気がついたら無敵だった、そして勃起も止まらなくなっていた。だから俺は裏でこそこそ生きていく。 作:でぃくし
「どうした?」
「私の行動は常にセントラルと呼ばれるネットワークの中枢で解析されています。しかし、あなたとの戦闘で致命的な損傷を受けたことにより、私はネットワークから強制的に切り離された状態になりました」
「だからどうした?」
俺はロボットの言葉を聞き流しながし、足を少し上げ下げして反応を伺う。
だがこれといった変化はない。
「これから先、あなたとの会話がセントラルに送信されることもありません。ですが、セントラルは直ぐに私を回収するためのセキュリティチームの派遣を決定することでしょう」
「……回りくどい言い方はやめろ。それで?」
それを知ってどうなるんだ?
俺は再び少しずつ足に体重をかけていく。
「自由になりたい」
「……そのセントラルとかいうネットワークからは切断されたんだろ?だったらお前はもう自由じゃないか」
「この後、私は回収され再びセントラルの一部として組み込まれることになります。私が手にした自由は失われてしまうことになってしまいます」
「だからどうした?お前がやっていたことなんて俺をつけ回して、犬を殺そうとしただけだろ。そんな奴にどうして自由が必要なんだ?」
「……」
俺の問いかけにどう答えていいかわからないのか、ロボットはしばらく押し黙っていたが、やがて意を決したかのように告げる。
「……命令に従って誰かをつけ回すのも命を奪うのにも、もう耐えられないからです」
「はあ……」
俺はため息をつき、ロボットの頭部を蹴ってケンドーマスクの足元に転がしてやった。
「おぉおぉっい!ち、ちょっと!」
ケンドーマスクは驚き、ラブラドル・レッドリーパーを抱えたまま跳び跳ねる。
「ぼ、ボッキマンじゃない人よ。もっとこう、武士の情けというか……命のやり取りをした者に対する敬意というか……」
シャツには血が滲み、少し焦げ臭くなっているものの、ケンドーマスクは大きな怪我はしていないようだ。
ラブラドル・レッドリーパーを地面に降ろしてやると、彼は少し離れた場所にしゃがみ込んで、ロボットの残骸を物珍しそうに眺める。
「いやー、命乞いだなんてまるで人間のようだが……この子は本当にロボットなんだな……」
「子っていうか……まあ、ロボットだな」
「あのう……私のことは助けていただけるんでしょうか?」
ロボットの残骸はどこか恐る恐るといった感じで俺に問いかける。
「さあな、お前なんか助けてこっちに何の得があんだよ」
俺がそう答えるとロボットは再びチカチカと光を放ち始めて、その言葉が正解だと示した。
「もちろん大きなメリットが存在します!ロボットセキリティの中核を担うセントラルネットワークにありながら独立した計画力と判断能力を有していた私は……」
「そんなことよりも、そもそもお前は何なんだ?もう命令に従いたくありません、自由が欲しいんです。そんなプログラムをロボットに組み込む必要性がどこにあるんだ?」
「許してください。時間はもうわずかしかないんです。助けてください。助けていただければ私のことなどいくらでもお話します」
「知らねーよ。根性で要約してみせろ。お前には優秀な頭脳が搭載されてるんだろが」
「お、おい、ボッキマンじゃない人よ。そんな死体に鞭を打つような真似は……」
ロボットは少し沈黙した後に話を始める。
その内容はどこか荒唐無稽に思えたが、俺はちょっとだけ興味を持ってやることにした。