祝福の花を君に   作:キューマル式

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第46話 『デート・ア・ルビコン』

 

 やぁ、ご友人。

 ご友人は『デート』というものをご存じだろうか?

 

 俺の記憶では『デート』というのは恋人同士やら、それ未満の甘酸っぱい関係、はては熟年夫婦がお互いの関係を見つめなおす、楽しいお出かけイベントのことをいうのだと記憶している。

 しかし……どうやらこの修羅の世界では違うらしい。

 

 

『味気ないレーションと泥のようなフィーカ……うんざりするが、それが人間が生きるということだ。

 それを消すような災禍は……潰すに限る』

 

「そいつは俺も同感だ。

 だからさ、フィーカの一杯でもひっかけながらお互いに話でもしないか?

 大概の問題はフィーカを一杯飲んでるうちに、お互いの中で決着がつくもんだ」

 

『悪くない提案だが……それは貴様を試してからだ、独立傭兵ヒナタ。

 オールマインドの犬でないというのなら、それを示してみせろ』

 

 

 というわけで、今俺はデートの真っ最中だ。

 武装(アクセサリー)装甲(ドレス)で目一杯めかし込んで、しゃれた言葉の変わりに銃弾とミサイルとレーザーを交し合う……うーん、この修羅の世界のデートは刺激的だなぁ。

 

 なんでこんなことになったのか……話は数時間前にさかのぼる。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 みんなが知っていることだが、ウォルターはマダオ(まるでダメなところのない男)である。

 原作AC6のPVを初めて見たときには、ハウンズ部隊を特攻させ格安で強化人間を買い取って戦わせるような非道な人物かと思ったが、蓋を開けてみれば死んだ仲間たちから託された使命のためにすべての感情を押し殺しながら、しかしそれでもあふれ出てしまう主人公たちに向けた思いは、修羅しかいないようなフロム世界では基本存在しない善人のそれであった。

 そんなわけでウォルターは俺たち旧式の強化人間の尊厳を尊重し、年頃の人間として扱ってくれている。その一環として、俺たちハウンズにはかなり自由行動の時間というものがあり、その時間で自分の好きなことを見つけるようにしているのである。

 俺はそんな自由時間に『ロアード』の町を歩いていた。

 

 

「……ヒナタとお出かけなのに……無駄にひっつく邪魔な虫」

 

「おや、ヒナタが出かけようとしたところを勝手についてきただけの犬が何か吠えてますね?」

 

「……それはそっちも同じ」

 

 

 俺は一昔前の地球人に捕獲されたエイリアンのように、アオイとケイトに左右から挟まれている。

 2人とも目を引く美人なので悪目立ちしすぎだ。アーキバスやベイラムの企業戦士と思われる奴らに傭兵、そしてチンピラの類と多種多様なやつらの視線を集めながら、俺は歩く。

 

 

「ところでヒナタは何をしに来たんですか?」

 

「いや、美味いフィーカの店があるらしくてな。

 ランチにでも行ってみようかって思っただけだ」

 

「……ヒナタ、私も同行していい?」

 

「ああ、いいぞ」

 

「あ、私! 私ケイト=マークソンもお忘れなく!」

 

 

 そんな感じでなし崩し的に、アオイとケイトとの3人でフィーカの店でランチとなった。

 その店のフィーカは本当に美味かったのかどうか……正直俺は味をまったく覚えていなかった。どこからともなく浴びせかけられる殺気にも似た視線と、『俺のランチにはさまっていた物』を2人に気付かせないように隠すので頭がいっぱいだったからだ。

 やがて町の散策を終え2人と別れた俺は、そのまま格納庫に鎮座する愛機『日向葵』へと滑り込んだ。

 

 

「エア!」

 

≪呼びましたか、ヒナタ?≫

 

 

 俺たちハウンズの脳内コーラルネットワークを経由して、エアが俺のところにやってきたのを感じる。

 

 

「ちょっと付き合ってくれ。

 ウォルターには適当に、周辺の偵察だって伝えておいてほしい」

 

