祝福の花を君に   作:キューマル式

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第07話 『最強陸戦兵器と書いてプレイヤーの貯金箱と読む』

 ウォルターが『C4-621』をヒューマンショップから買ってきた。

 

 親方、生春巻きを開けたら中から銀髪美少女が!

 案の定、我らが主人公『C4-621』は薄幸銀髪美少女だった。

 ……うん、知ってた。ほかのハウンズたちが全員銀髪美少女軍団の世界線なんだもの、恐らくそうだろうなって確信があったよ。あとハウンズで一番背が小さいのに、『大豊娘々』だった。

 ……ヒューマンショップの連中の目は節穴か!? この娘が格安で売ってるとか修羅の世界過ぎていろいろ腐ってるのか、おい!

 

 他のハウンズ達と同じく感情が無いような状態な『C4-621』だが、他のハウンズたちが甲斐甲斐しく世話をしてくれるため、溶け込むのは早かった。やはり人も犬も社会性の動物、周りに先達がいるというのは心強い。

 そして『C4-621』のAC戦での腕前だが……めちゃくちゃに強い。かなりピーキーな機体だというのに、模擬戦をやればやるほど技術を吸収していきどんどん強くなる。これが俺のようなまがい物じゃない、混じりっけなしのイレギュラーなんだなぁと震えがくる。

 『C4-621』も数度作戦に参加し、ここでの生活や連携になれて来たころ、その事件はついに起こった。

 

「ステーション31が襲撃されて破壊された?」

 

 ウォルターからそんな話を聞かされる。

 

「ステーション31はルビコン3における惑星封鎖機構の駐留艦隊の基地であり、同時にルビコン3外部に向けた『目』でもある索敵拠点だ。

 しかしそれが破壊され駐留艦隊は星外に撤退、星外から向かってくるものに対してアクションができなくなった」

 

「ルビコン3鉄壁の封鎖に、大穴が開いたってことか……」

 

「もっとも、ルビコン3地表に向いた衛星砲はまだ生きている。降下中に撃たれる危険性はあるが……」

 

「ルビコン3へ密航する、またとないチャンスというわけだな」

 

「そういうことだ」

 

 その話を聞きながら、俺は前世の記憶を思い出していた。

 

(ステーション31……確か『ブランチ』の連中の紹介テキストで載ってたな。AC6本編じゃただのフレーバーテキストだったけど、星外に向けた監視拠点で、そこを失ったせいで企業も密航者もわんさかやってこれるようになったってわけか……。

 お騒がせハクティビスト集団め……封鎖を続ける封鎖機構への抗議って意味だろうが、『自由』って言葉使えば何やってもいいと思ってんのか、あの連中は)

 

 相変わらずの修羅の世界の情勢に、俺は頭を抱えたくなる。

 しかし、もう俺もこの修羅の世界の住人だ。頭を抱える前に、やるべきことがある。

 

「それで、作戦があるんだろう? 俺たちはどこを、何を潰せばいい?」

 

「わかった。 ブリーフィングで説明しよう」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ブリーフィングを開始する」

 

 

『ステーション31が消失し、ルビコン3への渡航中の宇宙空間で攻撃を受けることはなくなった。

 となれば問題はもう一つ……俺たちがこの星を離脱する際の攻撃だ。

 この星は惑星封鎖機構によって無許可の宇宙船の離陸は禁止されている。もし感知された場合、地上からの砲撃によって撃墜する。

 この高出力エネルギー砲台『サイレントアイ』によってな』

 

 映し出されるのは、巨大な目のような砲台だ。

 

『この『サイレントアイ』をどうにかしなければ、俺たちは宇宙へ出ることは出来ない。

 だがこの砲台、宇宙へ向けての砲撃だけでなく高精度の対地攻撃も可能な代物だ。これを破壊するとなれば……高出力レーザーを回避しながら接近、破壊可能なところまで肉薄しなければならず、ともすれば全滅の公算のほうが高い。

 もしも人員も金も装備も不十分な状態なら、そんな特攻作戦のようなものをするしかないが……今の俺たちには人員も金も装備も潤沢に揃っている。

 これなら、別の方法がとれる』

 

