気がついたら無敵だった、そして勃起も止まらなくなっていた。だから俺は裏でこそこそ生きていく。   作:でぃくし

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折れた親指に涙!血塗られた独占インタビュー!⑦

「もういい加減帰るわ。なんか疲れちまった」

 

「まっ、待ってください!」

「……なんだよ……?」

 

「この街を見てくださいよ!みんな苦しんでるんですよ!企業やシステムに雁字搦めにされて死ぬまで身動きできないでいでいるんです!でも彼らは救いを求めているんです!」

 

「……知らねーよ、選挙にでも行け」

 

「彼らは生活を人質にされて団結できないんです!これはこの社会がおかしいってことです!社会は人間の集まりのはずなのに社会がその人間をばらばらに分断している!だから彼らを救えるのは政治じゃない!けど、あなたのような人がみんなのために戦ってくれれば彼らだって……!」

 

「なら教えてやる。こんな力なんてあっても何も変わらねーよ、俺がその生きた証拠だ」

 

「なんでそんなこと言うんですか!?あなたはそんなに強いのに、もっと大きなことができるのにどうしてそんな、まるで、自分の価値を否定するようなことを言うんですか?そんなのおかしいですよ!」

 

「うるせえ!何も出来ねーくせにくだらねえことばっかガタガタ言ってんじゃねえ!」

 

俺は門戸の腰を抱えるようにして持ち上げると、奴の体を背負い込んだまま屋上の縁に足をかける。

 

「んっ、なっ、な!何をするんですか?!」

「お前、その足でこのビルから降りるつもりか?それとも不法侵入で逮捕されるつもりか?降ろしてやるから静かにしてろよ」

 

「えっ、ちょっ、ちょっと……!んぐ、ふうっ……!」

 

門戸を背負ったまま飛び降りると、膝で衝撃を殺しながらふわりと着地する。

 

いや、そこまで華麗にはいかず結構な衝撃があったと思うが、流石にそのまま飛び降りて地面に激突するより遥かにマシだろう。

 

「ほれ、着いたぞ……ちゃんと病院に行ってこいよ」

 

「んっ、ぐっ……はあっ、はあっ、ありがとうございます……」

「なんだよ、その顔は」

 

「いえ、まさか僕のことを助けてくれるとは思わなかったんで……あの、ボッキマンさん……失礼なことばかり言って……すみません」

 

「え?俺はボッキマンじゃないから一向に気にしてないけど?」

「は、はあ……あ、あの、取材のお礼のお話なんでけど……」

 

「おい、雑誌の現物支給だけとかはやめてくれよ!」

「ま、まさか、でも……今は何も持ち合わせてなくて、お渡し出来るものがないということを忘れてて……」

 

「…………」

 

俺は指をそっと曲げ、門戸の額を軽く弾いてやる。

 

門戸は発砲音のような音と共に、勢いよく後方へと吹き飛ぶと額を両手で押さえながら地面をのたうち回った。

 

「ぐあああっ!痛い!痛いですよ!な、なっ、何するんですか!?」

 

「ぐああじゃねーだろ、人様の貴重な時間をタダで使おうとか、お前は親御さんから何を教わって来たんだよ」

 

門戸はしばらくじたばたと悶えていたが、ようやく痛みが引いたのかゆっくりと起き上がる。

 

「はあ、はあ……い、いえ、僕の親は……いや、違うんですよ!次にお会いした時に必ずや今回の分も含めてお渡ししますので、どうかお願いしますよ!ボッキマンさんのお話をもっと聞かせていただけないでしょうか!?」

 

「もう話すことなんかないっての……てかさ、俺からも聞いていいか?」

「んっ、は、はい?なんでしょうか?」

 

「お前が作ってるっていう雑誌の読者って誰なんだよ?その、身内の人間って言ってたけど」

 

「ああ、それは僕の父さんですよ!」

 

「は、はあ……??」

「よろしければ会ってみませんか?ボッキマンさんが相手なら父さんは絶対に、どんな犠牲を払ってでも時間を用意してくれますよ!」

 

……なんだそりゃ、完全にイカれてるな。

もう付き合ってられない。

 

「あのなあ、会うわけねーだろ!それに俺はボッキマンでもない!じゃあな!」

 

俺は門戸に背を向けて、その場から走り出していた。

門戸は何か大声でわめいていたが、幸いにも後をついて来ることはなかった。

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