お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
ギラティナ、それは反秩序、冒涜、異次元を司りし、埓外の神。
ギラティナ、それは2000年前、ユキコシ地方をその時空根本から破壊し再創造せし神。
ギラティナ、それは…
ー*ー
ユキコシ地方が滅亡するまで、他の地方は避難協力以外の協力を一切しなかった。
薄情だからではない。トキトビ島のユキコシ地方亡命政府は早い段階で世界に告げたのだ…よりしろさまを出してダメならチャンピオンがいくらいようが無意味なので増援をするな、と。
もともとカミツラオロチ、マイイカヅチ、ユキツヌシカミあたりは
ーユキコシ地方が陥ちるようなら、他の地方も、伝説ポケモンを用意しない限り耐えられない。ユキコシのことは気にしなくていいから自分たちの備えをしろ。
大量の難民を出して滅んだユキコシ地方の遺言で、世界が、動き出していた。
ー*ー
ホウエン地方、ルネシティ沖。
ユキコシ地方全域とカントー地方・ジョウト地方の過半を占領し進撃を停止したた古代ユキコシ文明が、みずポケモンにライドし大挙して押し寄せたので、ホウエン地方チャンピオンのダイゴは内心冷や汗をかいていた。
ホウエン地方上陸占領?そんなわけがない。ユキコシ地方臨時戒厳司令部・亡命政府は滅亡までずっと、古代ユキコシ文明の本質は「伝説ポケモンの力を我田引水すること」と伝えていた。ならばルネにやってきた理由は一つしかないだろう。
「…だけど、それはもう、ぼくの手にある。」
べにいろのたまと、あいいろのたま。かつてマグマ団とアクア団はこれによってグラードン・カイオーガを制御し世界の陸地あるいは海洋を広げようとしたが、制御不能に陥って大被害をもたらした末にメガレックウザに鎮圧された。
そんないわくつきのシロモノに、ダイゴは遠隔自爆装置を取り付け、めざめのほこらへ向け掲げた。
咆哮。
「ほう、なかなかやるな、現生人類。」
そんな
「ゲンシカイキだ。この星に住む者として、きみたちはホウエンで一番強くてすごいぼくに、勝てるかな?」
マグマが噴き出し、海面が水蒸気爆発する。
豪雨が降り注ぎ、波浪が巻き上がる。
ゲンシグラードンが海を踏みしめるたび、大地が生まれる。
ゲンシカイオーガが陸を飛び越えるたび、海が呑み込んでいく。
「顕現あれ、ギラティナ!」
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
世界がきしむ音。
ーゲンシグラードンの だんがいのつるぎ!
ーゲンシカイオーガの こんげんのはどう!
マグマと海水の柱が林立し、ギラティナを下方から殴りつける。「ロストインパクト」の黒い閃光によってそれらは樹木となり業火となり雷撃となり晶石となるが、置換されたとて攻撃そのものが消えるわけではなかった。
「やった、か…?」
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の シャドーダイブ!
唐突にダイゴの頭上の空間に亀裂が奔り、数十の黒い触手を引いて、ギラティナが逆落としに突っ込んできた。
「メタグロスッ!」
ーメガメタグロスの コメットパンチ!
鋼の腕が、ギラティナを突き上げるようにラッシュを繰り出す。それでも、ギラティナの勢いは止まらず、ダイゴ目がけ矢のように…
ーメガレックウザの ガリョウテンセイ!
流星が、流れた。いや流星ではない。宇宙から大気圏を割き突進したメガレックウザが、ダイゴに衝突する寸前のギラティナを咥え、もろともにルネの山に突っ込んだのだ。
「…そなた、死ぬ気か?」
いの一番に上陸した
真上をゲンシグラードンとゲンシカイオーガのビーム攻撃が通り過ぎ、山肌に突き刺さったギラティナをメガレックウザごと吹き飛ばした。さすがの
「死ぬ気なのは、きみのほうだろ?」
「…なに?こなたら
「ぼくに、かい?それはそうだろうね。いくらぼくが強くてすごいって言っても、アレは手に余るよ。」
爆発の中から何事もなかったかのように抜け出して、ゲンシグラードンへと黒い閃光を放つギラティナ。それを指差し、ダイゴは言った…そしてそのまま、両の手をヒラヒラと振る。
「で、ぼくを倒して、どうするんだい?」
マグマの柱が黒い閃光を遮蔽し、引き換えとして鉄屑に置換される。メガレックウザはとぐろを巻いて舞い踊り、ゲンシカイオーガは深海から高く空へと飛び上がって無数の水弾を撃ち下ろす。
「…ほう。そなた、神を従えておらぬのか。」
何も無いダイゴの両手を見て、
「ああそうさ!
