鋼銀の旅人     作:木原 無二

2 / 21
とりあえずもう1話投稿します。


プロローグ 中

「…お兄さんの魔法、凄いね!!」

 

汚い小部屋に自分の可愛らしい声を響かせる。

金髪はまるで、自分の時代が来たかのように顔を紅潮させ始めた。

 

「そ、そうか!それで、俺の魔法は!?」

 

 

 

数字は、100だった。

ファンブルって言って孤児院のお兄ちゃん達曰く、致命的な失敗らしい。

よく分からないが、ダイスの女神に弄ばれているってお兄ちゃんたちは言ってた。

 

(ふざけんな...)

 

どこかの誰かが、人類にこんなへんな魔法(おもちゃ)を与えたせいで、自分は今不幸になっている。

その上で“コレ”(運に弄ばれている)なんだと?

 

もちろん、こんなのソイツ(上位存在)が悪いわけじゃない。

けど、もう知らない。

 

幸せになるための努力をしよう。

たとえ、運が悪くても。

 

 

「えっと、今から言う事を繰り返してね。」

「おう!」

心の中で『滑舌が5分間良くなる魔法』を唱える。

 

「5分間、人の言った事を繰り返す魔法」

「5分間。人の言った事を繰り返す魔法!」

 

「5分間、人の言う事を鵜呑みになり易くなる魔法」

「!?ご、5分間、人の言う事を鵜呑みになり易くなる魔法!?」

ここで金髪は気づいたらしい。

ほんと、ロクでもない魔法ばっかり授かったばかりに。

手を伸ばしてくるが、もう遅い。

 

「自分を催眠する魔法」

「じ、自分を催眠する魔法!」

 

金髪の手が空中で止まる。

目は何処か、暗い星を見ているかのようになっていて焦点は合わず、競馬で一発負けた街のおっさんみたいに見えた。

 

「私は、子供に手をあげない。」

「私は、子供に手をあげない。」

金髪のポケットから財布を自分のポケットにナイナイする。

 

「私は一時間の間、身体能力の制限を解除する。」

「私は刺青の男見ると無意識に殴りにいく。」

「私は魔法の価値が大した価値が1円にもならない事を深く理解する。」

「私は魔法が売買できる事が常識だと認識する。」

「私は目の前にいる子供に害意を持たない」

「私は」

 

その時、カン、カン、と階段を誰かが登っている音が耳に入ってきた。

もうどうやら時間らしい。

 

「私は、今かかっている魔法が解ける。」

「私は、今かかっている魔法が解ける…ってあれ?何してたんだ、俺?」

時間がない、急ごう。

ポケットの中の財布から100円を取り出す。

「ねぇ、お兄さん。魔法をちょうだい。その代わり、百円上げるから。」

「あ、何言って…まぁ1()0()0()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

ここで僕の魔法を発動させる。

「『お互いに同価値だと思っている物と取引を行う魔法』」

 

お互いの間に天秤が浮かび上がる。

金髪はまるで赤子のように手を天秤に伸ばすが触る事が出来ない。

 

「交換する?」

時間はない。ここが瀬戸際だ。

一歩一歩と、足音は近づいてくる。

僕の自由を奪う音が。

 

「いいぜ、百円にもなるんだ!喜んで交換してやるよ!」

「100円どうぞ。」

天秤が釣り合う。

この魔法は使った事がない。だが、賭けてみるだけの価値はあった。

金髪の胸から7色の光が漏れ、僕の胸元に入ってくる。

この感覚は何というか…満足した?

だが、時間は僕の感動を待ってくれないらしい。

さて、新しく手に入った魔法をさっそく使うとしよう。

 

「『視野が狭くなる魔法』。」

金髪に魔法をまずかける。

 

「え、何して…?」

ちょうど、刺青の男が入ってきたタイミングでまた魔法を使う。

「さて、頑張ってね。」

「あ、何を言って…ンが!?」

先ほど金髪にかけた『視野が狭くなる魔法』と催眠での無意識に殴りに行くと言う強制コンボ。さらに身体能力の制限解除で効果はバチくそ跳ね上がる。

 

今のコイツらはお互いに視野が狭い。つまり僕の事なんかどうでも良いと思える筈だ。…多分。

 

さて、遠くに行くとしよう。

街を離れ、誰も知らないところへ。

 

 




感想と魔法待っています!

投稿頻度どれくらいがいい?

  • 現状維持。
  • 2000文字以上で不定期投稿。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。