祝福の花を君に   作:キューマル式

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第50話 『マンガとか小説の長女キャラってマトモか突き抜けてるかどっちかだよね』

 

『以上により、協定に基づき対惑星封鎖機構限定の『アーキバス』『ベイラム』『ルビコン解放戦線』の臨時軍事同盟軍、『抵抗同盟軍』の発足を宣言する!!』

 

 

 俺の知る原作AC6よりも強大な戦力をこのルビコン3に投入してきた『惑星封鎖機構』。その戦力を前に『アーキバス』『ベイラム』『ルビコン解放戦線』は原作AC6以上に苦境に立たされていた。独立傭兵を多数雇っての惑星封鎖機構への攻撃も焼け石に水の状態であり、惑星封鎖機構の侵攻を多少遅らせる程度の効果しか無かった。

 『アーキバス』『ベイラム』『ルビコン解放戦線』の3勢力は、このままでは惑星封鎖機構によってすり潰されるという危機感はあり、一時的にでも互いに手を組むことが最善だということは内心では理解していた。

 しかし今まで敵対していた者同士が手を組むというのはあまりにも難しい。そのため各々に戦い、各個撃破され戦力を減らしていくというジリ貧が続いていた。

 しかし、俺が知らないくらいに強大化された『惑星封鎖機構』同様、このルビコンには俺の知らない勢力が誕生していた。それがルビコン3の地元企業である『BAWS』、『エルカノ』、『RaD』からなる企業同盟『アライアンス』である。

 『アライアンス』は『BAWS』の行っていた『金さえ払えば誰にでも物資・兵器を売る』という方針をそのまま採用、原作での『BAWS』の規模拡大版とも言うべき行動をとっており、『アーキバス』『ベイラム』『ルビコン解放戦線』の3大勢力はすべて何かしらの形で『アライアンス』との取引を行い、補給に当てていた。そんな『アライアンス』の発言力はバカにできないものがあった。その『アライアンス』が主導することで、犬猿の仲である3大勢力は対惑星封鎖機構限定であるものの同盟を組むに至ったのである。

 原作AC6では『アーキバス』『ベイラム』は惑星封鎖機構の最終兵器である『アイスワーム』に追い詰められるまで同盟を組むことは出来ず、『ルビコン解放戦線』に至っては全くのノータッチだったことを考えると凄まじく早い段階で1つに纏まることが出来たのである。呉越同舟もいいところの急造の同盟だが、これで各個撃破という最悪の事態だけは避けれたというわけだ。

 

 纏まることの出来た『抵抗軍』は現在、各地で反撃を開始。

 ヴェスパーがバルテウスを、レッドガンがエンフォーサーを、解放戦線がカタフラクトを、と惑星封鎖機構の切り札である特殊機体の撃破報告もチラホラ見えるようになり、独立傭兵による襲撃もボディブローのようにジワジワとダメージを与えている。そのため当初明らかな劣勢だった戦況はじょじょに盛り返しつつあり、惑星封鎖機構に対して拮抗し始めていた。

 

 俺とハウンズたちも独立傭兵として依頼を受け、HC(ヘビィキャバルリー)LC(ライトキャバルリー)、エクドロモイといった連中との戦いを繰り広げていた。

 そんなある日……俺宛にあの『ヴェスパー(スリー) オキーフ』からのメールが届いた。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 『久しぶりだな、独立傭兵ヒナタ。そちらの活躍は聞いている。

  早速だが状況を説明する』

 

 

 

『お前からの情報どおり『ブランチ』を探っていたところ、『惑星封鎖機構』が企業から接収したコーラルを移送していることが分かった。

 追跡したところ場所は『ビジライン渓谷』、そこに『ブランチ』の拠点がありお前の言っていたキャロル=マークソンとやらのACを確認している。

 『ブランチ』に『オールマインド』に『惑星封鎖機構』……お前の言う通り、これらは『レイヴンズネスト』として一つに繋がっていたようだな。

 

