なかなか長い戦闘になる予定。
「……分かった。あたしらで『RaD』の根城をぶっ潰してくりゃいいんだね?」
「ええ。 あとの新しく入った2人も連れて行ってください。
それとあの『レッドガン』のメンバーも2人ほど雇いましたので、その2人もどうぞ」
「随分とまぁ、大盤振る舞いだね。
まぁ、傘下に入った以上はそれ相応の働きはさせてもらうよ。それが新参者ってもんさ。
それにあのカーラを潰せるなんて気分いい話、喜んで乗るよ」
「ああ、カーラ。 カーラは私からのプレゼントは喜んでくれるでしょうか?
楽しみですよ」
「……あんたのその狂った感性だけは、傘下になっても分からないし分かりたくも無いね」
「……というわけで、近日中に『RaD』に対して『ジャンカー=コヨーテス』の大攻勢があります。
それに便乗し『RaD』を強襲、『RaD』に捕らえられていることの判明している『ケイト=マークソン』を始末します」
「始末? 確かそのケイト=マークソンってのはこっち側の人間じゃなかったのかい?
それを救出じゃなくて始末?」
「ええ、抹殺対象となっています」
「ふぅん……まぁ、そういう依頼ならそういうもんなんでしょうよ」
「まぁいいだろう。
俺とシャルトルーズ、それにレイヴンでことに当たれば確実だろう」
「では、その通りに」
その日、俺の知らないところで交わされたそれらの会話。
これにより『RaD』の長い1日が始まろうとしていた……。
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その日、俺はいつもの日課としてケイトへの尋問を行っていた。
「で、そろそろ色々話して欲しいんだが……」
「……イレギュラーであるあなたに話すことがあるとでも?」
始終この調子である。
「これはただの独り言だが……オールマインド系のフレームパーツは『人体感覚の拡張』をテーマにしていた。
そのためには人間をよく知る必要がある。それこそ遺伝子レベルからな。
それもあんたの製造目的ってところか、独立傭兵『ケイト=マークソン』」
「……本当にあなたは不気味なイレギュラーですね。 何故そんなことを知っているんですか?」
オールマインド系のフレームパーツのテキストにことごとく書いてありました、と正直には言わない。たぶんアレは『コーラルリリース』成功後のコーラル人類が宿るのに適した機体として開発されていたのだろう。
そして遺伝子をコーラルで弄くって生まれた新世代強化人間とも言える彼女の存在……それらをフロム脳全開でコネコネした妄想をお出ししたわけだが、そういうわけらしい。
こうして偶然でもすごい色々知っている風を出して情報を吐き出してもらおうとしているのだが……今のところ成功の兆しがないのは啓蒙が足りないせいだろうか?
「『コーラルリリース』なんていいもんじゃないぞ」
「……色々と言いたいことはありますが、人類進化が悪いことだと?」
「人類の進化を全否定はしないが、これは明らかに間違った方向性だろ。 人は人の形のままが正解さ」
「……私は人は闘争と欲望を満たすためにこの形をしていると認識しています。
男性が私の身体を見るときの不快な視線……ここの見張りでもいますよね。あれを感じると特にそう思います」
「そりゃ、あんた綺麗だからな。そういう感情を抱いて視線の一つも送るってのは同じ男として理解はできる。
とはいえ、無理矢理は論外としてもそういう欲望によって人はここまで命を繋げて来たんだ。その命の歩みそのものは間違っていないと思うぞ」
「ですが『コーラルリリース』が成功すれば人の形を捨て死を超越し、その命の歩みも必要は無くなります。
無駄を省くのは良いことでしょう?」
「俺は無駄だとは思わん。新しい命によって生まれた多様性が人という種をここまでにした。死と生が無くなればその多様性が無くなる。それを進化とは言わないと思うぞ。
それに仮に無駄だとしても、無駄を省くことが常に最良とは限らない。人ってのは無駄を楽しむ生き物でもあるからな。
それと訂正を一つ……人は人を愛するためにこの形をしてるんだよ。闘争や欲望のためだけの形じゃない」
「……理解できませんね」
「で、『コーラルリリース』の邪魔したいんで、そろそろ色々教えてくれない?」
「この流れで教えるとでも?」
「デスヨネー」
これにて今日もタイムアップだ。俺は尋問室を出ようとする。
