ルビコンの交易の要衝でもあり強固な砦でもあるルビコン解放戦線の重要拠点、通称『壁』を制圧する作戦がアーキバスによって発動した。しかし、その実情は酷いものだった。
当初アーキバスはベイラムの『壁』制圧作戦の情報を掴んでおり、ベイラムの投入戦力、そして戦術を考え、ベイラムの『壁』制圧作戦はかなりの高確率で失敗するだろうと踏んでいた。そしてベイラムの攻撃によってルビコン解放戦線が疲弊したところを漁夫の利を狙うというのが、アーキバスの方針だった。
しかし、ベイラムは『壁』の攻略作戦を延期していた。『壁』の攻略予定の直前に行った『ガリア多重ダム攻撃作戦』の失敗……独立傭兵たちの裏切りによって『
加えてもう一つのルビコン解放戦線の重要拠点である『武装採掘艦ストライダー破壊』に向かった『
これだけ一気に戦力が低下した状態で『壁』の攻略などできるはずがなく、強行した場合『レッドガン』は今後の活動において致命的な被害を被る可能性が大であると総長のミシガンと副総長のナイルから強い反発(脅迫)があったのだ。
ベイラムの上層部はミシガンと半ばその私兵集団である『レッドガン』を嫌っている。ともすればいくらすり減っても構わないとも思っている。しかしその結果、アーキバスによってコーラル利権を独占されたいかと言われれば、そんなことは欠片ほども思っていない。アーキバスからコーラル利権を勝ち取り、その上で有益に死んで潰れて欲しいのだ。
そんな思惑からミシガンとナイルの具申は聞き入れられ、しばしベイラムは戦力の回復に集中することになる。
だが、こうなると困るのはアーキバスだ。最初から漁夫の利を狙おうと画策していたのに、それができなくなった。挙句、星外の上層部からは成果を求められせっつかれる。ベイラムのように戦力不足を理由に拒否しようにも、現在の大きな被害は『武装採掘艦ストライダー破壊』に赴き、不明勢力によって大きな被害の出た『ヴェスパー
かくして、ヴェスパー部隊上層部は誰も望んでいない『壁』攻略作戦を政治的理由から行う羽目になってしまう。そんなアーキバス部隊を出迎えたのが、難攻不落と言われたルビコン解放戦線の要塞、その強大な暴力であった。
アーキバスMT部隊が次々と壁の各所に配置された砲台やMT部隊による十字砲火に晒されていく。各部隊の隊長級のACがその砲台やMT部隊を破壊していくが、ハリネズミとも形容できるような数の火線に少しずつダメージが蓄積していき、最終的に撤退に追い込まれる。
アーキバスによる一度目の『壁』攻略作戦は、参加したヴェスパー部隊隊長たちによって『壁』に対しても大きなダメージを与えたものの、それ以上のダメージをアーキバスに与えていた。
作戦に参加したヴェスパー部隊長は『ヴェスパー
特に現場で撤退を決断し、しんがりを自ら買って出た『ホーキンス』は機体を撃破されてしまった。幸い、脱出装置により命は助かったものの大きな怪我を負い戦線への復帰にはしばらくかかる見込みだ。
なおフェンネルは先に述べたように『武装採掘艦ストライダー破壊』の失敗による懲罰的な意味での出撃でもあったが、この脱出したホーキンスを無事に回収して帰還したことで、その失敗は不問ということになっていた。
この『ホーキンス』という男は非常に有能で、温和な態度で周囲に軋轢を作らず、後輩たちへの面倒見もいい。そして輜重部門の責任者でもあった。
輜重……戦争においてもっとも重要なのは『補給』である。どんな優秀な人間、兵器であろうと補給なしには戦い続けることはできない。ましてや今回の戦いはルビコン3という惑星へのアーキバス社による侵略にも等しいものだ。敵地における補給物資の価値はさらに上がる。それらの采配を行っていた責任者の長期戦線離脱に、ヴェスパー部隊の戦略を担当している『ヴェスパー
大企業アーキバスのエリートを自認するスネイルには『しょせんは旧式装備で武装しただけの土人ども』という侮りがルビコン解放戦線にはあったが、それを改めざるをえない屈辱的な敗戦である。
本来ならば戦力の回復に努めたいところだが、星外からの政治的圧力で始まったこの『壁越え』はアーキバスの面子としてどうしても達成しなければならない事項になってしまったのだ。しかし戦力の低下は著しく、今後のことを考えると他の部隊を投入してことに当たるのも考え物だ。何と言っても敵はルビコン解放戦線だけではないのだから。こんな時最強の切り札である『ヴェスパー
