お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
悪の超古代文明、古代ユキコシこと
「ムゲンダイナによって自分以外の宇宙の時を加速、宇宙のループを一周させて過去へたどり着き、世界を変えろ」ーそのため、蒼玻/アオバはガラルチャンピオンユウリからムゲンダイナを強奪する「悪役令嬢」となる。
だが、ムゲンダイナを強奪し、時の加速を開始しようとしたその時、筆頭神官
…そして、大好きな姉が世界を救うのを守るため、妹、カグヤは、伝説ポケモン達を掌握する史上最凶の敵、
ー*-
「私が戦う。私が、お姉ちゃんと蒼玻くんの盾になる。」
私はずっと、後悔してた。
頭では理解してる。私は悪くはない。
確かに私があかいくさりでユクシー・エムリット・アグノムを封印したから、古代ユキコシ文明は復活できてしまった。けど、もし封印しなかったら、ホープ団が3神を掌握してた。
3神をホープ団が手に入れた結果、古代ユキコシ文明の復活が起きうるかはわからない。だけど、心を創り操り壊す3神を、あの時、ユキコシ地方と戦争状態のホープ団が手に入れたら、どっちみちユキコシの人々は滅亡してた。だから、あかいくさりを使わなくても、別の最悪が訪れただけ。
ましてあの時の私は何も知らなかった。だから、あかいくさりを投げたのは、悪くない。私もみんなも、そう、わかってる。
…だけど、私だけは、それを認めちゃいけない。私を責めるのを、やめちゃいけない。
「カグヤ…」
「お姉ちゃんと蒼玻くんは行って!
お姉ちゃん、これが私の、
「なら、仕方ありませんわね。/アオバちゃん!?/令嬢たるもの、矜持のため、退けない時がありますわ。
カグヤ、貴女はそれで、よろしいですのね?」
ーうん。私はここで、世界のため、全ユキコシのため、蒼玻くんのため、大事なお姉ちゃんのため、この命を使う。
「例え蹂躙されるとしても、逝くよ、マハリハグルマっ!」
「…なにやら微笑ましく、そして小賢しいであるぞッ!
ギラティナ、ロストインパクトッ!」
「カグヤ/カグヤちゃん、さよなら/ですわ…ッ!
ムゲンダイナ、もう一度、時空そのものめがけムゲンダイビーム!」
ー*ー
カグヤの主観に、勝算はまったくない。最愛の、そして敬愛する姉が、彼女が最高のパートナーと認める蒼玻や、フロックス家の象徴たる盟約のディアンシーと組んで、状況が如何であれど勝てないのだ。並の殿堂入りトレーナーが勝てるわけがない。
けれど、カグヤの客観には、だからこそ、僅かな勝算が残っていた。
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
空間がきしむ不協和音。剥がれたコンクリートの欠片が水となり幽霊となり雷となり毒となり、地面から星空が覗き青空から花吹雪が吹き荒れそよ風は業火となる。
世界の秩序が失われる、絶望的な攻撃。だからこそ…
「マハリハグルマ、ギアチェンジ!」
2000年前、ギラティナが生贄に捧げられしユキコシ地方を破壊し、正気に戻って再創造した時、居合わせたギギギアルのギアの間に時空が、世界そのものが挟まった。そのギギギアルは、
ーマハリハグルマ_BROKENの
空間に、世界にヒビが入る。
世界を侵食する黒い亀裂が太く広がり、いくつにも分岐していく。
「その…力は…こなたらがいた、反転世界への入口…!」
「そうだよ!私たちの血筋が絶望した時に…ううん、絶望の中で路を見つけた時に、
マハリハグルマ、かげうち!」
今まで、マハリハグルマが作れる空間のヒビはせいぜいちびギアが入れる程度の細い「線」だった。しかし、時空が粉砕された2000年前を思い出したかのように、今やそのヒビは「面」となり、縦横無尽に広がり延びる。
「ロストインパクトッ!」
ギラティナが黒い閃光を放つとともに、秩序を失った世界が、時空そのものがマハリハグルマを攻撃する。
乱れ満ちる、猛火、暴風、悪意、龍脈…マハリハグルマはしかし、空間の亀裂の向こうへその姿を消した。
「シャドーダイブだ!反転世界へ追え!」
ギラティナが、黒い触手で空間を裂きその向こうへ飛びこむ。入れ違いにマハリハグルマが亀裂の中から姿を現す。
「グレイシア、おいで!