すると、どんな気まぐれか俺の背中にケイトが声をかけてきた。
「あなたは……様々なことを知るイレギュラーであるあなたは、何を目指しているんですか?」
「……『眠たくなるような陳腐なハッピーエンド』だよ。
救いたいやつを救って、コーラルの問題を解決して、みんな笑顔で終わるような……そんな陳腐なハッピーエンドだ」
「……まるで子供の語る夢物語ですね」
「男はみんな夢追い人なんだよ。 また一つ人間を知れたな」
「あなたが『バカ』に該当する人間だというのは理解しました」
「バカで結構。 こんな修羅の世界、バカでもなけりゃやってけないよ」
そう言ってひらひら手を振りながら、俺は尋問室を後にした……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……それで、どうだったの?」
「今日も収穫はなしだ」
俺は『グリッド036』の居住ブロックの一部、公園でアオイと話をしていた。
ケイトの尋問をするとどういうわけか決まってアオイの機嫌が悪くなるので、アオイの希望を聞いてこうして2人で出かけてご機嫌を取る必要があるのだ。なんだか爆弾処理をしている気分だが……こんな希望が言えるほどにアオイの感情が戻りつつあるというのは素直にすごいことだ。
目の前では数人の子供たちが遊んでいた。娼婦の子や親と一緒に何かから逃げてきた子、それにRaD構成員の子供たちだろう。こんな無法者の掃き溜めみたいなところでも人の営みはあるものだ。それを知ると自然と笑顔になる。
しかしアオイはケイトの件でイラついているのか、無表情で爪をガリガリ噛んでいた。
「……ヒナタにはもうあの女は殺すことを提案する。 情報を吐かない捕虜なんて邪魔」
「おいおい、物騒なこと言うなよ。
それにルビコンで活動する正体不明勢力の唯一といってもいい手がかりだ。 まだまだ粘るさ」
そう言って落ち着かせるようにアオイの髪を撫でると、アオイは気持ちよさそうに目を細めた。まるで猫だなと思っていると、背中から複数の視線を感じる。
「ちゅーは? ちゅーはしないの?」
「おれしってる。 このあといっぱつしけこんでやるぜってやつだ」
「えー、このかおはぜったいにてがだせないへたれだよ」
俺たちは公園の子供たちの視線を釘付けだった。しかし、なんてことを口走ってるんだこの子らは。
……よく考えたらここスラム街みたいなもんだし、親がそういう仕事の子供も多いか。
とはいえ、気恥ずかしい俺は子供たちを追い払おうとしたがその時!
「ッ!? ガキども、伏せろ!!」
俺とアオイの強化された感覚がそれを捉える。
俺とアオイが子供らを引き倒して伏せさせるのと同時に、どこかで爆発音が響き『グリッド036』がわずかに揺れた。
「「「わぁぁぁぁ!!?」」」
子供の悲鳴を聞きながら、俺とアオイは鋭く周囲を確認する。
「ガキども、シェルターに走れ!!」
こんなところで暮らす子供だ。俺の声にはじかれるように迷うこと無く走って行く。
「アオイ、俺たちも急ぐぞ!」
「うん……!」
俺たちは愛機の待つガレージへと急いだ……。
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『緊急事態だ。 状況を説明するよ』
『今現在あたしら『RaD』は『
小規模勢力を取り込んでるとは聞いてたけど、それを大放出しただろう数の襲撃だ。
大まかな敵の襲撃の方向性は2つ。
1つが工場ブロック、食料プラント、居住ブロックといった重要区画への直接攻撃。
そしてもう1つがハッキングドローンによる、『RaD』の技術情報の盗難だ。
工場ブロックは大事な『RaD』の商売道具であるMTやACパーツの生産だけじゃなく、ここでの日用品も造ってる。
食料プラントは言わずもがな。居住ブロックには『RaD』の技術力を支える人材もいるし、何よりここにしか居場所のない連中が精一杯暮らしてる。
どこ1つだろうと侵攻を許すわけにはいかない。
そしてもう1つのハッキングドローンについて。
あたしら『RaD』がほかのドーザー組織に対して優位に立てているのは『技術力』のおかげさ。それを奪われでもしたら、『RaD』の優位性は一気に落ちる。
これも全力で防がないとならない』
『カーラと『RaD』には今後も世話になる。 ハウンズも全員、全力で戦闘に当たる』
『勝手だけど、分担を振り分けさせてもらったよ。
まず工場ブロックの防衛は『ラン』に、食料プラントの防衛は『ナコ』に行ってもらう。
