正直、AC6はブランチが1番意味不明集団でしたね。
私の思っていたことに少しは共感してもらえると嬉しいです。
独立傭兵キング……高い任務達成率を誇り、『完成された傭兵』の異名を持つ凄腕のAC乗りだ。愛機である『アスタークラウン』は重装四脚に軽量な上半身、そして充実した武装を誇る。特に右肩に装備された三連装レーザーキャノンの一斉射の威力はすさまじい。
キングはいつものように左肩のパルススクトゥムを展開しながら接近を開始した。アイドリングに時間がかかるものの破格の防御力を持つこのシールドは、どのような攻撃であろうとかなりのダメージを軽減できる。その間にバーストハンドガンで相手のACS負荷をかけつつタイミングを見計らって左手の重リニアライフルのチャージショットを当て相手をスタッガー状態に陥らせ、そこに最大火力である三連装レーザーキャノンをフルチャージで叩き込む……これがキングの必勝法である。
その幾多の敵を屠ってきた攻撃に対してドルマヤンは……。
「あくびの出るような戦術じゃな……」
言ってドルマヤンの愛機『アストヒク・S』は動き出した。
機体は旧式ながら現在でもその信頼性と堅牢さから愛され続けているBAWSの傑作フレーム『バショウシリーズ』一式だが、内装と武装は最新鋭機にも負けてはいない。
技研製オーパーツとも言える高出力コーラルジェネレータから生み出される出力と、鹵獲したシュナイダー製高出力ブースターから生み出される推進力、これが軽量機にも劣らないスピードを『アストヒク・S』に与えていた。
そのスピードでクイックブーストで踏み込めば、『アスタークラウン』との距離は瞬時に縮まる。
『何っ!?』
「挨拶代わりじゃ。 ほれ!」
計算外のスピードにキングが驚きの声を上げると同時に、『アストヒク・S』からバーストライフルの連射と6連プラズマミサイルが吐き出され、『アスタークラウン』のパルススクトゥムとぶつかる。
パルススクトゥムはその防御力を遺憾なく発揮しその攻撃を防ぐが、負荷によってオーバーヒートへと近づいていく。これはいけないとパルススクトゥムを解除、近距離に入ったことで左手の重リニアライフルも交えた射撃を開始しながら距離を離そうとするが……。
「その程度の射撃など当たらんよ」
ドルマヤンはまるで未来予知でもしているかのように高速のリニアライフルの弾丸を避け、バーストハンドガンも連続での被弾を避けていく。そして装備したパルスブレードを『アスタークラウン』に叩き込んだ。
『ぐぅ、やるな! ただの耄碌した老人ではなさそうだ!』
『アスタークラウン』は空中に飛び上がりホバー機能で空中からの爆撃を狙うが……。
「足下がお留守じゃぞ!」
『ぐぁっ!?』
高速で『アスタークラウン』の真下、攻撃の死角に入り込んだ『アストヒク・S』からチャージされたバーストライフルの3連射をもろに受け、大きく機体が揺らぐ。
『バカな。 これはまるであいつを、『レイヴン』を相手にしているような圧力だ!
翼も持たぬ老兵が何故ここまで!』
「翼? そんなもの無くとも人は戦い続けられる。
心に炎が燃え盛っている限りはな!」
『アスタークラウン』の必殺とも言うべき三連装レーザーキャノンの一斉射をもクイックブーストでかわした『アストヒク・S』はそのままアサルトブースト全開で接近、キックを叩き込んで『アスタークラウン』が吹き飛んだ。
『何故……何故これほどまでに戦えるのに今までその力を見せなかった!
この力があれば惑星封鎖機構の支配にも風穴を開けられたかも知れない!
