お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
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はてやま連峰の東側山麓、フスベ山脈を望む谷間。
ここには、列島では極めて珍しいものが広がっている。そう、氷河だ。
普段は登山客に雄大な自然を見せるはてやま第Ⅲ氷河だが、今日は、氷河が完全に凍りつき、谷間を囲む樹林帯も樹氷に包まれ、あちこちにクレバスができ、氷像がいくつも並び、異様な様相を呈していた。
衛星からは、氷河が拡大したようには見えても、白くしか見えないために異常はわからない。けれど、はてやま山中探索部隊は現地にたどり着き、すぐに理解したーこれはユキツヌシカミが暴れまわった跡であると。
並ぶ氷像の存在と拡大した氷河はきっと、「ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ」で生み出された氷河世界だろう。天候を変え、雪を降らし、氷河を拡げ、ポケモンを凍りつかせ、そんな戦いが、きっとすべてを白く雪で包むような激闘があったのだ、そう誰もが思った。
「…で、よりしろさまはどこ行ったんだ?」
氷河の上を慎重に歩き、探し回り、そしてあるクレバスの隙間の下に、彼らは見た。神々しい真っ白の、ユキコシキュウコンを。
「おーい!」
「おかしい、反応がない…」
「ロープ持ってるぞ!降りる!」
巨大なユキコシキュウコン、これこそよりしろさまユキツヌシカミに違いない…そう思い近づけども、強い冷気こそ感じるが、生気を感じない。
ひとりが、おそるおそる手で触れるー分厚い霜が落ちた。中から、灰色の肌が覗く。
「石、像…」
やはりユキツヌシカミは敗北してきたのだ、それを悟った瞬間、クレバスの外の見張り役が叫ぶ。
「人影だ!
ホープ団に見つかったぞー!」
かくしてこのトレーナー部隊は、敗走の報を発しつつ、はてやま連峰東側山麓をはてやまトンネル西口めがけて駆け下りるはめになったのだった。
ー*ー
「おいたわしや、だよ…」
ウスベニおみやぐうじイチシノが、霜に包まれたユキツヌシカミに手を合わせる。おみやで会った時とは異なり、霊視力を下げるために顔を覆う白い紙は付けておらず、素顔を晒している。
「ふむ…イベルタルに石化されたものの、完全にはされたわけではなく、まだ生命力も冷気も残ってはいる…か。」
コンジキおみやぐうじカクミガシ博士が、寒そうに白衣を重ね着して震えながらも、霜を落としながら各種計器でユキツヌシカミの石像を測定している。
「さあ…
俺達の熱意で!
ホープ団の根性なしどもの目をひん剥かせ!
腐りきった性根の野郎どもを叩き直してやろうぜ!
アップリュー、ダイマァックスッ!」
クレバスの上にいたワカナエぐうじのオリザがダイマックスバンドを握りつぶしながらボールを放り投げる。氷河を砕き、キョダイアップリューがはてやま第Ⅲ氷河に降臨した。
「ヤマタのげきりゅう!」
BREAKワザ化された「きまぐレーザー」が、8条の光線となって全方位を薙ぎ払う。
氷河の周り、樹氷がまとわりついた樹林が、幹を横薙ぎに焼き伐られて一斉に倒れていく。
倒れた木々の中、黒い軍服の人影が、次々と立ち上がった。
「やれやれ…
環境破壊はいけませんねえ…」
木々の向こうから雪を踏みしめ近づいてくる声。蒼玻/アオバとカグヤ、それにグンジョウおみやぐうじトチュウの聴覚野が猛烈に警笛を鳴らす。
「ホープ団…やはり、よりしろさまを倒したここに隠れていたのじゃのぅ!
お主、何者じゃ!」
ヌレバおみやぐうじアテの問いに、姿を見せた男は高らかに。
「私はホープ団空軍中将、アルソミトラ!
ユキコシの簒奪者を排除する者!
古代ユキコシの正統なる後継者にして支配者の名に於いて、貴様らを滅ぼします!
イベルタルッ、BROKEN進化ですッ!」
放り投げられたボールが、黒と金色の粒子をばらまく。
翼が羽ばたきながら金色に染まり上がり、そして、濃厚な「死」「厄」が放出された。
ーイベルタル_BROKENの デスウィング_BROKEN!
