その歩み、大山へと至る 作:枯山水の庭園
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……。
「──これで終わりね」
「……ぅ、……あ……」
──この戦場に於ける、神奉者最後の抵抗が潰えた。
此処は魔都西方・八番組担当区画──
その名を『
「しっかしあっさり終わっちまったなー」
「信心の賜物よ」
八番組組長ワルワラ・ピリペンコと八番組組員ジェナ・ステイプルズは
彼女達は最も早く神奉者達を迎撃し、ワルワラが振るう“奇跡”によってあっさりと片付けてしまった。
ジェナの仕事は巻き添えで凍った醜鬼を砕くくらいだった。
「──やはり魔防隊全体が襲われているわ。総本部どころか現世でもね」
そして、先に横浜でも戦った副組長のプラチが聖堂内に招かれる。
彼女は『
「やっぱ八雷神の仕業なのか?コレ」
「戦況は?」
「まだ戦闘が続いてるわ。制圧は私達が一番早かったみたいね」
プラチが覗く端末には、二番組・六番組・七番組・九番組に
「──援軍に出る必要は?」
「敵を拘束しているならその監視に務めるように、との命令よ。後で回収班を向かわせる、って」
「了解したわ」
「
聖堂に祀られるワルワラの信仰の対象に見下ろされながら、プロフェッショナルとしての会話が交わされる。
八番組は魔防隊でも珍しい能力を持つワルワラを軸に戦う組だが、機動力には欠ける面がある。
尤も、それは能力の低さを意味するものではない。
「──組長‼︎」
「!」
──だから神奉者達の異変にも気が付けた。
ジェナが能力で出した盾を構えてワルワラを庇う。
──……例え自らに従う者相手であっても、八雷神から人への悪意は発揮される。
△
「(──ぐうっ……!油断できないわ、こいつ!早く振り払わないと……!)」
──三番組を襲撃した三人の神奉者は、
魔防隊の組長にもひけを取らないと目される高い戦闘能力もさる事ながら、老獪で狡猾な立ち回りもまた彼女等が恐れられる理由の一つだ。
与えられた醜鬼を共に攻める軍勢ではなく、魔防隊の消耗を誘う捨て駒として使う──それも負担が増えるように魔都を徘徊する醜鬼も追い立て加える事でより数を増して。
彼女達以外の大多数の神奉者が切り札として使う八雷神から受けた改造による醜鬼化を、最初から使って臨む──しかも醜鬼を倒しきって気が緩んだ所を神速で奇襲する。
その目論みは問題無く実行出来た。
「了解!──っ‼︎」
──出来た、が、今その翼にしがみつく組員のせいでその効果は限定されてしまっている。
咄嗟の行動は神速の奇襲を防ぎ、その手から放つ光線はまともにやり合っては消耗間違い無しの醜鬼の群れを消し飛ばした。
油断は出来ない。
幸い、振りかぶられる拳は空中で腰の入ってない
受け
「────」
山が、ぶつかった。
「──ハッ、ぁああああーっ‼︎」
「ぎっ……!」
──意識が飛び、墜落寸前だった鳥人型の彼女は組み付く組員に苦悶を吐かせながら、危うく急上昇する。
「(……変身しなきゃ死んでいた……!……こいつを好きにさせたら死んでしまうっ……‼︎)……ああああぁあー‼︎」
「……ぐぅうううううう……‼︎」
巨大な山塊が激突したかの様な、恐るべき重さの一撃を喰らった彼女は今も組み付く脅威を引き剥がすべく飛び回る。
魔都の岩盤に擦り、ぶつかり。
急上昇、急降下、錐揉み、宙返り、不安定な軌道で飛びながら遠心力で圧を掛ける。
──だが苦悶を零しながらも、そいつは離れない。
「(……もしかして、こいつが⁈「【震動】‼︎」がああっ⁈」
その姿に八雷神の
「【光】っ‼︎」
「ぎゃあっ‼︎(……不味い!落ちる訳には……‼︎)」
間髪入れずの目潰しで視界を失った彼女は頭の中の配置を頼りに無視界で岩や地面を避ける。
……だが、その軌道はぐらぐらと揺れ動き、奇襲を仕掛けた時の様な神速のキレも速さも無い。
「(鎖のせいで上手く飛べない……!この距離では【
それは巻き付く鎖でその片翼が封じられているからである。
