「全員、見事な仕事だった。 今はゆっくり休め」
バートン物資集積基地の襲撃作戦を終え帰還した俺たちを、ウォルターが出迎える。その機嫌はいい。全員揃って危なげなく作戦を遂行、しかもかなりの額の金を稼いだ。結果としてはこれ以上ないくらいのものだろう。
すると、ウォルターが俺に向かって尋ねる。
「『53』、お前から見て今日の作戦はどうだった?」
「何故俺に……?」
「お前はハウンズ達のアセンブルにも適切な助言が行えたし、状況判断にも長けている。
それにハウンズ達は感情がまだ乏しく、言いたいことがあったとしてもなかなか言えないだろう。しかし、お前にはそれはない。
だから気付いたこと、必要なことがあれば気兼ねなく言ってくれ。それが今後の作戦の成功にもつながるだろう」
「なるほど……」
言われ、しばし考える。ならば……ここで『ねだっておこう』。
「各企業のエース級の戦力を相手取ると仮定して……今日のヴェスパーの番号持ち相手で分かるように、十分に戦えるだけの練度がハウンズにはある。
加えて連携もかなりものだ。仮に1対1で敵わない相手だろうと、連携することで勝利をもぎ取ってくるだろう。それこそ本物の猟犬のように。
ただ……ウォルター、俺たちの目的はルビコン3でのコーラル争奪戦で企業どもを出し抜くということでいいんだよな?」
「ああ、その認識で間違いはない」
「なら、俺は人員の補充を提案する」
「人員の補充? この人数でも足りないか?」
「相手は企業だ。ミッションに出る戦闘用の戦力もそうだが……拠点を狙われるという可能性もある。
だから防衛用の戦力のことも考えた方がいい。
そこで偶数……6人なら2人1組が3つ出来る。 これなら攻撃に2チーム、防衛で1チームという使い方ができるはずだ」
AC6本編の『レイヴンの火』『ルビコンの解放者』ルートではどちらも『621』が罠にはまって捕まり、ウォルターも捕まっていた。
それを防ぐためにも、防衛戦力は絶対に欲しい。
「だから人員の補充か……」
ウォルターはしばし考え込む。自分たちの進む道が過酷な、地獄への道のようなものだと理解し、それの道連れを増やすのはどうかという葛藤があるのだろう。
だが……俺としてはどうしても『C4-621』の確保だけは、絶対にして欲しい。
「……分かった、幸い余裕はあるし他でもないお前の意見だ。もう1人……『C4-621』を加えよう。
出かけてくる」
行ってウォルターは部屋を出て行く。恐らくヒューマンショップへ向かったのだろう。そこで『C4-621』は……あの最強のイレギュラーはウォルターと邂逅する。
(物語の本格的な動きだしは間近だな……)
そんな風に思って、俺はシャワーでも浴びようとガレージを出ようとした。すると……服の袖を引っ張られた。
「……」
『618』だ。
「何か用か? 俺はシャワーでも浴びようと思うんだが……」
「……私も、シャワーに……入る……」
「じゃあ譲るよ。 先に入ればいい」
言って一端自室へ戻ろうとするが、『618』は服の袖を離さない。
「一緒に入れば……無駄が無い……」
「……本気で言ってるのか、お前。 俺は男でお前は女なんだが……」
「?」
それがどうしたという感じで小首を傾げる『618』。
そういやこいつら感情が希薄で、情緒も欠けてるんだっけ……そう思い「お前が先に入れ」と言って『618』の横を通り過ぎようとすると……。
「お、おい。 どういうことだ……!?」
俺はその時すでに猟犬どもに包囲されていた。『617』『618』『619』『620』が全員で俺の身体を掴んでいる。
「おい待て。お前ら待て!
そっちはシャワーの方……や、やめろぉぉぉ!?」
あ、そう言えば俺は第一世代型強化人間でこいつら全員三つも世代が先の第四世代型強化人間だっけ……4対1で勝てるわけねぇだろ!?
そして俺は……猟犬どもに隅々まで洗われた。
「話が……違うッスよ……」
感情希薄って話はどこ行った!? ウォルターの教えはどうなってるんだ、教えは!?
