鋼銀の旅人     作:木原 無二

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1話分加算しました、すみません。


10話

だいぶ編集しました。1話分加算しています。

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先に御神籤を引く前に神社のしきたりとして手水舎でお清めをする事となった。

高橋さんに案内されて手と口を清めるやり方を教わる。

 

「すみません、神社に来た事がなくて…」

「え?ないってどう言う事ですか?」

 

海の件もそうだが、孤児院にいたせいで旅行とか来た事がないのだ。

つか、今更だけど、駄菓子屋のおばちゃんもあの石の階段を登ったのか…

 

その事を高橋さんに伝えると、なぜか分からないが抱きつかれた。

 

「ああ!何で!?こんなにもいい子なのに…!」

「あ、あの高橋さん!?」

 

(…胸が…柔らかい…)

 

そんな事を考えていると向こうから別の人に声が聞こえ始めた。

 

「おーい、神主さんに頼まれた仕事は終わったぞー。」

「そっちはどうだー。」

「田中さん家の畑仕事終わったわよー。」

「…」

 

「た、高橋さん、なんか呼んでいる声が聞こえますけど?」

「あ、そうね。紹介するわ!」

 

高橋さんがジェスチャーで彼らに手招きをする。

こちらに近づいたのでよく見てみると土仕事をした後のような格好をしていた。

肌が土で汚れているのが見て分かる。

 

「はいはい、皆さんこれをどうぞ!『体力を持続させる魔法』!」

「え、なにその有能魔法。」

もちろん自分もそれに類似した魔法持ってるけどさ…

 

「高橋!ありがとうな!元気でるぜ!」

「あ、そこの坊主は?」

 

あ、気付かれた。

 

「こんにちは。ここに参拝に来た無常です。神社に来る事自体が初めてで…」

「は?そんなはず無いだろ?その背丈なら…」

その時だった。社から声をかけられたのは。

乾いたようなのに、どこか力強いような、そんな声が。

 

「皆さん、そろそろお昼の時間です。ご飯を食べませんか。おや?そこにいる貴方も如何です?」

50、60代だろうか?

恐らく、さっき彼が言っていた神主なのかもしれない。

 

「って言ってるけど、どうする?」

「…そうですね。わk」

その時だった。

彼らの中にいた寡黙な黒髪に一房の白髪が少しだけ混じった少女が僕の袖を握ったのは。

 

「…」

 

目は僕をじっと見ており、何かを訴えているようだった。

食事をここでしてほしくないのか?いや、それだけじゃ無いような気がする。

まるで関わるなと目で訴えているようにも見える。

 

「すみません。食事は先程食べたので別にいいのですが、今日泊まるところがないので泊めてもらってもいいですか?」

「…あーなるほど、分かりました。それでしたらそこの神之門に言ってください。」

「カミノト?」

 

そう言うとさっきの寡黙な女の子が声をかけて来た。

 

「…私。」

 

残った人達は視界の端っこでコソコソ話をし始めていた。

「え、神之門が話しかけてる。」

「あの氷の姫様が…」

「…さっさと行こ。」

ピンク髪の女が二人の男を連れて去る。

「あ、ちょっと…」

高橋さんも彼らについて行くようだ。

 

「じゃあ、僕たちもって、え、ちょっと…!」

 

僕の袖を無理矢理引っ張って、神之門はお構いなく今日僕が寝るであろう場所に連れていく。

 

「あ、あの!袖が伸びるのでやめて欲しいのですが…」

「…」

うーん聞いてくれねぇ…まぁ僕が最初に彼女のアイコンタクトを無視したからなんだろうけど…アイコンタクトだけだと理解できないんだよなぁ…

 

「…さっき、君が言いたかった事を理解できなかったんだ。」

神之門の身体が止まる。こちらに向いて不満のある顔を晒した。

 

「…そう。…帰った方が…いい。」

「…何で?」

「それは…分からない…なんとなく。…カン?」

 

神之門は無表情のまま口に袖を当てた。うん、可愛い。

 

「…それに…」

「それに?」

 

神之門さんは少しだけ顔を赤らめてボソボソ呟く。

なんか言ってるのか分からないから無理矢理にでも聞こう。

『目の前の人のボソボソ声を聞き取る魔法』!

えーと?なになに?…あ、そうなんだ…さっきのあの人がそんな…

胸がなんだか重く感じたが、それを表情に出さずに神之門さんの話に返事をする。

 

「大丈夫だよ、施設の大人の人達がしている所、見たことあるから。」

それにしても驚いた。まさか、あの高橋さんとピンク髪の女が神主とそんな関係だったなんて…………まったく、けしからんですな!?

 

「え、あ、そうなんだ…」

「えっと、それで?」

「…言って、おくけど、私は、そんな事、人生で、一度も、した、事が、無い…わかった?」

「わかったわかった。」

 

案外、プライド高いかもなぁー神之門さん。て言うか一応自分は13歳だけどそんな理由でここから出ていくように警告したのだろうか?