口から吐く岩すら溶かす溶解液も、組み付いている相手に放てば自分にも降り掛かってしまう故に放てない。
「(──手が足りない、っ!)」
一方で、組み付く組員──即ち冬美は文字通り歯噛みしていた。
「(しがみつくのは問題ない!でもこのままだと倒せない!【震動】だって慣れられる!)」
空折の身体で曲芸飛行に振り回される経験をした冬美にとっては、今の動きは体験済みも同然だ。
──だがしがみつく相手を攻撃する手段を見つけられない。
両腕、もとい両手を塞いだ時に取れるのが、
「(‼︎)蹴りぃ‼︎」
「ぐっ⁉︎」
──下半身をまるで使ってない事を閃き、繰り出した蹴りは声に出した事で体を捻って避けられボッ‼︎と凄まじい勢いで空を掻く。
「(落ち着いて……、落ち着いて……。この状況なら……)──こう‼︎」
「‼︎」
しかしそれが無駄になる事は無い。
簡単な事を思い付けなかった焦りを鎮めながら、蹴り出した足ともう片方の足で、その鳥脚を──挟み込む。
「(よし‼︎)」
「(まずっ……)……ギヤアアアアア‼︎」
それは敵と自らとの固定具と化し、
それを不味いと認識した鳥人型だった、
──が、次の瞬間万力で潰される様な痛みが彼女を襲う。
「(‼︎)しまっ……」
「このぉっ‼︎」
【援姿】で上乗せされた剛力が隙を作る。
──魔都の大地に轟く衝突音、そして大気を灼く大音。
それを取り巻いて、乾いた発砲音が七つ、叫びを上げる。
△
「ほれぇっ‼︎」
「……っ!」
──相性というものがある。
「このっ‼︎」
「効かんわぁ‼︎」
──状況というものがある。
「ハァ……、ハァ……」
「ふー……、ふー……」
「ハハハ‼︎息切れしておるわこやつら‼︎」
「結界を壊すまであと一息だな……!」
……そのどちらもが三番組に不利に働いていた。
「(……アタシのバカ野郎……!
三番組がこの戦場で相対する敵は格闘型と重甲型、──どちらも近距離戦闘で力を発揮して来る。
鳥人型の奇襲に動揺した隙に、得意な交戦距離が中遠距離に偏っている三番組が不利な間合いに一気に近寄られてしまっている。
それは副組長にして三番組最高火力の紅葉にとって、後悔してもしきれない失態だ。
「(結界ももうヤバいでしょあれ……!あんなビキビキなって……!)」
しかしそれだけなら後退して間合いを取り直せばいい。
……それが出来ないのは此処が三番組寮を囲う結界の際、もうこれ以上後退出来ない状況だからだ。
いや、既に何百という醜鬼の大群を受け止め、間を置かず格闘型の殴打や重甲型の体当たりを喰らった結界には余裕が無い。
補完修復機能を超えた負荷に、通常不可視であるその境界面は硝子の罅に似た亀裂に曇ってはっきり姿を晒している。
結界を越えられれば拠点である寮が、ひいてはその内奥で
……だが三番組にとって、それを為すには結界際のこの戦場は狭過ぎる。
その上……、
「──むっ‼︎」
「‼︎【
「──甘いわあ!」
「それはどーかなっ⁉︎
「【
鞠が滞空する高度より
──が、その隙を紅葉が
──しかしそれも重甲型にあっさり弾かれる。
だが弾かれた
その弾幕は並みの醜鬼どころか特殊醜鬼であっても無惨に食い破り、焼死させるだろう。
「──
「おう‼︎──すぉおおおおおお……っ!」
「ぐうっ……‼︎」
「げっ……!ヤバ!」
……だが敵は並みの実力ではない。
……弾幕は身体毎回転する重甲型に全て散らされ、僅かな痛痒にもならない。
そしてその守りの内で格闘型は上半身の形が変わる程に大量の空気を急速に吸い込む。
それは地表に立つ紅葉が靴を踏み締めて唯耐えねばならず、滞空する鞠が姿勢を崩される程の強烈な気流を生んでいた。
それでも『
「────っ‼︎」
「小粋!」
──だが『
煙の制御を乱され、吸い取られ、身体を支え浮かばせられる量を失った小粋は狙撃銃を手に潜んでいた上空から急速に墜ちて行く。
「──小粋ぃ‼︎」
その軌道に全速力でエンジンを噴かした鞠が間に合った。
