祝福の花を君に   作:キューマル式

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『チャプター1』のエピローグとなります。

今日は2話投稿しましたが、こちらが2話目になっています。
前話を読んでいない方はそちらからお読みください。


第27話 『あーもう(原作シナリオが)めちゃくちゃだよ。壊れるなぁ』

 ここは『グリッド036』、『RaD』の支配地域の居住ブロック。

 そこの最奥、『RaD』の頭目の部屋で、カーラとウォルターが顔を突き合せていた。

 

 

「「……」」

 

 

 お互いに受けた衝撃で無言だ。しかしこれではいけないと思ったカーラは目の前のグラスに入った酒をあおる。

 このルビコン3では嗜好品の類いは貴重であり、これもかなり高級な酒だ。しかしそれを味わうこと無く一気に飲み干すと、ダンッと机にグラスを叩きつけるようにして話を始めた。

 

 

「……ウォルター。

 エアのこと……意思を持つコーラルの存在を確認してあたしは完全に人生観が根底からぶっ壊れたよ。ちょっと笑えないね、これは。

 ……あんたはどうだい?」

 

「俺もだ。

 コーラルが群体生命のような特質を持っていることは知っていたが、あんなにはっきりと対話が可能とは……。

 しかも対話方法がハッキングした機器による受け答えだ」

 

「……あんたの端末は、あたしもセキュリティには噛んでるからね。 それがああも簡単に乗っ取られたのには鳥肌が立ったよ」

 

「これだけのことが出来る相手だ。 もはや知性体と呼んで差し支えないだろう」

 

「あたしも同感だ」

 

「……どうすればいい? コーラルがただの物質ではなく、対話可能な知性体だとしたら」

 

 

 ウォルターが苦悩の表情を見せる。しかし、それに対してカーラは何てこと無いように肩をすくめて見せた。

 

「そりゃ焼くさ。

 『宇宙をコーラルで汚染させない』……その使命のためにみんな死んで、あたしもあんたもその遺志を胸に今まで生きながらえてきた。自分の身体をいじくり回してまでしてね。

 だからその『使命』は変わらないし、今更変える気も無い」

 

「だが……」

 

「でもね、あたしら『オーバーシアー』の使命は『宇宙をコーラルで汚染させない』ことだ。『この星を焼き尽くせ』じゃない。

 そして……肝心のコーラル側であるエアは明確に『人類との共存を望む』と言ってた。

 ……あたしだって楽しくてこの星を焼き尽くそうっていうんじゃない。この星にも気の合う友人ってのはいくらもいるさ。ただそれよりもあたしは『使命』を選択して、星を焼き尽くす以外に宇宙のコーラル汚染を止める手立てがないからこの星を焼くのさ。

 あんたもそうだろ?」

 

「もちろんだ。

 コーラルが絡むと死人が増える。過去から現在まで変わらない事実だ。しかし、未来がかわるならそれが最良だ」

 

「……ルビコン3ごとコーラルを焼き尽くすのは最終手段、コーラルと対話できてあっちが共存を望んでいるっていうのなら、その道を模索するのも悪くない。あたしは今、そう思ってる。

 『ミスター出世払い』からの言葉もガツンと効いたからね」

 

「ああ、あの言葉か……」

 

 

『あんたら『オーバーシアー』はエアみたいな対話できるコーラルの存在すら知らなかった。半世紀以上前のデータだけで動いて完全に研究不足だよ。

 だから星ごと焼くって対処療法しかとれないんだ。 視野が狭くなってるんだよ』

 

 

「……言われてみりゃ、確かにその通りだ。 当時の技研でもコーラルの秘密のすべてを解き明かせたわけじゃない。毎日のように新しい発見に満ちていた。

 なのに『アイビスの火』以降はコーラルの研究なんて出来ちゃいない。当時の持ち出せた資料があたしらの知るコーラルの全てさ。

 そんな半世紀以上前の資料を元にして『これしかない!』って行動してりゃ、視野が狭いって言われてもしょうがないね」

 

「確かにあの言葉は効いた。俺たちもコーラルの全てを知っているわけじゃないと思い知らされた。

 もっとも『C1-53』もすべてを知るわけではないようだがな」

 

「一番の謎はそこさ。 『ミスター出世払い』の来歴も調べたけど、絶対に知り得ない情報を持っている。

 一体何がどうなってるのやら……」

 

「……」

 

「でもね、今までのあいつの行動と言葉に嘘はなかった。あいつは本気で『眠たくなるような陳腐なハッピーエンド』を目指してる。

 それが分かるから、あたしはあいつを信じるよ。

 あんたもそうだろ?」

 

「ああ。 『友人』……だからな」

 

