注意*自殺描写がありますので苦手な方は閲覧をお控えください
「今日は暇ですね」
この超天才清楚系病弱美少女ハッカーにして澄み切った純正のミネラルウォーターそして万年雪の結晶である明星ヒマリは珍しく暇を持て余していました。今日だけ特異現象捜査部としての活動は特になくヴェリタスとしての活動もない。と完全に「オフの日」というやつです。大抵の場合は先生にモモトークを送り、他愛もない世間話に花を咲かせるのですが……
「ここ最近、先生が連れないんですねよね」
正確に言うならここ数ヵ月の話である。この美少女が誘っているというのに、先生ときたら「今日は用事があっていけないや、ごめん」の一点張り……謝るくらいなら「返信スルー」してください!……いえ、それはそれで凹みますので心の中だけで反省して言わないでおきましょうか。
「そういえば最近コタマも盗聴ができないと嘆いていましたね……」
なんでも脇が甘かった先生の警戒が上がったそうな。かくゆう私も先生のパソコンや私用のスマホをハッキングしましたが全然個人情報がなくて、生活感が感じられず驚いたのは記憶に新しいです。監視カメラは完全に停止しており、周辺のロボットも近づけないよう電磁パルスが張ってあるようで隙が全く無いですね……
「これは面白……事件の匂いがしますね」
何かある。そう確信した私は先生の身の周りを調べることにしました。その為にまず先生に時間があるかモモトークを投げかけます。
先生少しお時間よろしいでしょうか?
……わかりました。
では、来週の土曜に会いましょう。ぽたぽた焼きを用意して持っていますね
はい。おやすみなさい先生
――――
予想通りですね!
「先生は最近何かと多忙ですから高確率で断ってくると判断しましたよ」
明日がダメなら明後日も続けるつもりでしたが、天は私に味方していますね。今朝のニュースの占いも1位だったのが幸いしたに違いありません。
「あとは物理的にシャーレに侵入しましょうか」
私の得意分野であるハッキングがダメならこの車いすを持って私は謎を突き止めましょう!
「さて明日に備えて今日は速めに寝ましょうか」
――|後日|――
「さて、シャーレの目の前まで来ましたが…物理的に鍵が掛けられていますね」
私の目の前に立ちふさがるのはシャーレの扉にかかっている鍵。あぁ、どうしましょうか?控えめにいって天才美少女ハッカー*1である私にハッキングできないものはないと断言しましょう。えぇ、電子機器で私に扱えないものはありません。ですが……物理的なカギは別です。
「かくなる上は……」
私は愛銃である「高嶺の花」を取り出し、ドアノブに押し当てました。先生にばれるのはまずいですが必要経費です。
「……?」
扉を壊そうとリボルバーのハンマーを両手で下ろしたと同時に扉が開いてしまいました。
「不思議ですね……まぁ、そうゆうこともあるでしょう」
そう納得しシャーレ内に侵入することに成功しました
私自身は車いすであることもありあまりシャーレに訪れること機会はありませんでしたが、シャーレの内部は記憶の中そのままでした。
「たしか先生の私室は4階でしたね」
車いすを進めながら私はエレベーターで4階に向かったのでした。
「さて先生の秘密を暴かせていただきましょう」
これだけ入念にヴェリタスの対策をしてくるのですからさぞや重大な秘密を抱えているのでしょう。
――そんなことを言っておきながら私はそこまで大きな秘密ではないと高を括っていまいした。
「おや、これは……」
執務室の中にて先生の秘密の手がかりはないかと探している時……偶然見つけました、いえ、見つけてしまいました。
「……え?」
シャーレの白い机の机上、そこには包まれた書類と同時に見覚えのある薬の包装材が置いてありました。
「こ…れって」
その空になったPTPシート*2を手に取り、間違いではないかとまじまじと観察するヒマリだったが残念ながらヒマリの優秀で出来の良い頭脳から導き出された記憶は冷静にそれでいて残酷に事実を突き詰めてくる。
「なぜ先生がこの薬を……」
それは病弱であるヒマリでなければわからない苦痛だったことだろう。だが、ヒマリにとっての不幸は続く
「ただいま~って誰も……ヒマリ?」