「──ぷおっ‼︎」
だがそれは、次に起こる空気の吐き出しを止められない事を意味し、
「がぁ‼︎」
「ぐっ……!」
「ぎぃ、っ‼︎」
次の瞬間三人は諸共に吐き出された空気弾を喰らい、結界に叩き付けられる。
……最早対象識別すら碌に働かない結界は、罅を更に大きくした。
「まだまだだあ‼︎」
「……ゲホッ」
すかさず重甲型がその重量を最大に発揮した体当たりで追撃を仕掛ける。
標的は──冬美と共に火力を発揮した、紅葉。
こみ上げる血反吐に、回避を妨げられる。
「そらぁ‼︎」
「────」
今度はその巨躯と結界に挟み付けられ──、結界が割れた。
硝子のドームが崩れ落ちる様に、穿たれた穴から三番組寮を囲うその総体が崩壊していく。
「──【
「
「【
──目に見える戦果に、一瞬気が緩んだその瞬間、
圧縮され白熱する炎の槍が、
最大の威力と貫通力を持つ砲撃が、
緩めた瞬間一気に爆ぜる煙の滴が、
「──っ⁉︎」
一斉に重甲型を襲った。
「──⁈おい‼︎」
姉妹の元で迸る閃光、爆炎、轟音に格闘型は狼狽える。
「【
「
「これならっ……‼︎」
「があっ⁉︎しまっ──」
そして
「──……まだ行ける?アタシは【
「……ええ。行けます……!」
「……ハァッ、絞り出す、っ……!」
……
幸い、三人とも
血に塗れ、傷を負いながら、──声に出さず目線で語り合い、確かめ合う。
『『
「──こんのっ、小童らめぇ‼︎」
「
……小粋が狙撃銃を借りてまでわざわざ上空から射撃を行なったのは、
魔都用に手を加えられた銃弾を軽々弾き、対処するばかりか、遠距離火力に長けた紅葉と鞠のコンビですら痛打を与えられない、そんな敵であろうとも『
その試みは敵の言動を見る限り成功している。
……但しその後、火柱を裂き、格下だと見下した相手から攻撃を
「(あの
「(かと言って其方を潰そうとすれば重甲型が盾になる……。彼方も歩調を合わせられるくらいの速さは有りますし、重甲型に徹る様な攻撃を準備すれば、その隙を狙われる……‼︎)」
「(
火炎や誘導弾すら容易く叩き落とす格闘能力に、脅威の肺活力で飛行や煙の展開を邪魔した上で空気弾という遠距離攻撃に変えて来る格闘型。
唯只管に堅固な防御力で大半の攻撃を無効化し、力を込めた攻撃で漸く
……この二人の補完が強固に組み合わさってしまっている。
格闘型が耐えられない攻撃は重甲型が防ぎ、重甲型に通用する攻撃は格闘型が潰す。
その総合力を三番組の面々は『組長二人分』の力が有ると見立てた。
……この連携をなんとかしないでベルに奇襲させても返り討ちに遭うだけだろう。
……或いは冬美が残っていれば、三番組寮に居た中ではトップの近接戦闘能力に【援姿】による攻防の上乗せ、加えて【光】と【震動】の火力で捻じ伏せられたかもしれない。
……だが彼女は同等に厄介で、なおかつ三番組にとって致命的な天敵を抑えながら飛び去られてしまった。
「「「(でも、やるしかない……!)」」」
「……いいや、やってやるよ」
「……諦めては顔向け出来ませんものね」
「あたしらだって魔防隊で、先輩なんだ……!」
しかしそうして御膳立てされて尚、魔防隊としてもう敗北の瀬戸際だ。
もう退けないと突き付けられ──、──誰よりも新人でありながら真っ先に難敵を押さえ込み、引き離した一人の組員を改めて思い出し。
紅葉、小粋、鞠は自ら覚悟を決めた。
そして、飛び出した。
「──っ、っ……‼︎」
そして、ベルは襲撃者の背中側を部下と挟んで取っていた。
──ぽろぽろと、涙を零しながら。
『私が、私達が囮になります。其の隙に組長は『攻め』が使える様に待機・潜伏をお願いします』
『でもそれじゃあ、みんなが……‼︎』
『相手は組長級、其れも私達と相性の悪い敵です。……ですが
『貴方の力が必要です、どうか……!』
「……っ‼︎……っ!」
いつに無く感情を顕にする小粋の懇願は、ベルの狙撃ではダメージにならないが故の妥当な懇願であり、──仲間の危機を打開出来る組長への必死の懇願だった。
