祝福の花を君に   作:キューマル式

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弟者「兄者、もう小説は書かんのか?」

作者「弟者、お前も分かってるだろ? 色々大変な目に合って、やっと元気な赤ちゃん産まれて、その世話で大変なんだ。時間かかる小説書いてる暇ないんだよ。 ……まぁ、書きたい気持ちは否定できないが」

弟者「そうか……ところで兄者」

作者「なんだ弟者?」

弟者「ACの新作が発売されるらしいが、知ってるか?」

作者「……今、なんて言った?」

弟者「ACが還ってくる、そう言った」

作者「戦い続けた俺たちに……ACが還ってくる? お前はそう言ったのか!」

弟者「ああ、ACが還ってくる!」

作者「帰還するぞ、あのレイヴンたちの戦場へ!
   具体的には子供と妻が寝静まった夜中に」

弟者「微妙に情けないな、兄者」


こんな感じでリハビリ作品となります。続けられるだけ頑張りますので生温かい目で見てもらえると幸いです。



チャプター0
第01話 『生春巻き、目覚める』


 やぁ、ご友人。少しばかり俺の話を聞いてほしい。

 

 ご友人は『転生』、或いは『転移』ってのを信じるかい?

 前世の記憶を持ったまま生まれ変わったり、どこか違う世界の誰かに乗り移ったりっていう、創作物でよくあるアレだ。

 

 なに? 信じない?まぁ、そうだろうな。普通はそんなのファンタジー小説なんかを面白くするためのスパイス、夢のある話程度でしかないからな。

 

 じゃあ、次の質問だ。 ご友人は、『本や物語の世界に行きたいかい?』

 子供のころ、誰でも一度くらいは行ってみたいと思ったことがあるんじゃないか?

 

 だがな、それはやめておいたほうがいい。

 物語は物語だからこそ面白いんだ。リアルにしたら、それは笑えなくなるんだよ。

 

 ……こんな質問して何の意味があるのかって?

 それはもちろん、俺が今までの質問の全部を体験しているからさ。

 俺にとってはなかなか笑えない話を、ご友人にとっては笑える話を聞かせてやろうと思うんだが……すまない。 

 

 

《脳深部コーラル管理デバイス起動。 強化人間C1-53、覚醒します》

 

『おい、聞こえているな53(ゴミ)

 さっさと仕事を始めろ!』

 

「……了解した。ミッションを……開始する」

 

 

 仕事が始まるらしい。話は後にしよう、ご友人。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 シトシトと古戦場に転がる命無き鋼鉄の骸たちへ小雨が降り注ぐ。しかし、この小雨はただの水ではない。幾多の戦闘による汚染の結果、降り注ぐ雨は酸へと変わり果てた。

 そんな命の侵入を拒むかのような酸の雨降る古戦場に、いくつもの鋼鉄が蠢く。

 有人大型機械『MT(マッスルトレーサー)』……作業用から戦闘用まであるこの世界でポピュラーなものだ。それらが今、古戦場で役目を終えた鋼鉄の骸を漁っていた。壊れているとはいえここにある戦闘機械たちのパーツは修理すれば使えるものもある。それらを狙った、いわゆる『ジャンク拾い』である。

 彼らはこの古戦場を縄張りとするジャンク拾い集団、『ヴァルチャーズ』のメンバーだ。ジャンク拾い集団、とは言ったが実際はそんな可愛いものではない。多数の戦闘用MTを所有する武装ギャングと表した方がいいだろう。そんな彼らは今日も仕事に勤しんでいた。

 

「おっ、このMTのアーム、まだ使えそうじゃねぇか」

 

「こっちはMTの頭部が丸々生きてやがる!」

 

「やったな、頭部のセンサー類はいい値になる」

 

 口々に戦果を口にするヴァルチャーズのメンバー。しかし現場指揮官だろうか、一機だけ明らかに戦闘力の高そうなMTに乗った男が苛立ったような声を上げた。

 

「無駄口を叩くな。さっさとお宝をコンテナにつみ込め!」

 

 そんな声に、ジャンク拾いをしていた男たちが肩を竦める。

 

「なにカリカリしてんだよ」

 

「あれじゃねぇのか、最近噂になってるお宝を横取りしてくっていうAC野郎」

 

