブレイクで殴りつける。

 

 (全然、間に合わない...!)

 

 「オーバーヒ」「もう一度アイスブレイク」

 

 3度目のアイスブレイク...あえなく、シャンデラはくすぶることもできずに戦闘不能となった。

 

ー*-

 

 (アオバちゃん、俺のミスだ。

 

 たぶんあのハルクジラ、見かけよりも素早いんだ。

 

 /もともとそういう種類なのか、それとも小細工か...

 

 ...いえ、そう言えば聞き及んだことがありますわ。雪山で出会うポケモン例えばツンベアーやユキコシサンドには、『ゆきかき』という、積雪時にスピードアップするものがあると。

 

 /アイツもそうだったのか...?バイバニラをあのタイミングで出したのはそういうことなんだろうな。

 

 /速度が速い以上、ぶつかり合っては勝ち目は厳しいですわね。/だったら範囲攻撃だな。避けられない状況にして、回り込めないようにして、純粋な威力で殴り合うしかねえ。)

 

 「砲撃戦の時間だぜ、オリセクト!」

 

ー*-

 

 チューリップというかつて孤児だった少女の「最強のポケモントレーナーとしての天賦の才」とは、ただポケモンを従え鍛える才能だけではない。

 

 ポケモントレーナーとして強くなるためには、トレーナー自身も心技体を鍛えなければならない。心技体の心技...頭脳面は、カリスマや道徳倫理、戦術戦略の才能だけではなくもっと基礎的なものも含む。

 

 つまり、蒼玻がユキツヌシカミとの会話のさなかにアオバに語った「サヴァン症候群のような特殊能力」という言葉は、比喩としてではなく正鵠をついていたのだ。

 

 「…知らない、ポケモンだね…」

 

 だから彼女は、かえって、困惑した。オリセクト?そんなポケモンは彼女の完璧なポケモン知識の中に存在しないからだ。

 

 「…カグヤさん、あれは?」

 

 観客席の面々は、蒼玻/アオバとチューリップの言葉が聞こえるわけではない(だからこそ蒼玻は素を出せている)。だがそれでも、透き通るような蒼色の身体と投石器のような甲羅を持つ二足歩行のむしポケモンが、見慣れたポケモン達とは到底異なる異様さを持つことくらい、見ればわかる。当然こちらも困惑し、ジムトレーナーの一人がカグヤに問うた。

 

 「…『オリセクト』。

 

 ある事情(プラズマ団残党が狙ってる)から、あと10年はポケモン図鑑に記載されない、3億年前のまぼろしのむしポケモンだよ。」

 

 同じころ、チューリップもまた、脳内で文献を検索し答えに辿り着く。

 

 「…最近、論文が出てたね。

 

 『アレソプテリス et al. サツキ層群から見つかった肉食性むしポケモン”オリセクト”の復元所見と研究報告について.ユキコシ化石学56号12頁ー14頁.サツキカセキ博物館』、だっけ?

 

 あなたたちの、名前が、共著者に、なってたよ。」

 

 「貴女の情報ギャップがそこで助かりましたわ。

 

 まだ、オリセクトのバトル情報についてはパブリッシュされてませんものね。」

 

 従来ならばポケモンの諸元としてもっとも最初に記録されるバトルについての情報ー威力、耐久力、覚えたワザーの記載が、その報告論文からは抜けていた。博物館館長氏が直接記録しているのではなくあわただしく旅する蒼玻/アオバの報告を記録しているのもさることながら、コンジキ大学のカクミガシ博士が辿り着いた「種族値」という指標に当てはめる作業がまだだからだ。

 

 おかげで蒼玻/アオバは、学術研究協力義務と引き換えに貰ったにもかかわらず、オリセクトのタイプ以上の情報をまだ、秘密にできている。まったくチューリップには運がなかった。

 

 「さあ開幕だ。いわなだれッ!」

 

 首の後ろから伸びるアームがしなり、頭の上にかぶさる甲羅を反り返らせる。

 

 ゲノセクトと呼ばれるはずだったポケモンと異なりこの原種はビームを撃てない。しかしビームの代わりに生み出し投射するのは、こおりタイプ(ハルクジラ)に効果抜群ないわタイプの攻撃。

 

 「っ、そのつもりなら、こっちも、負けないよ。

 

 つららおとしで撃ち返しつつ避けてっ!」

 