……だがそれも必要なかったかもしれないのだと、ベルは悔いている。
「(ベルが、ベルがもっと勇気を出せてれば……!)」
……部下にあたる人々がみんな怖かった。
……グズで、ノロマで、終わった後にやって来る役立たずと思っているんじゃないかと。
紅葉ちゃん、小粋ちゃん、鞠ちゃん。
……
もっと早く踏み出せていれば、もっと助け合えていたかもしれない。
「(ベルが、もっと鍛えていたら……!)」
……鍛える間など無いと思っていた。
出動、待機、報告、管理、確認……。
ぎっしりと積み重なる業務を溜めない事で精一杯で、……心のどこかで今の腕で充分だと、研鑽を怠る気持ちがありはしなかっただろうか。
……
……時間管理に気を付ければ、余裕を捻出出来るくらいの
もっと鍛えていれば、もっと助けられていたかもしれない。
……みんなが傷付く事も無かったかもしれない。
結界に叩き付けられるみんな、磨り潰す様に体当たりされる誰か。
それは管轄区域に於いて、三人合わせて出現醜鬼の平均して八割以上を討伐出来る
未経験の事柄に加え、
三人が
ベルが到着した時には全てが終わっていたし、何よりあの頃は
けれど今はもう交流が生まれてしまっている。
それは暖かく、心強く、……涙を生んで、視界を歪め、塞いでいく。
「──……っ⁉︎」
──だが、その涙を貫くように、光差す。
片方は柱となる火炎の。
片方は開花する魂の。
「(…………。…………そんな事、分かってた……。……ベルが誰よりも弱い組長だなんて。冬美さんは頑張った事を見つけてくれたけど、足りない事を見逃してもくれなかった)」
それは、当たり前の事実を思い出させた。
『月夜野ベルは弱い』。
殺し切る事こそ魔防隊では一人しか出来ないが──、
多々良木乃実にも。
上運天美羅にも。
蝦夷夜雲にも。
出雲天花にも。
羽前京香にも。
東風舞希にも。
ワルワラ・ピリペンコは──……よく分からないが。
山城恋は、言うまでも無く。
単純な戦闘力のみならず、組の統率・指揮など、ベルが彼女等に勝る所は一つも無いだろう。
『どれだけやったって、想定外をぶつけられるかもしれないし、単純に上回られるかもしれない』。
……つい昔の冬美の言葉が、
『どれだけやっても足りないかもしれない』
そんな言葉に変わって
「(──でも、ここにいる組長はベルだけなんだ、っ……!じゃあ、やるしかない……!)」
それでも。
此処に居る組長は月夜野ベルしか居ない。
魔防隊三番組組長の、月夜野ベルしか、居ない。
──なら、此処でやる事は『取り乱す』ではない。
「(
……寮側から見ても気付かれ難く、尚且つベルの足でも直ぐに駆け付けられる
狙撃教本の教えは確かな知識として息付き、応用としてその算出を可能としていた。
……すぐにそうと分からないだけで、成長している事柄は確実に有る。
……しかしあの敵に出来る事は
動くものへの『攻め』の行使も出来る様になってきたが、格闘戦が強い相手に決められる程ではない。
『『命』を掴み、引き抜く』工程を必要とする『攻め』の『
そして今のベルに近接戦能力は皆無だ、手加減した冬美相手にすら触れる事も踏ん張る事も出来なかった。
──もし殴られて手を離してしまえばどうしようもないし、手を踏み潰されでもしたら今のベルではもう『攻め』を決められない。
今、この瞬間に暴れ回る敵勢二人に飛び込んだ所で何の意味も無い。
「(だから、チャンスを、タイミングを逃さない……っ!)」
なればこそ、仲間を信じて。
──瞳の涙もそのままに。
ベルはその瞬間を見据えんとす。
△
「ハァ……、ハァ……」
頭が、認識がぐらぐらする。
……髪の毛にべったり血が付いている。
多分頭を打って出血してる。
動くものにしがみつくというシチュエーションでは【援姿】で身体を固めると手がずれて外れそうになって……、……あー、もっと早く足に気付けば良かった。
「が……、……かぁ…………」
で、こいつ生きてるの?
