祝福の花を君に   作:キューマル式

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今回は平和な日常回。

ハウンズたちの日常と、世界観の再確認のような回です。


第29話 『ACで平和な日常回とか騙されんぞ!』

 『サム=ドルマヤン』たちの到着を待つ間、俺やハウンズたちは大きなミッションの依頼は受けず休養を兼ねたゆったりとした日々を過ごすことになった。

 今日もそんな日が始まる。

 

 

≪おはようございます、ヒナタ≫

 

「ああ、おはようエア。 今日は俺のところなんだな」

 

 

 あのウォッチポイントでの一件で俺とハウンズの全員、6人がエアとの『交信』が可能になっていた。しかし、エアはあくまで1人だ。

 

 例えば、俺にエアがついている状態で、アオイがどこか遠いところにいたとする。すると俺とエアは会話できるがアオイとの会話は出来ない。逆に俺のそばにアオイがいれば、エアは俺とアオイの2人と会話出来る。あくまでエアは『交信』した人間と一緒に移動するもう一人の人間だと思えば理解が早い。

 かと思えば、俺のところにいたと思ったら『ちょっとアオイのところに行ってきます』みたいに遠く離れたアオイのところに一瞬で移動することも可能だ。逆に「ちょっと来てくれ」で俺がエアを呼ぶことも出来る。

 俺たち全員が動くときは、通信機を介さないオペレーターのように俺たち全員に対してのオペレートも可能という無法ぶりである。

 恐らく『交信』した人間とエアとの間には目には見えない限定されたコーラルによるネットワークが構築されているのだろうとは、この状況を聞いたカーラの言葉である。

 

 これが何を意味するかというと、原作AC6のようにオールマインドがエアを取り込もうと欲するなら、その難易度は爆上がりしたということだ。

 原作AC6の描写から察するに『交信』している人間がいるとエアを取り込むことは出来ないのだろう。だから邪魔な主人公を最後に殺そうとしてきていた。それを知っていたから、俺はウォッチポイントで危険を承知で全員をあのコーラルの奔流に巻き込んだ。

 結果は上々、ハウンズ全員がエアと『交信』に至り、この世界では俺たちハウンズ6人全員を殺さないとオールマインドはエアを手に入れることが出来なくなったのである。まぁ、誰一人死なせる気はないが。そしてエアは『コーラルリリース』の要、この時点でこの世界の『コーラルリリース』は高い確率で防げるだろう。

 

 とにかく、そうして俺たちと『交信』してくれたエアは『人類とコーラルとの共存』を望み、その方法を探るべく俺たちと行動しながら様々なことを学習している。

 そしてそんなエアは今日は俺に着いてくるらしい。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「おはようさん、ケイト=マークソン。

 いい朝だぞ」

 

「おはようございます、独立傭兵ヒナタ。

 独房から見る朝日というのもなかなか乙なものなのであなたにもおすすめしますよ」

 

「俺はフカフカオフゥトンが好きなんでね、遠慮するよ」

 

「あとミサイルの枕もおすすめです。 きっといい夢が永遠に見れますよ」

 

「ははは、自分でやってから言いやがれ」

 

 

 俺の朝はケイト=マークソンの尋問から始まる。

 最初の頃こそ始終黙秘だったが、今ではこんな感じにウィットにとんだ会話が出来るようになっていた。

 

 

≪……明らかな敵意と警戒が感じられますが?≫

 

「いいんだよ、これで」

 

 

 そして尋問を始めるが、いつも通り収穫はない。この様子に一部の『RaD』の構成員……好色な奴らが尋問のやり方を変えたらどうだという提案も出ている。

 ……まぁ、こいつ見た目は文句なしで特一級の美少女だからな。エ○ゲでよくある媚薬・陵辱・自白剤のコンボを提案しているわけだが、忘れちゃいけないのがこいつは遺伝子をコーラルで改造した、新世代型の強化人間のようなものだということだ。そんなことした日には全員のされて、一発で脱走されましたって結果が目に見えている。

 そもそも薬物耐性くらいあって当たり前……だよな? さすがのオールドンマイもその位は忘れないよな?

