祝福の花を君に   作:キューマル式

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今回から『RaD花火大会編』が始まります。

原作AC6では『ジャンカー=コヨーテス』を汚ねぇ花火にしていましたが、本作では惑星封鎖機構を花火にするために奮闘です。

敵味方の独立傭兵やらゲストキャラやらが大量に出てくるお祭り編のような感じなのでそんな感じでお願いします。


第53話 『中立は武力があるから中立が出来ることを忘れてはならない』

 

 ウォルターと一緒にルビコン技研の遺産である『HAL』を回収してからしばらく……。

 その日『RaD』に……いや、『アライアンス』を含むルビコンの全勢力に激震が走った。

 

 

『武装反抗勢力『抵抗同盟軍』に協力する『アライアンス』に通告する。

 即時、『抵抗同盟軍』への協力を停止し、武装解除せよ。

 要求が聞き入れられない場合、『アライアンス』を排除対象と認定し、排除を執行する』

 

 

 それは『惑星封鎖機構』から『アライアンス』に対する事実上の最後通牒だった。

 中央氷原を主戦場とする『惑星封鎖機構』と『抵抗軍』の戦いは、当初の惑星封鎖機構圧勝の思惑を完全に裏切り、拮抗に近いところまで戦況は盛り返されていた。それに危機感を覚えた『惑星封鎖機構』は『抵抗軍』の主な補給元である『アライアンス』を潰そうというのである。

 ルビコン地元企業からなる『アライアンス』は、別に兵器だけを生産しているわけではない。地元に住むルビコニアンたちが日々に必要な食料や日用品を生産し、その日々の暮らしを支えているのだ。比喩や誇張では無く『アライアンス』が無くなることはルビコニアンたちすべてに『死ね』と言っているようなものである。さすがにそんなことはしないだろうと誰もが思っていたが、認識が甘かった。

 『このルビコン3を半世紀にわたって牢獄のように管理し、飢えて苦しむルビコニアンたちに何もしなかったのは一体誰か?』……誰もがそれを思い出すべきだったのである。

 『惑星封鎖機構』を支配するAIの優先順位は、星系規模の大災害である『アイビスの火』の再発防止であり、その原因となったコーラルを求め違法な渡航を繰り返し秩序を乱す星外企業や地元抵抗勢力の排除が最優先、そのためならルビコン3に住まう人命など塵芥に等しい。それゆえの『アライアンス』排除の決定である……のだが、さすがにこの判断は全勢力にとって予想外すぎて、混乱が広がっていた。

 もっとも、知られていないことではあるが『惑星封鎖機構』は『レイヴンズネスト』と繋がっており、実質その支配下にある。せっかく星外から自信満々に大量に呼び込んだ『惑星封鎖機構』、どう考えても簡単に『アーキバス』『ベイラム』『ルビコン解放戦線』をまとめて駆逐できると思ったら『アライアンス』の活躍により早期に『抵抗軍』として1つにまとまり、拮抗するほどに戦況を盛り返されて焦った『誰か』の判断なのかもしれない。

 

 この最後通牒に対する『アライアンス』の答えは決まっている。『NO』だ。

 およそ半世紀にわたりルビコン3を惑星封鎖して苦しみを与えてきた『惑星封鎖機構』。それでも中立を宣言し、地元民のルビコニアンたちのための必要な食料・日用品を生産し、公平な取引以外では表面的とはいえ関わらないとしていたというのにこの始末である。ここに至り『アライアンス』側も完全にキレていた。

 即座に『アライアンス』は『惑星封鎖機構』に対して要求の拒否を宣言。すると最初から想定済みだったのだろう、『惑星封鎖機構』から『アライアンス』への正式な宣戦布告がなされ、『惑星封鎖機構』の大部隊が動き出した。

 かくして『惑星封鎖機構VS抵抗軍』の戦いに加わることになった『アライアンス』に、『惑星封鎖機構』の魔の手が迫る。

 『惑星封鎖機構』の第一目標は『港町ロアード』……中央氷原の玄関口にして、抵抗軍の補給を支える要衝であった……。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

『……状況は大体分かってるだろうけど、一応全員に説明するよ。

 チャティ、状況説明を頼む』

 

 

 

 

『了解した、ボス。

 『惑星封鎖機構』が『アライアンス』に対して宣戦布告をしてきた。

 連中も蟻のように簡単に潰せると思っていた『抵抗軍』の予想以上の攻撃に驚いているようだ。その補給元である『アライアンス』を潰そうという考え方は確かに合理的と言える』

 

『でもね……この世は合理的だけで行動したら大変なことになることなんてわんさかある。今回の件なんてその最たるもんさ。

 ……やつらはあたしらを舐めた。あたしらは黙って潰される蟻じゃないんだよ!