いや声出してんだから生きてんじゃんバカ、……あー……、思考が回らんなーい……。
「……ふぅ……」
……
翼に八発銃弾ブチ込んで、全力でぶん殴って、【花閃】を二発喰らわせてもうボロボロのぐちゃぐちゃだけど。
……いや、油断したらダメだ。
この姿が八雷神に改造されてのものなら八雷神並みの再生・回復能力があってもおかしくない。
……ちょっと特殊だけど、空折は美羅さんにボコボコのボコボコにされても走って相手を殴るくらいには回復できたんだ。
「ふぅー…………」
──なら
熊とおんなじなんだろう、躊躇ったら、死ぬ。
「──」
──熊とおんなじ?
待て、
あいつは鳥型で、腕がなくて翼があって──
「──‼︎」
──
ぞっとする寒気と嫌な予感に背を押され、あの鳥型
「──カァーッ‼︎」
一歩遅く、鋭い痛みが頬を走った。
……その痛みがいい気つけになって頭がはっきりした。
「ガ、かぁ、ぐ、ぐ、があ、っ‼︎」
再変身した敵は明らかに様子がおかしかった。
ぼこ、ぼこ、と身体が膨れ上がったりへこんだりしながら苦悶にも雄叫びにも聞こえる声を漏らし、理性が全く見えない。
……そしてその腕は翼から、羽が生えて鋭く曲がった爪を備える恐竜みたいな腕に変わり、足も走りやすそうな形に変わってる。
……多分、あえて変身を解除して、再変身を回復代わりに使ったんだ。
そして意図してか無意識にかは分からないけど、しがみ付かれても戦いやすい姿になった。
「……第二ラウンド、……」
……身体中が痛いし、血が抜けてる感じがする。
そう何回もできるもんじゃないと思うけど、ダメージではこちらが不利だ。
でも、関係ない、やるだけだ。
「がああああああああ‼︎」
「はあっ‼︎」
突進して来る敵に、鎖を振るった。
「あああああああ!」
「ぎぃっ‼︎」
──それがあっさりかわされて、
──次の瞬間目にも止まらぬ連撃が降り注ぐ。
「ぐ、う、うぅ……‼︎」
「ガががががががががGA‼︎」
まるで鉛筆削りに突っ込まれたみたいに、服が、肌が、肉が、裂けていく……!
【
……ダメだ、っ、このままじゃ……!
「──ぎゅいぅうっ‼︎」
「がAatっ!」
訳の分からない奇声を出して『
こんだけボロボロにされてんなら内から破裂しても大差ないよね、ってノリで。
魂の自爆だと、思ったん、だけど……
あれ?