 ……とにかく、こいつは前世AC6の記憶のある俺でさえ全く分からないオールマインドの裏側に繋がるかもしれない貴重な情報源なのだ。それを壊されたらたまらないので全てカーラを通して却下だ。

 そんなわけで、今のところ俺の尋問が最善だろうということで落ち着き、俺の毎日の日課になっているわけである。

 

 

「じゃあまた明日な」

 

「はいはい、明日もあなたとの無意味な会話をお待ちしていますよ」

 

 

 そう言って、俺は独房から出た。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 昼も近くなり、俺はエアをともなってグリッド036の居住ブロックを歩き回る。

 そこには小さいながら街が形成されており、屋台から食欲をそそるいい匂いが立ちこめている。すると、見知った顔に出くわした。

 

 

「あっ、兄やにエア……」

 

「兄に……」

 

「おっ、ランにナコか。 今日はここで食事か?」

 

「兄やも一緒に、どう……?」

 

 

 ちょうどいい、今日の昼食は屋台もいいだろう。屋台の椅子に座った2人に誘われ、俺はそのまま席に座る。

 

 

≪といいますか、2人のヒナタへの呼び方が少し特殊すぎる気がしますが……≫

 

「……きっと全部コーラルが悪い」

 

≪明らかな冤罪は私と同胞の名誉のためにやめてほしいのですが≫

 

 

 ……いや、多分本当にコーラルが悪い。

 『ハウンズ』のみんなはたまに『そんなのどこで覚えた?』みたいなことを言うが、恐らく俺と同じく令和日本の情報がコーラルを通して時空間を越え、漠然とした形で伝わってしまったからなのだろう。

 だから俺は無実を叫ぶが、エアやウォルターからたまに冷たい視線を感じる。真実とはやはりなかなか受け入れてもらえないらしい。

 

 席に座ると、ランがフィーカを差し出してきた。

 

 

「今日は何だ?」

 

「今日は……塩」

 

「……なるほど」

 

 

 塩風味のついた泥のようなフィーカをすすっていると、料理が運ばれてきた。ルビコンでは一般的な料理、『ミールワームの丸焼き』である。これをワイルドにナイフで削りながら喰うのがルビコン流だ。

 

 

「……見た目はアレだが、兎肉と鶏肉と豚肉を混ぜてそのまま、みたいな不思議な肉の味がするな。悪くない」

 

 

 しかも栄養満点で、これだけ喰っていれば他のものを喰わなくても生きていけるほどの完全栄養食品である。むしろ、こんな人に都合の良すぎる生き物がいなかったらこのルビコンで人は生き残っていなかった。

 

 コーラルによって焼かれた土壌は微生物やバクテリアの類さえも焼かれ、植物の育たぬ不毛の大地と化す。このルビコンは元から自然豊かな星では無かったが、それでも独自の生態系が存在した。

 しかし半世紀前に周辺星系まですべて焼き払った『アイビスの火』の爆心地として、ルビコンの大地は隅から隅までくまなく焼き尽くされた。これによりルビコンの生物は海も陸も関係なくほぼ全滅、比較的生き残ったのが他の星から乗り込んできた『人』くらいのもので、空気があるだけマシな死の星と化したのである。

 大概酷い状態なんだが……なんだろう、存在するだけでただちに人体に有害というわけではない分、コジマよりマシかと思ってしまうフロム脳の自分が酷い。

 

 しかし生き残った人間も、ものを喰わなければ生きていけない。しかし、死の大地での農業は不可能。食料の生産は科学の力全開の、食料生産プラントでの作物や人工培養肉くらいのものだ。

 だが食料生産プラントはエネルギーも時間もかかるし、生産量は全てのルビコニアンの腹を満たすには足りなすぎた。そんな中で現れた救世主がミールワームだ。

 ミールワームはコーラルへの極めて高い耐性によって『アイビスの火』すら生き残り、コーラルを摂取することでコーラルを無毒化しながら急成長し、しかも栄養価も完璧なミールワームを食料とすることでなんとかルビコニアンは生き残ったのだ。以降、ミールワームはルビコニアンにとって欠かすことの出来ないものになっている。

 もっとも、最近は大地からのコーラル噴出量が減りミールワームが育たず子供たちが飢え、そんな思いをしながらも溜めた雀の涙のような量のコーラルすら企業による侵略によって略奪されている。その辺りの事情を知るとアーキバスやベイラムに対するルビコン解放戦線の『侵略者どもめ!』という怒りも納得できる。

 

 ちなみにこの辺りのことに関する惑星封鎖機構の対応だが、『閉鎖』の一択である。

 惑星封鎖機構はAIの管理する存在であり、第二の『アイビスの火』発生を防ぐことが最優先である。ルビコン3に生きる人命については無関心どころか『積極的に駆除しないだけで、死んでいたほうが管理しやすくていい』という考えだ。もちろん食料支援などの『人道』という言葉はそのメモリーには存在しない。

 ……おかしいなぁ、AC世界の歴代管理者AIって『人類のことが実は好きでその可能性を信じていて、試練を与えても自分を乗り越えて頑張ってみせろ』ってかんじの、めちゃめちゃ厳しい人が不意に見せた優しさみたいなものがあったはずなんだが……ちょっとAC6世界は末法世界度高くない?