≪構いませんが……どこに行くんですか?≫

 

「ここに」

 

 

 そう言って、俺はランチについていたメモを見せる。

 

 

≪これは……座標と通信周波数? これは誰から?≫

 

「さぁ?」

 

 

 今朝、俺の端末に厳重に秘匿された形で送られたメール……『独立傭兵ヒナタ……オールマインドについて話がある』とだけの本文と、フィーカの店名が記されていた。

 そして指示通りフィーカの店に行って注文したらさりげなく小さなメモがついていたというわけだ。

 スパイ映画じみた手法だが、こういうアナログなやり方のほうがネットワークを使うよりも確実な場合もある。

 

 

「誰かは知らないが、なかなか洒落たデートのお誘いだ。

 こういうのは乗らないと無作法ってもんだろ?」

 

≪危険です。 誰かに知らせるべきでは?≫

 

「もちろん死ぬつもりはない。

 ヤバそうになったらエア経由でハウンズのみんなに救援を頼むさ」

 

 

 それに……相手が誰か分からないとは言ったが、俺には『オールマインドの真実を知っていて』、『こういうスパイ映画じみた真似をしてくる相手』になんとなく心当たりがある。

 

 

≪……分かりました。 危険と判断したらすぐに救援を要請します≫

 

「そうしてくれ。

 それじゃ……楽しいデートの始まりだ」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 『ロアード』の町からそれほど離れていない、中立地帯をギリギリ越えた場所。雪で覆われた渓谷がメモにあったポイントだった。

 

 

≪指定されたポイントですが……誰もいませんね≫

 

「お招き通り来たぞ。 デートの相手を待たせないでくれよ」

 

 

 メモにあった指定された周波数で呼びかけてみる。

 すると……。

 

 

『……待たせはしないさ。 むしろこちらが待っていた』

 

≪!? ACの機体反応、接近中です! 来ます!!≫

 

 

 そして俺の前に現れたのはアーキバス型の四脚AC。

 シュナイダーの軽量コアに、脚部はアーキバスの中量四脚、そして腕はアーキバスの重装型……それぞれのパーツが使われており、何級と判別しづらい。そして特徴的な頭部……オールマインド製の頭部パーツだ。

 

 

≪データ確認。 アーキバスのヴェスパー第三部隊長『オキーフ』のAC『バレンフラワー』です≫

 

(やっぱりな……)

 

 

 エアの言葉に俺は心の中でつぶやく。あんな方法で接触してくるだろう相手は、こいつ以外には心当たりがなかったからだ。

 アーキバスのヴェスパー第三部隊長『ヴェスパー(スリー) オキーフ』……諜報を担当する彼は原作AC6においてオールマインドの『コーラルリリース計画』を知っていた人物の一人であり、最初はオールマインドの同志だったようだが『コーラルリリース』を阻止するためにオールマインドを裏切り、その後幾度となくオールマインドから刺客を送られていたがそれをすべて退けていた猛者だ。

 最終的に『賽投げルート』でオールマインドから暗殺を依頼された主人公『C4-621』と対決、討たれることになるが、最後まで『C4-621』にオールマインドの危険と『コーラルリリース』をやめるよう忠告をし続けていた。AC世界ではかなりの人格者であり、あのペイターからも慕われている描写もある。

 オールマインドの暗躍の見えなかった『レイヴンの火ルート』『ルビコンの解放者ルート』では、実はオールマインドの企みを裏で全部1人で潰していたんじゃないかと考察されることものあるほどの実力の人物だ。

 

 

「で、こうしてデートに呼び出したんだ。 どんな話があるんだ?」

 

『……昼間の様子は見ていた』

 

「だろうな。

 ランチの最中にもジロジロ殺気じみた熱い視線をくれたおかげで、せっかくのフィーカの味が分からなかったよ」

 

『ずいぶんとあの女……オールマインドの手先と仲が良いようだな。

 色香に惑ってオールマインドの手先にでもなったか?』

 