どっちにもACを含む敵集団が接近してる。こいつらを叩いておくれ。
アオイは居住ブロックの防衛に回ってもらう。居住ブロックにはもっとも大規模な敵集団が侵攻してきてる。『RaD戦闘部隊』と『アマゾネス隊』が防戦に入っているけど数は軽く見積もってこっちの5倍以上、しかも指揮をしているACがいて旗色が良くない。アオイは高火力と継戦能力に優れて、しかも援護も得意だ。味方を支援しながら、隙を見て指揮をしてるACを叩いて欲しい。
ハッキングドローンの対処は『ミスター出世払い』に任せる。短時間で隠されたハッキングドローンを無力化する必要があり、速度と同時に閉所戦をこなす技量が必要だ。
それを一番うまく出来るのは『ミスター出世払い』だ。期待してるよ。
最大の火力を持つ『センカ』と軽量格闘の『レイ』はひとまず待機、このコントロールセンターに残って戦況を見て投入させてもらう』
『長期戦になる。 補給シェルパを用意するので適宜使用していけ』
≪私も『交信』で全員を全力でサポートします≫
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『RaD』の工場ブロックへと続く高架通路、そこを侵攻する一団があった。MTが10機、そしてタンク型ACが1機。その集団はまっすぐに『RaD』の工場ブロックへ向かっている。
元小規模ドーザー組織であり今は『ジャンカー=コヨーテス』の傘下である、『ブラックパウダー』の一団である。
即座に『RaD』の警備用無人MTから攻撃が始まるが、タンク型AC『ブラックパウダー』の両肩から大型グレネードキャノンが放たれた。その凶悪なまでの爆発によって、まるで木の葉のように吹き飛ばされる無人MT群。その様を見ながら、ACの中でこの集団のリーダーは感動に打ち震えていた。
『ん~~、やっぱりメリニットの爆発は最高だぁ~~!』
『お頭、撃ちすぎはなしですぜ』
『細かいことをいうな。 今回の襲撃は修理も弾薬費も『ジャンカー=コヨーテス』もちだ。
いやぁ、お頭は太っ腹だな。傘下に入って大正解だよ。
これでメリニットの爆発を好きなだけばら撒ける』
元『ブラックパウダー』リーダーであった『アルフレッド=ボッシュ』はACの中で感動していた。なにせ弾薬費も修繕費も気にせず撃ちまくれるのである。
『アルフレッド=ボッシュ』の経歴は少々特殊だ。彼は元『メリニット社』の社員だった。
メリニットといえば爆発系AC武装のメーカーとして、火薬と爆発を心底愛する変態技術者たちの集う濃いメーカーとして有名である。その製品アピールのために自社社員にAC操縦を習得させテストパイロットとしていたが、そこでAC適性があったためアルフレッドはこれに選ばれ、そこでAC操縦とメリニット社製武器の射撃を訓練していた。
ここで問題だったのは彼……アルフレッドにもメリニットの技術者たちに負けないほどの、火薬と爆発を愛するメリニット魂が備わっていたことだった。
次第にテストだけでは飽き足らず『実戦でこの素晴らしい火薬の爆発を見たい!』と思い始めた彼は一大決心、メリニット社をやめ独立傭兵を始めることにした。愛機は重い武装を積める重量タンクに、武装は当然メリニット社魂の一品『大型ハンドグレネードランチャー』2丁と『大型グレネードキャノン』2門である。
これで砕けぬ敵はいない……そう意気揚々と独立傭兵を始めた彼だが、意外な強敵に直面することになる。それは『弾薬費』という名の敵だ。
メリニット製の武装は威力は高いが弾薬費も高く、撃ちまくれるような代物ではなかった。しかも攻撃範囲が広い。これはメリットでもあるのだが、同時にデメリットにもなり得る。独立傭兵の仕事は何も襲撃など攻勢だけではない、護衛などの守勢に回ることも多い。そしてこれらの攻撃範囲の広い爆風に、敵味方識別能力などあるはずも無い。そのため、ある護衛任務で敵ごと護衛対象を吹き飛ばしてしまい多額の借金を背負い逃亡を余儀なくされた。
再起を図る彼が目指したのは独立傭兵の需要が今もっとも高まっているルビコン3への密航だった。運良く密航を果たしルビコンで仕事をこなすが、またも弾薬費と護衛対象施設破壊の賠償によって借金を作り逃亡、流れ着いたのはドーザーのはびこるグリッドだった。
