『RaD』での日々を暮らす俺とアオイだが、俺たちの本分はあくまで独立傭兵としての戦いだ。2人で功績をあげていく必要がある。
「これが今回持ってきた依頼だよ」
ここに来てからカーラや、ほかの勢力の依頼を少しづつ受けてきた結果か、俺とアオイの実績も上がってきたようで難易度の高そうな依頼や、指名の依頼も来るようになっていた。ウォルターからの頼みもあってか、ありがたいことに依頼の選択は俺とアオイに任されている。
その舞い込んできた依頼を、俺とアオイは精査していた。
「アオイ、それは絶対やめとけ。
金額を前金で全額払うとか、どう考えても『だまして悪いが』案件だからな」
「ん……」
依頼の中には明らかにおかしなものもあり、そういうものを避ける考え方もアオイに教えている。
例えばこれ、『アーキバス探査本部強襲』……ヴェスパー部隊が全員揃っているような、アーキバスの探査本部を攻めろとか、頭沸いてんのかこの依頼主。依頼主は……安定のベイラムだよ、頭沸きすぎだろ。
そんな『自殺志願者のための自殺方法』みたいな依頼も混ざっている中、俺は興味を引かれる依頼を見つけた。
「ルビコン解放戦線からの依頼、『武装採掘艦ストライダー護衛』……か」
前世でも見たことのあるミッションだ。しかし、前世で見たものとは明らかに違う。
まず作戦時間だが昼間だ。前世のゲームでは夜間だったのでこれは大きな差異だろう。状況も『ストライダーのサブ・ジェネレータ整備のために停止中のところを攻めてくる企業部隊を迎撃してストライダーを護ってほしい』という。
そもそも、原作のAC6において『武装採掘艦護衛』ミッションはとても重要なミッションだ。3周目限定のミッションであり、突如としてルビコン技研製の強力な敵が大量にやってくるというもので、裏で暗躍する存在『オールマインド』の影が見え始めるというミッションだ。
(オールマインドか……)
『コーラルリリース』という全宇宙にコーラルを満たし、人の形を捨て、人の意思とコーラルが合わさった全く新たな存在へ人類を進化させようと目論んでいたAIシステム。
正直、その存在や目的について明確なものはわからない。だが、コーラルリリースを起こすことだけは絶対にさせてはいけないことはわかる。
人は人として、肉の形を保ったまま愛し合って殺し愛をするのが一番いいのだ。このミッションは……そんな『オールマインド』のことを探れるかもしれない。
「カーラ……俺はこのミッションを受けたい。 アオイもいいか?」
次に俺たちの受けるミッションは決まった。
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『ミスター出世払い、アオイ、ブリーフィングを開始するよ』
『こちらはルビコン解放戦線だ。独立傭兵に仕事を依頼したい。
依頼内容は我々の移動拠点である武装採掘艦『ストライダー』、その護衛だ。
『ストライダー』は元々コーラル採掘のための巨大移動採掘拠点だが、日々強大になっていく侵略者たちに対抗するためドーザーたちに改造を依頼、武装化した。各所に増設した武装と巨体によって、侵略者たちを防いでいる。
中でも特徴的な改造が、高出力エネルギー砲である『アイボール』を搭載していることだ。
『アイボール』の火力は凄まじく、超長距離から侵略者たちを打ち倒すことが可能だが……その設置にかなり無茶な改造をしているのも事実だ。
『アイボール』の使用には『ストライダー』本体のメイン・ジェネレータへエネルギーバイパスを直結しており、『アイボール』は『ストライダー』最大の武装でありながら最大のウィークポイントになってしまっている。
対策としてサブジェネレータを4基設置して、常時シールドを展開し『アイボール』を守っているものの、このサブ・ジェネレータも急遽取り付けたもので『ストライダー』用のものというわけではなく、こまめな整備が必要になってしまっている。
今回もその4基のサブ・ジェネレータの整備なのだが……どうやらその情報が企業に漏れていたらしい。