そこで仕方なく、スネイルはあまり好まない方法……独立傭兵の雇用を行うことにした。
金次第で敵にも味方にもなり裏切りもする独立傭兵は信用のおける戦力ではない。しかし『早急に金で買える弾除け』程度の気分なら使うこともやぶさかではない。傭兵たちを捨て駒にして『壁』の戦力をすり減らせ、アーキバスの部隊によって『壁』を越えるのだ。
そのために日頃から行動の怪しい『ヴェスパー
そんなスネイルの思惑の元、アーキバスによる『第二次壁攻略作戦』は開始された。
スネイルの不幸は3つあった。
まず1つ目が、アーキバス側の動向と事情がルビコン解放戦線に筒抜けだったこと。ヴェスパー部隊にまで入り込んだ『2つの目』はその内情をしっかりとルビコン解放戦線に伝えていた。
2つ目が、ルビコン解放戦線の軍事的な指導者である『ミドル=フラットウェル』が『壁』に固執していなかったこと。
フラットウェルはいかに強固な『壁』であっても、高度な装備で固めた企業の大部隊を相手に長期的な維持は不可能だと判断していた。幸いにも移動拠点である『武装採掘艦ストライダー』が健在であったこともこの決断を後押しする。
第一次の『壁』攻略戦では全力で防衛、最大の出血をアーキバスに強いたら、最低限の戦力(と言っても普通の拠点としては十分すぎる戦力)を残して部隊をストライダーまで後退、『壁』は放棄し、長期的なゲリラ作戦での抵抗を行うという方針である。
そして3つ目が、雇ってしまったのが凶悪な猟犬軍団だったことだ。
現在名を上げている存在であり、さらにはマネージャーとも言えるハンドラー=ウォルターの直々のセールスによってハウンズ4人を第二次『壁』攻略作戦の先鋒として送り込んだのである。
結果何が起こったのか……蹂躙である。
数が減らされているとはいえAC4機程度では瞬時にスクラップにされるだろう『壁』の防衛力、それをハウンズはやすやすと食い破った。
各種砲台はマルチロックによるミサイルの雨で撃ち壊された。迎撃のMT部隊はレーザー兵器の猛攻で沈黙し、大型重四脚MTは高威力のプラズマキャノンによって即座に消し炭になった。そして『壁』の防衛の要とも言える大型兵器『ジャガーノート』2機は瞬時に背中からチェーンソーでズタズタに引き裂かれていた。
送り込まれたアーキバスの戦力であるラスティは2機目のジャガーノートの撃破前に間に合って共闘を始めたが、ラスティがいなくても『壁越え』が達成されていただろうことは誰の目にも明らかだった。
ハウンズたちの活躍によって『壁』は完全に攻略され、ハウンズたちは『壁越えの傭兵』としてその名声は高まった。
こうなると面白くないのはアーキバス……スネイルである。
アーキバスをダシに名を上げられた形となり、逆に『アーキバスの精鋭は独立傭兵にも劣る』などという陰口すら聞こえる。
こうしてスネイルは駄犬どもこと『ハウンズ』を敵視していくことになるのだった……。
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現在の各勢力の状況
『ベイラム』
ハウンズにG4とG5をボコボコにされ、挙句ストライダー破壊に向かったG8の部隊まで訳わからん連中にボコボコにされたことで『壁越え』とか戦力不足でできるわきゃねぇだろとミシガンとナイルがキレた。
現在必死で戦力回復中。
『アーキバス』
星外のお偉いさんによって『壁越え』決定。漁夫の利を狙っていたのに色々あってベイラムが作戦中止になったもんだから独力で『壁越え』するはめになり大損害。それでも政治的に攻略しないといけなくなったからスネイルは頭抱えてハゲる。
仕方なく弾除けで傭兵雇ったらやってきたのはヤバい猟犬集団。ぶっちゃけ全員『ヴェスパー上位陣の隊長と互角かそれ以上』の怪物どもなので楽々『壁越え』達成。目的は達成できたけど損害は大きすぎるし、ハウンズに名声を持って行かれるしで散々。スネイルはハゲる。
『ルビコン解放戦線』
相手は技術的に強力な企業の大部隊、いつまでも防衛戦なんてできんぞ。だったらもう『壁』の長期維持は捨てて出来る限り出血を強いたらさっさと引いて、ゲリラ戦を展開しよう。
幸い拠点のストライダーは無事だし、地の利はこちらにある。持久戦だ!