 今度は周辺地図が表示され、2か所がマークされた。

 

『『サイレントアイ』の命中率を支えるのは、この精密レーダー基地から送られてくるデータだ。これがなければ『サイレントアイ』は狙いさえつけられないただのカカシとなる。それを狙う。

 チームを2つに分ける。まず1つ目のチームがこの精密レーダー基地を襲撃、レーダーとデータ送信センターを破壊する。

 そして精密レーダー基地の破壊が完了したら2つ目のチームが『サイレントアイ』へ肉薄、これを破壊する。

 

 チーム分けだが……レーダー基地の襲撃は『617』『620』『621』に、そして『サイレントアイ』の破壊を『53』『618』『619』が担当する。

 この作戦はチーム同士の連携とスピードが肝心だ。

 敵は惑星封鎖機構。練度も高く兵器の質も最高、増援も素早いし、さらに言えば今回のような重要拠点には特殊機体が配備されていることも予想される。

 しかし、これを超えなければ俺たちはルビコン3というスタート地点にたどり着くことすらできない。

 必ず、作戦を成功させてくれ』

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「……思えばここまで来たのか」

 

 俺は『日向葵』のコックピットで呟く。このミッション、どう考えてもAC6の前日譚、ハウンズ達が全滅するミッションだ。

 あれを見た時には無茶な作戦を、と思ったが、今なら事情が分かる。

 『618』がスッラに殺され、資金も余裕が無くなり、装備も人員も余裕のない状態で、それでもルビコン3へたどり着くためにウォルターは特攻作戦を選ばざるを得ない状態だったのだ。結果ハウンズはミッションを果たすも全滅し、すべては新たに買われた『C4-621』に託されるというのがAC6の本編だったのだ。

 しかしこの世界では俺の介入によって『618』が生存、存在しないはずの俺と『621』という戦力、そして俺が手に入れた金を元手に腕を上げたハウンズ達によって稼がれた潤沢な資金、それにともなうACと武装の強化……金も装備も人員も、すべてがベストの状態になっていた。

 

「……誰も死なせたくはないな」

 

 自然と、そんな言葉が漏れる。ハウンズたちとの生活は楽しかった。そんな彼女たちが死ぬことを、誰が望むものか。

 ……頑張るとしよう。俺の望む、あくびがでるほど陳腐なハッピーエンドを見るために。そのためには、こんな入り口で躓いている暇はない。

 待つことしばし、ウォルターから通信が入る。

 

『『53』、『618』、『619』、仕事の時間だ』

 

「向こうは上手くいったのか?」

 

『ああ、精密レーダー基地は壊滅だ。

 途中、封鎖機構の特殊兵器『バルテウス』が現れたときには肝を冷やしたが、連携して『621』が仕留めた。

 全員無事だ』

 

「凄いな、おい!」 

 

 バルテウス破壊とか、最初からレベル高すぎだろう。こちらも負けていられないな。

 

「突撃する。 『618』、『619』、準備はいいか?」

 

『大丈夫……』

 

『いつ……でも……』

 

 2人の答えに頷くと、俺は『日向葵』のブースターに火を入れた。

 

「ミッションを開始する!」

 

 瞬間、3機のACは弾かれたように加速を始めた。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 惑星封鎖機構の基地へ近付いたためか、ミサイルやレーザーが飛んでくる。だがそれは繊細さに欠ける攻撃だ。恐らくレーダー基地が襲撃されたことを知り動揺しているのだろう。簡単に回避可能だ。

 注意して見ると、奥には破壊目標である『サイレントアイ』が見える。しかし、『サイレントアイ』には前世で一撃でACを焼いた光は灯っておらず、完全に沈黙している。レーダー基地をやられ、照準もつけられない状態のようだ。

 『619』のAC……『鈴蘭(スズラン)』から合計24発のヴァーティカルミサイルが発射、防衛用の砲台に次々着弾し、沈黙していく。

 そのまま基地内に突入、警備のMT部隊を薙ぎ倒しながら『サイレントアイ』を目指す。

 

(そろそろか……)

 

 瞬間、俺たちの横合いから巨体が奇襲を仕掛けてきた。惑星封鎖機構の特殊兵器『カタフラクト』だ。

 

