その歩み、大山へと至る   作:枯山水の庭園

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 閲覧いただきありがとうございます‼︎

※注意!
 とある人物へのアンチ・ヘイトがあります!

 ちょっと時系列が前後します!
 あと、一人オリキャラが出ます!


大山双証

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「肥後、紅葉副組長」

 

 

 

 

 寮の廊下で、

 

 

 

 

「新粥小粋さん」

 

 

 

 

 居間で、

 

 

 

 

「上総、鞠さん」

 

 

 

 

 車両庫で。

 

 

 

 

 

 

 

 

「──私はベルちゃんを、月夜野ベル組長を助けたいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭を下げる。

 言葉を伝える。

 

 

 

 

「……まだ会って数日です。私なんか信頼には値しない人物かもしれません」

 

 

 

 

「──でもベルちゃんが、ベルちゃんが、」

 

 

 

 

「同僚だと」

 

 

 

 

「上司だと」

 

 

 

 

「──仲間だと」

 

 

 

 

「少しでも認めてくれているのなら、どうか、」

 

 

 

 

「力を貸して頂けませんか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「──どうか、よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの……、冬美さん。……ベルは、強くなりたいです。……、協力してもらえませんか?」

 

「もちろん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういう訳で、魔都の荒野。

 三番組寮のほど近く。

 

 

 

 

「じゃあ確認するよ?ベルちゃんの能力、『笑う寿老人(カノープス)』」

 

 

 

 

 適当な岩の前に私達はいる。

 

 

 

 

「まず、対象にしたいものを光らせる」

 

 

 

 

「次にベルちゃんが光らせたものに近付く」

 

 

 

 

「近付いたら、光らせたものから『命』を抜き取る」

 

 

 

 

「すると、『命』を抜かれたものは灰になる……。これで合ってるよね、ベルちゃん?」

 

「はい、」

 

 

 

 

 確認を兼ねてベルちゃんに能力を実演してもらった。

 岩は崩れ落ち、灰になってしまった。

 

 

 

 

「『()()()()()()()()()()()

 

「……そういえばそうだったね」

 

 

 

 

 そう、ベルちゃんの『笑う寿老人(カノープス)』には灰にする以外にも力があるらしい。

 

 

 

 

「十番組でも噂には聞いてるけど……、他の力は聞いてないんだよね」

 

「そ、そうですか」

 

 

 

 

 ……だけどその内容までは聞いていない。

 ……妙に口を濁されるというか……。

 銀奈ちゃんでさえ灰にする方はめちゃくちゃ熱く語ってくれたのに、……いや、あれは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……?

 

 

 

 

「『守り』はベルの『命』を守る力で──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

「ええ、報告よろしくね」

 

 

 

 

 魔防隊・総本部。

 総組長執務室に十番組組員・日ノ出冬美が入室するのを、執務室の、そして魔防隊の主である山城恋が鷹揚に迎える。

 ──今日も出向先(三番組)の報告だろう、と。

 恋は優秀さを表し、頭角を出す物腰丁寧に接するこの部下を気に入り始めていた。

 

 

 

 

「……その前に一つ、よろしいですか」

 

「いいわよ?何かしら」

 

 

 

 

 ──ただしそれは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総組長はベルちゃんがちょうどいいサンドバックだから魔防隊に引き止めてたんですか?」

 

 

 

 

「──は?」

 

 

 

 

 その部下にとんでもない暴言を吐かれるまでの事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……違ったみたいですね、よかったです」

 

「……待ちなさい、聞き捨てならないわ?何故、そう思ったのかしら?…………いえ、そうね、……『笑う寿老人(カノープス)』の『守り』について知ったのかしら」

 

「はい」

 

 

 

 

 一瞬で執務室を満たした険悪な空気の原因となったのは、月夜野ベルが桃で得た能力。

 『笑う寿老人(カノープス)』は『命』にまつわる能力。

 『攻め』は他の『命』を奪い取り、滅し、抜け殻を灰と化す無慈悲なまでの必殺の技。

 一方、『守り』は自らの『命』を保つ。

 能力者であるベルに作用し、傷を治し、生命を保つ──()()()()()()()()()()()()()

 必殺の『攻め』と不死身の『守り』、これこそがベルが高く評価される理由であると言っても過言ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……つまり、何?私が、死なないベルを、おもちゃにして遊ぶような奴だと、言いたいのかしら?」

 

 

 

 

 ……委細を把握し執務机の上に有った万年筆を手遊びながら、──尋常ではない怒気を滲ませながら恋が問う。

 『自分を下衆だと思っているのかと』。

 

 

 

 

 

 

 

 

()()

 

 

 

 

 怒気が爆ぜる。

 

 

 過酷な環境に耐えられるようにチタンをはじめとした合金で作られた頑丈な万年筆が、熱した飴のように押し潰される。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ベルちゃんと仲良くしてくれていたようですね、総組長」

 

「……ええそうよ、私とベルは友達よ?」

 

 

 

 

「友達と言うには、……ずいぶんおびえた様子で話してくれましたが」

 

「…………」

 

 

 

 

 ……軋む様に、静かで、(しず)かな沈黙が満ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ベルちゃんの事、聞いたんですよね?学校でいじめられてたって」

 

「……それが何かしら?」

 

 

 

 

「いじめられてたベルちゃんが、おびえるような接し方しかできなかったんですか?」

 

 

 

 

 ──天を衝く、柱の様に怒気が立ち昇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……後から入って来た人に、私の人間関係をどうこう言われる筋合いは無いわねえ?」