そこでACという力を持っていた彼は小規模ながらドーザー組織『ブラックパウダー』を結成、その頭目として活動していた。しかし小規模組織ゆえに資金面で四苦八苦していたところを『ジャンカー=コヨーテス』の呼びかけに答え、その傘下になったのである。
アルフレッドの本心はこんなドーザーたちを率いることではなかった。彼の本心はいつでも『弾薬費を気にせず、好きなだけメリニットの武器を撃たせてくれ』である。
そんな彼にとって何を壊してもいい侵攻作戦、しかも弾薬費も修理費も気にしなくていい今回の作戦はこれ以上無いほどにいいものだった。なお、彼の武装は威力の反面弾数が少なく継戦能力が低く、しかも動きの遅いタンク型は侵攻作戦には向かないのだが……彼にとっては全ては些事である。
そんな彼は見せつけるようにグレネードの大爆発を見せながら侵攻を続けていた。
しかし……。
『……これ以上は行かせない』
彼らの頭上からミサイルが降ってきた。それはMTとAC『ブラックパウダー』に降り注ぐ。
『ぎゃぁぁ!』
『お、お頭ぁぁ!!』
『ミサイル! どこから……!?』
ミサイルによってMTが破壊されていき、部下たちの断末魔が響く中、アルフレッドは敵の姿を認めた。
ここはグリッド間の高架通路が立体的に交差する地点だ。その、自分たちより上の高架通路からミサイルを撃つ軽量タンクACが1機……ランの駆る『鈴蘭』だ。
『そこだ!!』
『ブラックパウダー』自慢の大型グレネードキャノンが吠える。
その爆発に巻き込まれまいと、『鈴蘭』は高架通路から飛び出し、アサルトブーストを起動しながら接近してくる。
そして再びのミサイルの雨。それによってアルフレッドを除く元『ブラックパウダー』の構成員は全滅していた。
『ええい、よくも部下を!』
『……』
アルフレッドの怨嗟の声には答えず、ランはこれが答えと『ブラックパウダー』への攻撃を開始した。ハンドミサイルとヴァーティカルミサイルの雨が『ブラックパウダー』へと降り注ぐ。
負けじとアルフレッドも反撃を開始、自慢のグレネードを乱射していく。しかしグレネードは高い攻撃力の代わりに弾速が遅い上、直線的な攻撃になる。ランは冷静に遮蔽物と高低差を利用しながらミサイルを当て続ける。
『タンクのくせにコソコソ隠れながら戦うとは……この卑怯者め!』
『……戦いに卑怯もらっきょうも無い』
ランは冷静に優位に立っている。だが敵はさすがは防御力が自慢の重装甲タンクだ。ミサイルのダメージだけでは決定打に時間がかかる。
(……他への救援も必要。 なら……手早く片付ける)
そう一計を講じたランは、わざと『鈴蘭』を敵の射線上に晒した。
『喰らえ!!』
予想通り発射される『ブラックパウダー』の大型グレネードキャノン。その爆発が『鈴蘭』を包んだ。
『やったか!?』
大型グレネードキャノンの威力を誰より理解しているゆえに、その直撃ともなれば相手はまともに動けないはず……しかし次の瞬間、その爆煙を切り裂き、『鈴蘭』がアサルトブースト全開で飛び出してきた。
『バカな!? あの直撃を喰らって動けるはずは!?』
混乱するアルフレッドは気付けない。今、グレネードキャノンが当たったのは『鈴蘭』ではなく、『鈴蘭』が密かに回収していたMTの残骸だということを。
直撃ではなく残骸を盾にしたことで、大型グレネードキャノンの爆風は『鈴蘭』をスタッガー状態にするまでに至らなかったのだ。
アサルトブーストで接近しながら『鈴蘭』はミサイルを全弾発射、それが動きの遅い『ブラックパウダー』へと吸い込まれていく。
『ぐっ! しかしこの程度!』
その攻撃に耐えながらハンドグレネードランチャーを放つが、動揺したアルフレッドの攻撃をランは難なくかわしながら接近する。
そして……。
『アサルトアーマー……起動』
『鈴蘭』のコアの機構が動き、周囲がパルス爆発で包まれる。今までの執拗なミサイルの攻撃、そして今のアサルトアーマーでついに高い安定性を誇る『ブラックパウダー』がACS負荷限界に達し、スタッガー状態になった。
しかし、それでもアルフレッドには余裕があった。
(スタッガー状態になったとしても、相手のミサイルにこちらのAPを一気に削るような高火力武器はない。
システム復旧次第、反撃をお見舞いしてやる!)
それはスタッガー状態というピンチの中でも、装甲を自慢とする重装甲タンクへの信頼によって生まれた余裕であった。
実際、アルフレッドの考えは正しい。しかし、アルフレッドの不幸は相手が普通では無い敵、『ハウンズのラン』が相手だったことだ。
ガコォォン!!
