お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~   作:十二の子

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ー*-

 古代ユキコシ文明の指導者、筆頭神官繧「繝医Λ繝ウ繝?ぅ繧ケ(アトランティス)は、蒼玻/アオバが終焉を超えたことに気付いた瞬間、すべてを諦めた。

 左半身が石化していくらか砕けたカグヤの、もはや呼吸の消えた横倒しの死体に腰掛け、考えるー

 ーこちらも時間を飛ばして追随?それをできる無限のエネルギーの供給者(ムゲンダイナ)が、もはや存在しない。

 ー頑張って宇宙の終焉まで生きて終焉を超える?数百億年も革命や滅亡から逃れられる政治体制ではない。

 ーディアルガやセレビィによって過去へ?少々のタイムパラドックスならともかく、反転世界から古代ユキコシ文明が現世に復活するあの時より前には戻れない。タイムスリップの理由が消えるパラドックスのみならず、古代ユキコシが復活できた理由をも消してしまえば何が起きるか想像もつかない。そして復活以後にタイムスリップしたからできることが変わるわけでもあまりない...確実に蒼玻/アオバは復活時点かそれより前に飛ぶはずで、過去改変済みの世界にわざわざリスクを負ってタイムスリップして後手を取られ続けるくらいなら過去改変された世界の過去の自分を信じるべきなのだ。

 それでも、きわめて発達した古代ユキコシ文明の神呪技術を以てすれば、善後策は見つかったのかもしれない…だが、そんな余裕はなかった。

 思考が…いや、景色も、自分の手すら、絶対神アルセウスまでも、薄れ始めている…

 「ああ、世界が、改変されているのだな…」

 消えかかる思考の中で、繧「繝医Λ繝ウ繝?ぅ繧ケ(アトランティス)は最後にそう思った。

 宇宙の終焉の先、宇宙のループを一周したこの世界の過去のいずれかの時点へ蒼玻/アオバたちが到達し、何が起きたのかはわからないがなんらかの影響が及び、その結果「繧「繝医Λ繝ウ繝?ぅ繧ケ(アトランティス)が今この地点で戦っていた」という事象が改変されつつあるのだ、と。

 願わくば改変されても栄華の絶頂のままありたいーそう考える猶予は、さすがに与えられていなかった。

ー*-

 (アオバちゃん。

 俺は、アオバちゃんのことをすごい奴だと思ってる。)

 (なにかしら、やぶからぼうに。)

 (アオバちゃんは、気づいてるんだよな?

 ...俺に限って、巧くいかない可能性がある、って。)

 (もしかして、蒼玻くんは別の世界から来た、魂のフォーマットが違う人間、ってお話しかしら?)

 (ああ。

 俺はもしかしたら、もしかしたら、次の宇宙にはいけないかもしれない。

 俺の宇宙が同じ宇宙をループしているとは限らないし、そうだったとしてもそうでなかったとしても、俺は脱落するかもしれない。

 宇宙がループしていても、俺はきっと、それには含まれないイレギュラーなんだ。)

 (…何を自信なくしてますの?)

 (自信なくしてるわけじゃないさ。

 イレギュラーな存在、フォーマットが違う存在だから、もしかしたら俺とお別れになるかもしれない。

 でも、だとしても俺はアオバちゃんを尊敬してる、信じてる。だから、やり遂げてくれって。)

 (まったくグチグチと長いお笑いですわね。)

 (お笑い?)

 (わたくしはもう、貴方なしでは生きていかれませんわ。

 ですから、イレギュラーだろうがなんだろうが、いっしょに来てくださらないと…「愛の力」なんて、ロマンチックに過ぎるのかしら?)

 (…はは、そんな、物語みたいなハッピーエンドに、なればいいよな。)

 (…です、わね。)

 (…ほら、宇宙が、終わろうとしてる。)

 (絶対に、日はまた昇る。わたくしは確信しておりますわ。

 例え貴方がそうでなくても、そうするのが、貴方の、わたくしを愛する者の天命(ノブレス・オブリージュ)ですわよ。

 もう、お別れの言葉なんて言いませんわ。言わせませんわ。

 (ああ、でも...やっぱり、この宇宙が終わったら、会えるかわからないんだよな、アオバちゃんにまた会えるのか。

 俺はアオバちゃんを尊敬してる。

 だけど...だから...アオバちゃんほど、自分に自信を持って生きられないんだ。)

 (では、貴方が貴方自身を信じられないのなら、貴方が愛するわたくしが信じている(蒼玻くん)を、信じてくださいませ。)

 (アオバちゃんが信じる、俺...?)

 (わたくしたちはきっと、いいえ必ず、もう一度、会えますわ。

 だって、わたくしたちは将来を誓い合ったんですもの。)



#80.5 現、醒めない夢へ時墜ちて

ー*-

 

 全世界を支配し栄華を誇った繧ウ繝シ繧キ繝シ(コーシー)の国だったが、春は永くは続かない。

 

 やがてその恐怖支配は終わりを告げる...

