お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
~これまでの転生ポケモン令嬢~
現代日本からの転生男子こと蒼玻と、ユキコシ地方一の令嬢アオバ。2人は転生と憑依にまつわる諸問題をやっとのことで解決し、1つの身体を共有する「二重魂魄」そして恋仲として、旅を続けていた。
晴れて7おみや巡り成就者となった蒼玻/アオバ。サンゴジュシティに襲来したホープ団に対して、ユキコシ地方の総力をあげての決戦を挑む。ホープ団のアジトとなっていたはてやま連峰での戦いは激しいものとなったが、雪が降り始めたために解散となり、ホープ団との決着は春へ持ち越された。
ホープ団を倒す鍵となる、伝説ポケモン4体を封じられるだろう神器「あかいくさり」。それを求め、蒼玻/アオバとカグヤは、あかいくさりの現在の所有者であるフロックス家ヒスイ分家の姉弟が留学するパーシモン・ゼミナールを訪れる。しかしパルデア沖の学園で告げられたのは、あかいくさりにはすでにヒスイ分家レプトシフォン・フロックスの婚約者が先約しているという事実だった...
ー*-
パーシモン・ゼミナール学園女子寮内。短期留学生の待遇で受け入れてもらっているフロックス姉妹、その寮室。
「…ってなわけだ。ヒスイ分家と
新聞部部長氏との会話で得た情報を、蒼玻/アオバがカグヤに伝える。
「そうだったんだ、お姉ちゃん、蒼玻くん。
私の方でも調べてみたよ。」
カグヤもまた、学園島のあちこちで噂を聞いて回り、バトルを挑み、情報を集めていた。
「その生徒会長だけど、評判はかなりいいみたい。『王子様』って言われてるね。」
「王子様…?」
「かっこよくて、とっても助けになってくれるから、王子様だってさ。」
「それは立派な生徒会長さんですわね…/だったら応じてほしいもんだな…」
救済合併と引き換えの技術資産取得などとは必要性が比べものにならない。「あかいくさり」をフロックス本家が取得できるかには、ホープ団の伝説ポケモンを封殺できるか…すなわちユキコシ地方の未来がかかっているかもしれないのだ。
「私、レプトシフォンさんに会ってくるよ。」
「俺はアトラスタル社について調べようと思う。学園の中で生徒会長がいい奴なのはわかったけど、次期社長になる会社がどういうところなのか分からないと、奴を理解できないだろ。/わたくしもそれがいいと思いますわ。学生として同胞に優しくても、営利関係がある経営者として、政略結婚の当事者としてどう振る舞うかは別ですもの。」
役割分担として、カグヤが話し蒼玻/アオバが調べるのは適している。蒼玻/アオバは一つの身体に2つの魂が入っているから同時に2つ見たり作業したり考えたりできるが、さすがに2つの会話を同時に話すことはできないからだ。そういうわけで、カグヤは女子寮内を歩いていった。
ー*ー
「レプトシフォンです。カグヤさんですよね。」
フロックス家ヒスイ分家から学園島グランデ・コンティネントにやってきた少女は、涼し気なそしてどこか達観した表情で、コーヒーカップを持ち上げてカグヤに応じた。
「うん。レプトシフォン先輩、でいいのかな?」
先輩だからといって敬語を使ったりはしないー本家と分家の格を自ら軽んじるような真似を、カグヤはしない。それは大切な姉、フロックス家(ユキコシ本家)家長アオバの顔に泥を塗る行為だからだ。
レプトシフォンは頷き、コーヒーをすする。パーシモン・ゼミナール制服のブレザーをきっちり着こなし、ぬばたまの瞳にカグヤの赤いドレスを映しているその姿は、さすがアオバの同族だけあって清楚と可憐を兼ね備えた美少女ぶりだった。
(…まあ私のお姉ちゃんのほうが可愛いけどね!)