 喧嘩を売ってきたっていうならいいじゃないか、全力で買ってやるよ!!』

 

 

『ボスの言う通り、こちらは徹底抗戦の構えだ。

 それに対し現在、この『ロアード』へ向けて惑星封鎖機構の大部隊が接近中だ。MT部隊にLC、HC、エクドロモイ……以降も特務機体級の増援が送り込まれてくるだろうことが予想される。

 そして、惑星封鎖機構の部隊とは別にACに率いられた一団が接近中だ』

 

 

『このACに率いられた集団は、前に潰したドーザー組織『アラクニッド』と『ジャンカー=コヨーテス』の残党どもさ。

 あの『ジャンカー=コヨーテス』が『RaD』へ攻め込んできたときの戦いで死んだ『アラクニッド』頭目の女、『ペギー=リー』の親父である『ジャン=リー』が娘の仇を取るためにって残党どもをまとめ上げたのさ。

 それが惑星封鎖機構の後ろ盾を手に入れて娘の仇、『RaD』憎しで攻めてきてるってわけだよ』

 

 

『そして惑星封鎖機構の陸戦部隊の後方からは巡洋艦隊がゆっくりと近づいてきている。

 こいつらの艦砲射撃は強力だ。 それをやられたら、この『ロアード』は拠点としての機能を喪失するだろう』

 

 

『この巡洋艦隊に関しては任せておくれ。

 この『ロアード』は設計段階から、こういう荒事を視野に入れてた。だから住民用の避難シェルターはもちろん、道路の各所に盾として使える装甲板を埋め込んであるし、建物に偽装した無人砲台も大量に配置してる。

 カンナのやつ曰く、名付けて『決戦機動都市ロアード』だ。

 ……もっとも、本来は企業どもの暴走を想定してたんだけどねぇ……まさか惑星封鎖機構が相手になるとは思わなかったよ。

 そして、だ……こんなこともあろうかと、巡洋艦みたいな大型目標に対する高火力ミサイルも多数配備してる。

 こいつで巡洋艦隊のやつらは綺麗な花火にしてやるさ!』

 

 

『ボスの言う通り、対大型目標用の高火力ミサイルは用意してある。

 だがそのための発射シークエンスにはそれなりの時間がかかる。その間にミサイルが破壊されれば終わりだ』

 

 

『あたしらのやるべきことは2つ。

 

 ①迫ってくる惑星封鎖機構とドーザーの残党どもを排除する

 ②発射時間まで大型ミサイルを守り抜く

 

 このために今回は全力、出し惜しみはなしだ。

 『ハウンズ』に『アマゾネス隊』に『RaD戦闘部隊』、なんなら『カーペンターズ』だって働いてもらうし、できうる限りの独立傭兵も金で雇った。『ロアード』でずいぶん稼がせてもらったからね、その金を景気よく大放出だ!

 ……もしあたしらが負けて惑星封鎖機構がこの『ロアード』を制圧した場合、補給不足で『抵抗軍』は瓦解する。そうして惑星封鎖機構が勝利したらこのルビコンがどんな地獄になるか……想像もしたくないね。

 これは後の無い、崖っぷちの総力戦だ! 比喩でなくルビコンの命運がこれで決まる! 全員、全力で気張りな!!』

 

 

 

 

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 どんな世界でも、割を食うのは弱い存在だ。この修羅の世界とも言えるルビコンで最も弱い存在といえば、それは子供である。

 肉体的には弱くとも、老獪さと生き延びる知恵を持つ老人とは違い、子供とは本当に弱い存在だ。そしてそれを守るべき親を失った子供など、このルビコンには掃いて捨てるほどいる。そして、そんな子供を気にかけるものはこのルビコンにはほとんどいない。

 だから、その2人は驚くほどに変わり者だったのだろう。

 

 

『大人が食えないのはそいつが悪い。 だが子供が食えないのは大人が悪い』

 