「ああ、噂の……」

 

 それはしばらく前から現れたAC(アーマード・コア)の話だ。そのACは単機でやってきて、その場にいた連中を全滅させてお宝掻っ攫って行くという。

 その話を聞いたときは「俺たちヴァルチャーズにケンカを売るなんざバカなやつだ」と思うのと同時に、AC単機に蹂躙されたという仲間を「油断したマヌケ野郎」と大いに笑ったものだ。

 

「全く……たかがAC1機にビビりすぎなんだよ。ここら周辺には10機近いMTがいるんだ。

 この数にかかりゃAC1機なんてすぐに蜂の巣よ」

 

「まったくだな」

 

 あははと男たちは笑う。だが、そんな自らの首に死神の鎌が迫っていることを、男は知る由もなかった。

 

 

ドゥンッ!!

 

 

「な、何だ!?」

 

 響く爆発音。次いで仲間からの通信が入る。

 

『ACだ、ACが一機いきなり襲って来やがった!!

 野郎、仲間を次々と……!!』

 

 その通信に一気に緊張が走る。

 

「作業は中止だ! 陣形を組め!」

 

「「「おう!」」」

 

 言われて各々がMTの武器を掲げて、レーダーに映る敵影を見る。そして、それが飛び出した。

 全体的に旧世代型と言われる古いタイプのフレームのACだ。武装は右手にスタンガン、左手にスタンバトン、そして右肩のハンガーユニットにはAC用ハンドガンである。お世辞にも強力な武装とは言い難い。

 

「バカが! そんな武装で来やがったのかよ!」

 

 敵ACの軽武装を鼻で笑い、即座に攻撃を仕掛けるヴァルチャーズのMTたち。マシンガンが、ミサイルが唸りを上げ、敵ACを喰い破ろうと迫る。

 しかし……。

 

「な、なにぃ!?」

 

 敵ACはクイックブーストで全弾を回避、同時にアサルトブーストで急接近をしてくる。

 敵ACの有効射程と同時にスタンガンが放たれた。

 

「うぉっ!?」

 

 ダメージはそれほどでもないが電子回路に電流が走り、MTの動作が鈍った。その隙に敵ACが再びアサルトブースト、現場指揮官のMTの背後を取る。

 同時に敵ACのスタンバトンが展開、放電しながら現場指揮官のMTの背中に叩き込まれた。

 

「ぐぁ!?」

 

「野郎!?」

 

「待て、撃つな! 味方に当たる!!」

 

 即座に反撃しようとするが、敵ACが現場指揮官のMTを盾にするような位置にあり攻撃出来ない。その隙を敵ACは見逃さなかった。

 敵ACが現場指揮官のMTの背中からキックを叩き込む。ボールのように吹き飛んだMTはそのまま、まごつくMTたちへとぶつかった。

 

「うわぁ!?」

 

 体勢を崩したMTたちに、空中へと飛び上がった敵ACがハンガーユニットからハンドガンを取り出して構える。

 

 

ドゥンッ!!ドゥンッ!!ドゥンッ!!

 

 

 放たれたAC用徹甲衝撃弾がMTの駆動系へと突き刺さった。

 駆動系のダメージで動きを著しく欠いたMTに、敵ACが再びスタンバトンを展開しながら急接近。その狙いはコックピットだ。モニターに拡大していくスタンバトンがMTの正面装甲を突き破る。

 

「や、やめ……!?」

 

 それが男の最後の言葉になった。スタンバトンがコックピットを押し潰し、男の身体を挽肉に変える。

 

「や、野郎ぶっ殺してやる!?」

 

「う、うわぁぁぁ!!」

 

 叫びながら反撃を開始するMTだが、相手が悪すぎた。

 しばらくの後、この場にいたMTすべてが新たな物言わぬ鋼鉄の骸をこの古戦場に晒すことになるのだった……。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 さてご友人。仕事も終わったところで俺の話を続けようか。

 

 俺は日本に住んでいたごく普通の一般人……だったはず。すまないがその辺りもう曖昧なんだ。ただずっと発売を待ってたゲームタイトル、『アーマード・コア6』を死ぬほど楽しんでいたのはよく覚えている。