ゆきげしき!」
「ならばこなたも2体目よ!イベルタル、デスウィング!」
-イベルタルの デスウィング!
イベルタルの絶死のビームが、降り始めた吹雪の中を奔り、グレイシアに命中するー寸前で空間に亀裂が入り、反転世界へと吸い込まれる。
ギラティナが、憎悪を込めた罵声とともに亀裂から飛び出し、一部石化した触手をイベルタルへと振り下ろす。
「グレイシア、ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ!」
-グレイシアの ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ!
戦場を満たす氷霧。すべてが凍りつく。
「それはもう見たぞ。」
ーイベルタルの わざわいのよる!
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
秩序すらなき恐怖の夜は、「氷」を「死」に置換した。
「グレイシア…ッ!」
石像から草木が生え、砂鉄がこぼれ、妖気が溢れ、土屑が流れ去る。こうなってはゼルネアスでも蘇生は不可能で。
「受け入れろ。滅びがそなたの天命よ。」「グレイシア、私もすぐにそっちに逝くからね。
貫いて、ファイアロー!」
ーファイアローBREAKの ぐれんのつばさ!
ーマハリハグルマ_BROKENの ラスターカノン_BROKEN!
金色の飛跡と銀色の光線が、空間の亀裂へと飛び込み、そしてイベルタルとギラティナの背後に開いた亀裂から飛び出し2体を痛打した。
「そろそろ痛いな。ゼルネアス、回復させろ。」
-ゼルネアスの サンクチュアリ!
一度倒れ伏したギラティナとイベルタルが、のっそり、触手と黒翼で羽ばたき、カグヤを睨んだ。
「...ビビヨン、しびれごな。
遅延するよ、少しでも!」
ー*-
「準備は充分、充填120%ってやつだよな、ムゲンダイナ!
/ムゲンダイナ、ダイマックスほうですわ!」
-ムゲンダイマックスの ダイマックスほうBREAK!
膨大なエネルギーが、ムゲンダイビームの無限のエネルギーによる破綻でできた時空特異点に撃ち込まれる。ポケモンに命中すれば無差別にダイマックス・キョダイマックスを引き起こすそのワザが特異点を通じて宇宙そのものに撃ち込まれたなら、宇宙はそのエネルギーで
「始まり…よったのか…!
アルセウス、顕現せられよ!さばきのつぶて!」
ーアルセウスの さばきのつぶて!
「お姉ちゃんの邪魔はさせないッ!マハリハグルマ、亀裂に吸い込んで!」
「亀裂から飛び出せ、ギラティナッ!」
ーマハリハグルマ_BROKENの
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の シャドーダイブ!
思わずひれ伏したくなる
まさにダイブ、ギラティナの巨大な身体が、マハリハグルマの真上に躍り出て、その体重でマハリハグルマを地面へと叩きつける。
むなしく、4つのギアは地面に散らばり、錆屑をまき散らして砕けた。もはや、壊れた歯車は二度と組みあがらない。
「マハリ...」
「ギラティナ、アルセウス、もう一度、今度はムゲンダイナに攻撃であるぞ!」
ーアルセウスの さばきのつぶて!
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の シャドーダイブ!
蒼玻/アオバたちめがけ、光弾が釣瓶撃ちされ、ギラティナが突っ込む。
が。
「「トリックルーム・ディセラレーション!」」
ーデュアルメガディアンシーの トリックルーム・ディセラレーション!
蒼玻/アオバ、デュアルメガディアンシー、ムゲンダイマックスを包み現出した不可思議空間は、内部時間を生物的時間/地質的時間の最大倍率…数億倍まで減速させる。そして、それでなくとももう、ムゲンダイナのエネルギーによって宇宙は加速を開始し…言い換えれば、蒼玻/アオバたちは自分たち以外の宇宙すべてにとって相対的に減速していると言えた。
神威の光弾は減速領域に巻き込まれてほとんど停止し、ギラティナは時間の断裂面が起こす事象の断絶によってトリックルームから弾かれる。
「あえて、転生者らしく言わせてもらおうか。
”『時は加速』する...