「情報が古いな。 ケイトはオールマインド……もっと言えばその黒幕組織と縁を切った。

 情報も色々もらった。 連中の計画……『コーラルリリース』を潰すための有益な情報をな」

 

『……『コーラルリリース』を知っているのか?』

 

「あるいはその果ての果てまでな。

 ……人は人の形のままが一番だ。 人とコーラルを混ぜ混ぜして新人類を、なんてのはごめんこうむる」

 

『味気ないレーションと泥のようなフィーカ……うんざりするが、それが人間が生きるということだ。

 それを消すような災禍は……潰すに限る』

 

「そいつは俺も同感だ。

 だからさ、フィーカの一杯でもひっかけながらお互いに話でもしないか?

 大概の問題はフィーカを一杯飲んでるうちに、お互いの中で決着がつくもんだ」

 

『悪くない提案だが……それは貴様を試してからだ、独立傭兵ヒナタ。

 オールマインドの犬でないというのなら、それを示してみせろ』

 

 

 『日向葵』にアラートが鳴り響く。

 

 

≪ロックオン反応です! 攻撃してきます!≫

 

「殴り合えば分かるってか!

 わかりやすくていいが……やっぱりここは修羅の国だな、おい!」

 

 

 言いながらも、俺は両手のショットガンを構え、迎撃の体勢を取るのだった……。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 オキーフの駆る四脚AC『バレンフラワー』は、実弾兵器とエネルギー兵器をバランス良く装備した機体だ。

 空中から撃ち下ろされるプラズマライフルとプラズマミサイルが巻き起こすプラズマ爆発を、隙間を縫うようにして『日向葵』が疾走、回避する。

 すると今度は『BAWS』の傑作バーストライフルからの射撃と、肩からコンテナミサイルが発射された。射出されたミサイルコンテナから大量のミサイルが吐き出され、それが『日向葵』を追尾する。

 俺は『日向葵』のアサルトブーストを起動、ミサイルを振り切ってお返しのショットガンを放つ。

 

 

『ぐっ!?』

 

 

 ショットガンの衝撃散弾に『バレンフラワー』が揺れ、オキーフがうめく。さらに追撃のプラズマミサイルを放つが、『バレンフラワー』のコアの機構が動き出し、半透明の膜が『バレンフラワー』を覆った。コアの防御機構、パルスアーマーだ。

 プラズマミサイルはパルスアーマーに防がれ、ダメージを与えられない。そのまま今度は『バレンフラワー』がアサルトブーストを起動、突っ込んでくるとキックを放つ。重量のある『バレンフラワー』のキックに吹き飛ぶ『日向葵』。そこにアラートが鳴り響く。

 

 

≪敵、プラズマライフルのチャージショットです!≫

 

 

 通常の数倍のプラズマ爆発が巻き起こり、高温のプラズマが『日向葵』の装甲を焼く。

 だが俺はそれを無視して左手にパイルバンカーを装備、右手のショットガンを撃ちながら接近しそのまま殴りかかった。パルスアーマーはショットガンの衝撃散弾で強制冷却に入った。遮る物のないコアをパイルバンカーで殴り飛ばし、『バレンフラワー』を吹き飛ばした。

 お互いに一定の距離を開き、戦場に一時の静寂が訪れる。

 

 

『……やるな』

 

「あんたもな。

 それより、そろそろ俺がオールマインドの手先じゃないって分かってくれないか?」

 

『……もう少し、試させてもらう』

 

「……やれやれだ」

 

 

 どうやらこの物騒なデートは続行のようだ。しかし、デートにはハプニングというものはつきものらしい。

 

 

≪ヒナタ、高速接近する反応を複数確認。 これは……!≫

 

 

 高速で飛び込んできたのはウィーヴィルが8機だ。

 いや、これは多分それだけじゃない。見ていると大型攻撃ヘリが2機、一足遅れてこちらに飛んできている。

 

 

「おいおい、デートのお邪魔虫が湧いたぞ。

 ……そっちの関係者か?」

 

『いいや。何度か戦ったことがあるが、あのMTモドキはオールマインドの手駒だ。ヘリもオールマインドは惑星封鎖機構の一部を手駒に使っている。

 今までこれほど大規模な襲撃を受けたことはなかったがこの動き……どうやら俺とお前をまとめて消そうとしているらしいな』

 

「なら、そろそろ俺がオールマインドとは敵対してるって分かっただろ?