 そんな俺はあるとき気付いたら……生春巻きになっていた。

 いや、何のことか分からないと思うが俺も何が何だか分からなかった。ただ、しばらくすると色んなものが頭に入ってきてそれを整理してやっと状況が分かった。

 

 どうやら俺は『アーマードコア6』の世界に来たらしい。そして俺は強化人間C1シリーズ……第一世代型強化人間、しかも史上初の強化人間の1人だ。

 父親は独立傭兵だったらしく、商売女を孕ませて逃亡。そして母親は出来た子供……つまり俺なわけだが、俺を初の強化人間手術被験体として売ったわけだ。

 当時新技術として理論の完成したばかりの強化人間の被検体を求めていたルビコン技研……というか第一助手は100人の人間を集めて史上初の強化人間手術を施した。これがC1-1からC1-100までのファーストナンバーたちだ。

 しかし理論の完成したばかりの技術に安全性など皆無に等しく、ファーストナンバーの生存率はなんと4%、100人中たった4人しか強化人間へとなれなかった。そして生き残った4人のうちの1人が俺、『C1-53』である。

 

 もっとも、どうやら俺は一度死んでいるらしい。それがどういうわけか息を吹き返したそうだ。

 まぁ、前世のメタ的な視点を知っている身からすれば、本来のこの身体の持ち主はその時死んで、俺が乗り移ったのだろうと今では思う。

 とにかく、そうしてこの世界で意識を持ったと思った矢先、俺は長期保存用に生春巻きにされたあげく、冷凍保存されて研究のためにどこかに運ばれた。一度死んで息を吹き返した事例が珍しかったのだろう。

 しかし、その直後にあの『アイビスの火』が起こった。星系を焼くような大災害を前に、たった1人の強化人間を覚えているなんてのは無理な話、俺と言う存在を誰もが忘れていた。

 しかもその間に強化人間の新技術は次々開発されていき、第一世代型強化人間なんて骨董品は見向きもされなくなっていた。

 

 結果、いつの間にかヒューマンショップの格安コーナーに並び、それでも買い手がつかない状態。第一世代型強化人間っていう希少性で手元に残していたがいい加減廃棄処分でもしようかって時に買い手が見つかった。

 で、そんな廃棄処分寸前の俺を買い取ってくれたお優しい飼い主っていうのが……。

 

『おい、53(ゴミ)! 奴らの集めたお宝を回収しろ!

 くれぐれも足がつかんように、素早くだ!』

 

 俺のことを53(ゴミ)という心温まる愛称で呼んでくれるご主人、『デイブ=キーライ』である。あの『ハンドラー=ウォルター』とのあまりの違いに、恐らくカーラでも真顔になるだろう。本当に『621』は恵まれてたんだなぁと、心底思った。

 デイブ氏のことを説明するならたった1言……『ハイエナ』だ。今日のようにジャンク拾いの連中が汗水たらして集めたお宝を、俺のような捨て石を使って掻っ攫っていく。

 回転率の高い捨て石に必要なのは『安さ』だ。だからこそ、俺のような格安骨董品を買ったのだろう。今デイブ氏に与えられて使っているAC……『ダストボックス』だって中古も中古、構成も『敵パイロットを無力化し、機体を鹵獲する』ことを念頭に組まれている。ただ、こんなことを続けて今まで足がついていない辺り、保身に関しては優秀なようだ。

 

 まぁ、デイブ氏は俺をただの捨て石と思っているようだが、俺は簡単に死んでやるつもりはない。

 今回で5回目の出撃だったが、俺のACパイロットとしての能力はかなり高い。というか、ゲームの『AC6』で出来ていた行動が完全に出来るのだ。しかも、俺は『AC6』にどっぷりハマっていた人間である。つまり、ルビコンを焼き払い、ルビコンを解放し、全宇宙をコーラルまみれにした、イレギュラーと呼ばれるに足る腕があるということだ。

 

(生きていれば、状況を変えるチャンスもあるだろう……)

 

 そう心の中で思いながら、俺はジャンク拾いの連中が集めたお宝の入ったコンテナに、コックピットだけ潰したMTを放り入れるとそれをけん引しながら離脱を開始する。

 その時だった……。

 

「あれは……戦闘か……?」

 

 見れば彼方で戦闘の光が見えた。

 

