気がついたら無敵だった、そして勃起も止まらなくなっていた。だから俺は裏でこそこそ生きていく。   作:でぃくし

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鉄の極地オオカミ②

「す、すみませんでした……つい出来心で……」

 

賞金稼ぎのおっさんは鼻血を流し、地べたに膝をついて詫びを入れてくる。

 

俺に機械の腕をあっさりと引き抜かれたのがあまりにもショックだったのか、おっさんはすっかり意気消沈。

 

残った手で肩口を押さえ、先ほどまで機械の腕がくっついていた接続部の状態を確かめるようにさすりながら謝罪の言葉を口にする。

 

断っておくが俺は怒ってない。

散歩を邪魔されたことは煩わしいと思っているが、むくれる理由があるとすればその程度だ。

 

それに……本気で人を始末したいならこんな腕など使わずに姿を隠して狙撃するか、すれ違い様にショットガンをぶっぱなしたほうが楽だろうし、事実そうやって襲撃されたことだってある。

 

だけどそうしなかったのはこのおっさんなりのこだわりがあったからなんだろう。俺はこだわりのある奴が嫌いじゃない。

 

だから必要以上に痛めつけるような真似はしたくなかった。

 

「んで……なんで俺がボッキマンだと思うんだよ?こんなもん振り回す前にさ、人違いだったらどうしよーとか思わないのかあんた?」

 

俺はおっさんからもぎ取った機械の腕を手の中で弄びながら問いかける。

 

技術的なことなど知る由もないが、シリンダーやコードがみっしり詰まった複雑な作りのそれは、いかにも値の張りそうな代物だ。

おまけに武器まで内臓されているのだから市販のものとは思えない。どこぞの技術者にでも作らせた一品物だろう。

 

「そ、それはその……」

 

おっさんはしどろもどろになりながら目を泳がせる。

やはりそれなりの理由があるみたいだ。

 

「どうした?ここまできてダンマリか?口止めされてんのか?」

「……」

 

おっさんは何とも気まずそうに口を開く。

 

「それは、あの……怒りませんか?」

 

「何だよ、んなもんわかんねーよ」

「いやでも……あの……出来れば身の安全を保証して欲しいというか……」

 

「は?明かすとまずいような誰かからの依頼で俺を狙ったとかそういうことか?」

 

「えあっ?!そっ、そ、そういうわけじゃないんですが、これ言っちゃうと怒られちゃうかなって……」

 

「はあ……まあ正直に言ってくれたらな。怒ったりとかはないよ」

「ほんとですか?」

 

なんか妙に小心者というか、セコいおっさんだ。

まあ自慢の腕があっさりともぎ取られたらこうなるのも仕方ないのかな。

 

俺はおっさんをなだめるように言ってやる。

 

「はい、怒りませんからどうぞ」

「……実はですね、あの……本当に勘弁してくださいよ?」

 

おっさんはもじもじとしながらもったいぶった口調で話し始める。

さっきまでの勢いはどこにいったのだろうか?

 

「だからなー何がだよ?何でボッキマンだと思ったんだよ」

 

「は、はい、えー実はそのー……何と言いますか……膨らみが、その、目立っていると申しますか……」

「膨らみ?」

 

「ズ、ズボンの、その……」

「はっ、はあ!?てっ、適当なこと言ってんじゃねーよ!」

 

俺は慌てて片脚を上げると腰を捻り、おっさんからは見えないように自分の股間を隠した。

 

「いやっ!すいません!怒らないで!許してください!」

「怒ってねえし!!そんなんでボッキマン認定っておかしいだろ!!」

 

確かに俺の股間は常に、問答無用に勃起している。

24時間ぶっ続け、そう四六時中だ。

 

それでも俺は目立たないように気を使っている。

 

ズボンは分厚い生地のものを選んで履き、上着はオーバーサイズのものを使って、股間が見えないように工夫している。

 

なのに俺の股間はそこまで目についたりするものだろうか?

いや断じてそんなことはないはずだ。

 

「つーかな!あんただって勃起くらいするだろ!」

「そ、それはそうですけど……ずっと勃起しながら出歩いたりとかは……」

 

おっさんは至極まじめな顔で言う。

 

「……ていうかですね、意外とわかるもんなんですよ」

 

マジかよ……。

 

何だか恥ずかしくなってきた。

 

確かに股間の事情は色々とバレやすいかもしれないがケンドーマスクは何も言わなかったし、絶対にありえないと思うが……。

 

それともあいつなりに気を使ってくれていたのだろうか。

 

「……じゃあ、股間の状態で決めつけたとして……さっき言ってたアークウルフが告げてるってどういう意味だよ」

 

「え?あれはですね、ただの決めゼリフというか……」

「アークウルフって何のこったよ?」

「え、えー、それは、ボッ……あなたが先ほどからお持ちのバイオニックアームのことで……」

 

「これのことか?」

 

ぶらぶらと揺らしながら機械の腕あらためバイオニックアームを突きつけると、途端におっさんの顔が引きつり始めた。

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