『あんたたちは運がいいよ。 私たちの両手なんて狭いもんさ。その両手に収まることができたんだからね』

 

 

 その独立傭兵夫婦は本当に変わり者だった。『孤児院』なんてものを作り、何人もの孤児たちを我が子として育てていった。

 その夫婦に拾われた幸運な子供たちは誰一人どこぞの非合法な組織に売られるでもなく育ち、それぞれが道を見つけて巣立っていく。そこには血の繋がりは無くとも、確かに家族の繋がりが存在していた。

 しかし、どんなものにも終わりはある。夫婦は2人とも、流行りの病で逝ってしまった。

 

 

『俺たちのACを売って金にしろ。 そしてここは引き払って巣立っていった兄弟を頼って普通に生きろ』

 

『子供のできない私らを父さん母さんって……ほんと、いい夢が見れたよ……。

 全員、幸せにおなり……』

 

 

 そう言って息を引き取った夫婦。

 本来なら両親の遺言に従って『孤児院』を閉鎖、みなそれぞれ別の道を歩むべきだったのかもしれない。

 しかし、そこで育った子供たちや巣立っていった者たちにとってそこは帰るべき『我が家』だった。それを無くしたくないと思うのも至極当然のことである。だが、この世界で生きるには『金と力』が必要だ。

 だから『孤児院』で最年長だった17歳の『ジョナ=ゴールド』と『レーナ=ジーナス』の2人は父と母の残したACを使って独立傭兵になった。父や母と同じく『孤児院』を残し、両親と同じく自分たちと同じ境遇の子供たちを掬い上げるために。

 幸いにして2人にはAC乗りとしての才能があった。単純な力だけなら、十分独立傭兵としてやっていけるだけのものを持っていた。

 だからこそ、2人はこの場にいる。

 

 

『ジョナ、トドメを!』

 

「分かった! 喰らえ!!」

 

 

 レーナの操る四脚AC『デルピュネ』の右手に装備されたハンドグレネードランチャーが突き刺さり、スタッガー状態に陥る惑星封鎖機構のLC。そこにレーナの声に反応したジョナは、愛機である中量二脚AC『ホープ』の左手に装備されたレーザーランスのフルパワー突撃(チャージ)を叩き込んだ。

 

 

『LCがACなんぞに……!?』

 

『おのれ、独立傭兵風情が!!』

 

 

 その一撃でLCが爆散するが、その僚機であるLCが怒りにまかせて2機に突っ込んでくる。

 

 

「レーナ、一斉射撃!」

 

『分かってるって!』

 

 

 しかしそれに対し、ジョナとレーナは冷静だった。『ホープ』の両肩、そして『デルピュネ』の左肩に装備された10連ミサイル、合計30発が一斉に襲い掛かる。

 

 

『このミサイルの数は!?』

 

 

 LCはたまらずシールドを展開し防御するが、30発にもなるミサイルの衝撃を受け流せるものではない。ACSが負荷限界に到達、スタッガー状態に陥るLC。

 

 

『私が決める!』

 

「援護するよ!」

 

 

 『デルピュネ』がアサルトブーストを起動、LCに接近を開始すると同時に『ホープ』の右手に装備した重リニアライフルのチャージショットがLCに突き刺さる。

 電磁加速されたその重い一撃にLCのダメージが加速し、そこに接近した『デルピュネ』のパルスブレードの光刃が突き刺さる。そのダメージに耐えきれず、LCはジェネレータを暴走させ爆散した。

 ふぅ、と一息をつく2人。だがそこに幾重ものレーザーが突き刺さる。

 

 

「うわっ!?」

 

『後退するわよ!!』

 

 

 道路からせり上がった装甲板の陰に急いで隠れる2機。LC2機を撃墜したというのに敵の猛攻は変わらず、大量のMT部隊が攻め寄せてきている。

 対して、長引く戦闘によって『ホープ』と『デルピュネ』にはダメージが蓄積しつつあった。このままでは一度、後方の補給所まで後退することも考えなくてはならないだろう。

 

 

『ほんと、容赦ないわね。 惑星封鎖機構の連中!』

 

「今までの連中のやってきたことを考えるとね」

 

 

 自分たちは孤児となってからも運良く拾われたが、惑星封鎖機構の惑星封鎖によって惑星規模の食糧難が発生し、一体どれだけの孤児が死んでいったか……それを考えるとどうしても惑星封鎖機構の横暴を許せず、2人は今回の『ロアード防衛』の依頼を受けたのである。