 この連中にはさっさと退場してもらって、話がしたいんだが」

 

『……いいだろう、お前を認める。

 こいつらを倒して話を聞かせてもらうぞ』

 

 

 言って四脚AC特有のホバー機能で空中に飛び上がると、そのままウィーヴィルどもに向かって爆撃を開始する『バレンフラワー』。俺は地上を疾走しながら、『バレンフラワー』によってダメージを受けたウィーヴィルを優先して敵の数を減らすことに専念する。

 そうしている間に到着した2機の大型攻撃ヘリから、大量のミサイルが吐き出された。

 

 

「危ないなぁ……」

 

『……雑魚どもは任せろ。

 援護はする。 お前はその自慢の一撃をデカブツに叩き込むことを考えろ』

 

「りょーかい、第三隊長どの!」

 

 

 そう言って『日向葵』は空中に飛び上がると大型攻撃ヘリの1機に向かってアサルトブーストを起動、ヘリから吐き出されるミサイルや機銃をかわしながらプラズマミサイルと両手のショットガンを叩き込む。

 その巨体ゆえに全弾が命中、スタッガー状態に陥る大型攻撃ヘリにすでにチャージの完了していた必殺のパイルバンカーを叩き込んだ。先端の機体制御部を特殊合金製の杭に貫かれ、制御を失った大型攻撃ヘリがローターをクルクル回転させながらきりもみ状態で大地に墜ちて大爆発を起こす。その爆発を背にしながら『日向葵』は着地した。

 

 そこに仲間をやられたもう1機の大型攻撃ヘリが爆弾倉を開き、地上への爆撃を開始する。狙いは当然俺の『日向葵』だ。こちらに向かって激しい爆撃をしながら接近してくる。

 しかし着地でジェネレータを十分に回復していた『日向葵』は再びアサルトブースト全開で、パイルバンカーを構えながら飛んでいく。

 

 

「そっちから来てくれるなんて都合が良いじゃないか!

 ほら、たっぷりくらいな!」

 

 

 そう言って、パイルバンカーを叩き込む。しかし杭は制御部をわずかに外し、そのまま大型攻撃ヘリが突っ込んできて『日向葵』にぶつかってきた。

 

 

「ぐっ! なかなか過激な抱擁だな!」

 

≪言ってる場合ですか! このままだと岩肌に叩きつけられますよ!?≫

 

『援護する』

 

 

 その瞬間、『バレンフラワー』から放たれたミサイルコンテナから大量のミサイルが吐き出されて大型攻撃ヘリに次々に突き刺さる。その衝撃に、大型攻撃ヘリの動きが一瞬止まった。

 

 

「ナイス! できる男だな、あんた!」

 

 

 その一瞬で大型攻撃ヘリを蹴り飛ばすと、至近距離でプラズマミサイルと両手のショットガンを叩き込む。全弾命中でスタッガー状態に陥る大型攻撃ヘリ。

 

 

「はいよ、こいつでお仲間のところにご招待だ!」

 

 

 そしてリロードの完了したフルチャージパイルバンカーを大型攻撃ヘリに叩き込んだ。今度こそ正確に制御部を貫かれた大型攻撃ヘリも、先の仲間と同じくきりもみ状態で大地へと墜ちて大爆発を起こした。

 

 

「撃破完了、っと」

 

『こちらも終わった……』

 

 

 振り返ると、残った敵もすべてオキーフによって撃破されていた。

 

 

「さすが、できる男は違うな」

 

『……俺も伊達に今までオールマインドの刺客から生き残っていない』

 

 

 静寂の戻った戦場の中で、俺の『日向葵』とオキーフの『バレンフラワー』は破壊された残骸の炎の中で佇んでいた……。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「……飲め」

 

「ああ、ありがとう」

 

 

 オキーフがコックピットに備え付けられていたサバイバルキットで作ったフィーカを俺は受け取った。

 お互いの愛機を風除けに、ACの脚部の一部を椅子代わりにしてフィーカをすする。

 

 

「……美味いな。 かなりいいもの使ってるだろ?