「思ったより、裂けてない?」
白く、淡く、輝く私の身体はボロボロだけど
……あっ、そっか‼︎
「【光】っ‼︎」
「GYぁッ‼︎」
そこを対象に
ならこれも私の魂‼︎
「──【
「ギャああああああああああああ‼︎」
……あっ、でもだめだこれ、体外の魂動かしたせいか力も意識も抜けるし、魂が少なすぎて威力が出ない…………。
…………なんてやってる場合じゃないっ‼︎
「【
「──!」
ブチのめせっ、討ち果たせっ‼︎
「あああああああああああああっ‼︎」
「……この、っ……、我ら、姉妹を手こずらせて……‼︎」
はっきり理性を保った言葉が、
聞こえた。
「生きて帰れると、思うなぁぁぁっ‼︎」
「げ、っ」
──お腹にパンチが、食い込んだ。
次は額が割れる正拳、すかさずハイキックが側頭、さらに回し蹴りが脇腹、押し潰されて出された息が再び吸い込まれる間すら無い。
練度というものが一発で分かる連撃が成す術なく身体を壊すのを、吹き飛ばされながらはっきり認識していた。
「死ねっ、『
ぼこぼこが収まった敵が何か吐き出すのも、
なんか明らかにヤバそうな液体が私めがけて降りかかるのも、やけにゆっくり見えて。
「──……【
「何っ⁉︎」
とっさに、余裕を持って、淡き魂の発散でそれを弾き飛ばしながら、
「(どうするどうすんの‼︎相手は
頭のどこかは高速で回転して、
「──ふっ」
「っ⁈」
べつのどこかが、
「じゃあ突っ込むしかないよねって言った。
「
「ごぶっ⁉︎」
隙あらばゼロ距離で生命力を吸い取れるように、つかず離れずを維持し機を見て突っ込む
「
「げ、」
転移を前提に、一度の攻撃機会に素早く、鋭く、切り込む
……脳が、割れるっ……‼︎
「
「が、が、が、が、が……‼︎」
今、魂が覚えてる、私より早くて、強くて、上手い人の記憶で無理矢理身体を動かしてるけど……っ、
頭が、っ、割れるぅ、っ……‼︎
「ぐぅっ、……
「ぎゃあああ、っ‼︎」
……
私が無理な動きをして、
「はぁ″、っ、──……〜〜〜〜っ‼︎‼︎‼︎‼︎」
こうして崩れ落ちた所を背後から狙う為の、痛がってる、ふり。
「は、っ」
ニヤリと、嘲笑ってる顔まで見えるようだけど、
「……【
「⁉︎」
「【
固めた身体を【勢動】で無理矢理回しての奇襲攻撃。
──ああ、だけどそれは、
「な、あああああああ⁉︎」
ちょうど敵の一撃と交差して。
それはクロスカウンター、
私の意識は星と吹っ飛んだのでしたっ。
△
兎に角隙を作る事だ。
それが紅葉、小粋、鞠の共通言語だった。
「【
「ぬうっ⁈」
なれば、対応力を削ぐ為に、頭数を増やす。
火炎での飛翔をそのまま衝打の加速に変える、……身体の動きに火炎を合わせるなどよりよっぽど向いてた紅葉流の近接格闘。
「そらぁあっ‼︎」
「ぐう、っ」
まだ、狭い空間で発動出来る制御性は無かったが故に漸く此処で──奇襲となって、放たれた一撃は格闘型の隙を作り、次に繋ぐ。
『
……顔を歪め、異常な発汗をする鞠はもう体力の限界が近い。
「何をする気だあぁ‼︎、っ⁉︎」
「貴方達を、倒すっ……‼︎」
割り込もうとする重甲型の両脚を煙の縄が絡め取り、その大重量を転倒させた。
──最早飛翔の邪魔は、出来ない。
「行っけえええええぇ‼︎」
「(まさか、上から落として殺すつもりか⁉︎)」
ワイヤーを繋ぎ、エンジンが唸りを上げ、炎を噴く。
天頂を目指さんとする真っ直ぐな軌跡が描かれ、
「ぁっ」
──バスン、とその動きを止めた。
天頂になど届きようもない高度でワイヤーが切れ、鞠は墜落する。
「燃料切れかあ……!」
そもそも『
格闘型が顔を歪め嘲笑うように、
「──
「はい!」
「……ぁ……、ぃ……‼︎」
──そんな事、三番組は分かってる。