「私たちがギンガ団から引き継いだあかいくさりが欲しい…でしたよね。
頂いたメールを拝見して、私と弟、それに救済先のアトラスタル社、その次期社長で私の婚約者のハイペリオン生徒会長で相談しました。それで、残念ながら3つとも、アトラスタル・テクノロジーが欲しい、と…」
「…待って。3つ?ギンガ団は3つもあかいくさりを持ってたの?それにそれなら一つくらい…」
「1つは、シンオウ地方がまだヒスイ地方と呼ばれていた頃、当時のギンガ団が暴れるディアルガ・パルキアを鎮めるためにユクシー・エムリット・アグノムの試練を突破して授かった、正規品のあかいくさりです。」
「その話なら本家の家伝にもあるよ。…あかいくさりは一匹鎮めたところで壊れて、オリジンボールに作り変えたんじゃなかったっけ?」
ほとんど失伝している、アルセウスにまつわるヒスイの伝説物語。けれど、シンオウの名家として当時解決に携わったヒスイ分家も、ユキコシ一の名家として多少なりとも他地方と交流し続けてきたユキコシ本家も、それを把握していた。
「ええ。ですが鎮静のためにオリジンボールに入れただけで、結局は解放しましたから。そして空のオリジンボールはあかいくさりに戻し、壊れているのはわかっていましたが貴重な歴史資産として私たちが保管してきたのです。
ところが十数年前、とても志ある若者が、先代…私のお父様を訪ねてきました。ギンガ団を再興させた、伝説のポケモンの力ですばらしい世界を作りたい、力を貸してくれ…と。」
ヒスイ分家先代当主は若者の言葉に感銘を受け、また家伝でギンガ団=シンオウを救う組織と伝わっていたこともあり、巨額の融資と壊れたあかいくさりを渡してしまった…その若者の名は、アカギと言った。
「ギンガ団は壊れたあかいくさりを解析し、直して私たちに返しました。本当はその時に、お父様は怪しむべきだったのです。」
歴史的資産としてはむしろ壊れたままのほうが価値がある。わざわざ直す必要はない。だからその時点でアカギは怪しかった…が、レプトシフォンの父はちゃんとすぐあかいくさりが帰ってきたことで「あかいくさりを用いる企みなどがあるわけではないのだ」とますます感心してしまった。
「そしてギンガ団は、ユクシー・アグノム・エムリットを捕獲して2つ目のあかいくさりを製造、この2つ目を見本に、1つ目のあかいくさりの修繕で得た技術で材料をトバリ隕石として3つ目のあかいくさりを製造、あかいくさり2本をそろえてディアルガとパルキアを制圧したのです。」
その結果として惹起したギンガ団事変は全宇宙を危険にさらしたが結局は鎮圧された。そして、ギンガ団の後援者だったヒスイ分家は信用が失墜し取引は停止されて散々な目にあい、「贖罪のために、人々を救う運動をしている人間を扶けよう」と考えて当時貧民救済などをしていた新進気鋭の実業家フラダリの支援に乗り出した...が、フラダリはまもなくして闇落ちし「なにを守るのだ?今日よりも悪くなる明日か?」などと言い出してフレア団を設立、大騒動を引き起こし、ヒスイ分家は経済制裁を含む強烈な逆風にさらされることになる…
「ギンガ団の資産はすべてヒスイ分家で接収しました。よって、オリジナルのあかいくさりの他に、アカギが湖三体から作り出した新あかいくさりと、トバリ隕石を材料にした複製あかいくさりがあります。どれも来歴が異なりますから、アトラスタル社が必要だと考えたのでしょう。」
こうも言われてしまうと、カグヤにはレプトシフォンを止めることができなかった。なにしろ...
「あかいくさりが欲しいという事でしたら、アトラスタルの代わりに私たちを救済する必要があります。そうしていただかねばヒスイ分家は倒産です。
けれど、私たち
本家も、悪の組織への関与をやらかしたばかりなのですから。」
カグヤは閉口した。旧フロックス・ホールディンクス副会長クワズ容疑者が「ラスト団」を作ってユキコシ地方で暗躍し、ワカナエ中心市街を壊滅させるに至った件は、言うまでもなくユキコシの外にも知られ、フロックス家や新生フロックスグループへの国際世論は決して穏やかなものではない...