 

 

≪コーラルによる土壌汚染……それにともなう食糧問題……≫

 

「……気になるか?」

 

≪はい。私は人との共存を望んでいます。しかしこうしてコーラルによる問題を見ていると、コーラル側が乗り越えるべき課題も多いと思い知らされます……≫

 

「その辺りは技術者のカーラと話し合うべきだな。

 でもエアが人間側の事情を理解してくれているってのは、人類との共存にとっては重要だよ」

 

≪人とコーラルの共存、その道は遠く険しいようです……≫

 

 

 ミールワームを食しながら、この修羅の世界の未来を思う昼下がりである。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 昼食も終わり、今度は訓練所の方へ行ってみる。

 

 

「……貴様らはミールワームのフンよりも価値のない底辺のブタ野郎どもだ。

 もっとやる気を見せろ、ゴミ虫ども」

 

 

 全く抑揚の無い罵倒の声が聞こえ覗いてみると、センカが『RaD戦闘員』の訓練をしていた。

 ……本当にどこでそんな言葉覚えた? やっぱりコーラルが悪いのか?

 おのれコーラルリリースしたどっかの時空のバカ野郎め!

 

 

「ぶひぃ!」

 

「銀髪無表情美少女の罵倒最高でござる!」

 

「ぶひひ、教官どの、今夜コーラルキメて一発どうでござるか?」

 

 

 ……これがコーラルドラッグの副作用かぁ。『RaD戦闘員』とはどうやら『養豚場のブタ』の別名だったらしい。これはもうだめかもわからんね。

 

 

≪……なんでしょう、あの人たちを見ていると人との共存への意欲が削られるような……これもコーラルの弊害ゆえでしょうか?≫

 

「いや、ドラッグ使うのは自己責任なんだから、それで頭イカれた連中のことまでは共存うんぬんから除外してもいいと思うぞ」

 

 

 あまりに酷そうなので、少し顔を出してみることにする。

 

 

「センカ」

 

「兄様にエア……どうしたんですか?」

 

「いやちょっとぶらついてて顔を出しただけだ。 どんなもんだ?」

 

「……酷い。 才能ない素人のほうが素直な分マシかもしれないレベル」

 

「そうかぁ……」

 

 

 『RaD』は技術者集団と無法者の寄り合い所帯だ。そのため戦闘能力に関してはその技術力で生産された無人MTが主力だったのだが……『ジャンカー=コヨーテス』によって大量に盗まれて丸々敵になるという笑えない事態に。やはりどんなに技術が発展しても無人機だけに頼るのは良くないと思い知らされることになった。そこで『RaD』は戦闘員育成に本腰を入れ始めたのだが……ご覧の有様である。こうなるとラミーのやつはものすごく優秀なんだなと痛感した。

 

 

「……もう彼女たちだけで十分かも」

 

 

 そう言うセンカの視線の先には、明らかに『RaD戦闘員』とは動きの違うAC集団の姿があった。モア姉さんの鍛え上げた『アマゾネス』隊である。

 『アマゾネス標準機(アーキタイプ)』と呼ばれているACが6機、模擬戦を行っていた。

 

 『アマゾネス標準機(アーキタイプ)』は元独立傭兵のモア姉さんがアセンに携わっているだけあってバランスがよく、どんな状況でも戦える機体だ。堅牢かつ信頼性の高いものを使用して生存率を高めることを念頭に組まれている。そして素晴らしいことに全機パルスブレードを標準装備だ。さすがモア姉さん、格闘戦の重要性が分かっている。この『アマゾネス標準機(アーキタイプ)』を基本に状況や個人の適性に合わせ、右腕武器と右肩武器を変更して戦うのだ。

 この6機にモア姉さんと副官のフィーメルさんの2機でAC合計8機のAC部隊……これが『アマゾネス』隊である。

 ……正直、『アマゾネス』隊がいれば『RaD』の守りは何とかなるような気がしてきたが、この世界では俺たちのような一騎当千のAC乗りのほうが頭がおかしく、戦いの基本はMTも交えた数の勝負だ。モア姉さんとフィーメルさんを除いた『アマゾネス』隊の面々は、AC乗りとしてはまぁまぁ高い腕を持っているが一騎当千というわけではなく、この世界のACというのは大量のMTに囲まれでもすれば、案外簡単に撃墜される存在だ。だからどうしても『RaD戦闘員』というMT部隊も鍛える必要がある。

 

 

