突如として襲い掛かってきたルビコニアンデスパンジャンこと、ルビコン技研製兵器『ヘリアンサス』。
その群れはアーキバス・ベイラム・ルビコン解放戦線関係なく引き潰していく。
『マシンガンもアサルトライフルも効かない!』
『エネルギー兵器でもまともに傷付かないとかどんな装甲だ!?』
一時の共闘となった3陣営だが、ヘリアンサスの厄介さに大混乱に陥っていた。
『ルビコン技研……かつてルビコンにあり、『アイビスの火』にも関わりのある狂った技術者集団だよ。
ヘリアンサスはそこで造られた代物だけど……なんだってこんな数の、それも完全に稼働状態にあるものがこんなところにいるんだい……?』
そんなルビコン技研の情報を知ってるあんたは何者だよ、という喉まで出かかった言葉を慌てて呑み込む。原作AC6の一説には、カーラはルビコン技研の第2助手で、ヘリアンサスをはじめとしたルビコン技研のビックリドッキリメカの基礎設計者ではないかという考察があった。さらに、『アイビスの火』当時から容姿が変わっていないようで、『強化手術で老化を押さえている』『クローンを造り、記憶を継承し続けている』などカーラに関しては謎は多かった。そこに踏み込んだらヤケドではすむまい。
カーラの困惑も分かる。確かにこんなやつらが野良で彷徨っているなどどんな地獄だ。ルビコン3はそこまでの地獄ではないと思いたい。
ともかく、こいつらは攻略法を知らないとかなりつらい相手だ。
「アオイ!」
『うん……!』
『曼珠沙華』の連装グレネードキャノンがヘリアンサスに直撃、そこに俺の放ったプラズマミサイルが命中し、ACS負荷限界に達して姿勢制御不能になったヘリアンサスが、横倒しで倒れた。
すかさず『日向葵』は倒れたヘリアンサスに飛び乗ると、両手のショットガンの銃口を押し付け、ゼロ距離射撃する。炎を上げるヘリアンサスを蹴って空中に跳び上がると、ジェネレータに火が廻ったヘリアンサスは爆発した。
「見てたか! こいつの強固な装甲は正面装甲だけで、側面装甲は比較的薄い!
側面からの攻撃に集中するか、ミサイルなんかの爆発系兵器でACS負荷限界にして転倒させてから側面を撃てば倒せる!」
ここで情報を秘匿してもしょうがない、俺はオープン回線でヘリアンサスについての情報を3陣営に流す。
『そう、そういうことね』
即座に実行に移したのは『ヴェスパー
『俺だって!』
それに続くように『
このメンバーの中でヘリアンサスと一番相性がいいのはアオイだろう。『曼珠沙華』のバズーカと連装グレネードキャノンで苦も無くヘリアンサスを処理した。
ヘリアンサスの攻略法は示した。しかし、それを実行できるのは俺とアオイ、そしてフェンネルとテンリューくらいのものでほかのMTはそうはいかず、回避をしながらミサイルやバズーカなどの爆発系武器で散発的な攻撃をしている。
その時、カーラから再び通信が入った。
『また高速接近反応! これは……!?』
同時にミサイルとグレネード弾が各所に着弾、3陣営に再び混乱が起こる。
『な、なんだ!?』
『あのMTからか!?』
高速接近してきたMT、その数10機。だがこいつはMTに見えるがMTじゃない!
『おいおいおいおい……今度は『ウィーヴィル』と来たよ。
こいつもルビコン技研で造られた兵器だよ。ここは博物館か何かかい? なんだってこんな奴らがここに……!
見た目はただのMTに見えるかもしれないけど、中身はまるで別物だよ、注意しな!』
カーラの言葉通り、やってきた『ウィーヴィル』は高速で動き回り、ミサイルとグレネードキャノンを発射、しかも接近したら格闘戦でキックまで繰り出してくる厄介さで攻撃を仕掛けてきている。
ヘリアンサスと連携をとるウィーヴィルは厄介極まりない。だがこちらの戦力には俺とアオイ、そしてフェンネルとテンリューというルビコン3でもトップクラスのAC乗りたちがいる。時間はかかるが倒すことは不可能ではない。
(……なんだ、この違和感は……?)
ウィーヴィルをパイルバンカーで串刺しにし、機能停止したウィーヴィルを投げ捨てながら俺は奇妙さに気付く。
(俺が知る原作AC6の『ストライダー護衛』ミッションは、こいつらは先にストライダーを破壊してから主人公に襲い掛かってきていた。こいつらにとってもストライダーは明確に破壊目標のはず。だとしたら……!!)
「カーラ、今すぐ広域サーチをしてくれ!
こいつらは恐らく囮、本命のストライダー破壊を狙ってるやつがいるはずだ!!」
『なんだって!? ちょっと待ちな……。
……あんた、本当に猟犬の嗅覚でも備わったのかい? ドンパチやってる逆方向から、こそこそストライダーに接近してるやつがいるよ!』
「やっぱりか!