 しかし、数と質を兼ね備えた惑星封鎖機構はやはり強大だった。

 

 

「敵、HCが来るよ!」

 

『ッ!?』

 

 

 ジョナの言葉に緊張が走る。

 強力なパイロットの搭乗したHCは、当然ながらACよりもずっと格上の相手だ。それが2人の盾にしている装甲板へ急速接近してきている。

 2人はHCとの戦闘の覚悟を決め、飛び出そうとしたその時だった。

 

 

『弾の嵐を喰らいなさい!!』

 

『ほれ、これもおまけじゃ。 遠慮はいらんから受け取っておくれ』

 

 

 両手両肩にガトリングを装備した重装型二脚ACが空中から弾を嵐のようにばら撒きながら飛来した。たまらず動きの止まったHCに、白い逆関節型ACが急接近、装備したパイルバンカーをHCのコックピットに的確に叩き込み、HCを沈黙させる。

 唐突な状況に目を白黒させるジョナとレーナに、逆関節型ACからの通信が入った。

 

 

『こちらは独立傭兵のピーター=マクドゥガルと、あっちがバレットアリスじゃ。

 『ロアード防衛』の依頼を受けた独立傭兵、友軍じゃよ』

 

 

 そこまで言って、何かに気付いたようにピーターは言う。

 

 

『そのAC……エレンとミサの縁者か?』

 

 

 どうやら義父母の関係者のようだ。

 

 

「……ええ、僕らの義理の両親です。

 知り合いなんですか?」

 

『同じ戦場で幾度かともに戦った仲じゃ。

 息災か?』

 

「……流行り病で2人とも」

 

『そうか……』

 

 

 そう言ってしばし沈黙するピーター。

 だがそこに別の声……バレットアリスの通信が割り込む。

 

 

『おじいちゃん、敵MTがすごい来てる!』

 

『そうか……。

 エレンとミサの子供たちよ、ともに来るか?』

 

「『はい!』」

 

『迷いのない良い返事じゃ』

 

 

 そうして即席で共闘をする4機が惑星封鎖機構のMT部隊に襲い掛かる。

 AC『ワンダーランド』のガトリングの嵐が敵をハチの巣にし、AC『オールドラビット』とAC『デルピュネ』の拡散バズーカが広域に爆風を発生させ、生き残った敵を『ホープ』の重リニアライフルの弾丸が貫く。

 そんな4機の頭上を、影が通り過ぎた。

 

 

「あれは……『バルテウス』!?」

 

 

 強力な惑星封鎖機構の増援に一瞬身を固くするが、そんな『バルテウス』に即座にどこからか攻撃が開始される。

 

 

『……どうやらあちらは任せても良さそうじゃな。

 儂らは目の前の敵を一秒でも早く叩くぞ』

 

 

 ピーターのその言葉に、若いジョナとレーナは気を引き締めるのだった……。

 

 

 

 

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 『世界は何で出来ているか?』……そんな問いを出されたら様々な答えが返ってくるだろうが、彼女はこう答える。

 『世界は『音楽』で出来ている』、と。

 

 妙齢の女性独立傭兵である彼女、『イサナ=アラキデ』は傭兵と同時に歌手という特異な存在だ。

 戦場には『音楽』が満ちあふれている。MTやACのジェネレータの奏でる調べに、駆動音というコーラス。ブースターの噴射音に、金属が引き千切られる破砕音。怒号に悲鳴に歓喜……ああ、これほどの『生命に満ちた音楽』のあふれかえる場所は戦場(ココ)をおいて他にはない。戦場(ココ)を知ってからは、彼女の音楽のインスピレーションは他では湧かなくなっていた。

 そんな彼女にとってもこの『ロアード』の町は特別だ。混沌としながらも秩序が保たれ、誰も彼もが戦場を見ている。

 今日酒場で酒を酌み交わした相手と、明日は戦場で命を取り合う……欲望と暴力、コーラル争奪戦が生み出したソドムの街。悪徳と野心と混沌とをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはルビコン3のゴモラ。それがこの『ロアード』だ。

 彼女はこの町が好きだ。だから惑星封鎖機構からこのロアードを守る『ロアード防衛戦』の依頼を受けたのだが……。

 