「先生……嘘ですよね?なぜ先生がこの錠剤を呑んでいるんですか?風邪薬ではないのですよ!?」
ヒマリが取り乱すわけ……それは上記の通りこの錠剤の効果によるものだった。その薬は市販では売っておらず、医者でさえも投与することに対し否定的な考えを示す者も少なくない……その理由はただ一つ強すぎる副作用によるものだった。ひとたび投与すればいかなる重病人でさえも只人と同じように動くことが出来る。しかし、その副作用として薬の効果が切れてしまうとその間にかかった全身の器官の負荷が甚大なほどに膨張して全身に襲い掛かって来るのだ。その酷さは経験者曰く、「まるで体の中を洗濯機でかき回されているようだった」と述べている。事実ヒマリ自身も己の病弱を呪い、この薬品に手を出したことがあったがその時の反動に年甲斐もなく咽び泣き二度と使わないと誓ったほどであったという。
「……それを先生は最低六回は使っていますね……教えてください!なぜですか?この薬の苦しみは私は知っています。だからこそ先生に問いますなぜこの薬を飲んででも『秘密』を秘匿するのですか!それほどまでに私たち生徒は信用できないんですか!?」
ヒマリは先生のシャツを掴み、自身のひ弱な握力と様々な体液で皺だらけにしてしまう。
「……ごめんヒマリ」
「謝らないでください……」
咄嗟に出た謝罪を否定され先生は困ったような笑顔をして無言のままヒマリの背中を擦りながら抱きしめるだけだった。
―――
「気分はどうですか先生?」
人工呼吸器と点滴、バイタルサインモニター*3が横に置いてあるベットに横たわる人物に話しかけるヒマリ。その姿は大変穏やかであった。
「不思議と、落ち着いた……気分だ」
病魔に侵された身体でありながら動き続けたことと度重なる身体的負荷のかかるドーピングと薬物接種により先生の姿はもはや「生きている」と言われても疑うほどであった。骨と皮しかない状態で、碌に首を上げることすらできないほど衰弱してしまっていた。
「ありがとうヒマリ……ごめんね」
感謝を述べながら謝罪する矛盾する行動に対しヒマリは一切の疑問を抱かず結論を出してしまっていた。
「構いませんよ先生、元々病弱美少女な身の上ですから遅かれ早かれこうなっていました」
「……そっか」
その言葉を皮切りに先生のバイタルサインは全てゼロを示した。
「未来永劫今日この日は縁起が悪い日となるでしょうね……なぜなら先生とこの超天才清楚系病弱美少女ハッカーである私の命日なのですから」
ヒマリはベットのわきに置いてあった強めの睡眠薬を取り出す。市販の睡眠薬ではあるが裏面には『3錠以上の接種はおやめください死ぬ可能性がございます』と書かれていた。
「そういえばリコールされていたので手に入れるのに苦労しましたね」
筆を走らせながらヒマリは何でもないように言いのけ、五錠ほどの錠剤をお酒で一気に飲み干したのだった。
「ですが、その苦労の甲斐はありましたね」
ヒマリは車いすから離れ、這うようにして先生の眠るベットに入って来る。そして先生だったものの横に添い寝するのだった。
「おやすみなさい。先生起きたら一緒に走りましょう?」
後に二人の第一発見者となった和泉元エイミはこう発言した
――まるで憑き物でも落ちたような眠るように穏やかな最期だった。と、
ネタ被り?いえ、最後が違います(鋼の意思)
この中で一番最高のエピソードと言えば?
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コユキ
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ノア
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ミネ
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黒服
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ヒマリ
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アスナ