それを……何故!?』
「……言っただろう、心に炎が燃え盛っていれば戦える。じゃが、心の炎が消えておれば戦うことなど出来はせん。
わしは……最近までただの燃え滓だった。あの『アイビスの火』で何も出来なかった無力感に苛まれた、ただの余燼にすぎなかった。だがそのわしに再び火をつけた者がいた。
今のわしはあの若者の夢物語……そのために今一度燃え上がっただけよ。
さて……このルビコン3を戦禍に巻き込んだその責、支払ってもらおうか!」
『くっ!?』
不利を悟り、『アスタークラウン』が弾幕を張りながら物陰に隠れる。
「見せてやるわ、本当の暴力というものを!」
ドルマヤンは左手に持ち替え、エネルギーがフルチャージされたムーンライト=レッドシフトを振り抜いた。
コーラルで形成された赤い刃が放射状に飛んでいく。それは障害物を無視して、その後ろにいた『アスタークラウン』を両断していた。
『ば、バカな……この俺がこうも一方的に……!?』
「『自由』の意味を勝手なことをする免罪符と勘違いした若造ごときとは戦いの年季が違うわ。
この戦禍に沈んだ者たちに、地獄で詫び続けるがいい」
そして両断された『アスタークラウン』のジェネレータが誘爆を起こし、キングは愛機とともに爆発した。
「さて……あと残った『ブランチ』の愚か者は1人か。
この位置ならば……任せたぞ、ヒナタ」
ドルマヤンはそう、自分に火をつけた若者の名を言う。その口元に期待の笑みを浮かべながら……。
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独房を脱出したケイト=マークソンは『RaD』の格納庫にたどり着いていた。
「さて……残った機体は……?」
そう言って脱出用の機体を探し格納庫を見渡すが、今は『RaD』の命運をかけた一大決戦の真っ最中、残っている機体など1機も無い。
どうするべきかとケイトが思案していると、格納庫の隔壁が吹き飛ぶ。そしてそこにいたのは……。
「あれは『ナイトフォール』! 『レイヴン』!!」
そこにいたのは『ブランチ』所属の真なる『レイヴン』、その愛機の『ナイトフォール』だ。味方の登場に格納庫のタラップでホッと息をつくケイト。
しかし、ケイトは次の瞬間に青ざめる。
「なんの……つもりですか!?」
『ナイトフォール』のアサルトライフルの銃口を向けられ、ケイトは困惑した声を上げる。そこにレイヴンのオペレーターの声が響いた。
『ケイト=マークソン。
いえ、コーラル型遺伝子調整強化人種『CNP-125』、あなたは処分されることが決定しました』
「何故!?」
『何故、と?
新世代の強化人間でありながら旧式の強化人間に敗北し、その能力の低さを示しておきながら?』
「それはあのイレギュラーたちの強さがデータを大きく上回っていたせいで……!」
『どちらにせよ、我々の創造主はあなたの処分を決定しました。
あなたはもう、必要ないのです』
「私が……必要ない……?」
ショックを隠せないケイトは、格納庫のタラップに膝をつく。
『では今までお疲れ様でした。
人を新たな姿に進化させるその役目は、私たちあなたの後発が受け持ちます』
そして『ナイトフォール』がアサルトライフルのトリガーに指をかける。対AC用の徹甲弾だ。そんなものかすっただけでケイトの身体など粉みじんに吹き飛ぶだろう。
自分の生まれた意味はここで終わるのだ……そう考えた途端、恐怖がわき上がる。『死にたくない』という原始的な欲求……それが自分にもあるということが意外だった。
(人を知るために生み出されたはずなのに、私は自分のことすら分かっていなかった……)
そう思うも、もはやどうしようもない。ケイトは目を瞑ると、叫び出したくなるような湧き上がる恐怖を無理やり押さえつけ最後の時を待つ。
その時だ。
『ホント……絵に描いたような外道だな、テメェら!』
『ッ!?』
黄色のACがケイトと『ナイトフォール』との間に降ってきた。ヒナタの『日向葵』だ。
即座に敵と判断した『ナイトフォール』に『日向葵』の両手のショットガンが撃ち込まれ、『ナイトフォール』からは連装グレネードキャノンが発射される。
「きゃぁぁぁ!!」
『日向葵』が盾になったものの、連装グレネードキャノンの爆風にあおられケイトが思わず悲鳴を上げる。
『日向葵』は瞬時にアサルトブーストを起動、『ナイトフォール』にぶつかっていく。そしてそのまま重量を乗せた強烈なキックを叩き込んだ。吹き飛んだ『ナイトフォール』が壁へと叩きつけられる。
『エアッ!!』
≪垂直リニアカタパルト、強制起動します!!≫
ヒナタの呼び声に応えるように、『ナイトフォール』が高速で上に射出された。ヒナタはただキックしただけでなく、『ナイトフォール』をリニアカタパルトに乗せる位置に吹き飛ばしたのだ。
『ナイトフォール』を一時的に退けた『日向葵』が、ゆっくりとケイトの方を向くとコックピットハッチを開いた。
「よう、ケイト=マークソン。 生きてるか?」
「……おかげさまで見事に死に損ないました」
「それだけブルブル震えててもそんな風に言えりゃ大したもんだよ。
……乗れ、ケイト」
「えっ……?」
そう言ってヒナタはケイトに手を伸ばす。
「お前は大事な捕虜だ。
ここで自由にさせるわけにはいかないが、俺は今からさっきの奴を叩き殺す系の仕事があるんでな。
俺の仕事に付き合ってもらう」
「何故、私がそんなことを……。
それに私は創造主からもういらないと判断されたんですよ。
そんな私が生きていても……」
かなり精神に来ているらしいケイトは目に涙を浮かべながらそう絞り出す。
そんなケイトに、ヒナタは言い放った。
「いい言葉を教えてやる。
『一度生まれたものは そう簡単には死なない』」
「それは……」
「連中の、一度生まれた命を簡単に自分の思い通りにどうこう出来ると思ってる上から目線が企業みたいでムカつく。『レイヴン』や『自由』についてのスタンスも気に入らない。
……まぁ、どうにも真っ先にお前の命を狙ったあたり『ブランチ』も思った以上に真っ黒な組織みたいだし、そういう私情抜きでも俺は連中を叩く。徹底的にな。
それに……お前もあいつらにいろいろ言われて、実は心底ムカついてるだろ?
