気がついたら無敵だった、そして勃起も止まらなくなっていた。だから俺は裏でこそこそ生きていく。   作:でぃくし

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ヒーローとロボット
無敵、不死身!そして勃起だ、ボッキマン!①


俺はボッキマン

……と呼ばれている男。

 

もちろん本名じゃない。

 

自分でそう名乗った覚えはないし、名乗るはずもない。

 

ただ最近になってネットの連中にそんなあだ名で呼ばれていることがわかった。

 

心当たりがないわけでもない。

何故なら俺は常に勃起しているからだ。

 

そのせいで俺は色々とおかしな名前をつけられており、その中の一つがすっかり定着してしまっているようだった。

 

だが、常に勃起していることを俺は今まで不自然に感じていなかった。

 

……というのも自身の状況について、色々と自覚することが出来たのが最近のことで、それまでの俺は自分がどういう状況に置かれているのかを考えてみたこともなかったからだ。

 

別に記憶喪失ってわけでもない。

 

いつどこの店で何を買ったとか、その時にどんな服を着ていたか、どこでどんな風に走っていたかとか、そういった記憶はちゃんと残っている。

 

(……でも何のためにそんなことを?)

 

そういったことがずっと抜け落ちているのだ。

ある時を境に人格のようなものが失われて、それが急に今になって戻って来たような感覚だった。

 

そして俺は自分の行動と状況に疑問を抱くようになった。

 

それまではただただ毎日のように走っていたのに、気がついた時には俺は足を止めていた。

 

一体自分は何をしているんだろう……と。

 

しかし、疑問を抱くようになっても何かが変わるわけじゃない。

 

相変わらず今も俺は走り続けているし、走る以外のことは思いつかない。

たまにスマホでニュースや動画を見たりするが、それ以外はこれといった趣味も何もない。

 

だが、それだけではない。

勃起がどうのこうの以前に俺にはもっと大きな問題がある。

 

それは俺には異常な力が備わっているということだ。

 

これまでの俺はいつも通りに家を出て、いつものコースを走り、当たり前のように次々と人を追い越していた。

 

これだけなら何の問題もないだろう。

 

だが、俺の「いつものコース」は超高層ビルの屋上を走ったり、時には山の中腹や湖の上を走ったりと無茶苦茶なもので、そしてそれを衝撃波で体が浮くほどの速度で俺は「いつも通りに」続けていた。

 

その上で行く先に障害物があれば粉々に粉砕し、邪魔をする奴が居れば容赦なく叩き潰してきた。

 

監視用ドローン、そして警備用ロボット、戦車に装甲車と戦闘ヘリ。

 

そしてパワードスーツを着た治安維持部隊に人型機動兵器。おまけにサブマシンガンをぶっ放してくるギャングに対戦車砲を構えたヤクザ、それからどこかの企業が雇ったであろう所属不明の傭兵軍団……。

 

こんなことを続けていればどうなるか、結果は火を見るよりも明らかだろう。

 

当然大騒ぎになる。

 

俺の姿はいくつもの動画サイトにアップされ、あっと言う間に拡散された。

 

高層ビルの屋上や高速道路を人知を超えたスピードで飛び回り、アサルトライフルを撃ち込まれても気にも留めず、装甲車を踏みつけて真っ二つに叩き壊し、巨大ロボットを蹴り飛ばして山に大穴を開け、戦車を持ち上げてビルより高く投げ飛ばす。俺はすっかり正体不明の怪人として噂になっていた。

 

それでも俺についたのは間抜けなあだ名だけだった。

 

……それが『ボッキマン』というわけだ。

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