「いけません!みなさん、事前の打ち合わせどおりに!」
初手が範囲攻撃の「わざわいのよる」ならば、詰んでいたかもしれない…だが、幸いにビーム攻撃なら回避することができるし、発動中に生まれる隙を突くこともできる。
「はんえいのいしずえです!」「サンドスローイングじゃ!」
キンレンおみやぐうじカンゾウのサーフゴーと、アテのドーブルが、それぞれのおみやで配っているBREAKワザを発動させた。赤熱した砂柱が立ち上がり、イベルタル_BROKENを呑み込む。
視界を失った上に灼熱の砂柱に呑まれ、怒り狂ったイベルタル_BROKENは金黒紫のビームを砂柱の中から吐き散らす。しかし、狙いが定まっていないビームなど、避けられて当然だ。
「今ですわ!
/ああ!」
”「はい!」”
そしてこの隙こそ、9人が狙っていたもの。
「「デュアルメガシンカ!」」
無数のナノダイヤを輝かせ、2重のクリスタルでドレスアップしたディアンシーが、氷河をピンクに照らした。
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「かかれーッ!」「ぶっ殺せーッ!」「皆殺しにして墓前に供えてやれーッ!」
ホープ団のしたっぱ、その数は軽く見積もって100を超えている。老若男女入り混じった集団。それらが樹林帯から駆け出しながら次々にボールを投げてくる。
「言葉遣いがコンプライアンスマニュアル違反ですよ!ゴールドラッシュ!」
「実に逆境だねアブソル...この厄禍を迂転せよ!」
ホープ団が並べる並べる、ラッタ、アーボック、クロバット、カイリキー、マタドガス、ベトベトン、スリーパー、グラエナ、ラフレシア、リザードン、ギャロップ、カメックス、ジバコイル、コノヨザル、マグカルゴ、ゲンガー、バンギラス、ヤドキング、ギャラドス、ユキコシキュウコン、ユキコシサンドパン...その多くがカントー・ジョウト・ユキコシ在来のポケモンであり、3地方境あたりの山岳に2000年割拠するホープ団陸軍らしいラインナップだ。
-サーフゴーの ゴールドラッシュ!
ーユキコシメガアブソルの ディザスターウィング!
黄金コインの津波が氷河ごとポケモンたちを洗い、”あまりにも不吉な黒翼”の幻影が空から迫る。
「儂も、若いもんには負けれんのぅ!
オツユデス、だしをとっていけ!」
-オツユデスの だしをとる!
ユキコシ地方ならではのこのポケモンは、ポットデスやヤバソチャのマイナーチェンジではあるが、しかしそれらが持たない固有ワザによって、タイミングさえあえば、受け止めた攻撃を倍加して跳ね返せる。ヌレバ漆器職人として長年ドーブルの尾に染み込ませたウルシエキスの毒もあり、ホープ団したっぱのポケモンごときに負けることはない。
「マイイカヅチこそ連れて来れなかったが、それは、アンタらを殴るのに
ライチュウ、目にモノみせろ!」
-ライチュウBREAKの グランボルト!
電光の塊と化した金色のライチュウが、電気と等速で駆け巡る。光の筋が見えたその時には、そのポケモンは戦闘不能になっている。
「なんども、なんども言ったんだよ。
警告はしたんだよ。
それでも向かってくるのなら、報いを受けるべきなんだよ!」
-オーロットの ウッドホーン!
氷河を突き破り、無数の木の根が地面から突き出して、ホープ団のポケモン達を縛り上げ、空まで突き飛ばしていく。呪いの樹木に無事に近づくことは、誰にもできない。
「おうおう、みんな、気合入ってんなぁ!
それじゃあ俺らも!熱意と!根性で!意気地なしどもを叩き潰すとするか!」
「最強が、ここに、いる。
常に超えられない盾、常に護り続ける矛として、ここにいる...
...私はそう望まれ、求められて、だいぐうじになったんだッ!
モスノウ、すべて凍らせて。」
ーキョダイアップリューの ダイドラグーン!
-モスノウの ふぶき!
ドラゴンエネルギーの流星群が降り注ぐ。
ホワイトアウトする猛吹雪がホープ団をトレーナーもポケモンも埋め尽くす。
たった7人のぐうじによって、百人を超えるであろうホープ団の数百体のポケモン軍団はあっという間に壊滅に瀕した。
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「あの時と違って、マイイカヅチはとどめをさしてくれませんよ?