整備中は『ストライダー』は移動できない上『アイボール』は使用できず、しかも悪いことに砂嵐も止んでしまい視界良好な状態。そこを狙ってアーキバス・ベイラム双方の部隊が接近中だ。
2企業部隊を同時に相手をすることになる非常に厳しい状況だが、それでも我々は貴重な拠点である『ストライダー』を失うわけにはいかない。
報酬は出来うる限る払う。だからどうか手を貸してほしい』
『
「『RaD』製なのかよ、あれ」
『『アイボール』が『ストライダー』のメイン・ジェネレータに直結してるから、『アイボール』が破壊された場合、エネルギーが逆流して『ストライダー』本体が確実に吹き飛ぶっていう、どう考えても笑えないジョークみたいな代物なんだよ。
対策として4基のサブ・ジェネレータを増設して常時強力なシールドを展開して『アイボール』を守っているけど……そもそも『ストライダー』はその巨体ゆえにダメージコントロールでダメージ区画を閉鎖して長時間の延命を可能にする、要するに『頑丈で長持ち』って基本設計なんだよ。そんな基本設計のものに、破壊されたらダメージコントロールもクソもなく一発で爆沈するような武装を載せるなっての。完全に設計が破綻してるよ』
「じゃあなんで『アイボール』なんて載せたんだよ?」
『『アイボール』は惑星封鎖機構からの鹵獲品なのさ。
自分たちを抑圧する連中から奪った強力な武器をそいつら相手に使ってやる、ってことでどうしても載せてくれって依頼だったんだよ。
それをやりたいって気持ちが先行して、実際にやったらどうなるかまでわかんなかったんだろうね。サブ・ジェネレータを4基もポン付けすることになるし、改造費用も莫大でうちとしては美味しかったよ。
……『アイボール』付けろって条件さえなければ、その分ミサイルやグレネードキャノン増設したり、取りつかれても迎撃できるようにMT部隊を内部に配備したり、普通に強くする方法はいくらでもあったんだけどね』
「気持ちは分からんでもないが……バカすぎないか、それ」
『まぁ、依頼主のバカっぷりはこのくらいにして、問題はここからさ。
これを絶好の機会と見たアーキバスとベイラムは、ストライダー破壊に自分たちご自慢の部隊である『ヴェスパー』と『レッドガン』を送りつけてくるみたいだね』
画面が切り替わり、2機のACが映し出された。
『まずは『ヴェスパー』の方が『ヴェスパー
次に『レッドガン』の方が『
……双方ともに原作AC6では聞いたことのない相手だが、何となく予想はできる。
まず『ヴェスパー
『
(……もう、ほとんど俺の原作知識は役に立ってないな)
俺と言う異分子がいる時点で分かってはいたが、俺の知る原作との乖離が酷い。今回、俺がこのミッションを受けるのも、その辺りの確認も兼ねてだ。
『アーキバスとベイラムが仲良くストライダーだけ攻めるってわけもない。
戦場はアーキバスとベイラムと解放戦線の三つ巴の戦場になる。 不測の事態には十分注意するんだよ!』
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俺たちが戦場にたどり着いた時、すでに戦端は開いていた。
『待っていた、独立傭兵たち。
加勢を頼む!』
ルビコン解放戦線側の責任者だろう、BAWS製重四脚MTからの通信を聞きながら俺たちは戦況を確認する。
アーキバスは少数精鋭といった感じで、異様に動きのいいACが1機、他は練度が高いだろうMTが数機、さらに支援型がそこそこといったところだ。
一方のベイラムは数で圧殺を社是としているためか数が多めだ。盾持ちMTが前面で防御を担当、後方と空中のヘリがミサイルで支援してくる。そして最前線でMTを指揮しているらしいAC1機。
やはり企業のエリート部隊、動きが『ジャンカー=コヨーテス』をはじめとしたただの無法者集団とはまるで違う。だが、俺たちにとっては慣れた相手だ。
「とにかく、数を減らす!」
『……了解!』
『曼珠沙華』の連装グレネードキャノンが空中のベイラムヘリ部隊の中心に叩き込まれた。発生する猛烈な爆風が、重量の軽いヘリを吹き飛ばす。
『何だ!?』
『ルビコン解放戦線の雇った独立傭兵だ!』