紅葉の号令の元、小粋が回収、回収された鞠は──いつの間にか外した腰のユニットを、腕の中に移している。
──ギュオオ、と再びエンジンが回る。
「……ぐうぅぅぅう……っ‼︎」
「くうぅ……っ!」
エンジンは高速で回転し、ノズル──否、
「ほ、ら……、……もっ、と、……踏ん張るんだあああ‼︎」
「……うっさい……、……んなのっ、
「此処で、全てを……‼︎」
紅葉、小粋、鞠、三人がかりで保持するそれは正しく『大砲』。
変形したユニットで吸入した炎を増幅、同時に取り込んだ煙と共に圧縮・加熱し、プラズマ状態で放出する魔防隊でも最大級の火力投射機構。
──【
「何……っ⁈止めるぞ‼︎」
「分かっておるわ‼︎す、ぅ」
委細の全てが分からずとも見るからに尋常ではないそれの発射を止めない道理は無い。
だが重甲型の足では届かず、落下途上の格闘型もまだワイヤーが絡まる。
しかし撃つ手はあると息を、
「ぎゃっ‼︎」
「何っ⁉︎」
──吸おうとした所で視界が激しく光り、怯んでしまう。
──気付けば神奉者は
「──あぁああああああっ‼︎」
「あれは!(
必死に、必死に走り、最早無視出来ない距離に走り込んでいるのは姿を見せなかった三番組組長、即ちベル。
「しまった、こやつら、囮か‼︎」
ようやく降り立ち、ワイヤーを引き千切った格闘型は能力を使ったであろう組長に対処しようとし、
「(いや、待て。本当に囮、か?)」
今や肌でも感じる熱量に、迷ってしまった。
「──へへ、バーカ」
結論を言えば、囮である。
【三式決戦砲】は
反動が巨大過ぎて紅葉・小粋・鞠が制御した上で尚、最後尾で冬美が力を出して支えねばならず、それでも消し切れない反動を射手を担うベルが砲身を動かしてようやく
身体能力に劣り、補う手段もなく、既にボロボロである三人では自滅する恐れさえ有る。
「「「喰らえ」」」
──いや、それも正確ではない。
確かにまともに放てない【三式決戦砲】は囮にしかならない。
『砲』としては暴発間近、射線制御もままならず自滅を招くしかないが、──限界間近で発動してすら寮くらいは吹き飛ばせるその熱量は本物。
なら『砲』ではなく『爆弾』として、唯投げればいいだけだ。
紅葉と小粋は最後の煙と炎を手腕とし、ユニットに罅を入れながら投げ放った。
──臨界寸前のプラズマがはち切れる
「──っ」
兎に角隙を作る事だ。
ベルと紅葉、小粋、鞠。
どちらもが囮であり、本命でもある二者択一。
迫る破滅に思わず姉妹を振り返った格闘型は、姉妹が組長に飛び付かれるのを目にし、
視界の全てが眩くなった。
△
光。
それは近所の大きな公園での事だった。
「わあーっ‼︎‼︎‼︎‼︎」
私はとにかくはしゃぎまわっていた。
当時小学生。
何もかもが幸せで楽しかった頃だった。
「…………ん?」
でも、もっと幸せそうなものを見つけた。
同じように遊ぶ子供達。
わくわく散歩をする犬と老夫婦。
笑う赤ちゃんとそのお母さんお父さん。
まる裸でざわめく木々。
飛び立つ小鳥。
みんな、幸せそうだった。
──冬の寒さの中にあっても、みんな幸せそうでいる。
それは幸せで、楽しかった。
「…………」
──
「…………」
あんな、
……今だから言葉にできて、思い出せてるけど。
……あの頃、いつの間にか『自信』が気になって幸せでも楽しくもなくなっていた。
──長らく忘れていた、その履き違えが私の始まりだった。
……太陽になりたかった。
在るだけで強く輝き、
世界の全てを照らし、
その暖かさでみんなを幸せにする。
そんな存在に。
「──もう、なれてると思うよ」
──……は?
ふざけるな。
『えー?なんでなんであんな頑張ったじゃーん⁈冬ちゃーん⁈』
ふざけるな。
あの程度で太陽?