さあイベルタル!殺せるまで『わざわいのよる』です!」
アルソミトラは見抜いていた。デュアルメガシンカには制限があることを。
メガシンカの重ね掛け?単独でも負荷があるのだ。二重人格で発動するなど、無謀に近い。
時間操作能力?ディアルガの権能にも等しくセレビィの能力を凌駕するような特殊能力を、デメリットなしに扱えるはずがない。
一方でイベルタル_BROKENは、それ自体が神格であるものを、ユキコシのBREAK力場によって限界を超えさせ、さらにはBREAK力場に課せられた「善意」の枷すらも破壊した空前絶後の最凶ポケモンなのだ。そのスペックに限界はない。
(まあ、おかげで、私自身のポケモンを扱う余裕はさすがにありませんが…)
うっかりイベルタル_BROKENの制御を手放すと墓碑銘に載ってしまう。命令形で指示しているように見えて、アルソミトラはイベルタル_BROKEN...それに、今は表に出していないゼルネアス、このカロス伝説2体を乗りこなすのに苦慮していた。
ーイベルタル_BROKENの わざわいのよる_BROKEN!
闇が、世界を閉ざした。その夜闇はあらゆる生命に、なぜ生物は暗い夜を畏れてきたのかを思い出させた。
死という概念そのものが、デュアルメガディアンシーを、蒼玻/アオバを襲った。
「そんなこと、とうに気づいていないとでも、備えていないとでも、思いまして?」
デュアルメガディアンシーと蒼玻/アオバは、同調するように、それぞれ両手を重ね合わせ、空気を握った。
「…なんだ、その構えは...
...まさか、スシ...!?なぜスシ...!?」
空気が圧縮され、赤熱し、渦を成し、二酸化炭素が絞り出され、プラズマ化し、凝華し、結晶する。
「「3、2、1」」
ーデュアルメガディアンシーの ダイヤストーム・ディセラレーション<
きらめくナノダイヤの竜巻は、その光で「夜」を振り払いながら渦を巻く。
”「へいらっしゃ!」”
回転しながら放り投げられた、見上げるほど高いダイヤの竜巻がイベルタル_BROKENを呑み込む。
ただならぬその迫力に、アルソミトラは慌て、ダイヤの渦をしのぐための指示を出したーダイヤストームはいわタイプワザで効果抜群だし、無生物であるダイヤモンドに「デスウィング」「わざわいのよる」は効かないので仕方がない。
「イベルタルッ!『ぼうふう』で吹き飛ばせッ!」
うまくいくわけがない。
イベルタルの姿がナノダイヤの渦の中に消える。「夜」はもはや照らされ去っている。
ダイヤストームの中では、巨大なピンクダイヤが、ディセラレーションをものともしない回転で回っていた。外側のナノダイヤの渦と内側の巨大ダイヤ、その2つの回転がぶつかり合いお互いを弾き合い、竜巻の中に呑み込まれているイベルタルをモース硬度10の切削力ですりつぶす。
「さあ、くたばりやがれッ/引導渡して差し上げますわッ!」
回転が止まり、氷河中にナノダイヤが飛び散ったその時...
...血まみれのイベルタルが地に落下し、永久凍土を赤く染めた。
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「その様子なら、死んだんじゃない?
/生死を司ろうとも、地球のダイナミズムに比べれば何のことはないはずですわ。」
フラダリもAZもそこまではしなかったしできなかった、伝説ポケモンイベルタルの抹殺ー最初から、フロックス姉妹と7ぐうじの狙いはそこだった。そしてユキコシ地方では、敬意を欠き殺意を顕し威力が届けば、それは起こってしまうのだ。
結果、3000年前と数年前のカロス、そして今年のユキコシに無数の屍を築きあるいは築きあげ、そしてこれからもそうするであろう伝説のポケモンは、ここに、ユキコシ一の名家の名に於いて討伐されたのだった。
「…いえ、ですが、まだ。」
アルソミトラは、流れていくイベルタルの血を、無表情で雪ごと掴んだ。
血糊に染まった水が、冷えて暗紫色になった指の隙間から零れ落ちる。
「少々、私はあなたがたのことを過小評価していたようです。
ですがそれは、あなたがただけでしょうか?