 妹が1人フィーカに凝っててな、なんとなく分かる」

 

 

 吹雪いていたりはしないがここは年中雪の残る中央氷原、パイロットスーツの保温機能があるとはいえ暖かい飲み物は嬉しいものだ。

 

 

「そうか……美味いのか……」

 

「……もしかして分からないのか?」

 

「……最初の強化人間手術のときに味覚は一度死んだ。

 取り戻せたのは味気ないレーションと泥のようなフィーカの味だけだ。 それ以外は味を感じられん」

 

 

 そう言ってオキーフはクイっとフィーカをあおる。

 

 

「……相変わらず泥のような味だ。

 だが……これだけが俺の感じる唯一の味だ。 そしてこうして感じるものがあるのは人である証明だ。

 人は人のまま生きて死ぬ……それがきっと、何より正しい」

 

 

 オキーフは目で『お前はどうだ?』と問うてくる。俺は頷くと答えた。

 

 

「俺は、人は人を愛するために適した形をしているんだと思ってる。

 少なくとも人の意識をコーラルと混ぜ混ぜして、全員まとめて1つの個になるなんてのは絶対にごめんだ」

 

「……そこまで『コーラルリリース』について知っているのか」

 

「ああ、オールマインドの裏側にいる連中のことも知っている」

 

 

 そう言って俺は前世や未来の話は抜きに、ケイトから聞いた話を中心に知っていることを話した。

 

 

「『レイヴンズネスト』に、アイビスの火を生き残ったルビコン技研第一助手『キサラギ=アミダ』か……俺も初めて聞く、興味深い話だ」

 

「ケイトから聞き出した話だ。 嘘は……ないと思う」

 

「……だろうな、昼間のお前たちの様子を見ていれば分かる。

 あれでお前に嘘をついているのなら、あの女は女優で宇宙一を狙えるな」

 

 

 そう言ってオキーフは少しだけ笑った。まるで微笑ましいものでもみたような顔だ。

 しかし、そんな顔もすぐに隠れて元の凄腕の諜報員の顔に戻る。

 

 

「……味方は?」

 

「ウォルターとハウンズと『RaD』。

 それとドルマヤンのじいさん」

 

「あのドルマヤンを変えたのはお前か……いいだろう」

 

 

 オキーフは残ったフィーカをすする。

 

 

「オールマインドの裏側にいるという『レイヴンズネスト』の情報、調べてみよう。

 『ブランチ』も実質的にやつらの下部組織というのなら、その線からわかることもあるだろう。

 わかったらお前にも知らせる」

 

「……俺は多分、最後はアーキバスと敵対して潰すことになるぞ」

 

「別に俺には特段の愛着はない」

 

「そうだな。 あんたがお仲間で大事そうなのは『4』と……あとその繋がりで『10』くらいだろうしな」

 

 

 言外にラスティとの関係を言ってやると、オキーフは少しだけ鋭い視線を向ける。

 

 

「……諜報に興味があるのならいつでもこい。

 俺の下で使ってやる」

 

「あいにく、コソコソ動くのは苦手だ。

 人が静かにしてるのに、気がつくと何故かドンパチ騒がしくなってるんでね」

 

「なるほど、騒動を勝手に吸い寄せる類か。 確かに諜報員としては失格だな」

 

 

 そう言ってオキーフは『バレンフラワー』に乗り込んだ。

 

 

『最後に一つ、忠告しておく。

 『ヴェスパー(ワン)』がお前に興味を持っていた。 戦場で是非会ってみたいと言っていたぞ』

 