ムゲンダイナの権能は、反映されているようだ。
そしてこれは…お前たちに一矢報いるための手ではないし、『勝者』になるための力でもない…
この宇宙の人々を、今度こそ
名を借りるならば『ミシカルワールド・オブ・ヘブン』!」
ー*-
停止どころか、攻撃が時の狭間へ消えていく。
「ちっ...」
時の加速はまさしく加速度的に進行する。
「アンノーン、『失墜』!」
空にアンノーンの文字が呪文を描く。ムゲンダイナが苦しそうにもだえ始める。
「ファイアロー、ヒヲマトウハネ、ビビヨン、突撃!」
ーファイアローの ぼうふう!
-ヒヲマトウハネの ぼうふう!
-ビビヨンの ぼうふう!
青空に広がるアンノーンの文章が乱れた。ムゲンダイナの様子も戻り、時の加速が再開された証にその動きが緩慢に見える。
「ほう…アンノーン、先に、暴風を逆行させよ。」
暴風の風向きが突如として逆転し、ファイアロー、ヒヲマトウハネ、ビビヨンが地面へと叩きつけられる。
無風となった上空で、青空を再び、無数の文字の羅列が覆っていく...
「すてみタックルッ!」
-ウールーの すてみタックル!
カグヤの最期の一体、旅に出た時の最初の一体が、駆け足で飛び出す。
「アルセウス、ゼルネアス、すべて薙ぎ払え。」
ーアルセウスの さばきのつぶて!
-ゼルネアスの ムーンフォースBREAK!
神威でできた光弾は、地面に這いつくばるファイアローを、ヒヲマトウハネを、ビビヨンを呑み込み、蒸発させる。
ゼルネアスが放出するフェアリーオーラを秘めた月光は、ウールーを吹き飛ば…せなかった。微妙に狙いがズレたのだ。
ウールーがポケモンを狙っていたのなら、あるいは命中は確実だった…だが、ウールーの狙いは、イベルタルでも、ゼルネアスでも、アルセウスでも、ましてギラティナでもなく。
「ちぃっ…狙いはこなた自身か!?
イベルタル、デスウィング!
アンノーンは引き続き、『失墜』用意!」
ーイベルタルの わざわいのよる!
イベルタルがドス黒い光線をウールーへと発する。
ギラティナが開いた反転世界への入り口から、バドレックスの小さな像が
ウールーが「デスウィング」のビーム攻撃で半ばまで石化する。耳は石となって半ば砕け散り、ふわふわの羽毛もアスベストのごとく石繊維となって風に飛んでいく。前足すらも石となり…それでもウールーは止まらない。
「イベルタルッ、急げッ!」
ウールーはどんどん石化しながら
これにて、カグヤのポケモンは全滅し、ムゲンダイナへの冒涜的供物とアンノーンの言霊力を手にした
「ふう…
…気を取り直し、唱『失つ」
「お姉ちゃんのために、死ねぇぇぇッ!」
石化したウールーの羽毛が粉々になるーその後ろ、ウールーの影で良く見えなかった部分から、赤いドレスの少女は灰まみれになって飛び出した。
停止した「すてみタックル」の運動量をそのまま引き継いでの、カグヤの全力のタックル…その右手には、銀色に光る、護身用の短剣らしきものが。
「なんと...ッ!」
短剣は、避けなければならないー
ドタン!カグヤの身体が、
「むぐぐ…」
ー「…カグヤ...!」
時の狭間の向こうの呟きが聞こえたはずもないけれど、それでも彼女は叫んだ。
「お姉ちゃん...
