お嬢様ポケモン世界を往く! ~ポケットモンスターdarkcatastrophe⇔snowwhite~ 作:十二の子
A:一巡前でゼルネアス、イベルタルを奪われているように、「神と呼ばれし伝説のポケモン」では古代ユキコシ文明への相性は悪いので…
~これまでの転生ポケモン令嬢~
現代日本からの転生者、蒼玻。ユキコシ地方一の令嬢、アオバ。2人は命がけの紆余曲折の末に同じ身体を共有し、妹のカグヤとともに旅をしていた。
史上最凶の帝国、古代ユキコシ文明。その復活により、ユキコシ地方は滅び、世界は征服されてしまう…だが、蒼玻/アオバはムゲンダイナのエネルギーによって宇宙のループを一巡し、ユキコシ地方の総力を結集して、サンゴジュシティ南方での決戦を挑む。
敵は天運を操るアンノーン言霊力をバックとする神官軍に、世界の秩序を奪い理を消し去る衝撃のギラティナ、そして冒涜的に融合された神鳥サ・ファイ・ザー。
決戦の行方は、如何に!?
ー*ー
神官たちは、一巡前にユキコシ各地でそうしたように、全ユキコシ同盟相手に圧倒をしていた。
じわれを撃てば百発百中だし、スピードスターを撃たれても数割外れる。…勝負として有利すぎる。それが、上空に広がるアンノーンたちの言霊力。リアルタイムに変動する文字列とともに、事象に対しファジーにはたらきかけているのだ。
もっとも、圧倒ではあっても蹂躙ではない。フロックス姉妹とアトランティスのバトルへの介入は防げている…一巡前と異なりアルソミトラは死なず、ゼルネアスをアトランティスに奪われていないがために、その蘇生力によって全ユキコシ同盟側が完全に継戦能力を失うことはないからだ。
「百騎隊『
ゆえに、
空にへばりつく文字列が、剥がれ、渦を成し、再び文章を配列する。
言葉は力、世界を表すたった一つの方法だ...空が閃光し、光とともに「力ある言葉」がその力を顕わそうとする。
「今だ!ディザスターウィング!」
-ユキコシメガアブソルの ディザスターウィング!
ーその厄禍は迂転するー
まさに天罰を下そうとしていた無数のアンノーンたちが、空いっぱいに広がる「あまりにも不吉な黒翼」に張り飛ばされ、地へと叩き堕とされた。
カクミガシ博士のユキコシメガアブソルが、禍の根源たるアンノーンどもを睥睨する。
「天運干渉?現生人類が猪口才な…
ならばアンノーン、まずはあのアブソルからです。言霊『アブソルの』」
氷霧が、地面から浮遊しょうとするアンノーンたちを包んだ。
ーユキツヌシカミの ザ・グレイシャルワールド・オールフリーズ!
すべてを凍結させる、サンゴジュよりしろさまによる究極の一撃。それが、アンノーンたちを凍りつかせた。もはや文字列が配列されることはない。
「ちっ、回復と解除を…」
ーサマヨウミタマの ごう・みっかみばん!