 

「ちょっと早まっちゃったかしらね……」

 

 

 周りにいた友軍MTを一斉射でなぎ払い、舞い降りてきた死神を前に少しだけ後悔する。

 惑星封鎖機構の誇る特務機体『バルテウス』……離れていても、暴力的なまでの死の旋律を感じる相手だ。

 

 

「ホント、インスピレーションはいくらでも湧いてくるけど……生き残れるかしらねぇ、これ?」

 

 

 幸いにしてイサナのAC『シンフォニック』は両手両肩がすべてパルス兵装となっており、対バルテウスにはかなり有効な機体だ。

 しかしパルス兵装の火力はそれほど高くはない。『バルテウス』の分厚い装甲を破るには少々時間がかかるだろう。それまであの嵐のような死の旋律を捌ききれるかどうか……。

 

 

「まぁ、こういうときに言う言葉って言ったらアレよね……。

 私の歌を聞けぇぇぇ!!」

 

 

 同時にパルスアーマーを展開し、ミサイルユニットを広げて臨戦態勢に入った『バルテウス』に、『シンフォニック』が突撃の体勢を見せる。

 その時だ。

 

 

『よっしゃぁ、居やがった! 大物はっけぇぇぇん!!

 死ねオラァァァ!!』

 

 

 アサルトブーストでかっ飛んできたACが問答無用で両肩のプラズマキャノンをぶっ放した。

 強力なプラズマキャノンの奇襲攻撃に『バルテウス』が揺らぐが、未だにパルスアーマーは健在だ。『バルテウス』は『シンフォニック』と、その新たに現れたACに狙いを定める。

 これ幸いと、イサナは新たに現れたACへと通信を繋いだ。

 

 

「ねぇ、そこのあなた。 私はイサナ=アラキデ、独立傭兵よ」

 

『おう、俺はデスペラードだ!』

 

「『バルテウス』は強敵よ。

 私のAC『シンフォニック』は対PA(パルスアーマー)干渉力の高いパルス兵装で固めているけど、決定力が足りないの。

 でも……」

 

『俺の『ギガントバスター』ならデカブツ用のどデカい火力があるぜ!』

 

「なら共闘しましょう」

 

『おう、集中砲火でデカブツ狩りだ!!』

 

 

 その瞬間、『バルテウス』は『シンフォニック』と『ギガントバスター』をまとめて薙ぎ払うように、ミサイルの嵐を解き放った。

 

 

「ちょっともう! ほんとに暴力的な歌声ね!

 少しは私の歌も聞きなさい!」

 

 

 迫るミサイルをクイックブーストで回避しながら、『シンフォニック』が両手両肩のパルス兵装を解き放った。オーバーヒート覚悟のパルスガンとパルスキャノンの全力斉射、だがそれによって『バルテウス』のパルスアーマーが砕け散る。

 『バルテウス』がシステムダウンを起こし、スタッガー状態に陥った。

 

 

『やるな、あんた!

 じゃあ……俺も全力だぁぁぁぁ!!』

 

 

 『ギガントバスター』は右手のパルスガンを、こちらもオーバーヒート覚悟で全力連射をしながら距離を詰める。そして必殺のパイルバンカーが咆哮した。

 

 

『喰らえ、デカブツ!!』

 

 

 特殊合金製の杭が叩き込まれ、『バルテウス』の装甲が悲鳴を上げる。

 そして……。

 

 

『おまけも忘れんじゃねぇぞ!!』

 

 

 そして同時にフルチャージしていた両肩のプラズマキャノンが発射、直撃した。

 『バルテウス』はその大ダメージに慌てたようにアサルトアーマーを起動させるが、パイルバンカーとプラズマキャノンの衝撃で吹き飛んだことで『バルテウス』のアサルトアーマーはほとんど『シンフォニック』と『ギガントバスター』の攻撃圏内から外れてしまった。クイックブーストで後退するだけで、『バルテウス』のアサルトアーマーのパルス爆発は2機になんの被害も与えることなく虚しく終わる。

 だが、搭載されたジェネレータが強制稼働されて、『バルテウス』のパルスアーマーが再び展開された。

 しかし、時間は平等に敵味方分け隔てなく与えられる。『バルテウス』が一連の行動をしているその時間にオーバーヒートしていた『シンフォニック』と『ギガントバスター』の兵装の冷却が完了、再使用が可能になっていた。