 ハルクジラが吼える。降り注ぐ岩塊を雪掻き走り回って避けながら。

 

 そしてオリセクトの真上に、複数の氷柱が出現し、次々と落下した。

 

 オリセクトもまた走り回る。3億年前の世界では飛行できるポケモンの増加に伴って滅びたポケモンだが、地上目標との撃ち合いに於いて撃ち負けるのは古代王者の意地が許さない。

 

 雪上で、ハルクジラとオリセクトは互いに、氷柱と岩塊を交わしながら、白銀のバトルコートに複雑な軌跡を描いて走り回る。

 

 しかし、雪を盛大にまきちらし駆けるハルクジラはたびたび、悶絶の声を漏らしていた。つららおとしと異なりいわなだれは広範囲攻撃、おまけにハルクジラは目が側面方向に寄り過ぎていて前方視界を立体的にとらえることが苦手なぶん、オリセクトよりも射撃照準がへたっぴなのだ。

 

 「だったら、方針を変えよっか。

 

 ふぶきで呑んで。」

 

 おおゆき降りしきる中、ふぶきが吹き荒れた。必中だ。

 

 正面からふぶきに呑み込まれ、オリセクトの甲羅に、肩に雪が積もる。ハルクジラは雪の中に姿を消す。

 

 (おおゆきとアイスフィールドとオーロラベールで防御力はだいぶかさまししてる。まだいける...!

 

 ふぶきを撃ち続けさせれば撃ち勝てるし、おおゆきが終わる前に決着がつく!)

 

 こんなのは早く片付く持久戦だとチューリップが見通したその時、ふいにふぶきの向こうからアオバの声がした。

 

 「オリセクトの記載論文をもう完全に記憶してらしたその才能に敬意を表して、一つお聞きしますわ。

 

 貴女、最近パルデア地方のブルーベリー学園から報告されたパラドックスポケモンについて、ご存じかしら?」

 

 ポケモンにさほど詳しくない「ニワカトレーナー」を自称する蒼玻/アオバだが、パラドックスポケモンについては把握している。フロックス傘下の学園島パーシモンゼミナールのライバルたるオレンジ・グレープ・ブルーベリー学園グループの管轄であるのもさることながら、エリアゼロ産ポケモンについてはCopied_Legend.(ステラー)Emulated_”Terapagos(システム)の時にずいぶんとお世話になった(死にかけた)からだ。

 

 「な、に、を...」

 

 (よもや、論文に記載されたテツノイワオの専用ワザは専用ワザではなくて...!?)

 

 そのとおり、オリセクトもまた、まぼろしポケモンと関係し(ゲノセクトの原種で)本来ならば現代に存在しない(パラドックスな)古代のいわポケモン。ならば同じワザ、使えない道理はない。

 

 「ハ、ハルクジラ、まもって!」

 

 ーハルクジラの まもる!

 

 「情報ギャップまたもやだ!やっぱり天運は俺たちの方が強いな!/未だこのワザの追加効果、ブルーベリー学園では把握されてませんものね!

 

 「パワフルエッジ!」」

 

 (まさか、フェイント効果...ッ!?)

 

 投石穴から、さもビームのように撃ち出された古代の光刃は、おおゆきを吹き払い、「まもる」バリアを透過し、ハルクジラを突き飛ばした。

 

ー*-

 

 「ハルクジラ、お疲れ。

 

 私、まだまだ知らないこと、あるんだね。

 

 わくわくするよ。最強ってプレッシャーでバトルするんじゃない...さらに知れる、もっと私は強くなれる...ッ!」

 

 「バトルジャンキーもいいところだな.../さすがバトルの天才、本性は獰猛ですわね…」

 

 「だいたいわかった、なんて驕らない。もっと知りたい!そのポケモンを、そのポケモンの強さを私はまだ全然、知らない!

 

 ...だから、もう終わっちゃうのが哀しい。寂しい。もったいない。

 

 グレイシア!」

 

 「すでに勝負がついたかのようなこと/ほざくなよ!

 

 いわなだれ!」

 

 -グレイシアの どろかけ!

 

 -オリセクトの いわなだれ!