べにいろのたまとあいいろのたまは、もう2体が呑んでる!
ぼくがたまに自爆信号を送らなきゃ、ゲンキカイキは解除されない。あの2体は心ゆくまで陸地と海を創りあって、世界はしっちゃかめっちゃかになるだろうね。
どうする?せっかく2000年ぶりに復活できたのに、この星と心中する気かい?」
正面切って古代ユキコシ文明に勝てるとはダイゴは思っていない。それができそうならばユキコシ地方は遅滞戦闘で玉砕などせず、ワカナエあたりで決戦を挑んでいる。だけども、いくら凶大な古代ユキコシ文明といえども、地球の消滅までは許容できないし耐えられないだろう…
「ほう、この星を人質にとると。
現生人類も妙な頭が働くようになったな?」
ゲンシグラードンが一歩動くたびにマグマがあふれ、ゲンシカイオーガが羽ばたくたびに波浪渦巻き、メガレックウザが空を突き抜けるたびにプラズマの嵐が吹く。その中央で、ギラティナは悠然と黒い閃光を放ち、あるいは空間の亀裂にもぐる。ルネ島はすでに散々だった。
「負けを認めたまえ。ぼくらは、すっごくて、強いんだ。」
ー*ー
「俺たちが、本家の家督を継ぐなんてな。」
数ヶ月前まで没落まっしぐらだった名家、フロックス家ヒスイ分家の当主たるミクロステリス・フロックスは、いささか自嘲ぎみに、望外に転がり込んだユキコシ本家家督について言った。
「最悪の事態に、なっていなければよいのですが…」
ステラーシステム自爆・ワカナエシティ玉砕の時、アオバ・フロックスとカグヤ・フロックスの姉妹は直前でキタカミ方面へ逃げ落ちる予定とされていた…しかし、オリザぐうじともども現時点まで連絡がつかず、フロックス本家家長・第一継承者は揃って死亡を確実視されている…
…ユキコシ本家家督はアオバの親類縁者が相続すべきだが、クワズが副会長時代に暗殺していたことともともと数代に渡り子供が少なかったことで5親等以内は全滅、それ以上遠いとなるともはや家格を維持しておらず一般庶民だったり、ユキコシ脱出のドサクサで連絡が取れず、血縁こそ数百年以上隔たっているが確かなフロックスの血筋を保ちシンオウで高い家格を持っているヒスイ分家に、ユキコシ本家家督が預けられたのである。
レプトシフォンとミクロステリスの姉弟は、本家家督とその
「…感傷の時間は終わりです。」
やりのはしらのてっぺん。レプトシフォンがこんごうたまを、ミクロステリスがおおしらたまを、そっと地面に置く。
「ああ、そうだな。…嫌になるよ。こんなこともやらなきゃいけないなんてな。」
ギンガ団・フレア団に関わって没落したヒスイ分家、その信用と尊崇の復活を目指しているからと言って、ここまでのことを…新旧ギンガ団の遺産と技術で、新ギンガ団が失敗した「神と呼ばれしポケモンによる世界の救済」をやろうなどと。
「…本当に、やるんだな?」
そこでミクロステリスは、この場にいるもう一人に声をかけた。
「ええ。
ギラティナを倒さなければ世界は終わってしまうわ。
アルセウスを、召喚するしかない。」
シンオウチャンピオン、シロナは、シンオウ神話の極致に畏敬の混じる声で、それを断言する。
「…あのアオバさんとカグヤさんが、いなくなってしまうほどの…相手…ですものね…」
自分たちを救ってくれた2人の令嬢、彼女たちが勝てなかった
「天地しろしめし、虚無き世創りし大御神、アルセウスよ。
招来なされませ、調伏せられませ、世乱せし惑ひ魔餓ち神二たび討ちて、世の正迹示されませ。」
ー*ー
「ほう。
大陸を作りし神グラードン。
海洋を作りし神カイオーガ。
天空を統べし神レックウザ。
…それで、こなたらの1000年を、超えたつもりでいるのか?