 奴らがコーラルを集めてやることなど、絶対にろくでもないことだと断言できる。だが俺は表の仕事……アーキバスの仕事で手が離せん。

 そこでヒナタ、お前にこの基地の襲撃を依頼したい。基地のコーラル貯蔵タンクを破壊し、やつらの企みを阻止しろ。

 『ゴースト』に『惑星封鎖機構のMT』……どう考えても普通ではあり得ない組み合わせの部隊も確認している。そしてキャロル=マークソンを含めACも複数機を確認した。

 これだけでも十分に大戦力だが……奴らのことだ、どんな隠し玉があっても驚かん。攻略の際には最悪を想定して行動しろ。

 

 凄腕の独立傭兵をタダ働きはさせん。俺のポケットマネーから十分な報酬は用意しよう。

 だから修理費と弾薬費の必要は無い。思い切り、確実に叩き潰せ』

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 『鈴蘭』から発射されたミサイルの雨が降り注ぎ、コーラル貯蔵タンクに命中。貯蔵したコーラルに引火したそれは、コーラル特有の赤い爆発を起こす。

 完全な奇襲に、『ブランチ』の連中だろうやつらが大慌てなのがこの丘の上からでも見て取れた。

 

 

「……エア、すまない」

 

≪……いえ、仕方ありません。大量のコーラルが『レイヴンズネスト』の手に渡ることの危険性は理解できます。

 同胞が燃えていくのは悲しいですが……呑み込みます。 それよりミッションの完遂を≫

 

「分かった……行くぞ、みんな!」

 

『相手は『ブランチ』……実質的には『レイヴンズネスト』が相手だ。どんな敵が出てくるかも分からん。

 細心の注意を払いながら……やつらの喉笛をかみ砕いてやれ』

 

「「「「「「「了解!!」」」」」」」

 

 

 ウォルターの言葉に答え、6匹の猟犬+1は解き放たれた。

 今回の相手は『レイヴンズネスト』だ。だからこそ俺たちも出し惜しみは無く、俺を含めたハウンズ全員+ケイトの全7機のACでの全力出撃である。

 

 

『なんだこの連中は!? どうしてここがバレたんだ!?』

 

『出撃急げ! 惑星封鎖機構から回された高性能機があるだろ!』

 

『バカ野郎、機種転換訓練もまだなんだぞ! どんな高性能機だろうが、上手く動かせるかよ!?』

 

『いいから行け!!』

 

 

 敵の防衛戦力であるMT部隊が出撃してくる。情報どおり惑星封鎖機構の使っている高性能な戦闘用MTだが動きが固い。

 

 

≪……敵の通信を傍受しましたが、どうやら供与されて間が無いようですね。

 機種転換訓練が間に合っておらず、機体性能に振り回されているようです≫

 

「そりゃご愁傷さま、敵さんは運が無いな。

 そして……戦場ってのは運がないだけで理不尽に死ぬ場所なんだよ!」

 

 

 ハウンズは連携をとりながらMT部隊を相手取る。いかに高性能な惑星封鎖機構の戦闘用MTであっても、性能が十全に発揮できないのならそれは少し頑丈なだけの鉄の棺桶に過ぎない。次々と撃破されていく。

 

 

≪センサーに反応、ステルスで隠れた『ゴースト』です!≫

 

 

 その隙をつくようにして『ゴースト』も数機襲い掛かってくるが、スキャンでステルスを見破ったら連携して集中攻撃で確実に撃破していく。

 すると、ACが4機現れた。

 重装二脚で両肩にデトネーティングミサイル、両手にガトリングガンという、どこかで見たことのあるACだ。以前ウォッチポイントで戦ったAI制御型のACである。それが2機。

 そして青を基調にした四脚ACと、黄土色を基調にしたホバータンク型ACの2機……こっちはさしずめ新しい『キング』と『シャルトルーズ』だろう。

 

 

『兄様、ここはお任せください』

 

「センカ、頼む」

 

『はい、兄様。 ランとナコ、それにレイは私に続いて』

 