即座に反応したベイラムの盾持ちMTが前に出るが、そのまま換装したパイルバンカーで殴りつける。盾がひしゃげ、吹き飛ぶMT。そこにトドメのショットガンを叩き込む。
『お前、よくも!』
怒りの声とともに飛び掛かってくる『
しかし、俺たちの敵はベイラムだけではない。
「悪いな、駄賃を払うから通してくれ」
ミサイルを回避しながら俺は『オーバーライン』の脇を通り過ぎる。しっかりと
そのまま狙うはアーキバス部隊。ロックオン完了の音とともにプラズマミサイルを発射、プラズマ爆発がアーキバスのMTたち数機を巻き込んだ。
『何!?』
『おのれ傭兵め!』
どうやら俺に注意を引くことに成功したようだ。
しかしその時、上からレーザーショットガンの拡散レーザーが『日向葵』に襲い掛かる。
『あなた、ふざけてるわね』
クールな声で舞い降りるのは『ヴェスパー
右手にはシュナイダー社製のレーザーショットガン、左手はレーザーブレード。肩にはプラズマミサイルとシュナイダー社製のパルスキャノンを装備している。ブースターもシュナイダー社のもので、完全にシュナイダーの企業戦士といった感じだ。
「ふざけちゃいない、依頼に忠実なだけさ」
『そう。 こっちもよ』
言って、挨拶代わりと肩のパルスキャノンを撃ってくる。泡にも似たそれを回避し反撃のショットガンを放つが、その高い跳躍力と身軽さで回避する『サクリファイス・メイデン』。
「やるな……アオイ、そっちは?」
『……こっちもまあまあやる』
アオイの『曼珠沙華』も『オーバーライン』との戦闘に入っていた。アクティブホーミングミサイルとリニアライフルを用いた緩急ついた攻撃は『曼珠沙華』の装甲を傷つけるも、両手のバズーカと連装グレネードキャノンという極悪火力が『オーバーライン』を着実に追い詰めている。
そんなAC戦のさなかでも、アーキバスとベイラムとルビコン解放戦線の三つ巴の泥沼のような戦闘は続いていた。
その時だ……。
『待ちな、アオイ、ミスター出世払い!
何かが……何かが高速でそっちに接近してるよ!!』
カーラからの警告。そして現れたのは……大地を走る、巨大丸ノコの群れだった。
ガリガリと大地を削りながら、その凶悪な刃を回転させて突き進んでくる。
『な、なんだあれは!?』
そのまま巨大丸ノコの群れは、アーキバスとベイラムとルビコン解放戦線の三つ巴の戦場に飛び込むと、そのすべてに牙をむいた。
『た、弾が効かない!?』
『た、助けてくれ!?』
『熱い、熱いぃぃぃぃ!!』
マシンガンやライフルの弾を強固な装甲で弾き、そのまま丸ノコがMTを真っ二つに両断する。
その突進を避けれた幸運なものも、追撃の火炎放射器で火だるまにされた。
その攻撃はアーキバスだろうがベイラムだろうがルビコン解放戦線だろうがお構いなしだ。
『あれは……技研製のヘリアンサス型!? どうしてこんなところに大量に!?』
カーラの驚愕の声が通信機越しに聞こえる。
アレは原作AC6ではルビコニアンデスパンジャンとも呼ばれた技研製C兵器『ヘリアンサス』だ。その攻撃力と厄介さは群を抜いており、ACでも気を抜けば一瞬でバラバラに解体されるだろう。
俺は依頼主であるルビコン解放戦線の指揮官へと通信を入れた。
「おい、状況は見えてるか!?」
『あ、ああ……アレは一体? 奴ら企業の新兵器か……?』
「それなら企業までボロボロに攻撃を受けている説明にならないだろうが!
このまま企業部隊と三つ巴をやっててもアレにやられて共倒れだ。
あの正体不明の敵勢力を叩く間だけでも、アーキバスとベイラムに共闘を申し出ることを勧めるぞ!
アレは俺たちがいても厄介すぎる相手だ!」
『し、しかし……!
いや……この状況では君の意見が正しいのだろう。
わかった、ルビコン解放戦線は一時休戦と共闘を、アーキバスとベイラム部隊に申し出る』
『……たしかにこのままでは共倒れです。
わかりました、アーキバスはあの不明勢力を撃破するまでの一時休戦と共闘の申し出を呑みましょう』
『この状況ではそれが最良の選択だろうな。
ベイラム部隊も一時休戦と共闘の申し出を呑む。 敵はあの不明勢力だ!』
「アオイ、行けるな?