 

「魔防隊の一員として、上司が部下がおびえる様を見て楽しむような奴なら告発しなきゃいけませんから、『人品に問題あり』って」

 

 

 

 

 怒気が、爆圧のように圧して来る。

 山城恋が、ゆらりと立ち上がった。

 

 

 

 

「……生意気ね、貴方?」

 

「……ベルちゃんから教えてもらいました、貴方の能力。知ってる限り。──どれもベルちゃんと相性最悪だ」

 

 

 

 

 話題の禍中たるベル本人が居れば、膝から崩れ落ちている様な、──組長達でも身構えずには居られないような怒気の中。

 淡々と冬美は口にする。

 

 

 

 

「『笑う寿老人(カノープス)』は無敵じゃない。『攻め』は形あるもので、ベルちゃんの手の届く所に無ければ意味が無い。『守り』は貴方の能力の一つみたいな、『桃の能力を封じる能力』を使われたら意味が無い」

 

 

 

 

 淡々と、

 

 

 

「──()()()()()()。『笑う寿老人(カノープス)』には機動力が足りない。宇宙空間にでも放り出されたら、ベルちゃんは死なないまま宇宙をさまよい続ける。深海に沈められたりしても同じ、……痛いまま、苦しみ続ける」

 

 

 

 

 淡々と。

 

 

 

 

「……ベルちゃんには痛みがある。例え『笑う寿老人(カノープス)』で壊せる刃物でも、()()()()()()()()()使うって考えられないかもしれない。……ベルちゃんは疲れる。限界まで体力を使い果たしたら、死ななくても何もできない」

 

 

 

 

 ──努めて、

 

 

 

 

「……貴方はベルちゃんの天敵だ。能力を封じてベルちゃんを殺せる、砲撃で遠くからベルちゃんを消し飛ばせる、空を飛んでベルちゃんとの距離を好きなようにできる、転移でベルちゃんを放り出せる、……肉体強化でベルちゃんの『攻め』をかわし続けられる」

 

 

 

 

 

 ……淡々と。

 

 

 

 

「……誰が誰の天敵になるか分からないのが桃の能力だ。いちいち気にしてたら人付き合いなんてできやしない。…………それでも、貴方の付き合い方は、余りにベルちゃんに対して無神経過ぎると、私は思うのですが。山城恋総組長?」

 

「…………そう、参考にさせてもらうわ。日ノ出冬美組員」

 

 

 

 

 日ノ出冬美は口にしきった。

 

 

 

 

 ……『お前は外道なる虐めの加害者と同等の奴で、最低に無神経な奴だ』。 

 そう罵倒されたに等しい山城恋は無表情である。

 ──白く、臨界した怒りが作る無表情である。

 

 

 

 

「……報告はいいわ、今度から別命無ければ総組長()宛てフォームに送っておいて。ただし、定期的に総本部(ここ)には顔を出しなさい。上司としての命令よ」

 

「了解しました、総組長」

 

「──……それと、貴方に上司らしい事を何一つできてなかったわね。──一撃だけ、稽古を付けてあげるわ。構えなさい」

 

「…………」

 

 

 

 

 冬美は胸前で腕を交差させ、恋は掌を握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰が上だか──、

 

 

 

 

──教えてあげる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 爆ぜるように、『地球の答え』が、力を振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズン‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、

 殴打音が鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 山城恋の能力、『万物(ばんぶつ)総該(そうがい)した無限宇宙(むげんうちゅう)全一(ぜんいつ)』は規格外の能力だ。

 八つの異能を内包し、しかもその内の二つを同時に発動出来る。

 それぞれの能力もそれだけで『流石は魔防隊総組長だ』と勘違いされる程の代物だ。

 あらゆる能力者を無力化し、自由自在に飛翔し、醜鬼の大群を消し飛ばし、魔都と現世の空間の隔たりさえ無視し、ただの癇癪で岩山を砕き散らす。

 

 

 

 

 ……ギリギリで、『殺してはいけない』という分別が働いたとは言え、人一人殴れば総本部の建屋を貫き壊して魔都の荒野まで吹き飛ばしていた筈だ。

 或いはその前に()()()()()()

 ましてや桃の能力を無効化してから拳を振るったのだ。

 対処の仕様が無い。

 破砕音は出たとしても、()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

「……確かに重いですね、ありがとうございました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「────」

 

「……もしかして報告書読んでませんでしたか?私の能力は『魂を増強する』()()で、『魂を動かす』のは桃がくれなかった、自前ですよ?」

 

 

 

 

 冬美は後退りさせられている。

 ──()()()()()

 骨折はおろか、交差させた腕を崩されてすらいない。

 

 

 【大山援姿】。

 それを為した技の名である。

 魂と肉体が連動している事を逆用した二つの技の一つ。

 魂の膨らみに肉体を合わせ、脆く、巨大に膨らませる【大山悠景】とは逆。

 肉体を魂に支えさせる技。

 守りに使えば魂の強さが肉体の強度を引き上げ、攻めに使えば魂の大きさで膂力を上乗せ出来る──、──それだけでも『地球の答え』には届かない。

 

 

 魂の大きさ強さが上乗せに関わる以上、魂が軽く弱くては意味が無い。

 ──仮に常人を圧倒するに十分である筈の軽トラック程度の強さ大きさの魂で上乗せをしたのであれば、為す術無く吹き飛ばされていたであろう。

 では、何が魂を大きく、強くするのか。

 一つは能力(『大山の魂』)