現在、アーキバスの損害が拡大中の模様。
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今日のアセン
AC名:『マッドスタンプAD』
パイロット名:『インビンシブル=ラミー』
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
HEAD:HC-3000 WRECKER
CORE:DF-BD-08 TIAN-QIANG
ARMS:AC-2000 TOOL ARM
LEGS:2C-3000 WRECKER
BOOSTER:BC-0600 12345
FCS:FCS-G1/P01
GENERATOR:AG-E-013 YABA
EXPANSION:PULSE ARMOR
解説
カーラに頼まれ、ヒナタがラミーを鍛え、アセンを見直した結果の産物。
「まずはその頭と腕を何とかしろ。話はそれからだ」
性能の低かった頭部と射撃・格闘どちらにも難のある腕部を変更、さらに近接射撃は雑に扱っても相手にダメージが入る火炎放射器を装備。
中距離は3連デュアルミサイルで攻撃し、隙があれば本人の希望であった高火力、大型グレネードキャノンを叩き込み、チェーンソーで切り刻む……というのが理想の流れ。
ヒナタとしては『生存性を高め、まぐれ当たりでも痛い攻撃を』という考え方で組んでいる。
装備が裏切り者の『オーネスト=ブルートゥ』のAC『ミルクトゥース』に似ていることに不満があったが、出撃時はコーラルドラッグがキマッた頭で出撃しているため気にならない。
『マッドスタンプAD』の『AD』は『アンデッド』の略。『無敵のラミー様の機体なんだから死ぬわけねぇから』とのこと。
アンデッドは『蘇る死体』に近いと思うので、一度死んでいるはずなんだが……これもコーラルドラッグをキメたときに降りた天啓なのだろう。
既存機体の強化案その1。今回は公式がネタにしたとしか思えないマッドスタンプの強化。
AC6の火炎放射器は雑に使っても強いので、それにミサイル、一撃必殺のグレネードキャノン、スタッガー状態にしたらチェーンソーという流れの機体になっている。
使ってみるとなかなか楽しい機体だった。チェーンソー機はそれだけでロマンがあると思う。
弟者「兄者、今回のアセン紹介が全然話に関係ないやつになってるぞ」
作者「今回はこういう話だし、まだ紹介してなさそうなアセンがこれくらいだったんだから仕方ないだろう。
毎回新キャラだせる訳でもないんだし、今後も全然その話に関係ないアセンとか紹介してかないとさすがにキツい」
弟者「だったらアセン紹介っていらなくないか?」
作者「いる!(鋼の意志)
アセンがACの一番面白いところだし、こういう機体作ったりしてるよっていうのはいると思うんよ。こういうのは一回サボるともうやる気なくなりそうだし継続するぞ」
というわけで今後も話と全然関係ないアセン紹介が出てくると思いますがご了承ください。