正直、ヤツには爆発系武器が有効だから期待してるぞ」
『大丈夫、任せて……!』
こうして一時的にアーキバス・ベイラム・ルビコン解放戦線の共同戦線が始まることになるのだった……。
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今日のアセン
AC名:『サクリファイス=メイデン』
パイロット名:『ヴェスパー
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
HEAD:KASUAR/44Z
CORE:NACHTREIHER/40E
ARMS:NACHTREIHER/46E
LEGS:KASUAR/42Z
BOOSTER:ALULA/21E
FCS:FCS-G2/P05
GENERATOR:VE-20C
EXPANSION:PULSE ARMOR
解説
ヴェスパー部隊第10部隊隊長『ヴェスパー
よく言えばクール、悪くいえば事務的。必要以上のことはしゃべらない女。しかし仕事は出来るタイプで、なんでもそつなくこなす器用さを持つ。
『ヴェスパー
同僚であり同じく女性である『ヴェスパー
フェンネルがラスティと懇意にし、ラスティを嫌っている『ヴェスパー
堅実かつ器用にたいていの仕事をこなす彼女は間違いなく優秀なのだが……何故か『ヴェスパー
経歴からも分かる通り、ラスティと同じくシュナイダー社経由で送り込まれたルビコン解放戦線のスパイ。ラスティの活動を援護し、最悪の場合は自らを生贄にしてもラスティを逃がすために送り込まれている。
しかし、彼女の原動力はルビコン解放という理想ではなく、あくまでラスティ個人への恋慕ゆえという真実を知る者はいない。必要とあれば恋人役を行うラスティも、彼女の本気を知らない。秘めた想いを胸に今日も彼女は危険な任務に赴く。
コンセプトは2つ。『ラスティのヒロインとして、機体構成をラスティのものに似せる軽量高機動型』、『なるべくシュナイダー社製で固めたエネルギー兵器型』、これらのコンセプトで組んだアセン。コアのジェネレータ出力補正が死んでいるので頭を抱えたが、何とかコンセプトを実用可能なレベルにまで落とし込んだ。
肩のパルスキャノンをマシンガン替わりに使いつつプラズマミサイルでけん制、チャージショットの強力なショットガンや攻撃範囲の優秀なレーザーブレードに繋げていくのが基本戦法。
ただし武器の特性上スタッガーはほとんど狙えないので、じっくりと相手を削れる技量が必要。軽量機は難しい。
弟者「兄者、なんでラスティのヒロインなんて出したんだ?」
作者「俺さ、小説書くときってどうしてもやりたいシーンを思い浮かべて、それに繋がるように間を書くって感じで書いてるんだ。まぁシーンを切り貼りしながら書いてるわけだ」
弟者「ほうほう」
作者「で、ラスティ見てたらどうしてもやらせたいシーンがあってな。そのためにヒロインが必要って結論になって登場させた。だからこの作品では最終決戦でオルトゥスと一緒にラマーガイアが助けにくるぞ」
弟者「で、やらせたいシーンって?」
作者「『OZ』って樹なつみ先生の古いマンガなんだが……」
弟者「もういい。兄者の性格上やらせたいシーンが見えた。ネイトと1024のキスシーンだろ」
作者「『レッスンワン、キスをする時には目を開くな』『なぜですか』『互いの嘘がばれるだろーが』。
……俺は今でもあれがキスシーンでのかっこいい台詞回し第一位だと思ってるぞ」
弟者「人のことを知りたいから誘惑してくるアンドロイドの1024。ネイトも機械だって理解しながらも惹かれて、でも最後は機械であることを優先した1024に撃たれて、それでも好きになってたって告白して自爆心中とかあの2人の関係は『人×アンドロイド』で衝撃を受けた。当時小学生だったが」
作者「俺も中学生だったがキスシーンが印象に残り続ける位に衝撃だった」
弟者「でもそれだとラスティとフェンネルが無理心中しそうだが」
作者「フェンネルはアンドロイドじゃないんでそれはなしで」
弟者「しかし兄者」
作者「なんだ、弟者」
弟者「俺、兄者のせいでかなり性癖ぐちゃぐちゃに破壊されてね?
主に兄者が当時から友達だったオタ女子から借りてた漫画一緒に読み漁ってたせいだが」
作者「……正直スマンカッタ」
結論:家族に英才教育を施すのはほどほどにしましょう。