ギンガ団・フレア団の後援をして信用失墜・取引停止・経済制裁をくらったヒスイ分家&STEAグループを、実務トップがラスト団だったユキコシ本家&フロックスグループが救済合併する?真っ黒もいいところである。この上にもしワカナエ大乱時のゴフク屋との共闘や、ムゲン団との関与が報道されようものなら、姉妹が逮捕されてしまう。
「リスキーな経営を…うん、お姉ちゃんならそれでもそうする。私だってそうする。だけど、今のフロックスグループには無理だね、ヒスイ分家救済…」
ワカナエ大乱の被害とラスト団勢力排除のために、フロックスグループは再編をした。持株会社ホールディングスを解体してその代わりにフロックス家・子会社・自治体が出資する再編公社を置き、現在はこの三者がそれぞれに内部でした提案・決定を三者会議に通す半公社制をとっている…フロックス家がヒスイ分家救済を提案しても、子会社会議と出資自治体協議会がおそらく首を縦に振らないのだ。
「そういうことですから、残念ながら諦めていただきたいのです。もちろん、本家が直接にアトラスタル側と交渉するなら話は別ですが…」
ー*ー
「このベンチャー、怪しいですわね」
カグヤがレプトシフォンと話している間に、レプトシフォンの婚約者側でありヒスイ分家&STEAグループ救済社でありあかいくさり争奪のライバルであるアトラスタル・テクノロジーを調べていたアオバは、十分も経たずして言い放った。
「そうだな。経営規模が一桁違う。」
アトラスタルがいくらグローバルベンチャーとはいえ、シンオウ有数の財閥にはまだ届かない。STEAグループは一連の騒動で株価が低迷しているが、赤字額も少なくはないーなにより、株価が低迷してもM&Aを仕掛けられていないのは、多くの会社が「今ならSTEAグループを安く買えるし子会社を切り取れると言っても、悪の組織関連企業の汚名付きでは割に合わない」と考えているからなのだ。経営体力が大きいわけではないアトラスタルが救済合併に踏み切ったのは、ベンチャーならではの冒険心で片付く話だろうか…?
「アトラスタルに外部から資金提供がされてますわね。わたくしは資本関係を洗いますわ。
/俺は、STEA救済の動きを見直してみるよ。いくらなんでも数年の間シンオウ経済の屋台骨が野ざらしだったのはおかしい。なんだったらウチみたいに公社化する手もあったわけだしな。」
端末を2つ横に並べ、右目でアオバがアトラスタルの経営資料を見、左目で蒼玻がギンガ団事変からのSTEA経営史を見ている。まったく二重魂魄の面目躍如だ。
しばらくしてアオバが顔を上げ…ようとしてやめ、まだ資料から目を離さぬ蒼玻のじゃまにならないように器用に紅茶に手を伸ばす。
(これは、アトラスタルはあくまで走狗ですわね…)
少し経って蒼玻もスクロールをやめる。やはり幼いころから経営者として薫陶されているアオバに比べると時間がかかったらしい。
「これもうクロだろ。
/...もしかして、わたくしと同じ結論に達しましたわね?
/ああ。せーので言うか。せーの...
「投資ファンドGCM」」
さもおかしそうに、蒼玻/アオバはひとしきりくすくすと笑った。
「わたくしから手短に。アトラスタル・テクノロジーがSTEAグループを買収して安定化させる資金は、投資ファンド『ギャラクシー・キャピタル・マネジメント』社から出ておりますわ。それも全額ですわね。
ギャラク...つまりGCM社は、アトラスタル自身に多額の投資、そしてアトラスタルがSTEAを買収するために巨額の投資をしていますわ。
これが『アトラスタルがSTEAグループを手に入れればさらに成長する』と考えての投資ならばいいのでしょうけれど...GCMは企業再生ファンド事業もしているにもかかわらず、低迷したSTEAグループの株を買っておけばアトラスタルが買収した後で高値で売れるのにそれをしていないということは、単純な利益目的の投資ではない可能性がありますわね。STEAを本当に欲しいのはアトラスタルではなくてGCMではないかしら。
/問題は、投資ファンドが利益目的でもなしに投資をする目的だよな。
ところで俺の方だ。STEAを買収しようって動きはアトラスタル以前にもあった。ギンガ団騒動の後では株価の低下をいいことにM&Aで切り取る動きがあったけど、まだこの時は信用が底値じゃなかったからシンオウ財界の支援もあって阻止できてる。
/その、STEAグループのM&A攻撃阻止、わたくしのお爺様もかかわっていたはずですわ。
/だな。まあたぶんそれは、かつてのギンガ団の伝承をフロックス家が知っていたから、あっさり新ギンガ団にヒスイ分家が騙された理由を理解してこその支援だったんだろうけど。
で、だ。フレア団騒動の後はさすがにシンオウ内外からの支援が途絶えた。なにせカロスから真っ先に経済制裁受けちゃったからな。けど、M&Aの動きはあったし、グループが破産すればシンオウ経済危機がありえたから有志での救済案もあったんだ。だけど全部失敗してる。肝心なタイミングでM&Aの裏にロケット団がいることがバレたり、救済しようとした企業がライバル企業へ巨額の増融資をされて株価低迷でそれどころじゃなくなったり、あるいはシンオウチャンピオンのシロナからSTEA救済を相談された銀行が、『物言う株主』によって取締役を挿げ替えられたり...