俺が行く! アオイ、この場は任せた!!」
『わかった、任せて……!』
『日向葵』のアサルトブーストを起動、俺はカーラに指定されたポイントへと急ぐ。
そしてそこにいたのは……。
「やぁ、久しぶり、後輩」
『ああ、久しぶりだ先輩』
あの独立傭兵『スッラ』とそのAC『エンタングル』だ。
『その後助けた犬とはどうだ、先輩?』
「ああ、銀の髪が綺麗でな。 首ったけで思わずウォルターに一緒に飼ってもらってるよ」
軽口を叩きながら、全神経を集中させていく。
『そうか先輩、ウォルターの飼い犬になったのか……。
ところで仕事の邪魔だ、どけ、先輩』
「ハハハ。 ……そりゃこっちのセリフだよ、後輩」
ゆっくりと互いのACの右手が持ち上がっていく。そして……。
『ならば……ここで果てろ、ウォルターの犬!』
「果てるのはお前だよ、後輩!」
『日向葵』のショットガンと『エンタングル』のデトネーションバズーカが同時に放たれ、戦端は開かれた。
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挨拶代わりの攻撃をお互いにブーストで回避する。
『強化人間すべての不幸の始まりのような男だぞ、ハンドラー=ウォルターは。やつのおかげでどれだけの強化人間が死んでいったか……。
そんなやつの犬になるなど、気が知れないな先輩!』
「それがどうした? 俺のような
俺はラッキーだよ」
『送られる場所は常に地獄だぞ?』
「あっそう。 それで? それが何か問題?
喰らうは屍肉、啜るは血潮。 死山血河を造る修羅の歩み……それが変わらぬ俺たち強化人間の生きる道だろう?
地獄行脚は当たり前だよ。少なくとも人生を買い戻すまではな」
『……先輩、いくら何でも古風が過ぎるぞ』
「あいにく骨董品なんでね」
『エンタングル』のデトネーションミサイルが『日向葵』を追い、爆導索が連続爆発。同時に逃げ場を塞ぐようにプラズマミサイルが飛んでくる。
しかし俺は臆することなく『日向葵』のアサルトブーストを起動、プラズマミサイルを撃ちながら一気に『エンタングル』に接近、『エンタングル』から泡のようなパルス光弾を受けながらも、両手のショットガンを叩き込んだ。
『ぐおっ!?』
さすがの衝撃にスッラから苦悶の声が漏れる。
「だがな……この修羅みたいな人生で、それでも居場所や守りたいもの、やりたいことが見つかった。
俺にはこの人生は悪くないように思える。
ウォルターのつける首輪は存外悪くないぞ」
『首輪自慢をはじめるとは、いよいよもって犬だな先輩』
「後輩。お前の方こそ、その首輪の先には誰がいる?」
『何?』
「お前は独立傭兵だ。 依頼がなければ動かない個人。
そんなやつがこれだけの
なぁ、後輩。 お前はどこの誰の犬なんだ?
これだけ立派な
『貴様……!』
『エンタングル』が怒りのデトネーションバズーカを構えるが、二脚でのバズーカの構えはこの近接距離ではあまりにも大きな隙をさらす行為だ。
そして……この距離は俺のホームグラウンドだということを思い知らせてやる!
「アサルトアーマー、起動!」
『しまッ……!?』
発生したパルス爆発が発射されようとしていたデトネーションバズーカの弾頭も吹き飛ばし、『エンタングル』を包み込む。そして間髪入れずにリロードの終わっていた両手のショットガンを叩き込んだ。特殊衝撃散弾が全弾命中、ACS負荷限界を突破し、スタッガー状態に陥る『エンタングル』。
「じゃあな、後輩」
換装を終え、炸薬装填の済んだ渾身のパイルバンカーを俺は振りかぶる。狙いはコアのコックピット部。
確実な殺意を乗せた特殊合金製の杭が放たれようとした、その瞬間だった。
ズガン!
「何っ!?」
『日向葵』の右側から高出力レーザーが叩きつけられ、その衝撃でコアを狙った俺のパイルバンカーは外れ、『エンタングル』の右腕を貫くにとどまる。
「今のは!?」
レーダーにも光学カメラにも反応はない。 まさか!?