 

 

「もう一度私の歌を聞けぇぇぇ!!」

 

『勝手に飛ぼうとしてんじゃねぇぞ、オラァァァ!!』

 

 

 回復したパルスガンとパルスキャノン、計5門から放たれたパルス光弾は瞬時にして『バルテウス』のパルスアーマーを焼き切った。

 そして哀れにも再びシステムダウンを起こした『バルテウス』に、もはや飛び立つチャンスはない。

 

 

『これでぶっ飛びやがれ、デカブツ!!』

 

 

 そして『ギガントバスター』のフルチャージされたパイルバンカーが今度こそ『バルテウス』の中枢部を貫いた。ジェネレータから火を吹き、惑星封鎖機構の切り札たる『バルテウス』がほとんど戦果をあげることなくスクラップへと変わる。

 その盛大な爆発音を聞きながら、イサナは笑いが止まらなかった。

 

 

「うふふ……!

 あの『バルテウス』相手にこんな派手な戦い方をするなんて……凄いわね、あなた。

 大きくて力強い音よ!」

 

『おう、なんたって俺は最強だからな!』

 

 

 訳が分からない返事だが、そこがまたイサナのツボにはまった。

 

 

「……ねぇ、これが終わったら、どうかしら?

 2人きりで、私の歌を朝まで聞きたくない?」

 

 

 ひとしきり笑うと、イサナは聞いたことのない独特で大きな音楽を戦場で奏でるこの男がたまらなく愛しくなった。戦場の熱に酔っていたこともあり、情熱的なたちのイサナは一夜のデュエットに誘う。

 だがその時、今度は彼方から装甲大型ヘリが近づいてくるのが見えた。

 

 

『うぉぉ! またデカブツだぁ!

 デカブツはぶっ潰す!!』

 

 

 休む間もなく戦闘態勢に入る『ギガントバスター』。自分の誘惑に回答もなくそんな様子に少しだけイサナは肩を竦め、同時にまだこの男の独特の音を楽しめるかと、心を弾ませる。

 

 

「……そうね、ベッドで歌うのはカーテンコールの後で!

 今はこの戦場(ステージ)を楽しみましょう!!」

 

 

 デスペラードの『ギガントバスター』と同じく、戦闘態勢に入ったイサナの『シンフォニック』。

 惑星封鎖機構の本気の攻勢には、まだ終わりは見えなかった……。

 

 

 

 

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今日のアセン

 

AC名:『MK-39 ホープ』

パイロット名:『ジョナ=ゴールド』

 

R-ARM UNIT:LR-037 HARRIS(重リニアライフル)

L-ARM UNIT:VE-67LLA(レーザーランス)

R-BACK UNIT:BML-G2/P05MLT-10(10連ミサイル)

L-BACK UNIT:BML-G2/P05MLT-10(10連ミサイル)

 

HEAD:HD-012 MELANDER C3

CORE:VP-40S

ARMS:AA-J-123 BASHO

LEGS:LG-011 MELANDER

 

BOOSTER:ALULA/21E

FCS:FCS-G2/P10SLT

GENERATOR:DF-GN-06 MING-TANG

 

EXPANSION:TERMINAL ARMOR

 

 

解説

変わり者の独立傭兵夫婦が営んでいた『孤児院』の出身者。

ドーザー組織の抗争で実の両親を失いながらも、幸運にも『孤児院』で愛を持って接する『家族』を手に入れることが出来たジョナだったが、独立傭兵夫婦は両名ともに病死してしまう。

2人は自分たちのACを売って金にし、先に巣立っていった兄弟姉妹たちと同じく普通の人生を送ってくれることを願っていたが、家である『孤児院』が無くなることに反発。17歳の年長でAC適性を持っていたジョナは、同じくAC適性を持っていたレーナとともに義両親の残したACに乗って独立傭兵を始めた。

行き場の無かった自分たちに『家族』を与えてくれた義両親の守った『孤児院』を、今度は自分たちで守れるように……。

 

機体構成については、フレームは典型的な格闘型中量二脚ACだが内装にもよく手が加えられており機動力も十分に確保されている。

武装構成は両肩に10連ミサイルを装備し、相手に一斉に放ったり、マルチロックによる複数目標の同時攻撃を可能にしている。

メインウェポンは重リニアライフル。扱いやすく、特にチャージショットが強力。だがこの機体の最大の武器はなんと言っても左手に装備された格闘武装、レーザーランスである。