 

「…あの神主は私の親戚の叔父さんだから…私にはそういった目で見て来ないから楽…だけど、そもそも神主が一人以上とそんな関係になっているのはおかしいの……けれど、みんなこの状況を受け入れている。」

「ああ、そういう…」

 

「…それに…」

「………それに?」

 

神之門はゆっくりと口を開く。

 

「……………ここにいたら…なんだか、時間の感覚が変なの…」

 

 

その後。

 

 

すぐに神之門さんとの会話を無理矢理打ち切り、部屋に案内してもらった。

神之門さんに部屋に案内された後、外部にいる土御門に電話をした。

 

「と、言うわけでそちらとこちらの時間って合ってますかね?」

『恐らく合っているだろう。そっちの携帯のGPSもこっちで表示される。それで、例の物に関して何かわかったのか?』

「…今の所はまだ何も。それよりも集めて欲しい情報があるんですけど…」

 

要件を伝え携帯を切る。

後は土御門からの情報と僕が考えた推測を兼ね合わせるだけ。

 

…って言うかやっぱり向こうから僕の携帯のGPS探れるんかよ…

もう一つプライベート用に携帯持とう。絶対に。

 

とりあえず情報が来るまでの間にここの探索をする事にした。

和風な部屋はあまり入った事がないが、何処か厳かな雰囲気を感じる。

 

木目が厳つい廊下を歩いていると角から人影が見えた。

「こんにちは、なにか困っている事はありますか?」

 

角から出てきたのは木の杖をついて歩く神主さんだった。神之門さんから先程の話を聞いた後だとなぜか気まずく感じてしまう。

 

「いいえ、大丈夫です。泊めてくださりありがとうございます。今日は野宿を覚悟していたので。」

「いえいえ、困っている人を助けるのは当然の事。我が家と思ってお寛ぎください。…失礼ですが、お年は?」

「13歳です。この時期ですので学校は休みです。」

 

明日はクリスマスイブ。

そのため、本当なら何処か町で遊んだりする予定だったが、年を明けるまでにここに来る事に決めたのだ。

できればクリスマスが終わる前には町に行きたいので今日か、明日中に終わらそうと考えている。

 

「自己紹介が遅れました。私はここの神主をしている今劇慎治と申します。お名前をお伺いしても?」

「無常仮寝です。『平家物語』に書かれている諸行無常の無常に、仮名遣いの仮。そして、寝業師の寝です。」

 

「難しい言葉を知っているのですね。それに、いい名前です。」

「ありがとうございます。あ、そういえばここの夕飯の時刻を聞いてもいいですか?」

 

「夕飯は十八時からです。では、私はこれで。」

「わかりました、ありがとうございます。あ、そうだ。」

 

今劇さんがここを去る前に聞くことだけさっさと聞こう。

 

「神之門さんにここの案内をお願いしてもいいですか?」

「ええ、構いません。どうぞご覧になってください。」

 

背中を向けて帰ろうとする今劇さんにもう一つだけ聞く。

 

「あ、そういえば、ここの御神体ってどんなのですか?」

「…一体、なぜそんな事を聞くんですか?」

 

…なんか地雷でも踏んだのだろうか?

こちらに顔を半分だけ向けているせいか、よく分からないが彼の目が警戒心を語っているかのように感じられる。

 

「いや、ほら。よく木や岩が御神体とかって言うじゃないですか。どんなのか見てみたいなぁって。」

思わず身を引いてしまうが、すぐさま心を落ち着かせて話を続ける。すると、今劇の顔は先程のような朗らかな顔になり、話を続けた。

 

「残念ですが、ここは御神体を明かしていないんです。ですが、霊験あらたかな木々が沢山あるので見て回ったらどうですか?」

「…わかりました。でしたらまた、夕飯で。」

 

そのまま今劇が帰っていく姿を見送って神之門さんを探す事にした。

 

「重式『ソナー』」

 

さっきの神之門さんの魔力を辿ってレーダーのように索敵をする。重式『索敵』とは違い、魔力を水面下に広げるようにして熱や電気、魔力などのエネルギーを感知する魔法だ。

…お、これは。

その時、懐に入れていた携帯がブルブルと震えた。

土御門からだろうか?

携帯をカパっと開けて送られたファイルを読み込む。

 

だが、そこに書いてあった事は。

僕の頭の中を空白にさせた。

 

「…は?」

 

10秒か、20秒か。はたまた1分か2分か。

ギィ、ギィ、と木を踏む特有の足音が耳に入ったのですぐさま携帯を懐に隠す。

 

「…あ、いた。」

 

声がした方に顔を向けると、そこには神之門がいた。

 

「…ちょっと、聞いてもいい?」

「…何?」

 

喉が、震える。

こんな事、聞きたくない。

 

けど、けれど、だけど。

 

聞かないと。

いや、聞いてどうするんだ?こんな魔法オタクみたいなやつに、この人を救えるのか…?

 

「…いや、いい。」

「…そう?…」

 

僕は、どうすればいいんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新しい話を追加しました。

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