こいつら無表情ながら絶対やってやるっていう確固たる意志を感じたぞ。
「ごめん……なさい……。
イヤ……だった……?」
「俺は感情残ってるし、イヤってことはないが……」
むしろ美少女の綺麗な身体を惜しげもなく見られて大変お得でした。しかし、いきなりどうしてそんな行動に出たのかが謎だ。
そう尋ねると……。
「私は……あの時、死んでた……」
ポツポツと話すのはスッラに敗れ、死を待つだけの状態だった自分。それが今でも生きている……それが嬉しいと思い、それをしてくれた俺に何かをして喜ばせたいと考えたからだという。
(……なるほど、本気で死にかかり、『死の恐怖』って刺激を受けたことで感情らしきものが戻ってきている、と。
で、そんな仲間を見て、触発されて他のハウンズたちも感情が育ってきてるってわけか……。
何か、妹の恋を応援する姉妹みたいになってるな)
そう思っていると『617』はいつも通りの無表情でサムズアップ。
……おい、お前絶対感情戻ってるだろ!?
「こうすると……男の人は喜ぶような気がしたから……」
感情死んでも男の喜ぶことが分かるとか凄いな生物の本能!
……実はアーキュバスとか何かでらっしゃる?
「嫌じゃないんだが……こういうのは段階を踏むらしいぞ」
「段階……?
なら……何が適切……?」
「いや、俺にも分からないが……」
「ウォルターに聞けばいい?」
「ウォルターに要らん心労をかけるのはやめてさしあげろ」
「なら……私にはこれしか分からない……。
だから、たまになら……たまにでいいから、してもいい……?」
「……いやって言ったら?」
いつもと表情は変わらないはずなのに、何故か『618』が悲しんでいるのがわかった。
「……いいよ。 たまになら、いい」
その悲しそうな気配に負け、思わずそう答えた瞬間だった。
「あっ……」
『618』がうっすらと……微笑んだ。初めて見るその顔はとても綺麗で……俺の心に深く刻まれる。
ちなみに周りでは、俺と『618』を取り囲んだ『617』と『619』と『620』がサムズアップしていた。
……やっぱりお前ら、感情戻ってきてるだろ!?
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「……これが調査の結果です」
そのオペレーターの説明が終わる。
「……なるほどな。つまり、だ。
ここをやればこの状況に大穴ができる、ということだな」
「そりゃ面白いね、キング。 大穴が空けば、今のこのクソッタレた空気も少しは良くなるだろうさ。
……正面は任せな」
「シャルトルーズに正面から見つめられる惑星封鎖機構が哀れだな。
なら俺は駐留している艦隊への攻撃と陽動をやろう。
そして……大本命の、施設のメインジェネレータを暴走させて、ステーション丸ごと吹き飛ばす役目はレイヴン、お前に頼む」
どこかで交わされる、そんな会話。
歴史がまた一つ、大きく動こうとしていた……。
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今日のアセン
AC名:『
パイロット名:『C4-618』
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
HEAD:HD-012 MELANDER C3
CORE:VE-40A
ARMS:AR-011 MELANDER
LEGS:LG-033M VERRILL
BOOSTER:BST-G2/P06SPD
FCS:FCS-G2/P05
GENERATOR:VP-20C
EXPANSION:ASSAULT ARMOR
解説
本編ヒロインである『C4-618』の愛機。第四世代型強化人間の特徴の希薄な感情は、『C1-53』に命を救われたことで少しずつ育っていく。
『C1-53』がACの名前を『花の名前』からとっていることを知り、アセンに協力して貰った際に命名。その根底にある感情は、未だ未成長である。
ちなみに同じくアセンの協力を『C1-53』にしてもらったハウンズたち全員、ACは『花の名前』を付けることにした。
高威力のバズーカ2丁、左肩に大火力の連装グレネードキャノンを装備。その双方のリロードの繋ぎとして総弾数の多いガトリングガンという構成。
これらを四脚特有のホバーを使用して爆撃、高火力のバズーカとグレネードキャノンでダメージを、そしてスタッガー状態にしたのならガトリングガンを交えて相手のAPを削る。バズーカとガトリングガンの弾数も多く、継戦能力も高い。
単体でも強力だが、その武装の衝撃力の高さから僚機、特に強力な格闘戦機体と組んだ場合はさらに恐ろしい存在となるだろう。
『メインヒロインとして主人公の援護が有効かつ単機でも十分強力なAC』というコンセプト、そこに本作の共通の縛りとして『オールマインドパーツ・技研パーツ・アイスワーム砲使用不可』という条件を加味して組まれたアセン。
ミサイル系武装も考えたが、ミサイルは他の『619』ちゃんのコンセプトとなったため本機はバズーカ中心に『跳弾の無い爆発系』で確実に相手にダメージと衝撃を与えていく機体。ガトリングガンはスタッガー時の瞬間火力と同時に、ミッション用継戦能力として対雑魚用としても採用している。