凍獄が、燃え上がる。ウスベニおみやの呪霊が放つ妖気の焔は、アンノーンたちに取り憑き、氷を瞬時に昇華させ。無数のアンノーンたちはしかし、氷から解放されても、祈りを捧げられても、浮き上がることはできない。効果抜群のゴーストタイプの焔が取り憑いている以上、貧弱なアンノーンは仮に復活できても即時に戦闘不能になってしまうのである。
ここに、物事の全てを古代ユキコシ文明に都合よく動かすアンノーン言霊システムは、攻略されたのであった。
「このまま、神官たちを吹っ飛ばすとするんだよ!」
「ぐうじと意見が合うとはな…ホープ団前進!」
ー*ー
黒い閃光が、ギラティナの金色の頭蓋から放たれる。
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
ロストインパクト。それは、世界を一度陥落に追い込み、絶対神アルセウスすらも敗退させた究極のワザ。
「だけど、攻略法はある。とてもしょうもない攻略法が。/わたくしたちでなければ、気づけなかったかもしれませんわね。偉大なカリスマたるわたくしたちでなければ!」
そう言えばアオバちゃん、最初の名乗りが「いずれユキコシの至宝となる令嬢」だったなぁ…などと蒼玻は思いつつ、蒼玻はカグヤへとハンドサインを送った。
「マハリハグルマ、かげうち!」
ユキコシギギギアルの、噛み合わない歯車の噛み合わせから、空間に黒い亀裂が奔る。それは、2000年前にギラティナがユキコシ地方を時空ごと破壊し再創造した際、それに巻き込まれて世界そのものを歯車に噛んでからの因縁だった。
空間のヒビは瞬く間に分岐し、伸展していく。
光彩はガンマ線となり、水蒸気は猛毒と化し、そよ風はプラズマに乗っ取られ、時間は飛び飛びになり、地面は空をなし、タンパクは
…ギラティナの真下で、
目から流れる血が凍り付き、髪の毛が稲穂に置換され、靴はサファイアになっている。
「そなた、何、を…」
足元に目を向け、
目を凝らさなければわからない、コンマ数ミリのほっそい黒線ーそれが、
「ロストインパクトが…反転世界を通じてこなたのほうへ漏れている…!?」
「マハリハグルマは空間にヒビを入れて、出入り口を作る。私たちへの攻撃はそっちにも伝わるんだよ。
もう、貴方も、ギラティナの攻撃を、無傷で逃れられないね。」
「聞けば貴方方、総帥たる貴方がカリスマ性で無理に引っ張ってきた組織だそうですわね。貴方が死んでは、作戦の継続はおろかギラティナ一匹従えることもできないのではなくって?」
それは、一巡前、最期まで諦めなかった人々がカリスマたる蒼玻/アオバに願いを託したことの反転であり、そして、一巡前の
「どうする?私たちと我慢比べ、する?」
我慢比べにもなりやしない。デュアルメガディアンシーのピンクの光輝は邪なるギラティナの影響を和らげるーカグヤの指先は土塊となって零れ落ち、蒼玻/アオバの純白の髪の一部が金色になり、デュアルメガディアンシーのダイヤが少し欠けたが、それすらも遥か後ろからゼルネアスがオーラを浴びせることで瞬時に回復された。
「…ほう…
…ほうほうほう!
やはり、そうでなくてはな...!いい!『困難』だ!こなたは困難を超え、愛を捧げてみせよう!
ギラティナ、ロストインパクトッ!」
「ちょっ、話聞いて/ましたかしら!?」
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
「さらにトリニティバーンであるぞッ!」
-サ・ファイ・ザーの
光弾が炸裂して雷と炎と雪をまき散らし、世界がきしむ音とともにそれらはあらゆるタイプの攻撃となって降り注ぐ。
「ウールー、コットンガード!」
「ディアンシー、ダイヤストーム!」
降りかかる攻撃をコットンが緩衝し、ダイヤの竜巻はその燦然でロストインパクトの黒い閃光を遮る。
一方で
貫頭衣から炎を吹き、背中から錆が落ち、片腕が霊体化しようとも、
「ロストインパクトッ!」
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
(何を、何をアトランティスは狙っている…?/落ち着くのですわ蒼玻くん。わたくしたちはわたくしたちのできることを。)
「ブロスター、BREAK進化ですわ。/サ・ファイ・ザーをロックオンしておいて。」
世界の秩序が破壊される修羅場の中、一筋のターゲットビームが、天空羽ばたくサ・ファイ・ザーの胸めがけ伸びていった。
「さらにロストインパクトッ!」
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
血反吐を毒物に置換され、手足をズタズタにしながらも、
「ロストインパクトッ!
これで最後だ、こなたは賭けに、我慢比べに勝ったぞ!」
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の ロストインパクト!
「貴方、何を…」
蒼玻/アオバとカグヤは自分とポケモン達を確認する。多少のダメージはあるがゼルネアスのおかげで回復できている。とても、息も絶え絶えの
「ふ…ふふふ...