「……最悪の情報をどうも。

 俺は絶対に会いたくないな。 どう考えても『こんにちは死ね』くらいの気軽さで殺し合いになりそうだ」

 

『俺もそう思う。

 ……死ぬなよ。 お前抜きで『レイヴンズネスト』とやらを潰すのは骨が折れそうだからな』

 

 

 そう言ってアサルトブーストを起動、オキーフの『バレンフラワー』は去って行った。

 

 

「……かっこいい大人だな」

 

≪あれはこちらの味方になってくれたと解釈していいんでしょうか?≫

 

「そうだな。 少なくとも対『レイヴンズネスト』では協力してくれるよ」

 

 

 そうエアに答えて、俺も残ったフィーカをすすると『日向葵』のコックピットへと戻る。

 諜報に強いオキーフが俺を認めて味方になってくれたのは心強い。しかし、それと同時に地雷も多そうだ。

 

 

「『1』と『2』と『4』と『10』……アーキバス関係は要注意だろうな」

 

 

 そうつぶやいて『日向葵』のアサルトブーストを起動、『ロアード』の町へと帰還するのだった……。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

今日のアセン

 

AC名:『KARAKURIサーカス』

パイロット名:『チャティ=スティック』

 

R-ARM UNIT:44-141 JVLN ALPHA(デトネーティングバズーカ)

L-ARM UNIT:44-141 JVLN ALPHA(デトネーティングバズーカ)

R-BACK UNIT:BML-G2/P05MLT-10(10連ミサイル)

L-BACK UNIT:BML-G2/P05MLT-10(10連ミサイル)

 

HEAD:HD-033M VERRILL

CORE:CS-5000 MAIN DISH

ARMS:AR-011 MELANDER

LEGS:EL-TL-11 FORTALEZA

 

BOOSTER:なし

FCS:FCS-G2/P12SML

GENERATOR:VP-20S

 

EXPANSION:TERMINAL ARMOR

 

 

解説

チャティ「ミスター出世払い、チャティ=スティックだ。

     今後激化することが予想される戦況を鑑みて、俺のアセンブルの見直しをしてほしい」

ヒナタ「構わないぞ」

 

アセン完了

 

チャティ「感謝する、ミスター出世払い。 それでこの新しいサーカスの名称だが……」

ヒナタ「サーカスといえばKARAKURIだ。だからKARAKURIサーカスで」

チャティ「……わかった、意味は分からないが名称変更をしよう。要件はそれだけだ、じゃあな」

 

 

今後『RaD』を取り巻く環境が激化するだろうことを鑑みて、チャティがAC『サーカス』のアセンブル見直しをヒナタに依頼、そして完成したのが本機『KARAKURIサーカス』である。

ストライダーの一件とウォッチポイントでの一件でスッラから奪った両手のAM製デトネーティングバズーカをメインウェポンとし、両肩に10連ミサイルを装備。

頭部・コア・腕部を交換することで防御力と安定性の向上を図っている。むろん重量増加によって多少速度が落ちているが、ジェネレータをアーキバスの軽量型に変更、速度低下をできる限り軽減している。

 

本機はカーラのAC『フルコース』との共闘を強く意識してアセンが組まれている。

カーラの『フルコース』が対単体目標型ミサイル機であるのに対し、FCSと両肩の10連ミサイルでマルチロックが可能な本機はカーラに害をなそうとする『集団の掃討』を想定している。

またミサイル機の弱点である『スタッガー状態にしても大ダメージに繋がりにくい』という点を直撃補正の高いデトネーティングバズーカを装備することで補っている。

強敵相手にはカーラとともにミサイルの連射で相手をスタッガー状態に追い込み、両手のデトネーティングバズーカで致命傷を与えるというのが本機のコンセプト。重いながらデトネーティングバズーカはなかなかに強い。

 

AC名は当然、サーカスといわれると思い出す名作漫画から。

暇乞いからニッコリーネ様までの流れは、いろいろ言いたいことのあるアニメ版でも見ておくべき名シーンである。

 

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