あなたがたもまた、これを過小評価していたはずです…
ゼルネアス、BROKEN進化ァ!」
ボールが、宙を舞い。
ーゼルネアス_BROKENの サンクチュアリ_BROKEN!
金色に染まった鹿神が、金と黒の粒子をばら撒き降臨する。
氷河を染みわたり、空を色づかせる、虹色のフェアリーオーラ...
...そして、何事もなかったかのように、イベルタルが赤い雪を吹き飛ばして羽ばたく。
「イベルタルに依るものだけではない...
ゼルネアスは命を与えます。それが
...いついかなる時に死んだとしても、私たちは墓標の底から生き返る!」
「ゾンビ戦法かよ…
/下品の極みですわね…」
「ハッハッハ...
...勝てば良かろうなのですよォォォッ!」
ーイベルタル_BROKENの わざわいのよる_BROKEN!
「なんでジョジョネタ!?/よくわからないツッコミをしている場合ではございませんことよ!」
ーデュアルメガディアンシーの トリックルーム・ディセラレーション!
再び迫る来る、死をもたらす「夜」。
蒼玻/アオバは、とっさに自分たちを時間減速のトリックルームに閉じ込め、闇が届かないようにした。
「ッ...いや、それでいい/いいえ、これしかありませんわ...」
もう一度ジオスケールを使えば魂の限界が来る。イベルタル抹殺のためにダイヤストーム・ディセラレーションにかなり力を込めているのだから、無理をしても4回目の発動はできない。
ゼルネアス_BROKENを倒すしかない。イベルタル_BROKENをカグヤと7ぐうじがなんとかしてくれる方に賭けて、ゼルネアス_BROKENを倒してゾンビアタックだけは阻止しなければならないーそれが、蒼玻とアオバの総意だった。
”「私は、お2人と、カグヤさんを信じます。
ラディアント...」”
光の筋がダイヤとなる。
地質的規模の現象が、掌の中へ圧縮される。
ーデュアルメガディアンシーの ラディアント・レイピア・アクセラレーション!
投擲されたその細剣は、時間減速エリアを脱出することで「時間加速の二乗」も同然となり、まさしく光の矢となって、ゼルネアス_BROKENへと突き刺さらんとした。
「そうそう、私もグンジョウ原発で懲りましてね。
...ホープ団空軍は、空だけではなく外つ国を担当しますから、新たな力を取り寄せたんです。」
フロックス家を象徴するピンクダイヤに対抗するかのように、アルソミトラは六角形のクリスタルを掲げ。
ーゼルネアス_BROKEN<テラスタル:フェアリー>の ムーンフォース_BROKEN!
直撃された氷河は蒸発し、向かいの山肌はえぐれ、空に浮かぶ雲も流れる。
そして、蒼玻/アオバとデュアルメガディアンシー渾身のレイピアの一撃は、あっけなく月光に呑まれかき消えた。
爆風の余波でホープ団のしたっぱたちも7ぐうじたちもポケモンごと氷河を転がり、谷底に落ちまいと踏みとどまってなんとか、谷上を見上げる。
ーイベルタル_BROKENの わざわいのよる_BROKEN!
死と災厄を象徴する「夜」が、見上げた先には広がっていた。
「そのみょうちくりんな時間操作能力も、もう撃ち止めのはずですよ。
さあ死ぬがいいアオバ・フロックス!」
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ホープ団...自分たちの怒り、ユキコシへの奪還と復仇の念で2000年戦い続け、伝説ポケモンを4体限界突破させたその妄念は、すごいと思うよ。
だけど貴方たちは、あんまりにも、自分に忠実で、そして他人のことを顧みなさ過ぎた。
「これを、待ってたんだ...!
私のお姉ちゃんが、チャンスを引き寄せてくれるのを...!」
フロックス家が今日まで2000年築いてきた絆、私たち姉妹の策、見せてあげるよ、アルソミトラ!
Q:BROKEN進化ってただの「BREAK進化を超えた進化」じゃなくて、相当ヤバイ?
A:BREAK進化がメガシンカ相当、BREAKワザがZワザ相当でそれぞれパワーアップ1とすると、BROKEN進化でパワーアップ2乗、専用BREAKワザで1乗のBROKEN化でさらに2乗、これだけでパワーアップ5乗くらいしてますね…さらにフェアリーオーラとテラスタルを乗算するとバフ7つ重ね掛けでもうムチャクチャ。