「『ミスター出世払い』もどうしても協力してもらいたい人間が来たら全てを話すって言ってるし、あいつの謎はその時解けるだろうさ」

 

「『サム=ドルマヤン』……ルビコン解放戦線の創始者とはずいぶんな大物とコネを作ったものだ」

 

「しかもドルマヤンも『ミスター出世払い』から連絡を受けた途端、二つ返事で『これから向かう』だったからね。 あの2人がどんな関係なのかも興味がある。

 それまではここでゆっくりしているといいよ」

 

「……ハウンズ全員、迷惑をかける」

 

「なぁに、宿賃代わりに簡単な仕事はしてもらうさ。 それでいいだろう?」

 

「ああ、それでいい。 『C4ー618』の様子を見るに、ここでの生活は良い刺激になっているようだからな」

 

 

 そこでウォルターは口を湿らせようと酒を口にする。この星ではかなり上等な酒だ。

 今度こそ酒での高揚は得られるだろうか……ふと、そんな風に思ったウォルター。

 だが……呪われたかのように今回も酒での高揚はお預けとなってしまう。

 

 

「……それでここから、本当に笑えない話をするよ。

 今回の件でハウンズたちが回収したものに関してさ……」

 

 

 ウォッチポイントの一件、現れた予想外の敵たちを相手にハウンズたちはこれ以上無いくらいの成果を見せた。最後に現れた『アイビスシリーズ』も、あの『C1-53』が苦戦をしながらも仕留めた。それらを回収し、その解析をカーラには依頼していたのだ。

 

 

「機体関係に関してはさすがにまだ手付かず状態だけど、パイロット関係について……あの自称独立傭兵の『ケイト=マークソン』って女以外は無人機だった。

 でもね、この女だけであたしは頭を抱えたよ」

 

「尋問できる状態じゃなかったのか?」

 

「いや、ケガはないし会話も出来る。 でも……尋問以前の問題だよ、これは」

 

 

 そう言って、カーラは『ケイト=マークソン』の身体検査の結果を見せた。

 

 

「こ、これは!?」

 

「そう、この『ケイト=マークソン』って女、まっとうな人間じゃない。

 こいつの戦闘能力はあんたも観測したと思う。ハウンズたちは簡単にあしらったみたいだけど、普通に見れば企業のエリート部隊長クラスにこいつは強い。でも強化人間改造の跡がどこにもないんだ。

 真人間で強いやつも当然いるだろうが……こいつの場合、遺伝子にコーラル反応と一緒にいじくった形跡がある。

 ……飯も食えるし出すものも出せる。何だったら子供だって作れる。はっきり言って出来ることだけ見れば人間だよ。でもまっとうな人間じゃない。

 遺伝子をコーラルで調整(コーディネート)して造られた、産まれながらの強化人間……『強化人種』とでも呼ぼうかね?

 ……このフレーズ、何か思い出さないかい?」

 

「ま、まさか……!?」

 

 

 カーラの言葉に、ウォルターの記憶が過去に飛ぶ。

 それはルビコン技研で史上初の強化人間改造実験が行われた直後、そのあまりの惨状に第二助手『カーラ』が彼に詰め寄った時の言葉……。

 

 

 

『成功率はこれからどんどん上がっていく。 犠牲を無駄にはしない』

 

『そういう問題じゃ……』

 

『それに最終的には人間を強化するんじゃ無くて、『強化された人間を造りたい』な。名付けて『強化人種』とか。

 今回みたいにいちいち人を集めるのは面倒だ』

 

『あん……た……』

 

 

 

 『友人』であるヒナタとアオイが強化手術の失敗で死んだ直後のことで、あまりにも人としての倫理観を欠如した言葉にカーラが絶句していたので印象に残っている一コマだ。

 そんなウォルターに、カーラは深く頷く。

 

 

「そう、そのまさかさ。 こんな研究、あいつ以外にやってるはずがない。

 あいつは……あんたの父親、ルビコン技研第一助手『キサラギ=アミダ』は生きている!」

 

「バカな! やつは『アイビスの火』で……!?」

 

「でも死体は確認していない。

 もし死んでいたとしても、その研究を受け継いだやつらがいる。そしてそいつらが何かを企んでいる……あたしやあんたにとって、到底看過できる話じゃないだろう」

 

「……」

 

 

 ウォルターはポケットからペンダントを取り出した。それが空中に映像を投影する。そこに映ったのは3人の家族のフォト。これはウォルターの母……『キサラギ=エセリア』の唯一の遺品だ。

 そこに映る、まだまともだった当時の父にウォルターは暗く、壮絶な視線を向ける。

 

 

「やつが……まだ生きているだと。 このルビコン3で……!」

 

