その日カンナはこんなことになるとは夢にも思っていなかった。その日カンナはいつも通り、公安局のオフィスでコーヒーを飲みながら書類をさばいていた。すると、プルプルと市民の通報を知らせる電話がとつぜんカンナ以外誰もいないオフィスに鳴り響く。カンナは一呼吸置いた後に、電話の受話器を取る。
「はい、もしもしこちら公安局です。ご用件をどうぞ?」
マニュアル通りの言葉を発して通報相手の言葉を待つカンナ。
「あ、あの、せ……」
「せ?」
カンナは続きを促す。
「セクハラされてるんです止めてください!!!あっちょ先生!?足舐めんな変態!」
「……」
カンナは受話器を耳に当てたまま頭を抱える。言動から明らかに先生であることが分かったからである。カンナは渋々、眉をひそめて現場に向かっていく。
―――
「先生、現行犯です!」
ゴキブリのように地面をはいずってゲヘナ生徒の足をぺろぺろと舐めまわす先生の襟を掴んで持ち上げるカンナ。その額には怒筋が浮かんでいた。
「カ、カンナ……さん。お久しぶりです」
「えぇ、お久しぶりですね。先生。あなたは私以上の外道の用で……」
冷や汗を流して唇をぴくぴくする先生にカンナは厳しい言葉を投げかける。
「こ、これにはわけが!」
「はいはい。話は署で聞きますからね」
カンナは警察官お決まりのセリフを言って、問答無用で無理矢理先生をパトカーで取調室まで連行していった。この後待ち受ける葛藤など知りもせず……
―――
「それで……いい加減吐いたらどうです?」
カンナと先生はかれこれ一時間以上この場で押し問答をしていた。先生はセクハラ行為の理由を聞かれても一向に答えようとせず、何とか話題を逸らそうとしてくるのだ。
「あのーカンナ。そろそろ本気でやばくなってきたんで解放してくれません?」
「正直に答えてくれださったら解放しますよ」
カンナは便意が限界なのか?と思いながら先生を解放する気は全くなかった。すると、先生は突然席から立ち上がったではないか!
「ちょ!?先生!流石に先生と言えども……」
立ち上がった先生を止めようとするカンナ。しかし、その行動は次の瞬間に静止してしまう。なんと、先生が机の上に吐血した血液をまき散らし始めたのだ。
「……!?」
「不味いなぁ、カンナに見られちゃったよ。カンナ悪いけど連保生徒会に連絡して救急車呼んでくれない?」
先生は懐から錠剤のようなものを取り出して、仕方なく水もなしに飲み込んでしまう。
「は、ッはい!」
ワンテンポ遅れて戻ってきたカンナはただ事ではないと察し、同じように感じて部屋に入ってきたフブキに連絡するように指示を出す。その後、連邦生徒会お抱えの病院へと先生は緊急搬送され、一名を取り留めた。
―――
「それで、先生どうゆうことですか?」
その日の夜。おでん屋の屋台にてカンナは病院に抜け出してきた先生と出会う。夕方に先生からこの場所で会おうとメールをもらっていたからである。
「あぁ、まぁ説明しようかな……」
そう言って先生は自分が長くないこと、それをみんなに隠していること、そして後継者を探していること……
「……事情は分かりましたですが、なぜそれを私に?」
別に特別不思議な話ではない。あの尋問室での状況を説明したいのだと思えばある程度の道理は通る。しかし、カンナにはどこか別の意図を感じざる得なかった。
「そうだね……言うなれば、最後の晩餐かな」
「最後の晩餐?」
カンナはおでんと緑茶を飲みながら問い返す。
「私が最後に
先生の真意はカンナにはわかりかねた。しかし、大事な話であることは理解できた。
「これは私の我がままだ。一方的に別れを告げてさよなら、それが筋の通らない事なのはわかってるでも、やっぱり決めたことだから……
そう言って先生は屋台の台に会計の料金を置く。そして先生は屋台の暖簾をくぐって去ろうとしてしまう。
「先生、あなたは何処に行かれるのですか?」
「……さぁ、わからない。ただ君達とは違う何処かだろう。別れの旅立ちさ」
そう言って先生、いや、一人の先生だった人物がキヴォトスを去ってしまう。
―――
「さて、今日は何処に行こうか?」
一人の黄衣がどこか知らない場所でさすらっていた。
えぇ、この作品を、ブルアカ二次創作を愛してくださった方々すべてに向けて送ります。私はこの話を持ちましてブルアカファンを引退いたします。大変身勝手なお話なのですが、心の底から作品を、ブルアカを愛せない自分では、それこそ他のブルアカ二次作家の方々に対する侮辱かと思っての行動です。今まで読んでくださった方々ありがとうございました。さようなら、またどこかで逢いましょう。
この中で一番最高のエピソードと言えば?
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コユキ
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ノア
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ミネ
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黒服
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ヒマリ
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アスナ