『『『了解です、姉様』』』

 

 

 センカの指揮で敵AC4機の対処に残ったランとナコとレイを残し、俺とアオイとケイトはさらに基地の奥へと向かって行く。

 そこは駐機場になっており、離陸体制に入った輸送ヘリ数機がいた。

 

 

「逃がすか! アオイ! ケイト!」

 

『……了解!』

 

『ケイトにお任せあれ、ですよ! ヒナタ!』

 

 

 俺の『日向葵』がプラズマミサイルを放ち、両手のショットガンを放つ。同時に輸送ヘリ群の中央にアオイの『曼珠沙華』から放たれた連装グレネードキャノンが炸裂し、爆風により損傷が広がる輸送ヘリ。そこにトドメとケイトの『アルストロメリア』が両手のカラサヴァからのプラズマ光弾を連射、次々に輸送ヘリを灼いた。

 ものの数十秒で輸送ヘリ群はコーラル特有の赤い爆発を起こしながら、スクラップへと早変わりを遂げる。

 

 

「よし、これで作戦終了だな。

 さっさとここを離れ……ッ!? 散れ!!?」

 

 

 作戦が終了しさっさと撤退しようとしたその瞬間、特大の殺意とともに大型グレネードキャノンの砲弾が俺たちに向けて飛んでくる。

 俺の言葉で即座にクイックブーストを起動、回避した背後で大型グレネードキャノンの大爆発が起こった。そしてその大型グレネードキャノンの飛んできた方を見ると……。

 

 

「あれ、は……」

 

 

 輸送ヘリの炎を越えてゆっくりと近づいてくる赤と黒のAC。その姿、そしてそのエンブレムも『⑨ボール』であり、あの初代ACシリーズの『ナインボール』を思い出させる。そして装甲を越えてなお感じられるほどの圧力は、相手が尋常では無い強さの存在だということを物語っていた。

 

 

『ら、ラナ姉様……』

 

 

 ケイトの驚いたような声が聞こえる。

 

 

『……ケイト、キャロルに聞いたようにイレギュラーに組したというのは本当なのね。

 そして……お前が妹をかどわかしたイレギュラー、独立傭兵ヒナタか……』

 

「……かどわかしたもなにも、いらないって捨てたのはそっちだろう。

 俺はそれを拾い上げただけだ」

 

『……まぁいい。 もはや言葉は不要……イレギュラーも何もかも、計画の障害になるものは排除する!』

 

「俺たち相手に3対1で出来ると思ってるのかい?」

 

 

 俺がそう言うと同時に、2機の中量逆関節ACが跳躍して降り立った。

 1機は2本のムーンライトを装備した、キャロル=マークソンのAC『スプリガン』。

 そしてもう1機は初めて見る、錆のように赤黒いAC。そのエンブレムはどこかで見たことがあるような『炎の蠅』だ。

 

 

『はぁい、ケイトちゃ~ん』

 

『ラナ姉様やキャロルだけでなく、ジェニファー姉様まで!?』

 

 

 絶対にそうだろうと思っていたが、やはりケイトの姉妹だったようだ。

 ……なんでそう思ったかって? 機体構成がケイトやキャロルと同じく、ロマンがにじみ出てるからだよ!

 

 

『……これで3対3になった。

 お前の頼みとしていた数的有利は無くなったぞ、イレギュラーヒナタ』

 

「……同数になって条件が互角になっただけだ。 全部叩き潰せば問題はない」

 

『その減らず口、私とこの『ブレイクショット』を前にいつまで続くか見物だ、イレギュラーヒナタ!』

 

 

 AC『ブレイクショット』のコーラルライフルの銃口をこちらに向けたラナに、同じくショットガンを構えながら返す。

 

 

『ケイト……今度こそ討ちます!』

 

『キャロル!?』

 

 

 ケイトの相手は前回も戦ったキャロルとなったようだ。

 そして……。

 

 

『なら……私の相手はこの犬かしら?』

 

『……来い、口ばかり達者な自称最新型のトーシロー』

 

『うふふふ……口の悪い犬は、焼却炉で殺処分になるのよ。

 私と『ファイヤーフライ』で灰になるまで燃やしてあげる!