「散れ!!」

 

 しかし来ると思って身構えていれば回避は容易だ。俺も『618』も『619』も回避、被害はない。

 奇襲を躱されたカタフラクトは火花を散らし、ドリフトしながら急旋回、こちらに向き直る。

 だが、それが命取りだ。

 

「やれ!!」

 

 こちらを向くということは、弱点である中央の制御用MT部分がこちらを向くということだ。

 その瞬間、『618』のAC、『曼珠沙華(マンジュシャゲ)』からバズーカと連装グレネードキャノンが、『鈴蘭』からもバズーカが放たれる。そしてそれを追うようにしてアサルトブーストを起動、『日向葵』がカタフラクト目掛けて突っ込む。

 弱点への大量の直撃、そこにダメ押しで接近した『日向葵』から両手のショットガンが放たれる。衝撃散弾が全弾直撃し、スタッガー状態に陥ったカタフラクト。

 そして俺は即座に左手に必殺のパイルバンカーを持ち替えるとチャージし炸薬装填、全力で叩き込む。

 

『ば、馬鹿な。 カタフラクトがこうも簡単に……!?』

 

 カタフラクトのパイロットの驚愕の声。だが、前世では資金集めで最適と言われていた対カタフラクト戦。狩ったカタフラクトは数え切れない俺は完全にその攻略法を熟知していた。そしてその攻略法を実行に移せるパイロットが3人もいるのだ、当然の結果と言える。

 ジェネレータの炎が機体全体に伝播し、カタフラクトは内側から膨れ上がるようにして爆発した。

 

 最大の防衛戦力であるカタフラクトを失っては、撃てもしない砲台『サイレントアイ』の運命は決まった。

 ミサイルとバズーカと連装グレネードキャノン。そして最後には俺のパイルバンカーを叩き込まれ、『サイレントアイ』は根元から折れて爆散した。

 

「見えてるな、ウォルター。

 ミッションクリアだ」

 

『ああ、これでルビコン3への道が開けた。

 敵の増援が来る前に撤退しろ』

 

「了解だ」

 

 こうして俺たちは炎くすぶる基地を後にする。

 これから向かうのは決戦の地、ルビコン3だ。だが、こちらの戦力は原作と比べ物にならない。

 

(これで……どうかハッピーエンドにたどり着けるように)

 

 物語の始まりに、俺はそう思わずにはいられなかった……。

 

 

 

 

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今日のアセン

 

AC名:『鈴蘭(スズラン)

パイロット名:『C4-619』

 

R-ARM UNIT:MAJESTIC(バズーカ)

L-ARM UNIT:HML-G2/P19MLT-04(ハンドミサイル)

R-BACK UNIT:BML-G1/P07VTC-12(12連ヴァーティカルミサイル)

L-BACK UNIT:BML-G1/P07VTC-12(12連ヴァーティカルミサイル)

 

HEAD:HC-3000 WRECKER

CORE:AC-J-120 BASHO

ARMS:AR-011 MELANDER

LEGS:EL-TL-11 FORTALEZA

 

BOOSTER:なし

FCS:FCS-G2/P10SLT

GENERATOR:VP-20C

 

EXPANSION:ASSAULT ARMOR

 

 

解説

『C4-619』のAC。

『619』ちゃんは完全にミサイルに目覚めた。軽量車椅子タンクで地上を縦横無尽に動き回り、大量のミサイルを発射する。

マルチロックで複数の敵へ一気に攻撃することが可能で、仲間の援護能力が非常に高い。

しかし本人単体の戦闘能力も低いわけはなく、もし敵に接近されたとしても体当たり(ブーストキック)とバズーカを駆使して接近戦を行い、軽快な速度の脚部で距離をとる作戦を行う。

 

作者がミッション・アリーナともに使ってみた感じはどちらも良好。ただアリーナ使用なら、ミサイルに尖らせた方がいいかもしれない。

その辺りは『ハウンズは単独作戦もあるだろうから、ミサイル単一機体だと不測の事態で詰むから、近接防御も兼ねてバズーカを持たせて継戦能力を向上させている』から。

こう言ったキャラクター周りの設定とか考えて組めるからアセンは無限に遊べる。

 

 

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