遠・中距離から左右計20発のミサイルを放ち、重リニアライフルを撃ちながらアサルトブーストで突撃。重リニアライフルのチャージショットで相手をスタッガー状態にした後にフルパワーのレーザーランスの突撃(チャージ)を叩き込む、というのがこの機体の基本戦術である。

 

名前の『ジョナゴールド』はリンゴの品種名。そしてAC名の『ホープ』は『希望』……この段階で古くからのACシリーズファンは気付いたと思うが、AC3の人気キャラの1人『アップルボーイ』とそのAC『エスペランサ』のAC6版オマージュキャラである。『ホープ』の前のナンバーはオーバーレイネットワークを構築すると出てくる方の『ホープ』のナンバー。

AC3では一緒にレイヴン試験を受ける同期で、大仏様相手に僚機に指名するとミサイルと連動ミサイルの同時発射で結構いい仕事をしてくれる、なかなか頼れる仲のよい同期だった。AC6では残念ながら連動ミサイルは無いので変わりに両肩に10連ミサイルを装備し、20発ミサイル一斉発射でそれを再現している。

 

アリーナとミッションでテストしたが、両肩の10連ミサイルはそれだけで驚異であり近づけなかったとしても容易には撃ち負けることはない。そして重リニアライフルはチャージショットが優秀でスタッガー状態をとりやすく、そこに叩き込まれるレーザーランスの突撃(チャージ)は本当に強い。

総じて、どんな相手・ミッションでも十分に戦えるバランスの高い、扱いやすい汎用機という印象で完成した。

 

 

 

AC名:『デルピュネ』

パイロット名:『レーナ=ジーナス』

 

R-ARM UNIT:DF-GR-07 GOU-CHEN(ハンドグレネードランチャー)

L-ARM UNIT:HI-32:BU-TT/A(パルスブレード)

R-BACK UNIT:SB-033M MORLEY(拡散バズーカ)

L-BACK UNIT:BML-G2/P05MLT-10(10連ミサイル)

 

HEAD:HD-011 MELANDER

CORE:VE-40A

ARMS:AA-J-123 BASHO

LEGS:VP-424

 

BOOSTER:BST-G2/P06SPD

FCS:FCS-G2/P10SLT

GENERATOR:VP-20C

 

EXPANSION:TERMINAL ARMOR

 

 

解説

ジョナと同じく変わり者の独立傭兵夫婦が営んでいた『孤児院』の出身者。

実の父親は独立傭兵で何かあったら頼るように言われており、父が任務失敗で死亡後に遺言をもって『孤児院』を訪ねる。

 

 

『トルーパーの野郎、こんないい娘残して逝っちまいやがって……』

 

『いいさ、トルーパーの変わりにはならないだろうけど、今日からあたしらが『家族』だよ』

 

 

独立傭兵夫婦に受け入れられ『孤児院』の一員になったレーナ。そこで幸運にも『孤児院』で愛を持って接する『家族』を手に入れることが出来たレーナだったが、独立傭兵夫婦は両名ともに病死してしまった。

ジョナとともに『孤児院』を無くすことに反発し、義両親の残したACに乗ってジョナとともに独立傭兵を始めた。

同い年のジョナより生まれが遅く、少し『後輩』だったりする。

 

機体構成は汎用性重視の中量四脚AC。右手のハンドグレネードランチャーは高火力、遠・中距離には10連ミサイル、そして近距離では拡散バズーカとバショウ腕から繰り出されるパルスブレードとバランスがいい。

防御力も考慮されており、生存性の高い機体になっている。

 

相方の『ジョナ=ゴールド』が『アップルボーイ』のオマージュキャラであることから分かるかもしれないが、AC3のヒロイン候補として定評のあった『レジーナ』とそのAC『エキドナ』のオマージュキャラである。『デルピュネ』は神話での『エキドナ』の子の1体。

明るい少女声で「サンキュー、レイヴン!」とお礼を言ってきたり、後日しっかりお礼メールを送ってきてくれたり後輩キャラとして人気で、当時は彼女をヒロインとしたAC3小説は多数存在した。実は作者も書いていた。今回はアップルボーイのオマージュキャラとのコンビだが、アップルボーイとレジーナのカップルものもよく見かけたので問題なし。