 うふふふふふ……あはははははっ!!

 燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やす燃やすぅぅぅぅ!!』

 

 

 『両手の火炎放射器』を振りかざしながら、跳躍のためにスプリングをたわませる『ファイヤーフライ』と、迎撃の準備をするアオイの『曼珠沙華』。

 

 

「「「『『『ッ!!』』』」」」

 

 

 誰からとも無く、戦端は開かれた……!

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

今日のアセン

 

AC名:『ブレイクショット』

パイロット名:『CNPー09 ラナ=マークソン』

 

R-ARM UNIT:IA-C01W6:NB-REDSHIFT(コーラルライフル)

L-ARM UNIT:IA-C01W7:ML-REDSHIFT(コーラル光波ブレード)

R-BACK UNIT:IB-C03W3:NGI 006(コーラルミサイル)

L-BACK UNIT:EARSHOT(大型グレネードキャノン)

 

HEAD:VP-44S

CORE:07-061 MIND ALPHA

ARMS:VP-46D

LEGS:LG-011 MELANDER

 

BOOSTER:IB-C03B:NGI 001

FCS:IB-C03F:WLT 001

GENERATOR:IB-C03G:NGI 000

 

EXPANSION:ASSAULT ARMOR

 

 

解説

「私が……私たち姉妹が人を新たな段階に進化させる……。

 力を持ちすぎた者、新たな進化を拒む者……排除を開始する。

 消えろ、イレギュラー!!」

 

『レイヴンズネスト』で誕生した、コーラル型遺伝子調整強化人種として初めての成功例であり、すべてのコーラル型遺伝子調整強化人種たちの基礎となった存在。

自らの生まれた意味である『コーラルリリース』を達成するためにルビコン3で暗躍を繰り返す『レイヴンズネスト』の尖兵。

その実力は最初の成功例でありながら最も高く、膨大な戦闘経験によって『始まりにして頂点』の存在となった長姉である。

 

パイロット名は当然、初代シリーズのレイヴンズネスト管理者AIのひとり『ラナ=ニールセン』から。AC『ナインボール』を操って襲い掛かってくる彼女と同じく機体は『ナインボールのAC6再現機体』となっている。AC名『ブレイクショット』も、ビリヤード用語。

ただライフル装備なあたり、初代シリーズよりもACNBの方に近い。最も近いのはカラサワ持ってくる小説版のナインボールだろうか。

 

AC『ブレイクショット』のコンセプトは、『ナインボールの再現機体であること』と『コーラル系兵装満載であること』。

ライフル・ミサイル・大型グレネードキャノン・光波ブレードとナインボールの構成要素を取り込みつつ、大型グレネードキャノン以外はコーラル系兵装となっている。

これは彼女にとって『コーラルリリースのためにコーラルによって生み出された存在』というのがアイデンティティーとなっているためであり、コーラルリリースの障害となるだろうイレギュラー排除のためにはその全力を惜しみなく発揮する。

 

コーラル系兵装は衝撃力と衝撃残留が同値でありACS負荷を確実に与えられるという特徴を持っており、スタッガー状態をとりやすい武装群であり、大型グレネードキャノンは言わずもがなの強力な一撃。

ライフル・ミサイル・キャノン・ブレードと武装バランスも良く、『スタッガー狙いに重きを置いた汎用バランス機』といった感じでまとまっている。

 

テストプレイでミッションとアリーナに出てみたが、ライフルとミサイルを撃ちながら接近、大型グレネードキャノンを叩き込みスタッガー状態に追い込んだらチャージしたムーンライトレッドシフトで叩き切るのがいいだろうか?

この武装構成は『すべて跳弾が発生しない』組み合わせのため、中距離でしのぎを削り合う戦い方もいいだろう。

良くも悪くもバランス型汎用機なので、腕次第の機体といったところである。

 

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