 

 …たかだか数百万(現代ユキコシと同レベルであり、超破格なのだが)の、古代高山文明の人口規模で、数十億人とそのポケモンを完全に帝国主義支配するなど、どだい不可能である。基底現実に於いて、スパルタは約1万の成年男子市民によって約20万の奴隷(ヘイロタイ)を隷属させるために極端な軍国主義を敷いても反乱に悩み、覇権は確立できなかった。ローデシア白人政権は10倍以上の黒人に対して超アパルトヘイト主義を採った結果黒人ゲリラが跋扈し、これに対して主婦が機関銃を持ち歩くほどの重武装とアフリカ随一の軍国主義を採用したものの、アフリカ有数の経済的発展にもかかわらずその軍事的負担・疲弊(と国際的圧力)によって崩壊した。まして時代が2000年隔絶した古代ユキコシ文明にとってすべてが浦島太郎気分であり、例えば全世界を専制支配してなおインターネットを支配できないどころかその存在に気付くのにすら数日かかった。

 

 それでも、アルセウスとギラティナを筆頭に数々の神格を従え、地方のひとつやふたつ一瞬で更地にできるのだから、恐怖による支配はそこそこ続いた...が、繧「繝医Λ繝ウ繝?ぅ繧ケ(アトランティス)の無気力もありそれも続かず、数十年もすればゲリラが頻発し、100年を過ぎたころには植民地支配とは名ばかりの無政府状態地方がいくつも出現していた。

 

 状況に不満を感じた繧ウ繝シ繧キ繝シ(コーシー)の国の青年神官たちが、繧「繝医Λ繝ウ繝?ぅ繧ケ(アトランティス)政権に対してクーデタ―を敢行、あっさり成功してしまったことで一度は立て直すかと思われたものの、伝説ポケモンと「失墜の神殿」を擁する繧ウ繧キ繝弱Α繝、(コシノミヤ)シティがクーデター軍に陥落したことで内部への宗教的権威と外部への恐怖が暴落。相次ぐ反乱に対してアルセウスの濫用とアンノーンの言霊力を用いた源理改変の濫用で鎮圧しようとしたクーデター政権だったが、この世の理を絶対神や言霊で乱しまくって世界が無事であるわけもない。

 

 異常気象、災害…天罰の如く発生したそれらと、勢いづいたゲリラに対し、クーデター政権は「大男総身に知恵が回りかね」状態となり、伝説ポケモンでも何でもないメテノの流星群を自然現象だと見逃した結果無数のいわなだれによって「失墜の神殿」を崩壊せられ神々の掌握不全となり、「復興ホープ団」「新生ラスト団」を名乗る勢力によって繧ウ繧キ繝弱Α繝、(コシノミヤ)シティ含めはてやま連峰を失陥、散り散りに国家崩壊した。

 

 以後、世界は数十年かけて平穏を回復し、古代ユキコシ文明復活から200年後には元通りに各地方が復活、新ワカナエシティにて復興記念祭が開かれる。

 

 その後、文明は発展を開始し、人とポケモンは再び手を取り合い、やがては他の惑星、他の星系に至る。彼らは新たな星で新たなポケモンを見つけ、広い宇宙空間では恒星よりも巨大なポケモンにすら遭遇し、ポケモンによってつくられた文明にすら到達し、それらと仲間となり時には戦いながら、モンスターボール片手に版図を広げていった。

 

 やがて地球が太陽の赤色巨星化によって終わってもなお、この星の人間たちは数多のポケモンを外星系に連れ出して繁栄を続け…

 

 …それすらいつかは終わりが来る。

 

 宇宙の熱的死。増大可能なエントロピーが宇宙から枯渇し、次第に明るい恒星が減り、供給されるエネルギーの絶対量は減り、宇宙の膨張エネルギーに重力エネルギーが勝って収縮に転じ、やがては矮星とブラックホールばかりの縮みゆく宇宙となっていく。それでも人類はポケモン達と力を合わせ、ペンローズ過程によるブラックホールからのエネルギー抽出、ウルトラスペースや反転世界との次元ポテンシャル差によるエネルギー抽出、宇宙の収縮エネルギーによる生命主観時間の加速、なんでもやった。

 

 けれど、人とポケモンが魅せる無限の可能性も、結局は宇宙の中の話に過ぎない。宇宙それ自体の延命ができないこと、宇宙を脱出できないことは摂理だった。アルセウスに新世界を創ってもらうことを提案する「スペースギンガ団」なる組織もあったが、結局は今ある宇宙を破綻させる行為に他ならない。それに宇宙が弱るのと同時にアルセウスも弱っていて、今創れる宇宙が現在のそれよりいいものにはなりそうもない。

 