 方向性だけ見れば広く発現する記憶力や身体能力の強化とも似た、単純(シンプル)な力だが──出力が頭抜けている。

 世界最高峰の能力である『万物を総該した無限宇宙の全一』の()()に決して引けを取らない。

 

 

 一つは──活動。

 魂はその持ち主が何か活動する度に強く、磨かれてゆく。

 仮に、寝たきりで何も考えなければ、魂は弱く、輝きを失ってゆくだろう。

 だが、今日の夕食が何かを考えたり、ベッドから身体を起こそうと動けば、その分、活動は魂に伝わり、魂を強くする。

 

 

 ならば日ノ出冬美は如何に活動したのか。

 

 

 ……ただ、生きて来ただけだ。

 

 

 

 

 ……その望みを見誤ったまま『桃』を食べ、能力を手に入れ、絶望し、友人に慰められ、持ち直し、勉学に励み、旅行し、遊び、志望校を決め、大学受験の勉強にかかり、一般入試を受け、第一志望に受からず、第二志望に受からず、第三志望の大学に合格し、一人暮らしを始め、講義を受け、レポートに苦戦し、恋人が出来、恋人と過ごし、恋人と別れ、運転免許を取り、就職活動を始め、何を生業にするか悩み、面接を受け、面接を受け、面接を受け、面接を受け、面接を受け、面接を受け、採用され、出社し、業務を覚え、資料を作成し、業務案を捻り出し、家賃を払い、食費を払い、光熱費を払い、水道代を払い、通信料を払い、身の回りに掛かる金銭を払い、金を得る為に働き、金が足りず働き、金を得ても働き、食べて、寝て、飲んで、歩いて、食べて、寝て、飲んで、歩いて、食べて、寝て、飲んで、歩いて、時に自動車を運転して、大抵は電車に乗って、落ち込み、落ち込み、落ち込み、泣き、怒り、笑い、喜び、優しくし、懊悩して、苦悩して、絶望して、切望して、夢破れ、恋破れ、それでも生きて、生きて、歩みの果て、神に遭った、その先で、

 

 

 

 

 ようやく見つけ出した望みを胸に、

 また、歩き出すまでを。

 

 

 

 

 『大山の(こころ)』は、見逃さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私のことぐらい、ちゃんと見てくださいよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その全てが大山と化し、山城恋を受け止めたのだ。

 此処に居るのは能力の無効化で無力化しきれず、大山たる魂を以って立ち塞がる──『地球の答え』の、天敵だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それと、言い忘れてましたね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もしも、()()()、ベルちゃんの涙となり、ベルちゃんの傷となり、ベルちゃんの苦しみとなるならば、」

 

 

 

 

「私は()()を引きずり落とす。地べたに落として、グチャグチャになるまで踏み潰す、どんな手を使っても、全てを使っても、()()がグチャグチャに泣いても、許さない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうか、ご記憶くださいますように」

 

「…………、肝に銘ずるわ」

 

「それでは、失礼しました」

 

 

 

 

 嵐が解ける様に、去って行く。

 

 

 

 

 ……()()()()()()()()()()()()()()()()、去って行く。

 

 

 

 

「ああ、それと、……ベルちゃんを一人きりにしないでくれて、ありがとうございました、総組長」

 

「…………、礼には及ばないわ」

 

「それでは今度こそ、失礼しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……い、いまの、冬美さん、でしたよね……?だ、大丈夫、でしょうか?恋サマ……」

 

「大丈夫よ、銀奈。何も心配する必要なんてない」

 

 

 

 

 ……それは地球上に生きる生物とは(スケール)が違う。

 富士山が怒号を上げた様な、途方もない怒気は総本部の全てを震わせていた。

 ……比喩ではない。

 余りの怒りに冬美の魂が震え、肉体を介して大気に震えが伝わり、物理的な震動として総本部建屋を揺るがせ、軋ませたのだ。

 身体の震えを押して壁や扉に手を突きながらやって来た銀奈の様に戦闘向けでない者は、腰砕けになってしまっている。

 

 

 

 

()()()も魔防隊の一員だもの、何も問題は無い、問題は無いわ」

 

 

 

 

 それは言い聞かせる様で、

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……底無しの、おぞましいまでの怒りを孕んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(問題大アリですぅーーーー‼︎‼︎‼︎‼︎めちゃくちゃ怒ってるじゃないですか恋サマ‼︎‼︎‼︎⁉︎何をやったんですか冬美サン⁉︎何をやったんですか恋サマ⁉︎)」

 

 

 

 

 

「(……と、考えてるわね、銀奈。……本当に問題なんて無いのに。要はベルが私にいじめられてると思って直談判に来たって事でしょう)」

 

 

 

 

 直属の部下の狼狽えようを見て、少し落ち着いた──他者にどう見えるかは置いておく──恋は今回の事について振り返る。

 

 

 

 

「(実際問題は無い。あいつは必ずベルを守りに動く。……それにもし、魔防隊に敵対したとしても()()()()()ベルが効く)」

 

 

 

 

 そして、冷徹に算段を回す。

 それはあれだけ怒って──、──ベルを大切に思っている、()()への信頼。

 それは魔防隊総組長として、──脅威を排除する、算用。

 

 