 

 半世紀以上前から絡まる因果の糸の存在を、ウォルターは確かに感じていた……。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

今日のアセン

 

AC名:『大和魂』

パイロット名:『神代 表也≪かみしろ ひょうや≫』

 

R-ARM UNIT:MAJESTIC(バズーカ)

L-ARM UNIT:VE-66LRB(レーザーライフル)

R-BACK UNIT:EARSHOT(大型グレネードキャノン)

L-BACK UNIT:VE-60LCB(可変式レーザーキャノン)

 

HEAD:AH-J-124 BASHO

CORE:VE-40A

ARMS:DF-AR-09 TIAN-LAO

LEGS:LG-022T BORNEMISSZA

 

BOOSTER:なし

FCS:FCS-G2/P05

GENERATOR:VE-20B

 

EXPANSION:PULSE ARMOR

 

 

解説

神様の手違いで死んだ『神代 表也』。送られる世界はちょっと労働者が権利を叫ぶだけでぶっ殺される地獄のような初代AC世界。

何か欲しいものはあるかと聞いてきた神様に表也は正直に答えた。

 

『AC6の技術と自分専用のレイヤードとインターネサインと、あと味方でイレギュラーって呼ばれるようなやつ全員』

『遠慮ってもんを知らんのか、お主は』

『遠慮なんかして生き残れる世界じゃねぇだろうが!!』

 

そうして転生した表也は仲間たちとクロームやムラクモ・ミレニアム、そしてレイヴンズネストを相手に戦い(蹂躙)を繰り広げる。『日本』という国家の復活を目指して。

 

 

試作されたAC小説その2。もうなんのひねりも無いチート無双ものとして考えた。

歴代の主人公たちをAC6機体で再現し味方で戦ってもらうという感じで、ACLRのジナイーダがヒロインのつもりだった。

しかし冷静に考えると『国家解体してもほとんどやってることが変わらなかったような世界で、国家復活させて何か意味あるの?』と思い至り、はっきり言って企業のAC、ナインボールやナインボール=セラフを技術格差でボコボコにするだけで爽快感すらあまりない物語になると判断し、お蔵入りにした。

 

 

本機はその主人公機予定だった機体で、弟者の愛機その2。お気付きの人もいるだろうが、APがゲーム中最大値になるフレーム構成である。

その高APと防御力で相手を撃破する典型的な高火力タンクなのだが……少し特徴的なのが『実弾・エネルギー兵器を高火力で両立させている』ということ。

AC6ではジェネレータのエネルギー兵器適性がエネルギー兵器の性能に大きく関わってくるので、実弾かエネルギー兵器どちらかに寄せたほうがアセンは簡単である。そこをジェネレータをエネルギー兵器適性最大のものにしてエネルギー兵器を最高の状態で使用、それでありながら大火力実弾兵器を充実させている。

戦法は高APと防御力、そしてパルスアーマーを駆使してもうイケイケどんどんで前進しながら相手に高火力を浴びせるだけ。

ただしどれも武装は火力重視の単発型であり、リロードを考えて撃っていかないと酷いことになるので注意。

 

使ってみるとかなり遊びの入った機体な割に、普通にラスボスくらいは撃破出来た。改めてガチタンはネ申だと思った機体である。

 

 




弟者「『チャプター1』終了記念アセンが、またしても本編に全く関係ないものになってるぞ、兄者」

作者「むしろ、こういうタイミングなんで許されると思った。反省はしていない」

弟者「だろうな。
   しかしケイトというか、AMちゃん普通に肉体持っちゃったかぁ……」

作者「そういうネタはあるので採用だ。実は直前まで生体アンドロイドのつもりだったが、映画の『種自由』を見たらいつの間にかコーディネーターになってた。
   コーラル使用型の最新型強化人間と思ってくれ」

弟者「……あれ、これオールマインドの裏にいるだろう敵組織って『交信』用の強化人間自前で造れる?」

作者「今は無理だが将来的……というかケイトの後継あたりがそれになる予定。完成すればいちいち旧型強化人間の生き残りを探さなくていいから『コーラルリリース計画』の難易度が少し下がってる」

弟者「しかし黒幕判明やらいろいろ伏線をばらまいた話だったけど……兄者?」

作者「なんだ弟者?」

弟者「実は今回の話で本当に必要な重大な伏線ってたった1つで、しかも一言だけだろ?」

作者「……まぁ、その通り。 このエピローグはそのたった一言のための話だ」

弟者「ウォル虐、すごいですね」

作者「それほどでもない」



というわけでこれにて『チャプター1』は終了です。
次回からは特盛大増量された『チャプター2』の開始となります。

来週もよろしくお願いします。
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