とりあえずストックもまだ余裕があるので1月の間は土日12時の、週2回更新にします。
スタートダッシュ期間ともいう。
第09話 『常に最悪を想定しましょう。特にこのフロム世界では』
「久しぶりだな、カーラ」
『久しぶりだね、ウォルター。 そっちの調子はどうだい?』
「ルビコンへの道が開けた。 これ以上ないくらい順調だ」
『……そうだね。あたしは正直、あんたがこっちに来る頃には少なくとも617たちの半分は死んでいるもんだと思ってたよ。
それが全員無事どころか数を増やしてくるんだ、なかなか笑える状況だよ』
「それもすべては『C1-53』のおかげだ」
『……言わないのかい、古い友人だって』
「……言ってどうする? 彼の記憶はとうに半世紀前の時の彼方だ。
それに、俺はこれからも彼を地獄のような戦場に送り続ける。俺たちの目的のためにな」
『……あたしも多くは言わないよ。ただ……生きてるうちは笑いな、ウォルター』
「……なかなか難しいことを言うな、カーラ。
ところで、今日は世間話をするために連絡したわけじゃない。
そっちに行ってから動くための身分……傭兵ライセンスを用意しておいてほしい。
金はこの通りある」
『お、ずいぶんと稼いでるね』
「これも彼のおかげだ。 それで6人分だが、頼めるか?」
『もちろん……と、言いたいところだけど、最近監視が厳しくてね。そうだね……5つが限度、6つは無理だ』
「むぅ……となると1つはライセンスをどこかで拾う必要があるか……。
とにかく頼む。俺も近いうちにそっちに降りる」
『わかった。 待ってるよ、ウォルター』
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この世界では星間移動は決して珍しいものではない。しかし俺の前世、日本では一般人の宇宙旅行なんてまだ夢の話だった。当然、俺としては星の海を行くなんて経験は初めてでテンションが上がり、宇宙船の窓から飽きもせずずっと外を眺めていた。
ラウンジのようになっているそこでは、ハウンズたちもゆっくりとしている。こうして見ると、感情に乏しく個性のなかったハウンズたちにも差が出てきている。
『617』は何かの音楽を聞いている。気になったので何を聞いているのか聞いてみた。
「……聞きますか、兄様……?」
……なんかよくわからない呼ばれ方をした気がするが、細かいことは気にしない。現代人はおおらかでないとな!
というわけで『617』の聞いているものを聞いてみると……。
『ガチタン ガチタン ガチタンタン!
硬い装甲身に纏い 高い火力で相手は消し炭
愚かな敵を打ち砕く ああ 素晴らしき そは何者ぞ
ガチタン ガチタン ガチタンタン!
ガチタン ガチタン ガチタンタン!
神の戦士だ ガチタンク!
鋼の
みんなも乗ろう ガチタンク!』
……これは新手の呪歌なのだろうか?
「……なにこれ?」
「……『ガチタン賛歌』。タンクAC乗りはみんな聞いてるって……」
ACをやっている人間は、ほぼ必ず1度はガチタンの魅力に憑りつかれるものだが、『617』は立派にガチタン乙女の道を歩み出してしまったらしい。
『617』の将来に少しの不安を感じながら他を見て見ると、『619』はフィーカをすすっている。近くにはジャムの瓶。色んなフィーカの飲み方を試しているらしい。
『620』は目も悪くないのに何故かメガネをかけて端末で何かを読んでいる。最近は古典小説に凝っているらしい。
『621』はまだ何かしたいというのが希薄なのか、俺の横で同じように窓の外を眺めていた。
そして『618』は、小さな花の図鑑を見ていた。俺がAC名を花の名前にしていると知り、俺がアセンのアドバイスをしたためにハウンズたちのACもすべて花の名前だが、その元の花が知りたいといってウォルターにねだったのだ。気に入ったのか今では必ず持ち歩いている。
ちなみにそれを頼んだ際、ウォルターが何故が動揺していた気がするが……何故だ?
とにかく俺たちは目的の地……ルビコン3へと進んでいた。
『そろそろ降下ポイントだ……』
船内放送でウォルターの声が聞こえ、俺たちはハンガーに向かい自分のACへと乗り込んだ。そのACが大気圏突入用カプセルに格納されていく。
『大気圏突入用カプセル射出後はルビコン3の重力に任せ、大気圏に突入する。
その際、電源は落としてギリギリまでデブリを装え。
惑星封鎖機構の衛星砲に感づかれて撃たれれば一巻の終わりだ。
地表への着地後、合流ポイントは追って指示する』
その声を聞きながら、俺は機器の最終チェックを行っていた。
ここがスタートライン。コーラルをめぐる戦いの始まりだ。
『いくぞ。 投下開始!』
ガコン! という音とともに大気圏突入用カプセルが切り離され、ルビコン3の重力に引かれ落下していく。
『まだだ……まだだ……。
……今だ、逆噴射をかけろ!』
ウォルターの合図とともに大気圏突入用カプセルに電源が入り、ブースターが逆噴射をかける。
その瞬間、閃光が通り過ぎるのがモニターに見えた。衛星砲の砲撃だ。
『!? いかん!?』
ウォルターの声にモニターを見ると、一基の大気圏突入用カプセルが落下軌道を大きく外れている。
あれは……『618』のカプセルだ!