 大山の守りは恐るべきものだ。

 山一つ崩せる様な力が無ければ弾き返される。

 横浜で冬美の魂を利用して同じ原理を使った空折が、美羅の猛攻をギリギリ凌ぎ切った様に組長の力でも防ぎかねない。

 悠然たる大山の如き魂がそれだけの守りを齎し──、──ベルの『笑う寿老人(カノープス)』は()()()()()()()()()『命』を抜き出し、問答無用で殺し去れる。

 日ノ出冬美が山城恋の天敵であり、山城恋が月夜野ベル──……が顕著なだけで大概の能力者──の天敵である様に、

 月夜野ベルは、日ノ出冬美の天敵だ。

 

 

 

 

「(ただベルがあいつ相手に出来るかどうかね……。……あと()()()()()()あの守りは発動出来ない。あら、発展途上ね?)」

 

 

 

 

 

 そして強大な魂の守り。

 それが防御体勢を取り、魂を動かせなければ発動しないものだと直感し、ようやく笑みを浮かべた。

 あの守りがいつ、どの状況でも発動しているなら棒立ちで受けても良かったはずだと。

 事実、冬美は【大山援姿】を咄嗟に、瞬時に使用する事は出来ない。

 ……天敵とは言っても冬美はまだまだ未熟だ、今現在は『条件が整えば山城恋に比肩する』に過ぎない。

 もし、恋が衝動に任せて殴っていれば冬美は敢え無く吹き飛ばされて重傷を負い、失神する事で黙らされていただろう。

 ……但しそうしていたなら『恣意的な暴力を振るう、人格に問題あり』として冬美が告発に動いていただろうが──。

 

 

 

 

「(いいわ、()()()()()()()()()()()()。──しっかり働きなさい?)」

 

 

 

 

 そうして、ようやく恋は復調する。

 ──同時に冬美を魔防隊から離さない事を決めた。

 ……政府上層部に於いて、日ノ出冬美をどう扱うかは意見が割れていたが──、──……人権を無視した扱いもやむ無しとする妙に強硬な意見がじわり、じわりと広がっている。

 混乱とも言える状況の原因であり、日ノ出冬美の処遇について割れる一因でもある『政府上層部に八雷神への内通者が居る』という真偽定かならぬ情報。

 ……総理とその最側近達は、内々にそれが真実だと判断し、十中八九内通者である強硬論の震源を釣り出す為に日ノ出冬美を利用する事も考えた。

 その最終判断は冬美の上司であり、監視責任者である恋の判断に委ねられ、先日口実に使えそうな『機密資料庫の閲覧』という行動を冬美は取った。

 あとは恋の胸先三寸だったが──、冬美を囮に出すのは止めにした。

 

 

 

 

「(三番組に貢献してもいるしね、ここで手離すのは惜しいわ)」

 

 

 

 

 ──そして、ベルからも送られている三番組の報告書。

 それに傍証として隣接する二番組や五番組の報告書や、十番組での実習中などの働き振りを見れば囮として軟禁し、無為にするのは些か惜しい。

 ──実際もう内通者候補は、防衛事務次官・国家公安委員長・内閣官房副長官の三人まで絞られているのだ。

 冬美を囮にすれば確定の一助にはなるだろうが、しなくてもやり様は幾らでもある。

 上層部の面々がそれぞれ疑心暗鬼にお互いを監視し合い──ひっそり、総理の()も監視に紛れている──この状況では、八雷神に情報を流すのも難しい。

 

 

 

 

「(──けど、八雷神は必ず仕掛けて来る。敵討ちか、内通者への接触か。何にせよ邪魔になる魔防隊が真っ先に狙われる)」

 

 

 

 

 

「(その時までに仕上げてね?日ノ出冬美?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──……復調したと言う事は。

 物事を自らの都合の良い様に捉える、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 『構えがブラフ(嘘の隙)だったらどうするのか』。

 『ベルや組員を依存させ、洗脳してはいないのか』。

 『ベルを守る為に八雷神に寝返る恐れは無いのか』。

 『今までの勤務態度が油断を誘う罠では無いのか』。

 『──常時魂の守りを発動出来る様になった時、自分(山城恋)はどうするのか』。

 抜けている、大した事は無い、私ならなんとかなる、……そんな風にして重視していない危険な可能性はごまんと有る。

 勿論冬美は魔防隊の業務を怠らず、裏切らず、ベルの助けを遂行している。

 ……だが防衛大臣に密かに危惧されている『危うさ』は未だしっかり恋に根付いているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──しかし先日、その人生で初めて恋の思い通りにならなかったとある『褒美』に続き、二つ目の思い通りにならなかった経験として冬美が恋を穿ったのもまた事実である。

 それが如何に働くかは、未だ未知であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

 

 

 

 ……………………。

 

 

 

 

 ……これは、山城恋を問いたださなきゃならない事だ。

 ……いや、それどころじゃない。

 『守り』の弱点とか、生命力吸って制圧できそうな海桐花さんとか、思いがけず分かってしまった『ベルちゃんの車の運転が慎重で屋根付きの車を選ぶ理由』──致命傷も治ると分かったきっかけが魔都での自動車事故だった──とか、

 

 

 ベルちゃんが痛くなかったか、とか。

 

 

 聞きたい事は山のようにある。

 

 

 

 

「……ふ、冬美さん?」

 

「…………ごめん、大丈夫」

 

 

 

 

 ……けど今聞いたら山のように溢れ出て……、過保護になり過ぎる。

 ……少しずつ、ゆっくり、絶対、聞いていこう。

 

 

 

 

「……ベルちゃん、嫌な事は嫌って言うんだよ。私相手にでもね」

 