 

 オリセクトの蒼いボディが、凍土の汚い茶色にまみれる。

 

 グレイシアの白い姿が、凍り付き積雪したバトルコートに紛れていく。

 

 撃ち出された岩塊は、当たらない。

 

 泥で汚れた瞳は、「ゆきがくれ」したグレイシアを、見つけられない。

 

 そうして、ふぶきが吹いた。

 

 ダメージを与えることすらできず、オリセクトは凍り付いて、ドタリと倒れた。

 

 おおゆきは、なおも止まない。

 

 グレイシアは、未だ見えない。

 

ー*-

 

 (...予想より早くなりましたわね/デュアルが禁じ手なぶん楽だけどな。どっちにする?/「最強」に相対すべきは「直視せざる高貴」ではなく「超えられない燦然」ですわよ/じゃあ指示の方任せたよアオバちゃん)

 

 「さあ、行くか...

 

 ...誇り高き俺たちの燦然、超えられはしないさ!」

 

 ノブレスボールが放り投げられると同時に、盟約の指輪が虹色の輝きを放った。

 

 「来るんだね、メガディアンシー...!」

 

 ”「強さという側面でも、私たち、譲れませんから。」”

 

 「そう言えば氷の硬度って、最大でも6しかないそうですわよ。

 

 ダイヤストームですわ!」

 

 -グレイシアの ふぶき!

 

 -メガディアンシーの ダイヤストーム!

 

 吹き荒れ続けるふぶきを吹き飛ばすかのように、ピンクダイヤの嵐が、バトルコートを包んだ。

 

 無数のダイヤは、凍り付いたバトルコートを力技で削り取り、砂地をあらわにしていく。オーロラベールも傷ついていく。

 

 ー大雪が 降り止んだ!

 

 -アイスフィールドが 解除された!

 

 -オーロラベールが 解除された!

 

 (あ、あら強過ぎましたかしら...?/もともとタイムリミットだったんだろうよ)

 

 積もった雪が氷片ごと吹き払われ、グレイシアの姿が砂地にくっきりと現れた。

 

 「さすが盟約のディアンシー、迫力だね…」

 

 「デュアルメガシンカでなくとも二重魂魄は活きますわよ。蒼玻くんはメガシンカに100%力を注げますわ。」

 

 もはやグレイシアを守るものは何もなく、そしてダイヤの渦はグレイシアへと殺到した。

 

 「…はぁ、潮時かな、天候といい。

 

 グレイシア、にほんばれ」

 

 ((え...?))

 

 -ひざしが 強くなった!

 

 ダイヤストームがグレイシアを包み込み、グレイシアは気絶した。

 

ー*-

 

 「さあ、この調子で参りますわよディアンシー!」(引っ掛かりますわ…なぜ「ゆきげしき」ではなく「にほんばれ」...?)

 

 「あ、そうはいかないよ。

 

 私が、先代から教わったことの、ひとつ。

 

 『最強であるとは、犠牲を顧みないことだ』...」

 

 「それ貴女を追い詰めて貴女自身を犠牲にさせる呪いの類ですわよね...」

 

 「…バイバニラ...」

 

 シャンデラにいびられて溶けかかった双頭のソフトクリームが、再び登場する。今にも倒れそうだ。

 

 (また大雪とオーロラベールとアイスフィールドを...?/いやアオバちゃん、おかしい...「ゆきふらし」が発動してない!)

 

 本来ならば、登場とともに冷気を噴き出して雪を降らせる特性のあるはずのブリザードポケモンは、しかし雪粒ひとつ漏らさず、その雪の身体を膨らませていた。パンパンに、そう、はち切れそうなまでに。

 

 「…だいばくはつ。」

 

 その指示で、膨れ上がった白い身体が、光った。

 

 (ヤバっ、ジオスケ/手癖なのはわかりますが今はデュアルではありませんわ!/くそっもう間に合わな)

 

 -バイバニラの だいばくはつ!

 

 閃光が、バイバニラとメガディアンシ―を包んだ。

 

 爆炎の中で、2体のポケモンがゆっくりと後ろ向きに倒れるシルエットが見えた。




チューリップ        蒼玻/アオバ

ユキコシクレベース × VS  シャンデラ 〇

バイバニラ       VS  シャンデラ

ハルクジラ 〇     VS  シャンデラ ×

ハルクジラ ×     VS  オリセクト 〇

グレイシア 〇     VS  オリセクト ×

グレイシア ×     VS  メガディアンシ― 〇

バイバニラ ×     VS  メガディアンシー ×  

チューリップの残り手持ち ?????、モスノウ

蒼玻/アオバの残り手持ち ブロスター、クリムガン、イーブイ
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