そなたら現生人類の2000年に、さほどの価値があるとでも言うのか?」
謳うように、あるいは討たうように、
ゲンシグラードン、ゲンシカイオーガ、メガレックウザの3体が、ギラティナごとアトランティスを睨む。だが、神を下すことに文字通り心血を注いできた文明の男は、怯まない。
「復讐の時であるぞ…」
ギラティナが引き裂いた空間の中から、
「…『失墜』」
ー遠く離れたユキコシ、はてやま連峰
ゲンシグラードンが、ゲンシカイオーガが、メガレックウザが、上から何かに押さえつけられたかのように頭を下げ、四肢を震わせ、そして姿を戻していく。
「2000年も前に、こなたらは神に勝っていた。そなたらが、眠りたる神を喚び興せども、そのすべてはこなたの掌の中にある。」
グラードンが呆けて空を見上げて、カイオーガがぷかりと波間に揺蕩う。レックウザはとぐろを巻いて雲に巻かれる。
ダイゴは「…これは大誤算」と、両手を上げた。
ー*ー
「
フロックス家仮家長、ミクロステリス・フロックスの名に於いて、お前を倒す。」
「このレプトシフォン・フロックスが、恩人の…アオバさんとカグヤさんの、仇をとります。」
「ほう、ほうほうほう…!ここにも、
だが、残念であるぞ。こなたの手で、決着をつけねばならぬのだからな。」
全然躊躇のない声色で、
「ギラティナ、やってしまうがいい。」
空間が引き裂かれ、亀裂の中からギラティナが無数の触手をまとって現れる。
-ギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
「神威を示し奉れ、虚無きの、絶対神よ!」
-アルセウスの さばきのつぶて!
張り裂ける空に、砕ける大地に、降りしきる炎雪に、満ちる霊気に、荒れ狂う星屑に…それらすべてに、神威たる光弾が降りた。
壊されたピースは繋ぎ合わされ、世界の秩序は正される。
ひれ伏したくなるような、神気。聖寂。
ギラティナが、無機質な赤い目に怒りを灯し、天上を睨む。
光輪と後光光輪で2重に輝き、18色の光の十字を無数にまとい、創世神アルセウスは下界のあまねくを照らして煌臨する。
”「裁きの時だ、ギラティナよ」”
ーアルセウスの さばきのつぶて!
光が、天地を埋め尽くす。
「神の時代は終焉り、人の時代ここにあるぞ!」
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクトBREAK!
闇が、天地を引き裂く。
世界がきしみ、治され、概念という概念が悲鳴を上げるーそんな錯覚。
降りそそぐ光弾と、侵し上る黒閃が、空中で打ち消しせめぎ合う。
ふいに、ギラティナ本体の姿が消えた。
ーギラティナの シャドーダイブ!
アルセウスの真上の空間に亀裂が奔り、亀裂から躍り出たギラティナがアルセウスの背へとその身をぶつける…
”「赦しはないぞ」”
ーアルセウスの さばきのつぶて!
神光が四方八方から撃ち込まれ、ギラティナはあえなく吹き飛ばされて、地面へと叩きつけられた。
アルセウスが、軽蔑と憤怒のないまぜになった視線を向けるー
ー「今ぞ、『失墜』」
閉じようとしていた亀裂を、「腕」が、強引にこじ開けた。
龍の巨頭が、霊の巨人が、地の巨人が、翼の巨人が、毒の巨人が、蟲の巨人が、花の巨人が、雷の巨人が、岩の巨人が、水の巨人が、闇の巨人が、氷の巨人が、真に巨なる巨人が、炎の巨人が、力の巨人が、鋼の巨人が、超常の巨人が、妖精の巨人が、アルセウスの背へと落下し、一斉にその巨体の重圧をぶつけた。
18体のレジ族もろとも、アルセウスが地上に墜落し、クレーターを刻む。
晴れゆく粉塵の中、アルセウスはレジ族たちの巨重にしがみつかれながらも立ち上がり、頭を持ち上げ、その瞳を上へと向けて…
…視線が、合った。
ギラティナが、感情のない赤い瞳を向け、アルセウスを見つめていた。
-ギラティナ(冒涜されしすがた)の
銀河が一点に収束するかのような、衝撃。
星々が、またたきを失って虚無を映す。
世界の法則そのものを弓となして引き絞り、
震天そして、アルセウスはその身をぐらりとかたむけ、ひしゃげるかのよつにして横たえた。
レジ族たちが、歓声とともに創世神を思い思いにしばり上げ始めていた…
シロナとヒスイ分家姉弟は、うなだれつつ白旗を上げた。
ポケモン二次創作で「舞台地方滅亡」「全世界が悪の組織に陥落」をやるの相当に無法なんじゃないかと思ってる。なおゲーム化時空でも普通にバッドエンドになります(ただし主人公の敗北のその先を描写しない)。
(レジドラゴ)、レジホロウ、レジアース、レジエアロ、レジポイズ、レジセクト、レジフラワ、(レジエレキ)、(レジロック)、レジアクア、レジダーク、(レジアイス)、(レジギガス)、レジフレア、レジパワー、(レジスチル)、レジサイコ、レジピクシ
レジ族18体。ただし()がついていない12体はコーシーの国がアルセウス「失墜」用に集め復活させていたもの。