慌ててスキャンを起動すると、そこには光学迷彩をした敵機の姿が。
『光学ステルス迷彩……だって!? 何だい、あいつは!?』
カーラの驚愕の声と同時に再度、レーザーが『日向葵』に迫る。
「ちぃ!?」
俺はクイックブーストを起動させ、スキャンで索敵の済んだ敵……原作AC6で『ゴースト』と呼ばれていたあいつをロック、ショットガンとパイルバンカーを叩き込み、即座に沈めた。しかし、その隙に機能回復した『エンタングル』は俺から大きく距離を取っていた。
『……時間切れのようだ、先輩』
見れば、整備を終えたらしいストライダーの巨体が立ち上がっていく。奇襲して援護までしていた『ゴースト』も失った今、俺を振り切って起動したストライダーを破壊するのはもはや不可能だろう。
『……次は必ず殺すぞ、先輩』
「それはこっちのセリフだ、後輩」
そう言ってスッラは離脱していった……。
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俺がアオイたちの元に戻ってみると、戦闘は終了していた。
ヘリアンサスとウィーヴィルは全機破壊されている。しかしアーキバス・ベイラム・ルビコン解放戦線の3勢力の戦力はズタボロだ。まともなものがほとんどいない。
この状況でストライダーの整備が完了し起動した以上、アーキバスとベイラムの侵攻作戦は失敗だ。
とはいえ今まで共闘していた相手である。俺はルビコン解放戦線の指揮官へ通信を繋いだ。
「ストライダーの整備が完了した以上、こちらの勝利ではあるが……あの不明兵器の勢力はアーキバスとベイラムの共闘がなければ、ストライダーの破壊は免れなかったぞ」
『……分かっている。 我々もそこまで戦場の礼を欠くような真似はしない。
アーキバスとベイラム部隊に通達。 共闘、感謝する。
とはいえ未だ先ほどの不明兵器群が傍にいる可能性は否定できない。 アーキバスとベイラム双方がこの戦域を離脱するまでは、この共闘体勢を維持したいと思うが、どうか?』
要するに今回は見逃すのでさっさと撤退しろということである。
『……確かにこれ以上の作戦遂行は不可能ね。
いいわ、アーキバス部隊は撤退するわ』
『こちらも同じ、ベイラム部隊も撤退する』
フェンネルとテンリューの声とともに、両陣営の撤退が始まった。
するとフェンネルのAC『サクリファイス・メイデン』がアオイの『曼珠沙華』に向き直る。
『独立傭兵アオイ……覚えておくわ。 またどこかで共闘できればいいわね、『戦友』』
そう言ってアサルトブーストを起動させて『サクリファイス・メイデン』は去っていった。
「……何かやったのか、アオイ」
『知らない。 何度か援護しただけ』
そうは言うが、アオイは初めての『戦友』という言葉に思い深いものがあるのか、飲み込むように何度も頷いている。
すると、今度はテンリューの『オーバーライン』がこちらを向いた。
『独立傭兵ヒナタにアオイ……凄い強さだった。
次に出会うなら、そのときはベイラムの依頼を受けた時であることを祈っているよ』
そう言って『オーバーライン』もアサルトブーストを起動して去っていく。
『ミッションクリアだよ、アオイにミスター出世払い。
それと悪いけどそいつらの残骸と、とくにあの光学迷彩してたやつの残骸を回収してきておくれ。ちょっと調べてみたいんだよ。
解放戦線への話はあたしから付けておく。なに、これだけ想定外の事態が連発してるんだ、追加報酬と一緒に要求するよ。
それと……今日の一件であんたたちの名前はアーキバスやベイラムにも伝わった。
順調に名をあげてるね、あんたたち』
「……ああ、そうだな」
(ストライダー破壊の失敗でどう変わる?
アーキバス、ベイラム、解放戦線。そして……オールマインド)
カーラの言葉に俺は生返事を返しながら、モニターに映るストライダーの巨体を見上げていた……。
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今日のアセン
AC名:『オーバーライン』
パイロット名:『
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
HEAD:HD-011 MELANDER
CORE:DF-BD-08 TIAN-QIANG
ARMS:AR-011 MELANDER
LEGS:DF-LG-08 TIAN-QIANG
BOOSTER:BST-G2/P06SPD
FCS:FCS-G2/P10SLT
GENERATOR:DF-GN-06 MING-TANG
EXPANSION:PULSE ARMOR
解説
突然の敵襲に偶然あった機体にいきなり乗り込むとか、AC以外のロボットものなら主人公のようなムーブをしていた『テスターAC撃破』の訓練生。この世界線では『テスターAC撃破』のミッションをハウンズの誰も受けなかったため名も無い独立傭兵がそのミッションをうけ、返り討ちにして生き残った。
念願のコールサインを貰って晴れてレッドガン入りを果たしたものの、まだまだ経験は浅く発展途上は否めない。しかしそれを自分で認める謙虚さと慎重さと堅実さをもっているため、「生き残って戦場で学べば化ける」とミシガンやナイルといった上層部には期待されている。
『テスターAC撃破の訓練生が生き残ってレッドガンに入ったら?』というコンセプト。機体はテスターACをベースに改良、『テスターAC』自体がブレード装備でそれなりに完成度が高かったのでアセンは容易だった。
また本人が自分がまだ経験が浅く未熟ということを自覚しているため『命中しやすいアクティブホーミングミサイル』、『弾速が速く、命中率が高いリニアライフル』を採用。『とにかく当てやすい武装を使う』ことを念頭にしている。ブレードも初期から装備でなかなか隙が無くまとまっている。
名前元はレッドガンは全員川の名前から来ているので『天竜川』の『テンリュー』。世界水準超えちゃってるぜ。
機体名はみんなの序盤の金策として殺され続けた彼がその世界線を乗り越えたことから『オーバーライン』となっている。
2024/2/11
いくつかの指摘を受けたのでAC『オーバーライン』の右肩武装を単装アクティブホーミングミサイルに変更しました。