お姉ちゃん、蒼玻くん、いっけぇ…ッ!」
それは、ムゲンダイナが行う宇宙への時の加速が、限界倍率まで到達したことの証で。
「ぐぐぐ…!」
全力を振り絞り、半ば石化しているカグヤを砕きながらなんとか押しのけて、
「唱、『失墜』!」
バドレックスの小像が握りつぶされる。
果たして、ムゲンダイナには...何も起きない。
-すでにそれは、遥か時のかなたにしか存在しない者が過去に遺す、残像でしかなかった。いかな神格失墜の儀式といえど、この宇宙の中にしか関与できずー宇宙の終焉の先には関与できないのだ。
「こ、こなたの『愛』が、届かない。だとォォォッ!!!」
-かくて、蒼玻/アオバ・フロックスは、デュアルメガディアンシーの
ー*-
お姉ちゃん、私の、一番大切な人。
物心つく前から私のだいすきなおねえちゃんで。
お姉ちゃんのことを知れば知るほど憧れるようになって。
お姉ちゃんを守れるようになりたい、お姉ちゃんの力になりたいって、旅に出て。
お姉ちゃんが会長になったら右腕になるんだ、お姉ちゃんの伴侶がいなかったら私がなるんだって、ずっとそう思ってた。だから、傀儡になって、狙われてるお姉ちゃんを連れだして。
お姉ちゃんの魂を、一度失われたと思ったそれを、希望にすがって取り戻して。
復活したお姉ちゃんは、やっぱり私の、最高のお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんが決して万能でもないし完璧でもないのは、知ってる。もう私は子どもじゃない。だけど私は、お姉ちゃんを信じてる。
お姉ちゃんはすごいから。だからきっとお姉ちゃんなら...
信じてる。私たちを救ってくれるって。
だけど、例え救ってくれなくてもかまわない。無駄死にしたって悔いはない。
お姉ちゃん、愛してる。
蒼玻くん、私にとって、一番複雑な人。
最初に気付いた時、許せないと思った。でも、本物のお姉ちゃんを取り戻すには、身体の仮初の持ち主だった蒼玻くんをトレーナーとして育てなくちゃいけなくて。
いつのまにか、情が移ってた。それは、蒼玻くんがいつも一生懸命で、命を投げ打っても正しいと思ったことをする尊い心を持っていて、それに。
それに、私が「姉の姿をした者のとなりにいて感傷を慰めていた」っていうのも、あるのかもしれない。
だけど、蒼玻くんを失った時、寂しかった。お別れも言えてないのにって思った。…お姉ちゃんの命には代えられない、お姉ちゃんの命を賭けられないとも思ったけど、でもお姉ちゃんが命がけで蒼玻くんを取り戻した時、お姉ちゃんの幸せだけじゃなくて蒼玻くんの復活もうれしかった。
お姉ちゃんが女として蒼玻君のことを好きなのは、お姉ちゃんの一番を私から持っていったのは、むかつくけど。
でも、お姉ちゃんが蒼玻くんと語り合う時、愛を語る時、とっても幸せそうで、政略結婚しててもおかしくなかったお姉ちゃんを幸せにしてくれてる蒼玻くんに感謝もしてて。
それに、もうきっと、今じゃ、蒼玻くんを失うのも、お姉ちゃんほどじゃないけど、耐えられない、そんな、かけがえない人。
頼りないけど頼りにしてて、許せないけど二番目に気を許してて、嫌いだけど大好きで。
私が、私の一番大好きなお姉ちゃんを託せる、私以外に唯一の人。私にとって二番目に...大切な人。
任せたからね、お姉ちゃんのこと。
お姉ちゃんを、必ず、
絶対、お姉ちゃんに寄り添って、支え合ってくれてよね。
Q:単純にディアルガやセレビィやらでタイムスリップするのではダメだったのか?
A:未来の出来事を阻止するために過去に飛ぶのはタイムパラドックスを解決できていないし、パラレルワールドができようものなら「この世界」を救えない あと、そもそも古代ユキコシ文明がそれらのポケモンを掌握する準備を整えていないわけがない。
宇宙のループを一周する場合はパラドックスにならない(同じ宇宙の過去に飛んでいるが、経路としては終焉の先のさらに未来であって因果がつながっている)し、終焉の先は本来事象が断絶しているので、そこまで逃げてしまえばもはや古代ユキコシの魔の手は届かない。
もっと言えば、古代ユキコシ文明はディアルガの危険性には気づいてもムゲンダイナによって過去を改変できる可能性にすら辿り着いていないので、計画がバレない限り古代ユキコシに後手を取らせられる(だからギリギリで「失墜」の儀式をする羽目になった)