「は、はいっ?分かりました、……?」

 

 

 

 

 それでもとりあえず、言うべき事は言っておく。

 さて……、話を戻そう。

 

 

 

 

「……で、今のベルちゃんの攻撃方法はその『攻め』をぶつけるか、魔都用の拳銃を撃つか。この二つで合ってる?」

 

「はい……。……でも、『攻め』は冬美さんがやってくれたみたいに足止めされてる敵か、みんなに攻撃されて弱ってる敵にしか決められなくて……」

 

「普通の醜鬼相手でも、元気いっぱいな所に飛び込むのはできない、と。拳銃も派手に動かれると外す、あるいは一発で仕留められないかも、って感じかな?」

 

「はい……。……やっぱりもっと身体を鍛えた方がいいんでしょうか?」

 

「ふむ……、…………」

 

 

 

 

 それは確かにそう。

 例えば京香さんくらい鍛え上げれば、不死身の肉体と必殺の攻めを如何無く活かした上でそれ以外の徒手格闘や武器使用も強力な近接戦の王者になれるだろう。

 ……ただ、トレーニングって徐々に負荷を増やしていくものだから、すぐには成果が出ない(能力が関与する場合を除く!)。

 だいたい三年、全く鍛えてない訳じゃないはずなのに今、この現状となると八雷神との戦いには……多分、間に合わない。

 

 

 

 

「……まぁ動ける方が選択肢も増えるし、身体を鍛えとくのは私もやっといた方がいいと思う。だけど別の道を探したい、かな?」

 

「別の、道?」

 

 

 

 

 だから、模索するのは違う道。

 

 

 

 

「それで『攻め』についてもっと詳しく知りたいんだけど、いいかな?『守り』を発展させるのはちょっと難しいというか……、事故が怖いから」

 

「はい、いいですけど……」

 

 

 

 

 というわけで。

 質問タイム。

 

 

 

 

「まず、水や空気の『命』って抜ける?」

 

「空気⁉︎抜けない、と思いますけど……。抜けるんだったら光らせる時、空気に邪魔されちゃうと思いますし……。水の方は光らせるところまではできたんですけど、手を入れると光が乱れて……。掴むのも上手く行かなくて……」

 

「なるほど。じゃあ、今まで『命』を抜いた一番大きなものは?」

 

「……この前、冬美さんが足止めしてくれた醜鬼か、あそこの岩山の、上から二番目くらいの岩と同じ大きさの岩、……だと思います」

 

「……あれこの前の奴より大っきくない?うーん、()()()()()()使()()()()()()()()()()()?万が一魔都が灰になったら大変だからって止められた?」

 

「そ、そうです、地面はやめなさい、って総組長が……」

 

「…………。ぶっちゃけ地球に使ったら地球の『命』、取れるの?」

 

「ち、地球⁈えっと、『命』を抜くにも力を入れないといけないので……、……地球の『命』が大き過ぎるとベルでは抜けないかもしれません」

 

「ふーん、じゃあ『命』を抜いてる最中のベルちゃんを私が抱えて引っ張ったら『命』って抜ける?」

 

「えっ⁈た、試した事無いです」

 

「『命』って“手”じゃないと抜けない?足の指で掴んだりとか、口で噛み付いたりして抜ける?」

 

「それも、試した事無いです」

 

「手で掴んで、引っ張って抜いてるけど、はたいたら向こうからポーン!って『命』が出た事ない?」

 

「掴まないと、『ウオギャアアアアア⁉︎』ひゃっ⁉︎」

 

「足、手、と。この醜鬼の腕だけ、とか上半身だけ、とか抜き取れる?」

 

「それは無理でした……、全部灰にしちゃいます……。よっ、と」

 

「『アアア……』ありがと」

 

「いえ……」

 

「その『命』を保存できるって事は?すぐまた突っ込んだら元に戻ったとかは?」

 

「できなかったです……。あとそもそも抜いた『命』はベルには戻せません……」

 

「そっか、“『命』を自由に扱える”って訳じゃないんだ……」

 

「はい……」

 

 

 

 

 ぐうぅ〜、

 

 

 と、お腹が鳴った。

 

 

 

「あっ……」

 

 

 

 

 私じゃなくてベルちゃんの。

 

 

 ……ベルちゃんの頬が真っ赤になってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……続きは中でしよっか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます、溝畑(みぞばた)さん」

 

「いえ……」

 

 

 

 

 三番組寮調理室で手伝ってくれたのは三番組寮管理人の溝畑(みぞばた)茅生(ちえ)さん。

 この人は困り眉で、ベルちゃんのお母さんだと言われたら信じてしまいそうな雰囲気がある。

 

 

 

 

「……。それでは……」

 

「これからもよろしくお願いしますね」

 

「……、……はい」

 

 

 

 

 まだまだ仕事がある溝畑さんを僅かとはいえ引き留めてしまうのは承知で……、声をかけておく。

 ……内心めっちゃ迷惑がられてても効く!…………と、思い、たい……!