 ひとつまたひとつとエネルギー切れで消えていく星々に、宇宙ごとだんだん縮まっていく星間航路に、やがて彼らは諦めたかのように「太く短く活きる」をスローガンとしていく。やがて、満足したかのように、やりきったかのように、数京、数兆、数億と人口を減らし、星間文明は連絡を失って隔たっていき、かつて母星でそうしていたようにバトルと冒険に明け暮れながら衰退し。

 

 かつて広大な宇宙を制したことも今は昔とばかり、人とポケモンは、青空で昼寝するような穏やかな幸せさとともにその文明に幕を下ろしていった。最後の数人はまさか宇宙最後の人間だとは思わず、頭上で輝くブラックホール膠着円盤エネルギー抽出機のことを「おひさま」と思い込み、小さな集落でポケモンと田畑を耕し一生を終えたという。

 

 ポケモンたちも、わずかに残った星々の潰えとともに、次々と子孫を減らし、絶滅していった。誰もエネルギー生成システムを維持しないのだから、熱的死が進みブラックホールと矮星だらけになる宇宙で生き残れるポケモンはそう多くなく、だんだん寒く、空気が薄くなる地上で急速に減少し0となった。

 

 宇宙で生きられるポケモンはもう少し生存できたが、レックウザですら外部エネルギーなしでそう長生きできるわけではない。生物はエントロピーの維持ができるから生物なのだ。神格ですらも冷えこんで生物活動を停止していき、考えるのをやめる。

 

 ゼルネアスやウルトラネクロズマのような、自力でエネルギーを産み出せる伝説ポケモンは比較的長く生きていたが、収縮するにつれて宇宙の重力が増大し、ついには彼らも重力によって圧壊することとなった。

 

 最後まで生き残ったのは、生命の始祖、ミュウだった。あらゆるワザを使って宇宙の収縮に対抗できる、すべての生命の女王たるそのポケモンは、宇宙に最後に残されたひとかけらのエントロピーを、タマゴとして産み落とし...

 

 …次の瞬間、宇宙は一気に収縮し、その空間を限りなくゼロとした。

 

                  ービッグクランチー

 

 宇宙は終焉した。

 

 だが、ミュウが産み落としたタマゴだけは、そうではなかった。

 

 完全にゼロとなった宇宙から、タマゴが零れ落ちる。

 

 タマゴはさいしょのもの(アルセウス)となってうまれでて、その神威は宇宙に膨大なエネルギーを与える。

 

 さいしょのもの(アルセウス)ふたつのぶんしん(ディアルガとパルキア)をつくった。じかんがまわりはじめた。くうかんがひろがりはじめた。

 

                   ービッグバンー

 

 新たな宇宙が始まった。

 

 ふたつのぶんしん(ディアルガとパルキア)がいのると、まつろわぬもの(ギラティナ)がうまれ、秩序でないものがそれに引き寄せられ、秩序(もの)というものがうまれた。

 

 宇宙の晴れ上がりである。

 

 さいしょのもの(アルセウス)はじぶんのからだからみっつのいのち(ユクシー・エムリット・アグノム)をうみだした。

 

 みっつのいのち(ユクシー・エムリット・アグノム)がいのると(こころ)というものがうまれた。

 

 秩序と魂はやがて混沌を正し、そこに一つの始祖が産まれた。ミュウである。

 

 せかいが廻り始めた(つくりだされた)のでさいしょのもの(アルセウス)はねむりについた。

 

 恒星は銀河となり、恒星を回る惑星では様々なポケモンが繁栄していく。

 

 やがてその星の一つで、人間という種族が発展し、ポケモンを仲間にするすべを見つけ、文明を築き上げていくことになるのだった。




ー*-

 「宇宙一個をループさせ、宇宙の一巡を経験した、無限のエネルギーを持つ神格級のポケモン、ですか…!

 世界の欺瞞の暴露!

 この世界の意義!

 世界のウツロ!

 失われた、絶対神の伝承!

 この物語、どうやら真のラストスパートが近いようですね…!」

 顔があるのに顔を認識できない、彼なのか彼女なのかもわからない人物は、どこかであることは確かだがどこかわからない場所で、歓喜の声を発した。

ー*-

  ポケットモンスター、縮めてポケモン。不思議な不思議な生き物…彼らが住まう、天国のように幸せな、不思議な世界(ミシカルワールド・オブ・ヘブン)

 青年転生者蒼玻は、憑依先のやんごとなき令嬢アオバ・フロックスと打ち解け、同じ身体を共有する仲となって、妹のカグヤとともにポケモン達を仲間として旅をしている。

 晴れてユキコシ地方7おみやを制覇した蒼玻/アオバたち。立ちはだかるのは、古代ユキコシ文明の末裔を名乗るゲリラ集団「ホープ団」だった。ゼルネアス、イベルタル、ホウオウ、ルギアを擁して聖山はてやま連峰を占拠するホープ団に対し、伝説ポケモンを封じるための「あかいくさり」を分家から入手したフロックス姉妹令嬢が、今、雪解けのはてやまおみやで決着を挑む!
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