『……は?』
アルフレッドは一瞬、何が起こったのか分からなかった。だが一瞬の浮遊感の後に訪れた落下感で事態を悟る。
(
ランはスタッガー状態になった『ブラックパウダー』に、再度アサルトブースト全開で突撃、そのまま
『ブラックパウダー』は重力に従い、落下していく。このグリッドの高さから落下すればタンクACの頑丈さなど関係ない。叩きつけられたカエルのように潰れることだろう。
(マズい! システム再起動次第、アサルトブーストを使って高架通路まで戻らないと!!)
システム再起動と同時にアサルトブーストを起動、何とか高架通路へと戻ろうとする『ブラックパウダー』。
ジェネレータエネルギー残量はギリギリ、しかし高架通路へ届くというその時……。
ズドンッ!
叩き込まれた衝撃で再び空中へ投げ出される『ブラックパウダー』。そしてジェネレータのエネルギー残量がゼロになり『ブラックパウダー』が落下を……今度こそ戻れぬ奈落の底へ落下を再開する。
最後に自分の命運を奪ったもの……それは間違えるはずも無い、『
『あ、アハハ、アハハハハハ!!
やはりメリニットの爆発は最高だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
やがてカメラアイを最大望遠にしていた『鈴蘭』が爆発を確認する。恐らく地面に叩きつけられた時にジェネレータと弾薬が引火、爆発したのだろう。かなりの距離があるはずだが、その大きな花火の衝撃がビリビリと『鈴蘭』の装甲を揺らした。
『……敵機撃破』
ランは感慨無くつぶやく。
戦いはまだ終わってなどいない。この地区の敵を全滅させたのなら、補給が完了次第、他の場所の救援に向かわなければ……。
『鈴蘭』のクローラーが大地を噛み、次の目標に向かって疾走を始めたのだった……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今日のアセン
AC名:『ブラックパウダー』
パイロット名:『アルフレッド=ボッシュ』
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
HEAD:VP-44S
CORE:DF-BD-08 TIAN-QIANG
ARMS:AR-011 MELANDER
LEGS:LG-022T BORNEMISSZA
BOOSTER:なし
FCS:FCS-G2/P05
GENERATOR:VP-20C
EXPANSION:なし
解説
元独立傭兵で元メリニット社社員という奇妙な経歴をもつドーザー。
元々は自社製品アピールのためにメリニット社によってAC訓練を行い、そこで操縦技術を磨く。
しかしメリニット技術者に負けず劣らずの火薬と爆発への異常な愛を持っていたため、実戦でこれらを使ってみたい欲望に負け、メリニット社を退社し独立傭兵となる。
当然武装はメリニット社製の高火力武装で固められていたが……それらの高い弾薬費と、広い爆発範囲が災いしたことで敵ごと護衛対象を吹き飛ばしてしまい借金を作って逃亡。
再起を図る彼はルビコンへの密航を成功させるが、ここでも弾薬費と味方施設破壊の賠償で借金を作って逃亡した。
流れ着いたグリッドで、力はあったため周りのドーザーたちを従え小規模組織『ブラックパウダー』を結成し、生計を立てていた。しかし、それでも資金は常にギリギリという状態であったため『ジャンカー=コヨーテス』の誘いにあっさりと乗りその傘下に下る。
彼の本音はただ一つ、「弾薬費を気にせず好きなだけメリニットの武器を撃たせてくれ」である……。
とにかく火力が高いため、何を壊してもいい侵攻作戦だと脅威。もしランの迎撃が間に合わず工場ブロックに侵入されていた場合、『RaD』は立ち直れないレベルのダメージを受けていただろう。
メリニット魂の化身。正直、火薬と爆発への愛なら、以前本作に登場した変態芸術家の狂人『アーティスト=オーカ』を上回る。
簡単に称するなら『脱サラに失敗した人』。そのままメリニット社にいれば社の金で火薬撃ち放題だったかも知れないのに……実戦という場での爆発に魅入られた結果がこれである。みんなも闘争の求めすぎには注意。
ちなみに『弾薬費と弁償費用で収支がマイナスになる』という設定は初代ACのランカー、『ダイナマイトブル』の『ブロックバスター』の設定そのままである。
重装甲タンクに両手にハンドグレネードランチャー、両肩に大型グレネードキャノン。古くからACをやっている人には『駐車場呼び出し用タンク』と言えばなんとなく分かってもらえるだろうアセンである。爆発範囲が広いため閉所での削り合いとなると脅威以外の何物でも無い。
AC名は黒色火薬を意味する『ブラックパウダー』。
パイロット名の元ネタはダイナマイトを発明しノーベル賞で有名な『アルフレッド=ノーベル』と、火薬を空気から作ると形容される『ハーバー=ボッシュ法』を合わせたもの。爆発への愛が過ぎる。