 …………けど迷惑がられてたら効かないよなぁ……。

 

 

 

 

「お待たせしました!あの、違うとこに入れてて……」

 

「いいよいいよ」

 

 

 

 

 そんな事を思っていると入れ違いでベルちゃんがやって来る。

 

 

 

 

「じゃあまず続きからだね、ベルちゃんが『命』を抜いた最小のものって何?」

 

「最小……?…………確か、果物くらいのものから抜いた覚えはあるんですけど、なんだったかは……」

 

「って事はこのおにぎりと同じくらいかな?はい、どうぞ」

 

「っ、ありがとうございます」

 

 

 

 

 という訳で溝畑さんが握ってくれたおにぎりを渡す。

 具はたらこ、海苔を巻かれたおにぎりだ。

 

 

 

 

「さて、ベルちゃん。()()()()()()()()()()()()()()

 

「?一つじゃないんですか?」

 

「うん、一つだよ。──()()()()()()()()()。何百粒の米粒と何千粒のたらこを一枚の海苔が巻いている。……さて、ベルちゃん。これを聞いてもまだそのおにぎりは一つだと思う?」

 

「…………うーん……」

 

 

 

 

 悩んだ顔のベルちゃんはぱくり、とおにぎりを食べる。

 

 

 

 

「……分かんないです」

 

 

 

 

 言葉とは裏腹に表情が明るくなってる。

 かわいい。

 

 

 

 

「そっか。もっと食べる?」

 

「……はい、いただきます」

 

「うんうん。()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「?なにがですか?」

 

 

 

 

 ベルちゃんはもぐもぐしながら聞き返す。

 かわいい。

 

 

 

 

()()()()。全てのものは分子の集合体であるなら、その一つ一つを捉えられれば『攻め』で全て灰にする事なく切断したり、穴を空けたりできるかもしれない」

 

「…………」

 

「逆にざっくり一つのものだと捉えられるなら、砂粒に満ちた砂漠や分子が散らばる空気でもまとめて『攻め』で分解できるかもしれない。……まぁ『笑う寿老人(カノープス)』に対象となる大きさを判定するシステムがあるのかもしれないけどね?」

 

「……すごいです」

 

 

 

 

 ベルちゃんの顔が、ちょっと暗くなる。

 

 

 

 

「冬美さん、よく考えてて……」

 

「──大丈夫!ベルちゃんだってすごいよ!組長やれてたんだもん!」

 

「ふ、冬美さん……。……ベルも、冬美さんみたいに、なれますか?」

 

「?」

 

「その、

 

 

 

 

 

 

 

 

──高みを、目指せますか?」

 

 

 

 

「──そう思ったなら、もう目指してるし、歩んでる。私はそう思うな」

 

 

「ベルちゃんにしか見出せない、ベルちゃんにしか歩めない道」

 

 

「思う、ってとっても大事な事だから。少なくとも私はそうだった。……ベルちゃんの歩む道を、私は歩めない。だけど声も助けも送るよ、未熟だけどね?」

 

 

 

 

「──はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようやく、ベルちゃんが満面の笑顔を見せてくれた。

 

 

 

 

 ──とってもうれしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、それでこれがベルのトレーニングメニューです」

 

「おっと、ありがとう」

 

 

 

 

 と、ここでベルちゃんに取って来てもらったものを差し出される。

 ちょっと気になる事があったので、私が溝畑さんにおにぎりを用意してもらってる間に探して来てもらった身体を鍛えるトレーニングメニューが記された紙だ。

 落書きやメモの類は書かれていない。

 紙の質も新品ではなく、二、三年くらいの年期を感じるものだ。

 

 

 …………。

 …………この時点で、ちょっと嫌な予感がしている。

 

 

 

 

「…………」

 

「でもどうして気になったんですか?」

 

「…………ベルちゃん。これ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「?」

 

 

 

 

 ……この様子だと、誰も気付かなかったみたいだ。

 身体が重要資本の魔防隊では知ってて当然だとされてるのか……。

 

 

 

 

「……ベルちゃん。トレーニングってのは、慣れてきたら負荷を上げてかなきゃなんだ。負荷をかける事で、それに耐える力を養う。それが基本だからね」

 

「?…………。……、……あれ、冬美さんって、そろそろ魔防隊に入ってから一ヶ月でした、よね……?」

 

「うん、()()()()()()()()()()()()()()()()()。……ベルちゃん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「え」

 

 

 

 

 ベルちゃんが、固まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(……ベルは……)(……ベルは……)

 

 

 

 

 ……調理室の隅っこに顔を向けて、膝を抱えてどんよりベルちゃんが落ち込んでいる。

 ……これはちょっと誤解させちゃってるな。

 

 

 

 

「……まー、トレーニングは後で見直せばいいよ、『()()寿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……えっ?」

 

「ごめん、気になったから逸れちゃった。身体を鍛えるのも大切だけど、私が気になるのはあくまで別の道だからね。それで続きの続きで質問なんだけど……、()()()()()()()()()?」

 

「……『命』は近付いて、手で触れないと……」

 

「ごめんごめんごめん、聞き方が悪かった」

 

 

 

 

 ……てかこれはこれ以上誤解を招かないように、先に言った方がいいな。

 うん。

 

 

 

 

「私が考えてるのはね──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──……冬美さん、その……。……本当に殺し屋とかやってないんですよね?()()()使()()()、普通に生きてたら思い付かないとベルは思うんですけど……」

 

「え、そんなに……?」

 

 

 

 

 ……説明しきったらベルちゃんにまで前歴を疑われてしまった。

 ……えっ、マジでなんで……?