『今の衛星砲の砲撃で『618』のカプセルの落下予測地点が大きく変わった。
通信圏内からももうすぐ外れる。これではルビコンのどこに落ちるか分からんぞ!?』
「ッ!?」
それでは『618』はルビコン3のどこともしれない場所で、ウォルターの支援もなく行動しなければならなくなる。
その瞬間、俺は大気圏突入用カプセルのブースターを噴射させていた。
『『53』、何をしている!?』
「『618』は俺が追う! 1人ではどうしようもなくとも2人ならできることもあるはずだ!
必ず、2人でそちらへの合流は果たす! だからそっちは頼む!!」
『……わかった。 『53』、『618』、ルビコンで会おう』
通信圏外に出たのか、ウォルターの通信が切れた。
俺はカプセルを『618』の乗るカプセルに寄せると、短距離通信を入れる。
「『618』、無事か!?」
『……大丈夫、無事……。
機体も……問題ない……』
「そうか……。
俺たちはもうどこに落ちるか分からん。 だがとにかく逆噴射だ。
地面との熱いキスだけは勘弁だからな」
『わかった……』
カプセルの逆噴射による減速。衛星砲の射程を抜け、ルビコン3の大気へ飛び出る。
そして、目の前に現れる
「あれに飛び移れ!!」
『ッ……!?』
炸薬によって大気圏突入用カプセルが割れ、俺たちのACが空中に投げ出される。
そして機体のブースターを全開にして減速しながら、その
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「……無事か、『618』?」
『うん……。そっちは……?』
「こっちも無事だ。
まったく……次の宇宙旅行の機会にはもっと優雅な旅がしたいもんだ」
『618』へ軽口を返しながらACのシステムをチェック。俺と『618』のACは天井を2つほどぶち抜いて着地していた。APが2割ほど削られているが、問題はない状態だ。
「そっちのACはどうだ?」
『ん……問題ない……』
お互いにACを立ちあがらせる。周囲を見回し、さらに頭部のセンサーを起動させた。
「……かなり古いグリッドだな」
そこかしこに経年劣化の兆候が見られる。恐らくはルビコン3入植初期に造られたグリッドだろう。
そうしていると、頭部のカメラアイが壁に書かれた大きな文字を見つけた。その文字は……。
「『012』……だと?」
冷や汗が背中を伝うのを感じる。『グリッド012』といえばまさか……!?
その時、俺は強化人間特有の感覚で、こちらへ飛んでくるミサイルの飛翔音を捉えた。
「避けろ!!」
『……!』
『日向葵』と『曼珠沙華』がブースターを吹かして飛び上がる。すると、さっきまで俺たちが居た場所にミサイルが突き刺さり、爆発した。
着地した『日向葵』と『曼珠沙華』。そこにグリッド内に放送が響き渡る。
『やぁやぁ、ご友人たち。
空から屋根を突き破って会いに来てくれるなんて情熱的です。 素敵だぁ……』
『……『53』、敵性反応が近付いてくる……』
「分かってる……」
『こんな僻地へやってきてくれたご友人たち。 精一杯のおもてなしをさせて下さい』
ねっとりとした声の中、見えてきたのは大量の戦闘用MTの姿。
あの声は『オーネスト=ブルートゥ』……AC6最大級の狂人にして、無法者集団『ジャンカー=コヨーテス』の頭目のものだ。
俺と『618』はよりにもよって、無法者集団『ジャンカー=コヨーテス』の勢力圏のど真ん中に降り立っていたのだった……。
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今日のアセン
AC名:『
パイロット名:『C4-617』
R-ARM UNIT:
L-ARM UNIT:
R-BACK UNIT:
L-BACK UNIT:
HEAD:HD-033M VERRILL
CORE:VE-40A
ARMS:VE-46A
LEGS:LG-022T BORNEMISSZA
BOOSTER:なし
FCS:FCS-G2/P05
GENERATOR:VE-20C
EXPANSION:ASSAULT ARMOR
解説
『C4-617』のAC。『
「パルスシールドとか装備するより、装甲ガチガチに固めて、高火力兵器バカスカ撃ったら相手死ぬんじゃない?」
『617』ちゃんは真理に目覚め、ガチタン教に入信した。ガチタンを崇めよ~。
最重量タンクアセンと超火力のバ火力の極み乙女。
少女漫画のように曲がり角でぶつかって(ブーストキック)相手を押し倒し、『君がッ、死ぬまで、トリガーを引くのをやめないッ!』してくる。あまりのいじらしさと可愛さに相手は昇天(ガチ)する。
ACをやっている人なら誰もが1度くらいは組んだことがあるだろうガチタンである。
元々ワーム砲を積んで、スタッガー状態に陥った敵をWワーム砲とWガトリングガンで蜂の巣にする作者の対強敵用アセンだが、物語の制限として『AMパーツ・技研パーツ・アイスワーム砲不可』があるため構成を変更。
ワーム砲のナーフに伴い別の武器を探したところに、プラズマキャノンが弾速がかなり早く結構当てやすいことに気付いた。
使用感はかなり良く、特にプラズマキャノンがグレネードキャノンより連射がきき、さらにジェネレータとチャージで威力が上乗せできる。衝撃力も両肩での連射を考えれば悪くないためスタッガーもとりやすい、分かりやすく『ミッション・アリーナで負けないための機体』である。