……最初AC6のアリーナで『リトル=ツィイー』の解説を読んだとき、ツィイーはAC6のレジーナ枠だと思ったのだが……お出しされたのは少女という感じの声ではなかったので初見で面食らったのを覚えている。

『エキドナ』は二脚ACなのに何故『デルピュネ』は四脚ACなのかというと、レジーナの象徴的な武装はグレネードライフルだがAC6では構えの関係でハンドグレネードランチャーを二脚ACで活用するのは結構厳しい。そのためレジーナの父親である『トルーパー』の四脚ACの要素をミックスした。

 

アリーナとミッションでテストしたが、非常に扱いやすい。

機動性の最低限はとっているので相手にどうしても追いつけないという事態は少なく、10連ミサイルのおかげで追いつけなくても攻撃力は確保している。

防御力も標準よりは上を確保しており、安定性は四脚AC特有の高さがある。

アサルトブーストで強引に突っ込み、接近してハンドグレネードランチャーと拡散バズーカでスタッガーを狙い、バショウ腕+パルスブレードで叩き切る……という戦いも可能。

長丁場のミッションはさすがに苦手だが、使いやすい構成。というか拡散バズーカと10連ミサイルいう武器が純粋に強い。

扱いやすい汎用四脚ACに仕上がっていると思われる。

 

 

 

AC名:『シンフォニック』

パイロット名:『イサナ=アラキデ』

 

R-ARM UNIT:HI-16:GU-Q1(パルスガン)

L-ARM UNIT:HI-16:GU-Q1(パルスガン)

R-BACK UNIT:KRANICH/60Z(パルスキャノン)

L-BACK UNIT:KRANICH/60Z(パルスキャノン)

 

HEAD:HS-5000 APPETIZER

CORE:VE-40A

ARMS:AC-2000 TOOL ARM

LEGS:2C-2000 CRAWLER

 

BOOSTER:BC-0200 GRIDWALKER

FCS:FCS-G1/P01

GENERATOR:VE-20B

 

EXPANSION:ASSAULT ARMOR

 

 

解説

独立傭兵であると同時に歌手を兼業しているという、変わった経歴の妙齢の女性独立傭兵。

見た目はゆるふわな印象を受ける、ちょっとモチモチした気のいいお姉さん……なのだが、その本性は戦場でのインスピレーションを受け作詞作曲をしている、ヤバい女である。

『世界は音楽で出来ている』という信条を持ち、『戦場』こそが『生命に満ちた音楽』のあふれかえる場所であるとしてその刺激を求めて独立傭兵をしている、『ルビコンのヤバい芸術家枠』の一員。

清楚そうな見た目に反してかなり情熱的で、戦場での刺激と熱を冷ますために一夜をともにした男性は結構多い。当然髪はピンク色。

好物はピーナッツバター。機体のフォルムも何となくピーナッツっぽい丸みを帯びたシルエットをしている。

カラーリングはパールホワイトに淡い蒼の差し色。エンブレムは放射状に広がる落花生。

 

タキガワの回し者、150ジェネクアッドパルスの遣い手。

とにかく『エネルギー兵器適性最大のジェネレータでクアッドパルスをする』というのがコンセプトであり、EN負荷の低いパーツを多く採用してなんとかコンセプトを達成している。

150ジェネ+クアッドパルスの火力は高いが持続時間に問題があり、最大火力を発揮できる時間が極端に短いのが欠点。

しかし跳弾のないパルス兵装を一気に連射したときの瞬間火力は凄まじいものがあり、使いどころである。

またその特性上、キックの多用やアサルトアーマーなどでもダメージを狙っていくことになるのでそれなりの腕とオーバーヒート管理が必要になってくる。

 

いつも感想をくれる『四屍詩師』さんからメッセージに届いたアセンとキャラクターであり、ゲストキャラクター。

強いとは思っていたが150ジェネ+パルスガンの強さを思い出させてくれた。

初期装備をそれなりに使用してるがなんとかなるんだなぁ、というのが印象。自分は初期装備はパルスブレード以外は基本蚊帳の外になってしまっているので、こういうのは刺激になります。

 

 




来週ですが、現在我が家はバイオハザード中なので体調不良でお休みします。
……本当に園は魔窟だなぁ。
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