響かせよ!星々を砕く、喪失の衝撃への、葬送!」
空間に、マハリハグルマが伸ばす亀裂のそれとは比べ物にならない大きな亀裂が奔り、ギラティナが亀裂に呑まれて姿を消す。
ーギラティナ(冒涜されしすがた)の
どこか遠くの空で、銀河が消えた。
瞬きを失った星々が、その瞬きを虚無へ捧げる代償に、衝撃を放つ。
「ただその場の世界をかき乱すロストインパクトでは、こなたも巻き添えになってしまうし、威力を高めて無差別攻撃をすれば自分にもかえってきてしまう…
…だから特大の!遠くの星を消滅させるほどの、世界からの秩序の喪失!
宇宙の理を生贄に、こなたらは絶対の神座を代行するッ!」
スターレクイエム。それは、世界の法則そのものを弓となして引き絞り、
ダイヤモンドはあっけなく砕け散り、ディアンシーはその身体を粉々に散らしていく。
蒼玻/アオバは、デュアルメガディアンシーに受けた天文的かつ天文学的ダメージがメガシンカによってフィードバックされ、隕石をぶつけるようなショックで自我を吹き飛ばされて廃人となり白目を剥いて崩れ倒れる。
ブロスターが殻を砕かれ墜落し、シャンデラは消灯しそのライトを割られて転がる。
トリックルームにヒビが入り、バラバラになり、砕け散っていく。
すべては、超スローモーションでのことだった。
だから、間に合った。
-シャンデラの いたみわけ!
砕け散っていくトリックルームは、ただのトリックルームではなく、トリックルーム・ディセラレーションの時間減速領域。その内側では、ダメージが現象として反映され発生するにはそれなりの相対時間がかかる。しかし受けることになるダメージ実数値自体はスターレクイエムの「星々を葬送する天文的衝撃」のそれであり、いたみわけによりギラティナへと跳ね返された「ダメージの半分」は遥かに即時に、ギラティナへその影響を発揮する。
-ゼルネアスの
時間を巻き戻したかのように、蒼玻/アオバとディアンシーやシャンデラらポケモンたちは、未だ立っていて。
そしてギラティナは、ぐらりとその身を傾けて墜落した。
「な、ぜ...」
「ためらう暇は与えないよッ!今度こそ、いけッ!」
-マハリハグルマの シャドーダイブ!
起き上がろうとするー銀河ひとつのダメージの半分を受けたのにまだ起き上がれるのはさすがアルセウスのライバルといったところかーギラティナだが、その真上の空間に亀裂が開き、ちびギアが胴体へと突進する。
無数の黒い触手も、へたれてしまっている今何の役にも立たなかった。
ちびギアが背負っていたそれは、狙い過たず、そして、ラスト団のクワズが一巡前の世界で示唆したとおりに。
ギラティナは、あかいくさりによって封じられた。
ー*-
ギラティナはあかいくさりから逃れようともがく…が、2重にかけられたあかいくさりからは逃れることができない。本来は1つでもいいものなのだ。
そして、蒼玻/アオバは、祈りと願いを込めて、最後の1つのあかいくさり…を使って作られた
てんてん、オリジンボールが転がり、そして動きを止める。ここにギラティナは鎮められ、封じられ、ゲットされ、古代ユキコシ文明の魔の手から解放されたのだ。
「ならば取り返せばよい、か。
サ・ファイ・ザー!」
天空に、三つ首の凶鳥がけたたましい叫び声を上げながら三原の力を振りまく。
「ディアンシー、いったん戻ってくれるかしら。さすがにキツかったことだし。
/イーブイ、クリムガン、オリセクト、いよいよですわよ。」
「グレイシア、ファイアロー、ビビヨン、ウールー...やるよっ!」
地では、ディアンシーを除く11体のフロックス姉妹のポケモンが勢ぞろいする。
-サ・ファイ・ザーの
「ヒヲマトウハネ、まもる!ウールー、コットンガード!グレイシア、ふぶき!」
ーヒヲマトウハネの まもる!
-ウールーの コットンガード!
「ブロスター、みずのはどう!シャンデラ、だいもんじですわ!」
ーグレイシア<Copied_Legend(2nd).Emulated_”Zygarde”>の Emulated_”サウザンアロー”!