「しかし……本業『娼婦』のお姉さま方の方が男どもより頼りになるとか、ここはすごいなぁ」

 

「『女は強し』、です。 兄様」

 

「用法が違ってる気がするが……まぁ、頑張ってくれよ」

 

 

 そう言って俺とエアは訓練所を後にする。

 

 

≪……ルビコンはどこを見ても戦いばかりですね≫

 

「ルビコン3は貧しい星だ。足りないものが多すぎる。

 そして『足りなければ他人から力で奪う』ってのは太古からある人類の基本的な思考だ。

 だから奪うために、奪われないために、どうしても『力』が必要なのさ」

 

≪……ハッ! 実は戦いこそ人類の可能性なのでは!?≫

≪なんだか唐突に人類に愛を叫びたくなってきました!≫

 

 

 エア、お前もか! おのれコーラルリリースしたどっかの時空のバカ野郎!

 

 

 

 

 

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 日も暮れ始めると賑わい始める区画がある。モア姉さんの取り仕切る、娼館やらのある歓楽街だ。

 人は宇宙へ出ようとも、その本質とも言われる三大欲求が変わることはなかったようで、ここは賑わいを見せている。

 

 

≪昼間の屋台街とは明らかに雰囲気が違いますね……≫

 

 

 昼間とは違う怪しい賑わいだが……これも間違いなく人の営みだ。

 そんな中を俺にあてがわれた居住ブロックに向けて歩いていると……。

 

 

「お客さん……どう、アル、か。

 サービルする……アル……」

 

「おい、責任者出てこいやオラァァァァ!!」

 

 

 改造チャイナドレスを着たレイが慣れないたどたどしい口調で客引きをしていた。

 俺は即座にレイの手を引き、そのまま店の扉を蹴破る。

 

 

「どうしたの、騒々しい」

 

「いやいやいやいや、モア姉さん!

 これはもう完全にアウトだろうが!!」

 

 

 現れたモア姉さんに抗議するが、モア姉さんは何でも無いように肩をすくめた。

 

 

「大丈夫、レイちゃんには客引きを頼んでるだけ。

 客の相手はさせないわよ」

 

「いやそれにしたって、この格好は無いだろーが……」

 

 

 俺は再びレイの格好を観察する。

 えっぐいスリットの入った改造チャイナドレスである。胸の谷間を強調する穴が開いているのだが、下からも穴が開いており、棒状のものが胸の間を貫通する構造なんだが……一体なにを通すための穴なんでしょうねぇ、これ?

 こんなもんをハウンズ1の低身長でありながらハウンズ1の発育を見せる身体のレイが着るのは、もはや犯罪だろう。

 しかし、そんな俺の抗議を止めたのは意外にもレイだった。

 

 

「お兄様、やめて……。

 私が……モア姉様に頼んだ」

 

「レイが? なんで?」

 

「……自分でもわからない。

 でも、どうしてだか、この服……着てみたいって思った。

 だからそう言ったら……モア姉様が着せてくれた……」

 

 

 そんな俺とレイのやり取りを見ながら、モア姉さんは言う。

 

 

 

「女には『綺麗になりたい』って本能がある。

 レイはきっと、その本能から『可愛い服を着てみたい、着飾ってみたい』って思ったのよ」

 

「……感情が戻ってきてる?」

 

「その一端なのは間違いないわ。 とにかく、女として正常な思考なのは確かよ。

 身の安全は保証するから、お兄ちゃんは黙って見守りなさいな。

 それとも……ちょっとここで遊んでく? アオイとの時のためにテクを学んでおくっていうのも……」

 

「結構です!」

 

 

 俺はそう言って店から出る。

 ……まぁ、モア姉さんがああ言うんだ、レイの安全が保証されてるなら何も言うまい。

 

 

≪『綺麗になりたい』、ですか。 それも人の本能の一部なんですね≫

 

「万人がって訳じゃ無いだろうが、特に女にはそういうのがあるのは理解はできるよ」

 

≪それで無くなったはずの感情が戻りかけてきているのですから、すごい話です≫

 

 

 エアはそう興味深そうに言った。

 そんなエアにはこのまま原作AC6のように『人は人と闘争のための形をしている』という結論には至って欲しくは無いなぁと心から思った……。

 

 

 

 

 

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 1日も終わり、シャワーを浴びて後は寝るだけ……そう思って自室のドアを開けると。

 

 

「お帰りなさいませ……ご主人様……」

 

 

 メイド服を着たアオイが俺のベッドに座っていて、俺は思わず回れ右しそうになる。

 

 

「……またモア姉さんの入れ知恵か?」

 

「ううん、この服はカーラさんから……」

 