『近くで誰かが戦闘中らしいな。大方こちらと同じゴミ漁りだろう。

 無視してさっさと戻れ』

 

 デイブ氏は少しイラついたように言うが、俺はその戦闘の光がどうしても気になった。

 俺の前世の記憶が確かなら、あそこで使われている武器は……。

 

「あの戦闘を確認する許可を」

 

『何を言っている53(ゴミ)! そんなことに何の得が……』

 

「あの戦闘で使われている武器……市場で見たことがない。

 どこかの企業の最新型の可能性がある。手に入れば、いい値になるはず……」

 

『本当か?』

 

 金になる、と言われてしばし思考するデイブ氏。

 

『……どうせ死んでも十分な元は取れている。

 よし、53(ゴミ)! コンテナはオートでこっちに送れ。お前はあの戦闘しているやつの持っているその新型武器とやらを奪って来い!』

 

「……了解」

 

 俺は答えて、アサルトブーストを起動させる。そこに今の状況を変える、確かな予感を感じながら。

 そして……やはりその予感は当たっていた。

 

『なかなかいい動きだったが……ここまでだな、犬』

 

 そこにはボロボロに損傷したACと、そのもはや動けないACに右手の武装を構えるACの姿があった。

 武装を確認……やはりさっきの特徴的な爆発は『45-091 JVLN BETA(デトネーティングミサイル)』、そして構えている武器はこれまた特徴的な『44-141 JVLN ALPHA(デトネーティングバズーカ)』だ。普通には市場に出回るものではない。

 

『お前には同情する。 あのハンドラー=ウォルターの飼い犬にならなければもう少し長生きできたのだからな』

 

 トドメを刺すつもりのようだ。瞬間、俺はペダルを思い切り踏み込んだ。『ダストボックス』が加速する。

 

『何! ACだと!?』

 

 すぐに気付いたそのACが、そのまま右手をこちらに向けてトリガーを引いた。

 クイックブーストでそれを回避、しかしデドネーティングバズーカの近接信管が作動し連続した爆風が巻き起こる。だがそれを気にせず、俺はそのまま接近、重量の乗ったキックを叩き込んだ。

 

『ぐぅぅぅ!?』

 

 衝撃を受けそのACが吹き飛ぶが、すぐに体勢を立て直し、俺を見据えた。

 

『貴様……一体何者だ?』

 

「……骨董品の先輩だよ、後輩」

 

 問いかけに答えながら俺は後輩……C1-249『スッラ』の乗るAC『エンタングル』へと向き直ったのだった……。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

今日のアセン

 

AC名:『ダストボックス』

パイロット名:『C1-53』

 

R-ARM UNIT:VP-66EG(スタンガン)

L-ARM UNIT:VP-67EB(スタンバトン)

R-BACK UNIT:HG-003 COQUILLETT(ハンドガン)

L-BACK UNIT:なし

 

HEAD:AH-J-124/RC JAILBREAK

CORE:AC-J-120/RC JAILBREAK

ARMS:AA-J-123/RC JAILBREAK

LEGS:2C-2000 CRAWLER

 

BOOSTER:AB-J-137 KIKAKU

FCS:FCS-G1/P01

GENERATOR:AG-J-098 JOSO

 

EXPANSION:なし

 

 

解説

主人公『C1-53』の現在の愛機であり、飼い主である『デイブ=キーライ』によって与えられた機体。当然ながら『C1-53』の意向はまったく入っていない。

フレーム・内装ともに貧弱、主人公のことをただの捨て石としてしか見ていないことが見て取れる。

武装はスタン系を揃え、『機体よりも内部にダメージを与えパイロットそのものを無力化、その機体を回収して売り飛ばす』ことを考えている。

 

ジャンクパーツが入っていることで分かるが、性能は非常に低い。しかし腕の格闘適正が高いため、スタンバトンを振っているだけで案外どうとでもなってしまう。

作者は試しにアリーナをやってみたが、案外戦えたことに驚いた。武器をマシなものにすれば、それなりには戦えるだろう。

 




というわけで始まったAC小説です。
色々あって完全に筆を折っていたので手探りのリハビリ作品になります。
あと、毎回アセン紹介を入れる予定。

一応1月5日までは毎日投稿予定。いつまで続くか分かりませんがお付き合い頂けたら幸いです。
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