 

 

 

 

「誰だって能力持ったら『こう使えるかなー、ああ使えるかなー』って考えたりしない?」

 

「……それは、そうですけど……。なんというか、徹底的というか」

 

 

 

 

「……ウチもそう思った」

 

 

 

 

 入り口から、割り込む声。

 

 

 

 

「『桃』ってなんつーか“特別”じゃん?より強い力を出せるようには鍛え上げるけど、アンタみたいなのはそういないっていうか……。……もちろんアンタや組長がそれだけ考察できる能力ってのもあるんだろうけど」

 

「ひ、肥後さん」

 

「副組長」

 

 

 

 

 調理室の入り口に立っていたのは、三番組の副組長。

 難しい表情をした肥後紅葉さんだった。

 

 

 

 

「……ねえ、日ノ出……さん。……その『副組長』っての、できればやめてもらえない?ムズムズするって言うか……、……大分歳上のひとに言われんの、落ち着かない」

 

「えっ?」

 

「……アタシ、19だよ」

 

「ええっ⁈」

 

 

 

 

 21くらいかと思ってた……。

 

 

 

 

「21か2くらいかと……。経験ありそうですし……」

 

「……確かに魔防大附属は出てるけど、それだけだし……。……あと三番組はアンタより歳下しかいないよ?」

 

「えっ、本当(ほんと)?」

 

「ほんとですよ?新粥さんと上総さんが18で……」

 

「えっ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()⁈」

 

「は、はい」

 

 

 

 

 ……調べが足りなかった……。

 てっきり魔防隊経験が少ないベルちゃんを、魔防隊経験が多い人達で支えてるものかと……。

 ……まぁ、そっか、年齢は関係無いか……、……私だって魔防隊では七番組の索敵係の小学生(何度聞いて思い出しても驚きしかない‼︎)・大川村(おおかわむら)(ねい)ちゃんの後輩にあたるんだし……。

 ……『組に歳下ばっかり』なのもベルちゃんの精神的負荷になってたんじゃないだろうか?

 『歳下には頼れない』みたいな感じで。

 

 

 

 

「……そんなに驚く?……いやウチもアンタの事21ぐらいだと思ってたけど……、……それでもアンタにそんな驚かれるのは納得いかないというか……、…………アンタ若いのか年食ってるのか分かりにくすぎ‼︎」

 

「……そうなのベルちゃん?」

 

「冬美さんはなんか、すごく明るくなりましたけど、年齢がどう見えるかまでは……」

 

「組長アンタもだよ!アタシたまにアンタと多々良組長が同年代に見えるんだよ‼︎この若作りどもめ‼︎」

 

「えっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜……、……で、さ。……ずいぶん話それちゃったし、……いやウチが切り出してなかったけどさ、…………協力するよ」

 

「えっ?」

 

「……だからさ、協力するよ。……これでも、三番組の副組長だから。……話こっそり聞いてたけどさ、アンタの考え、アタシも力になれるんでしょ?」

 

 

 

 

 ──‼︎

 

 

 

 

「肥後さん……」

 

「‼︎──ありがとうございます‼︎肥後さん‼︎」

 

「いや頭下げるなって!歳上にやられると断りづらくなんでしょーが‼︎……あ、いや、その別に頭下げられたからやるんじゃなくて」

 

「い、いいんですか?」

 

「いいんですかも何もアンタがここ(三番組)の組長でしょーが、もっとコキ使うくらいでいんですよ多分」

 

 

 

 

 じゃあ──、──‼︎

 

 

 

 

「……日ノ出、さん?」

 

「冬美さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「──聞かれたくない話なら後でも受け付けるよ?」

 

「……いえ、貴方には既に見抜かれてしまっている気がしてならないので……。……此処で、話したいです」

 

 

 

 

 少し大きめの声で呼びかける。

 すると戸口を潜って現れたのは浮かない表情の新粥小粋さん。

 

 

 

 

「新粥さん⁉︎」

 

「──()()()()()()‼︎()()()()()()()⁉︎」

 

 

 

 

 どしーん‼︎

 

 

 ……、ずでん!

 いたたたたたっ……。

 ……でっでっでっでっ……。

 

 

 

 

「……なんで分かったんです?」

 

 

 

 

 ……なにやらずいぶん痛そうな効果音に続けて現れるのは上総ちゃんこと上総鞠ちゃん。

 

 

 

 

「勘だよ。保冷剤、いる?」

 

「はい……、ありがとうございます……。……痛てー」

 

「上総さんも……」

 

 

 

 

 これで今三番組に詰めてる組員が、全員集まった。

 

 

 

 

「えーと、何から話そうか?」

 

「……アンタの考えをもう一度話す、でいんじゃない?ちゃんと聞けてたか分かんないんだし」

 

「うん、それがいいね」

 

 

 

 

 ──というわけで。

 がし、っ。

 

 

 

 

「えっ、冬美さん?」

 

 

 

 

 ベルちゃんを前に出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()‼︎」

 

 

 

 

 そうして改めて、頼み込むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 ……18巻を信じるには、余りにも6巻などの描写がノイズになってる。
 そんな総組長とベルの関係。
 ……いやまぁベルが成長した、でもいいんだけど……。