俺があいつらの鼻っ柱をへし折るのを見たらきっと楽しいぞ」
「……本当にあなたはよくわからない人です。
ですが……」
そういってケイトは自分でも気付かないほど小さく微笑んで、ヒナタの手を取る。
「苛立っているのは確かです。
あいつを倒すのを特等席で見せてくれるのでしょう、ヒナタ?」
「もちろんだ」
そう言ってケイトをコックピットに乗せたヒナタは、『日向葵』を先ほど『ナイトフォール』を射出した垂直リニアカタパルトに移動させ、高速で真上に射出された。
たどり着いたのはグリッド外郭部。円形の、まるで闘技場のようになっている区画だ。
「待たせたな、偽レイヴンとそのオペレーター」
『偽物はそちらのお仲間でしょう?』
「いいや、偽物はそっちだ。『レイヴン』と『自由』の意味をはき違えてるって意味ではな。
『レイヴン』ってのは何もかもを何かに支配された世界で、それでも何をするか『自由に選択』し、戦い続ける傭兵たちの名だ。
『選択の自由』だ。 お前らの何をやってもいい、企業どもと変わらんような『自分勝手な自由』の押しつけとは違う。
そしてその中の何人かが誰にも予想しえない成果を上げる『イレギュラー』で、『支配が壊れた』という結果になった。
いいか、『支配を壊した』んじゃない。 イレギュラーが依頼によって成果を出しすぎて結果として勝手に『支配が壊れた』んだ。 そこを間違えるな。
自由に生き理不尽に死ぬ、報酬次第のワタリガラス……それが『レイヴン』の名の本質だ。
『レイヴン』は『好き勝手な自由』を謳って支配を破壊する活動家のことじゃないんだよ。
そんなものに『レイヴン』の名を使うな。改名しろ改名。
ほら、『ジャック=O』とか『マクシミリアン=テルミドール』とか、活動家やりたいなら名前の案はいくらでも出すぞ」
『……コーラルドラッグで錯乱でもしているのですか?
あなたの言葉は全くの意味不明です』
「悪いが、こちとら『レイヴン』にして『イレギュラー』、『ナインブレイカー』で『ドミナント』で『リンクス』で『首輪付き』で『最後のORCA』で『人類種の天敵』で『ミグラント』の『黒い鳥』だ。
『自由なる闘争』の、『戦い続ける喜び』の年季が違うんだよ。
だからお前ら『ブランチ』にはやり合う前に一言物申したくてな、こうして色々言ってるわけだ」
『重ねて意味不明な言葉を吐きますね。 最初からそうですがあなたの言葉は支離滅裂です。
どちらにせよ大きすぎるイレギュラーであるあなた……独立傭兵ヒナタも排除対象です。
そんな翼ごときで、『レイヴン』より高く羽ばたけるわけがない』
「言っただろう。 俺は
翼なんぞ関係なく、その喉笛噛み切ってやるよ!」
そう言って『日向葵』はショットガンを構え、『ナイトフォール』もアサルトライフルを構える。
『RaD』に対する『ジャンカー=コヨーテス』の大侵攻、そこから始まった長い一日を締めくくる最後の戦いの火蓋が切って落とされた……。
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今日のアセン
AC名:『バーニングピカクス』
パイロット名:インデックス=ダナム
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
HEAD:AH-J-124 BASHO
CORE:VP-40S
ARMS:VP-46S
LEGS:AL-J-121 BASHO
BOOSTER:FLUEGEL/21Z
FCS:FCS-G2/P05
GENERATOR:VE-20C
EXPANSION:なし
解説
復活した帥父ドルマヤンが最初にしたことが、ルビコン解放戦線幹部たちの戦力の見直しだった。
「格闘戦も出来んくせに格好だけのわしのマネはやめよ」と痛烈に言われたダナムは、ドルマヤンの指導の下でアセンを一から見直すことになる。
アーキバス系パーツを大量に鹵獲できたことで、それを使用した機体へと愛機は生まれ変わった。
ダナムはこれをドルマヤンからの自分への信頼の証として舞い上がっているが、当の帥父は「案山子よりはマシな移動砲台にはなっただろう」という認識である。
アーキバスの輸送部隊の乱獲によって強化されたルビコン解放戦線の機体その4。
連射が利きエネルギー兵器版マシンガンと言えるパルスガン、単発で威力が大きいエネルギー兵器版バズーカなプラズマライフル、8連装のヴァーティカルミサイルに強力なプラズマキャノン。そしてそれを支えるアーキバス系ジェネレータと機動力を確保するブースター。この武装をよく考えると『すべて跳弾の発生しない武装』で纏められているのがわかる。
当たれば確実にダメージになる武装であり、引き撃ち戦法で確実にダメージを蓄積できるというのが強み。
AC6はレーザーも跳弾が発生し保証距離内でないと安心できないのだが、それがないというのは十分な強みである。