-ブロスターBREAKの みずのはどう!
-シャンデラの だいもんじ!
じめん、みず、ほのおの攻撃、それでサ・ファイ・ザーが発した光弾は相殺…はできず、まもるバリアとコットンガードによってなんとかその雷炎氷は弾かれた。
「天命の順風を吹かせよ!」
-サ・ファイ・ザーの ぼうふうBREAK!
天空より、暴風が吹き荒れる。軽めのポケモンが敵も味方も関係なく毬玉のように飛ばされ、人もポケモンもあわてて地面にしがみついた。
「クリムガン!りゅうせいぐんですわっ!」「ビビヨン、かふんだんご!」
-クリムガンの りゅうせいぐん!
暴風など当然無視してはるか空の上に出現した流星群が、サ・ファイ・ザーめがけ降り墜ちる。
-ビビヨンの かふんだんご!
暴風によってかふんだんごが四散し、風下にいるポケモン達を回復させしめる。
「突撃、ゴッドバード!」
サ・ファイ・ザーが、今にも地表めがけ突撃しようと、翼を流線形に畳み三つ首を前へとまっすぐ伸ばし光を纏う。溜めワザの攻撃準備だ。
「こっちの方が早いよッ!ファイアロー!」
-ファイアローBREAKの ぐれんのつばさ!
金色の飛跡が、空を奔った。
突撃準備中のサ・ファイ・ザーへ、真下から穿ち貫くかのごとき一撃がクリーンヒットする。
よろめきながら、サ・ファイ・ザーは逆落としに急降下を開始した。
-サ・ファイ・ザーの ゴッドバードBREAK!
「オリセクト、うちおとす!」
-オリセクトの うちおとす!
古代のむしポケモンが背負う砲口から投射した岩弾は、狙いすまされたその通りに、音速を超えて降下中のサ・ファイ・ザーへ命中した。なにしろこのワザは必中ワザかつひこうタイプポケモンを「地面にいる」状態にする。サ・ファイ・ザーのゴッドバードは失速し、ゆっくりと墜落を始める。
「む…
しかしこの距離では避けられまい?」
サ・ファイ・ザーが飛行不可能になったことにも、
-サ・ファイ・ザーの
雷、炎、氷の3つを兼ね備えた、神鳥が吐く光弾が迫る。
少女とポケモン達は、避けない。
「よりしろさま、御力を借りますわよ。」「お願い、みんな!」
掲げるのは、おみや巡りの旅で集めてきた、正二十面体のカケラの数々。
-ブロスターBREAKの はんえいのいしずえ!
-クリムガンの サンドスローイング!
-シャンデラの ヤマタのげきりゅう!
-オリセクトの サンドスローイング!
-イーブイの てんらいのへきれき!
ーグレイシアの ヤマタのげきりゅう!
-ウールーの サンドスローイング!
-ファイアローの サンドスローイング!
-ヒヲマトウハネの はんえいのいしずえ!
-ビビヨンの サンドスローイング!
-マハリハグルマの てんらいのへきれき!
キンレン、ヌレバ、ワカナエ、グンジョウ…4つの街のよりしろさまの特別なワザ、託されたそれらで、眠る富を叩き出し大地の生命力を喚起し8本のレーザーを放ちあるいは成層圏に紫電を沸かせる。
砂柱、いやもはや土柱となって地から噴き上がる5重サンドスローイングは、トリニティバーンの光弾を呑み込んで、くぐもった爆発音とともにかき消す。
墜落中のサ・ファイ・ザーに、真下から撃ち込まれた赤熱した金塊が、斜め下からまっすぐ迫る1条に束ねられた8本のレーザーが、天空から降り墜ちる神雷が、2つずつ、突き刺さる。
爆発。爆閃は網膜を灼き、爆鳴は鼓膜を突く。
それでも、サ・ファイ・ザーは諦めない。凶鳥は再び雷炎氷の力を蓄えながら、崩れゆく砂柱の後ろ影へ落ちていく。
もはや、サ・ファイザーへの攻撃は届かないのか?反撃を許してしまうのか?