 あっ、冬美と山城恋の対峙はちょっと未来の時系列です。


※未来の未来

「よーしよしよしよし」

「(……なんだこれ……)」

「……うん、貴方はかわいいものだわ。あいつに比べて」

「(……なんか新しい人が出て来たけど、あいつって、誰……?)」

「でも、そうね……。まずは貴方からよ、和倉優希。……楽しみに待ってなさい?」

「(何を……⁈)」


 そんなやり取りがあったというウワサ。



:冬美
…山城恋と互角の素養があるとその行いで示すのはもうちょっと後の予定だったけど殴り込んだ。
 素質最強格な主人公です。
 18から27までめちゃくちゃ幅がある上どれも正解ではない年齢だと見られてたけど、この人も年齢当てを間違えてる。
 まあ自己紹介などの不十分という事で。
 …………年齢を推察させるもの(学校制服など)無しに見ただけで年齢が分かる人ってどれだけいるのだろうか。
 キレてた。
 ヤバい。
・『大山の魂』
…『もし総組長の能力が一つに集中したらどうなるのか?』
 ……ヤバい。
 【援姿】
…『支えさせ』。
 最大限力を発揮し、タイミングさえ合えば山城恋の一撃ですら止められる。
 ……最大限力を発揮できて、タイミングさえ合えば。
 これを使いたいタイミングがすぐ来ても今の冬美では合わすのも最大限力を発揮するのも難しい。

:ベル
…かわいい。
 トレーニング云々は原作で小学生に気を遣われるくらい体力が無かったのを、その小学生がすごいのかベルが弱いのか計りかねた結果のオリ設定です。
 ……20歳とした理由の一つは13巻ライナーノーツで組員達を『炎使いの子』のように『子』と付けて呼んでいたから。
 『20より上の人を“子”付けはしないよなぁ……、する性格って感じもしないよなぁ……』『……まぁ中年・老年なら別だろうけどそこまで年食ってる感じはしないよなぁ……』『自分より歳上の人にもそうそう“子”とは付けないよなぁ……』『……じゃあ、この辺?』みたいな感じで決めました。
 もちろんライナーノーツから変更されてるかもしれないので、オリ設定です。
 かわいい。
・『笑う寿老人(カノープス)
…原作で運動して息を切らしていた事からどうも疲れはする模様。
 顔を歪めたり、喉を押さえてる描写から多分痛みや苦しみも感じてる。
 で、攻防揃ってるのに“動”……、……機動力は助けてくれない。
 ……結構穴あるし、他の組長相手に戦った時相性が良さそうな人がいないぞ?(一・七→近接戦能力で上回られてる。二→+一体や二体灰にしても数の暴力で上回られる。五・六・九→遠距離から攻撃できる。八→氷漬け。“刀”次第ではマズいかも。十→作中発言の通り。)
 それ以外の作中で答えた事はオリ設定です。
 『……『守り』が致命傷からも再生するってどうやって知ったんだろう?』『陰陽寮があるとは言えそうそう人体実験もしない……よなぁ?』『でも京香さんもワルワラ氏さえも知ってたくさいんだよなぁ……』『……醜鬼にやられたならトラウマで戦えなくなりそうな感じがするし……』……という訳で『致命傷も再生できる事は魔防隊に入ってから自動車事故で明らかになった』としました。
 ……軽めで済んだもののベルは自動車の運転などがトラウマになってしまっている模様。
 ……死ぬような目に遭ったらそりゃトラウマになるよ。

:恋
…キレた。
 クソみたいな油断持ち。
 ……まだ危うい傲慢は抜けない。
・『万物を総該した無限宇宙の全一』
…名前がクソ長い。
 よく考えたらこの時点で分かってる能力どれもベルの天敵だよな、って気付いた。
 ……まぁ、強く出られる人のが少ないだろうけど……。
 あと冬美相手の能力の無効化は最大火力の【光】を封じられるので全くの無意味という訳ではない。
 ……ではない、が……。

:銀奈
…「あれっ、冬美さん!恋サマにご報告ですか?」
 「銀奈ちゃん、うん、そうだよ。……銀奈ちゃんもそうなら、先報告する?」
 「いえいえ、緊急のものではないので、ここは順番通り冬美さんからどうぞ。恋サマの部下としてそこらへんの順番は守りたいですからね」
 「じゃあお言葉に甘えて。……怖がらせちゃったらごめんね?」
 「?『恋、キレる。執務室を突き抜ける怒気』『“稽古”。低く、重く響く殴打音』『冬美、キレる。総本部を揺るがす怒気』────」

 ……そんな訳で二人の怒りを至近距離で浴びてしまった人。
 ギリギリ失神などはしなかった。
 えらい。

溝畑(みぞばた)茅生(ちえ)
…三番組寮管理人。
 あんまり前に出ない。
 もちろんオリキャラです。
 ……てか管理人の平均も分からん……。
 まず間違いなくイレギュラーなのが優希だろうけど……。
 一話もかけずに採用通してたけどあれは組長に許された権限なのか、それとも優希が男だからなのか……。
 ある意味魔防隊より謎……。

:紅葉
…ピッチピチの19。
 なんだかんだベルが組長だと思ってるらしい。
 ベルを助けたいという冬美の頼みを聞いてくれた。
 冬美は21〜22だと思ってたけどまだ10代。
 …………はっきり顔は分かるんだけど、この人ベルより歳上な感じもする……。

:小粋
…普通に18。
 何か隠してる事があるようだ。

:鞠
…「(あれ、組長だ。何しに行くんだろ?)」
 「(げっ、新粥⁈か、隠れ場所は……)」
 「(……天井に張り付く!)」
 「『新粥、呼ばれる』(ば、バレたかと思った……)」
 「(そうだよね、バレないよね『上総、名指しで呼ばれる』⁉︎)」
 「(‼︎)『焦ってつっかえてた手足を離してしまうもギリ着地する』」
 「(──‼︎)『しかし焦って普通に転んで板敷きに強打』」
 「(いったー……)『調理室へ』」


 ……そんな流れで作中の痛そうな効果音は生まれたのです。


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