ハリー・ポッターと黒い街 作:鐘楼卿(ベル卿)ベルフェスティフ
「この授業では他の授業とは異なり、猿のように杖を振り回したりはせん。君たちが学ぶのは、心を操り、死にすら蓋をする魔法の奥義とでも言うべきものだ」
暗い地下の部屋で、魔法薬学担当セブルス・スネイプの声が響く。
そしてこの授業はハッフルパフ・スリザリンの合同授業である。
よって何が起こるか?
「…ねぇねぇ。寮ってどうだったの?」
…警戒心の欠片もないときめが山吹に話しかけることは明白であった。
「…ときめさん。睨まれてますよ」
「いいでしょ別に。私、多分できると思うし」
スネイプの睨みに堪える様子もないときめは、直ぐにそれが間違いであることを思い知る。
「ときめ!」
スネイプの声が大きく響く。
「アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になる?」
「アスフォルデ…?何それ?というかそもそも教えてないことを生徒に聞くとか教師として大丈夫?」
「授業を聞くという意思があるのであれば私語は厳禁だ。ハッフルパフから五点減点」
スネイプの至極真っ当な言葉でときめも何も言えないのか、顔をむっとさせて黙る。
「今回の授業ではおできの治療薬を作る。早速とりかかる。二人組をつくれ―――――ライノ!誰がもう鍋を触ってよいと言った?ハッフルパフ1点減点。ナルサイ!貴様もだ、ハッフルパフからさらに1点減点!」
その言葉が聞こえてから各自は二人組になり、ほとんどは自分の寮とでペアとなったが、山吹とときめはそんなこと関係ないとばかりにペアとなり、秀夫は適当な生徒と組む。
別寮と組むのに少し嫌な視線を向けてくるものもいるが、ほとんどは二人とも東洋生まれであるからと納得して特に何も言われることはなかった。
この実習は魔法薬学初めての実技ということで、魔法薬制作とは言えないような簡易な内容だった。スネイプ先生は生徒に二人一組で火を焚かせ、水を汲ませ、湯が沸くようすを横目に見ながら干イラクサの計量をさせた。
「熱ッ!」
「キャァッ!!」
教室の各地で叫び声や助けを求める声が聞こえる。
「…馬鹿どもd「熱ッ!」…ときめ。お前もか」
「だって熱いのは熱いんだもん。しょうがないでしょ?」
ときめは少しふてくされながらも鍋の火を少し弱める。
「しょうがなくない。熱いのならばハイドープ能力で熱を遮断すればいいだろう」
「あっ…そっか。そうだった」
ときめと話しながら鍋を五回かき回し、杖を振ることでピンクの煙が出てきて調合成功を知らせる。
「先生。できました」
その声でスネイプはこちらによってきて、
「ふむ…完璧な調合だ。だが山吹だけで調合したものだな。スリザリンに三点加点」
そしてスネイプは席を離れ、次の呼び出しに答えるのであった。
「むぅ…あの先生嫌いかも」
「まぁまぁ。一応事実ではあるだろ?上から目線は気に入らないが、教師としては生徒をよく見てる。ってことなんだろうな」
そして、授業は終了する。
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「今日はついに飛行実習です!さぁ、箒の左側に立って?」
飛行術担当。マダム・フーチの言う通りに生徒たちは箒の横に立つ。
「「上がれ!」で箒を浮き上がらせる!」
「上がれ!」
「あがれ!」
「上がれ」
生徒は半数以上が箒を一度では浮き上がらせられず、何度も「あがれ」「あがれ」と声が上がる。
「来い」
山吹は「上がれ」ではない言葉で一発で箒を持ち上げた。
「…流石ですね山吹さん。僕は箒が苦手のようです」
「気にすることはない。俺もハイドープで無理やり引き上げただけだ」
「…それでいいんでしょうか?」
「いい。どうせ教師にばれなきゃ同じだ」
「なら僕もそれで行きましょう。飛ぶときは?」
「知らん。自分で考えろ。俺は普通に飛ぶ」
「……了解」
秀夫は一度肩を少し落として、全員が箒を浮き上がらせた後も「あがれ」「上がれ」と浮き上がらずに言っていた。
「Mr.秀夫。貴方は箒が苦手のようですね。実習中は浮き上がらせられるようになるまで端で待っていなさい」
「分かりました」
そして秀夫は壁の方に行く。
「では箒にまたがって!」
「浮き上がったら、前傾姿勢になってゆっくりと!降りてきましょう!」
だがその言葉が言い終わるか言い終わらないかの段階で、グリフィンドール生徒、ネビル・ロングボトムが浮き上がる。
「ネビル・ロングボトム!どこへ行くのですか!落ち着いて!落ち着いてゆっくりと降りてきなさい!ネビル・ロングボトム!!」
だがロングボトムは箒に引っ張られて空中を舞、城壁の上にある石造の槍に引っ掛かってから落ちてくる。
「どきなさい!」
野次馬根性丸出しの生徒がロングボトムに近寄っているのをどかせ、マダム・フーチはロングボトムを診る
「あらまぁ…手首が折れてる…私はこれからネビル・ロングボトムを医務室に連れていきます。戻ってくるまで絶対に空を飛ばないように!跳んでいたものはクディッチのクの字を言う前にホグワーツから出て行ってもらいますからね!!」
そして、マダム・フーチは医務室に向かうが、その命令は一瞬で破られることとなる。