否。
例え相手が、神威を打ち消すほど深い砂山の向こうに墜ちようと、攻撃を届かせる必中ワザが、ある。
「「イーブイ、スピードスター!」」
蒼玻/アオバは、腹から叫んだ。
ーイーブイの スピードスターBREAK!
「サ・ファイ・ザー、トリニテ」
茫漠たる宇宙に浮かび、旅人に道筋を示す星々。それらを思わせるような、限りない星屑の五月雨が、大きく弧を描いて降りかかる。
明らかにスピードスターの威力には不釣り合いな、キノコ雲が、高く高く蒼空を噴き上がった。
「チェックメイト」「そうですわよね?」
サ・ファイ・ザーの巨大が地面に体を横たえる地響きをBGMに、
ー*-
サ・ファイ・ザーが、その胴体を地面へ横たえたその時。
戦場に、長い長い沈黙があった。
決してサ・ファイ・ザーは、ドシンと一気に落下したわけではない、むしろ、翼が持つ空気抵抗のおかげで、数十秒かけてゆっくり落着し、その間に2度も反撃を試みていたのだ。
だからずっと、戦場で目撃していたすべての人間とポケモンが、まるでそれがあたかも見逃してはならない宗教的神事であるかのように、サ・ファイ・ザーの墜落を見届けていたのである。
うちおとすというワザの効果で墜ちたのなら、あるいは天空で威を示しながらも袋叩きにされたのなら、みな、起きたことに理解もできたし、その結果への納得などしなかっただろう。けれど、天空を統べる凶鳥が墜ちながら袋叩きにされ地面で戦闘不能、ということに、そのあまりにショッキングな光景に、ユキコシの人々はしばし受け止め切れずに放心し...
…そして古代ユキコシ文明の人々は、アンノーンを失いながらも五分の戦いを続けていた神官たちは、波打つようにパニックに陥った。
「ひ、筆頭神官様っ、い、いかがしましょう!?」
「ギ、ギラティナも、サ・ファイ・ザーも!そんな、負けるはずないのに!」
「何か手は、手は!?」
神官たちが口々に騒ぎながら
「いかがもクソもないであるぞ!
ひとりの神官が、おそるおそる奏上する。
「生贄を神格に押し付け、その見返りをもぎ取る…ですよね?
ですが生贄にできる冒涜的神器はギラティナごと封印されてしまいましたし、押し付けるためのアンノーン軍団も…」
「あるではないか、冒涜的神器と、アンノーン。」
そう言って、
「…は?」
「数々の神と呼ばれしポケモンを従え、冒涜してきた帝国『
その中核となり、アンノーンを膨大に含む『失墜の神殿』。
あるではないか、生贄も、それを神々に押し付けるための仕掛けも、そしてそれらを捧げる神々も。
応えよサ・ファイ・ザー!
最も冒涜的なる天空の神よ!」
「ら、乱心めされたか
「無駄ッ!
そなたらの支配者はこの筆頭神官
はてやま連峰の方角から、罵声にも似た、轟音が響いてくる。
「貴様ーッ!」
神官たちが目を剥き怒りの叫びを上げながら
「な」「ク」「ありえ」「この」「バ」
声すらも、金色の光に溶けて。
「アレは、まさか...」
その現象を、蒼玻/アオバとカグヤだけが知っている。今はもうないムゲンタワー最上階、そこで見たのだー金色の粒子となってほどけ消えていく、闇ユウリを。
善意という概念を外付けするためにユクシー・エムリット・アグノムに創造された、概念を宿す力場、BREAK
「ここに、
その呪技も!神威も!冒涜も!犠牲も!歴史も!
そして栄華も!」
山頂にそびえる冒涜的な神像の神殿も、白亜の高山都市も。
居並ぶ数百の精鋭神官も、鍛え抜かれたポケモン達も、未だ呪焔で燃え続けるアンノーン軍団も。
すべてが、ものみなすべてが、古代ユキコシ文明に属するすべてが、金色の光の粒になって、消えていく。
1000年の繁栄の夢が、金色の光の粒子となって、空へと溶けていく。
「すべてそなたら
こなたが歪めてきた
神よ、世界よ、そして
ここにこなたは!真なる復讐へと到達するであるぞッ!」
金色の光の渦は、砂山の影へ、吸い込まれるように。
甲高くけたたましい啼き聲が響き渡り、そして、突風がサンゴジュ平野を吹き抜けた。
空を覆うほどの、巨大な翼が、天空へと昇り詰める。
太陽が翳り、強風が髪をなびかせた。
「やれッ!