全部全部、今回のアトラスタル以外全部、最高に最悪な、頭痛薬が欲しくなるようなタイミングで、救済も買収も失敗するんだ。そしてSTEAグループは漂流を続けてる。
/当ててみせましょうかしら。そのライバル企業へ増融資をした会社、銀行の取締役を挿げ替えた『物言う株主』、どちらも同じではなくって?
/ああ、世界的投資ファンド、
投資ファンド
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蒼玻/アオバとカグヤは、パーシモン・ゼミナール学園生徒会室を訪ねていた。
「質問がありますわ、生徒会長、ハイペリオン・アトラスタルさん。」
「アトラスタルなんて家名で呼ばれたのは久しぶりだよ。ここでは対等な生徒同士、名前で呼びたまえ、アオバさん。」
王子様、そう呼ばれるだけのことはある生徒会長は、前世男である蒼玻を嫉妬させるほどのイケメンスマイルで白い歯を見せた。
「そうはいかないよ。私とお姉ちゃんは、貴方の婚約者と貴方のお父さんの会社について聞きに来たんだから。」
カグヤにそう言われ、ハイペリオン・アトラスタル生徒会長は、王子様然とした明るい笑みをすっと絶やし、冷たい声で告げた「みんな、出ていってくれるかな。」
脇で話を聞いていた副会長と会計が「会長、どうしましたか?」と聞くが、「ここからは大人の話なんだ」と一蹴すると2人はおとなしく生徒会室を出ていく。
「…たいした生徒会長ぶりですわね。」
「前口上は不要だ。ずいぶんとかぎまわってくれたみたいじゃないか。」
「あら、わたくしはただ短期留学生としてこの学園のことを早めに把握しておきたかっただけですわ。理事でもありますしね。
それに、せっかく数百年ぶりにヒスイ分家とかかわるかもしれないのですもの。婚約者の顔をうかがっておいても悪いことではないのでなくって?」
「探偵みたいなことをしないでも良かろうに。はあ...