「あの変態技術者筆頭め、何考えてんだよ……」

 

 

 と言ったものの、さっきのモア姉さんとの話で綺麗な服や可愛い服で着飾ろうとすることは女として立派な一つの感情の発現なのだと言われた以上、そういう意味のある計らいなのだろう。つまり感情を戻すための練習だ……そう思わんと、俺の精神のAPが全損する。そして俺とアオイは話を始めた。今日一日お互いにどんなだったとか、そういう他愛ない話だ。

 この部屋には来客用の椅子なんて気の利いたものは無い。自然、ベッドに並んで座って話をするが、油断をするとアオイの可愛さといい匂いにダメにされそうになるのを抑える。

 

 

「そうだ……これ……」

 

「これは……鉢植え?」

 

 

 そう言って、何かを思い出したのかアオイがベッドサイドに置いてあったものを俺に見せる。

 

 

「ウォルターに頼んだら……この花の種を手に入れてくれたから植えてみた」

 

 

 そう言って図鑑で見せてきたのはヒマワリ……俺の愛機であり、俺たちの名前の元となった『日向葵』の花だ。ヒマワリは食用や油などで使えるため、ルビコンの食料プラントでも育てているところがあり、そこから手に入れてきたのだろう。

 図鑑でしか見たことの無い花が咲くのが楽しみとアオイはいうが……残念ながらコーラルで汚染されたその土ではいくら水をやろうが肥料をやろうが芽がでることはないだろう。

 しばし話をすると、アオイは鉢植えとともに自室に戻っていった。

 俺も明日に備えてそろそろ休もう。

 

 

≪なんとかできないものでしょうか?≫

 

「とはいえコーラルの特性の問題だしなぁ……エアにはなにかできる?」

 

≪いえ、私も祈ることくらいしか出来ません……≫

 

 

 無駄と思いつつも、それでも花を楽しみにするアオイのためにエアは祈る。それを感じながら俺は眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……この祈りがやがて全てを変えるとは、この時にはまだ思いもせずに。

 

 

 

 

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今日のアセン

 

AC名:『アマゾネス標準機(アーキタイプ)

パイロット名:アマゾネス隊隊員

 

R-ARM UNIT:MA-J-200 RANSETSU-RF(バーストライフル)

L-ARM UNIT:HI-32:BU-TT/A(パルスブレード)

R-BACK UNIT:なし

L-BACK UNIT:BML-G1/P20MLT-04(4連ミサイル)

 

HEAD:HC-3000 WRECKER

CORE:AC-J-120 BASHO

ARMS:AR-011 MELANDER

LEGS:AL-J-121 BASHO

 

BOOSTER:AB-J-137 KIKAKU

FCS:FCS-G2/P10SLT

GENERATOR:AG-E-013 YABA

 

EXPANSION:なし

 

 

解説

モア=ドードーが自衛のために結成していたAC部隊『アマゾネス』。その一般隊員の乗るのがこの『アマゾネス標準機(アーキタイプ)』である。どんな状況でも戦える汎用性とパイロット保護のための信頼性と堅牢さが重視されている。

標準機(アーキタイプ)』の名の通りこれが基本形というだけで、個人の適性によって右手武装の変更と右肩武器の取り付けを行う。積載限界に余裕を持たせているため、あまり無茶な武装でなければほとんどの兵装が装備可能で、この辺りの拡張性を考えていたのも元独立傭兵であるモアのアセンに対する確かな知識が見て取れる。

この機体6機に乗った本業『娼婦』のお姉さま方……これがモア自慢の『アマゾネス』隊である。

 

『アマゾネス』隊の、いわゆる初期機体。原作AC6の初期機体と比べると雲泥の差で、最初からこれに乗りたかったと思う。

とにかく初期機体のあったバランスの良さをそのままに、堅牢さを加えたような機体。

腕がメランダーなのもバショウではどう考えてもバランス型とは言いがたくなるためである。

 

実際に使ってみるとバランスはいいが、やはりパンチ力に欠ける。

しかしこれが量産機としたら十分すぎるほどに脅威、これが6機+隊長・副官といれば本作『RaD』の防衛力は相当高いだろう。

 

 

 




平和な日常回でしたねぇ……(遠目
大丈夫、次回からまた火薬と硝煙の香りがするACに戻ります。

チャプター2は原作AC6ではカーラと出会いカーゴランチャーで海を越えるだけの短い話ですが、本作では主人公たちが原作AC6以上にカーラと関係を持ってるため、次回から盛りに盛られた戦闘回、『RaD決戦編』に突入します。

次回もよろしくお願いします。
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