こなたの、復讐を!世界と神々への復讐を、完遂せられよッ!」
ー*-
蒼空が3分で金翼が7分。そう見まごうほど巨大な凶鳥が、三つ首から、引き裂くような凶聲をとどろかす。
睨みつけるのは、眼下の世界ーそれそのものが目標だ。
翼下に、金色のBREAKオーラが凝縮されていく。すぐにそれは、3羽の鳥のカタチを成した。
-サ・ファイ・ザー_<
金色の、サンダー、ファイヤー、フリーザーの幻影。それが、雷轟、業焔、凍風そのものとなって、天から地へと降り下った。
電撃は空気をも破壊し地殻をも貫く。
業炎は岩石を瞬時にプラズマとなす。
凍風は零下273度ですべてを停止させる。
神の御業に、天地が悲鳴を上げた。
ー
ー
怒涛の神撃、それらすべては、一点へと、たった一点へと集中した。
カグヤのものではない、2体目のマハリハグルマ。その展開する世界のヒビは数mにも及び、そしてそこからにゅっと突き出した、黄白縞模様のメロエッタ型マシンが、3神鳥の幻影の直撃を受けて、サイドンのような悲鳴を断末魔として即時蒸発する。
膨大なエネルギーはほとんどが反転世界へと放出され、そして爆発を閉じ込めてヒビは閉じていった。
「な、にが…」
死を覚悟せざるを得ない、神罰のような攻撃…それがあっけなく過ぎ去ったことに、誰もが呆然と…いや、蒼玻/アオバは、マハリハグルマを伴い現れた2人の男に、声を震わせた。
「遅い…ですわよ…
ラスト団。」
通称名:プロジェクトコード:ィ゛ゃゾ┘A
秘匿名称:Copied_Legend.Prototype:Emulated_”Clefairy”
かつてラスト団が、ステラーシステムのような「伝説ポケモンのBREAKオーラによって、ポケモンのエネルギーを伝説ポケモンのそれに変換し、伝説ポケモンのエミュレーターとする」Copied_Legend計画を研究していた時作られたプロトタイプマシン。
メロエッタのすがたとタイプ、サイドンの鳴き声、ピッピの能力を持つ。ピッピのオーラを用いて作られたのにバグのせいでフェアリータイプを得られなかった。
通称名の「ィ゛ゃゾ┘A」は、意味が分からず口頭伝達も困難で情報漏洩しにくいことから命名された暗号で、ランダム生成パスワードのようなもの。
~これまでの転生ポケモン令嬢~
現代日本からの転生者、蒼玻。ユキコシ地方一の令嬢、アオバ。2人は命がけの紆余曲折の末に同じ身体を共有し、妹のカグヤとともに旅をしていた。
史上最凶の帝国、古代ユキコシ文明。その復活により、ユキコシ地方は滅び、世界は征服されてしまう…だが、蒼玻/アオバはムゲンダイナのエネルギーによって宇宙のループを一巡し、古代文明復活直前へ到達、全ユキコシ地方さらには敵であったホープ団やゴフク屋をも率い、古代ユキコシ文明への決戦を挑んだ。
アンノーンによる言霊改変システム、世界の法則秩序を喪失させる凶神ギラティナ、そしてサンダー、ファイヤー、フリーザーを束ねた最悪の凶鳥サ・ファイ・ザーを倒し、古代ユキコシ文明とその首魁
あわやサンゴジュ地域もろとも死ぬかーそう思われた時、潜伏を続けていたラスト団が、助けに現れた!
果たしてユキコシ地方は、蒼玻/アオバ・フロックスは、絶望と破滅の凶鳥サ・ファイ・ザー_<
次回、転生ポケモン令嬢最終話「世界を救うその因果」
みんなもポケモン、ゲットですわよ!