...それで、どこまでわかったんだい?我がアトラスタル・テクノロジーが、ヒスイ分家とSTEAグループの救済の代わりにあかいくさりを欲していること、かな?」
「それは表の話、実態は、投資ファンドGCM社が、アトラスタルに出資金でSTEAグループを買わせて、ヒスイ分家と結婚したアトラスタル家から融資担保としてあかいくさりを奪い取ろうとしていること、ですわね。」
椅子を大きく傾けて、ハイペリオンはため息をした。ため息までもが妖艶な雰囲気を放っており、蒼玻は「イケメンってずるいな」と思う。
「…フロックス家は伝統企業だから知らないかもしれないが、ベンチャー企業ってのはサメハダーと同じでね。
常に泳ぎ回って獲物を探していなきゃ死んでしまうんだ。技術と手腕で成り上がった会社なんて、技術と手腕に負ければすぐ下克上さ。
アトラスタルの事業内容、知ってるだろ?」
「ポケモンバトルコートの設営、だよね。」
観客席バリアやコートチェンジ機能のようなギミックを含めたハイテクバトルコートと、バトルにまつわる用品、それがアトラスタル・テクノロジーを発展させてきた。
「けど、もう頭打ちなんだ。そろそろでっかいスタジアムを作りたい街は減っていてね。
各地でのポケモンリーグ整備がここ数十年であった。リーグが設置されればジム8個とリーグスタジアム1つが最低でも必要で、他にも無数にバトルコートができる。特需なんだ。けどアローラ以後ひとつもリーグは増えてない。ブルベリーグも結局バトルコートの新設に至らなかったしね。」
実はパーシモン・ゼミナールの学園リーグもスタジアム・コートはフロックス家が内製している。カグヤは目をそらした。
「そういうわけで、そろそろ新しいビジネスが必要だ。そしてベンチャーは自己資本が少ないから、新しい投資が必要なんだ。
キミたちの予想は正しい。GCM社は、そういう僕らの弱みに気付いて、我がアトラスタルに出資して、その投資金でヒスイ分家と政略結婚してSTEAグループを乗っ取り、STEAグループがギンガ団から接収したあかいくさりを引き渡すように求めたんだ。」
すべてはGCM社の掌の上、アトラスタル社とヒスイ分家の政略結婚騒動は、GCM社がSTEAグループからあかいくさりを奪い取るためのものだ...ハイペリオン生徒会長はそう白状したのだ。
「でも、心配には及ばないんだよ。
ヒスイ分家の...レプトシフォンさんもミクロステリスくんもこんなこととっくに調べて気付いてる。でも2人とも僕らにすがるしかないんだ。STEAは未曽有の経営危機だし、ヒスイ分家は先代当主が謹慎してまだ10歳のミクロステリスくんが当主だろう?仕方がない。
僕らアトラスタルも、GCMにすがるしかないんだ。そうしなければ他のベンチャーに追いつき追い越されてしまう。
わかるかい、これが大人の社会だよ。仕方がないことは存在するんだ。僕とレプトシフォンさんは、他人にすがるしかない者どうしお似合いなんだよ。」
王子様なんて実態はこんなものだーハイペリオンは独白する。
「仕方がないのはアオバさんにカグヤさんも同じだろう?
あなたがたじゃ、レプトシフォンさんを救えないんだから。GCM社はフロックス本家を一番警戒していたから、ワカナエ大乱でフロックスグループの身動きが悪くなって小躍りしていたらしいよ。
余計な手出しはやめたまえ。僕らは、GCMのカネでSTEAグループを買ってフロックス家ヒスイ分家を救い、結納でもらったあかいくさりをGCMに売り渡す。ビジネス三方よしの精神だ。
そこにGCMのどんな思惑があろうと、それはもう仕方がない。それをどうにかできる実力もカネもないんだから…大人のビジネスとはそういうものなんだ。」
椅子にどっかりもたれ、ハイペリオンは両手を組んだ。その達観した雰囲気は、王子様というより老王である。
すべてが図星ーアオバもカグヤも、ハイペリオンに引きずられるかのように鬱屈となる。
ー転生者は、精神年齢で言えば最年長の蒼玻は、しかし、机をドンと叩いた。
「見くびるなよ?」
「なに?…というか、アオバさん、だよな…?」
「蒼玻…お姉ちゃん、ちょっと」
(蒼玻くん、言葉遣いというものを…それに、何を言うつもりかしら?/じゃあ俺が伝えることをそのまま喋ってくれ。/はぁ…まったく、蒼玻くんったら…
…好き。)
蒼玻/アオバが唐突に赤面して吹きこぼす。
「わたくしは言いたいのですわ。
アオバ・フロックスは貴方が思う以上にすごくて、そして、欲張りなのです、と。
仕方がないで済ませはしませんわよ、あかいくさりも、ヒスイ分家も。」
ほとんど誰もヒスイ時代のことを覚えていなかったのにひとり語り継いできたせいで、アカギなんぞに騙されてギンガ団のバックアップをしたせいで落ちぶれたフロックス家ヒスイ分家とかいうやつ…(ポケモン世界伝統名家ネタやるなら新旧ギンガ団勘違いはやりたかった)
たぶんフロックスなみに伝統あるホープ団は全部気づいてて、そのうえでザマァ見ろと思って眺めてたはず。