『
黙れ。
私の上に立つな。
『
どけ、私は立たなきゃいけないんだ。
『何が不満だと言うの?皆が羨む魔防隊の一員になって、注目の的。惨めにうじうじしていた貴方とは比べ物にならないくらい強く、強く、強くなれたじゃない?』
黙れ。
私を立たせろ。
『るっはっはっ、あっぱれだったよ冬美!もう頑張らなくたっていいじゃん!お前はもう十分やったよ!』
黙れ黙れ黙れ。
動けよ、私の身体。
『んー?どうして?どうして動きたいの?』
だって、
「──ベルちゃんを助けられない」
──そうだ。
まだあいつが倒れるのを確認していない。
「紅葉ちゃんが、小粋ちゃんが、鞠ちゃんが危ない」
飛べなくても、あの速さで攻撃されるのは危ない。
何より『なんとかできてない』。
なのに寝てられない。
「それでこそ、だよ」
起きろ‼︎私!
「頑張りな」
ああ、ここが暗闇の、夢の中だと分かって。
意識が解けて、崩れていくのを感じる──。
△
「──がぐっ、‼︎」
──砲弾の様な重さの拳だった。
「ごあぁ、っ……‼︎」
諸に顔面に喰らい、吹き飛ばされ、受け身も取れずに荒く、荒く、魔都の大地を転がる。
「……っぉお…………、…………」
脳が揺れ、まともに立つ事も認識を処理する事も出来ない。
やがて、意識さえも途絶え。
「…………はぁっ‼︎…………はあっ…………、……はぁ……。…………やった、……の……?」
──鳥人型だった彼女は、上体を起こした。
「……………………」
対手だった
……だが鳥人型だった彼女は無いのに有る、そんな大穴を覗くかの様な威圧感を組員に感じ取り、一言も喋れない。
「(……確か、桃を採取する別働隊が、魔防隊には居たわね……。……それが、戻って来ていたのかしら……?)」
……恐ろしい強敵だった。
強力な光線に、謎の音波。
その応用と思われる淡き光と轟音のバリア。
凄まじい剛力だが格闘は素人……、だが拙いそれを他人の技で補っている……、……と思わせての前提となる動きを全く読み取れない回転拳。
組長と言われても納得出来る戦闘力、
「離れ、ないと……‼︎」
どの道、生け捕りは叶いそうも無い。
いつ追撃が来てもおかしくはないのだから。
鳥人型だった彼女はなんとか立ち上がり、ふら、ふら、と歩き出す。
「──⁉︎何が、……⁉︎」
その顔を閃光が照らし、魔都を揺らす爆轟音が遅れて伝わる。
──爆発の、火球が咲いていた。
「……あれは、三番組の寮の方だったはず……!」
それが姉妹達が残った魔防隊の拠点の方向に見えたと気付いた彼女は、安否を確かめねば、と必死に足を速める。
──敗因は、恐怖心であった。
常日頃の彼女であればしっかり生死を確認し、とどめを刺していただろう。
……それをしなかったのは対決した組員の力に恐れを成したから。
一瞬も近くに居たくない、一刻も早く離れたい、
「…………──やあああああぁっ‼︎」
「ぐえっ⁈」
──その隙を、日ノ出冬美は逃さない。
△
──……一つ、いい事に気付いた。
「ぐうぅっ……!離、せ……‼︎」
激痛の中では、【勢動】の痛みも気にならない。
……けど、まあ、それはもう身体を動かせないって事でもあって。
──動かせるのは、この魂だけだ。
「震えろ……‼︎」
【大山震動】を、組み付いた全身で発動する。
「無、駄よ……‼︎その音には、慣れた……!」
……だけど効き目はない。
そりゃそうだ、こいつ強そうだもん。
「大人っ、っ
でも全身から、喰らわせ続ければ別だ。
【震動】は音に似た性質を持っている。
曲がる腕や首から放たれた【震動】は【奏砲】のように重なり合って増幅したり相殺して場所によって異なる『揺れ』を生む。
……そして身体に伝わる『揺れ』は、
骨を砕き、肉を裂き、皮膚を切って、鼓膜を破り、脳を揺らし、臓器を引き剥がす。
十番組ではずいぶん時間がかかっちゃったけど、至近距離なら……‼︎
「…………はあ……」
……いや。
「…………はああああああああああああああああ‼︎」
「ぎぃ、やあああああああああああああああ!」
一秒でも早く、落とすつもりで!全力で震えろ、魂‼︎
「ああああああああああああああああ‼︎」
「あああああああああああああああ!」
──……なんか、視界も、光ってきた……!
……
突然、
魂の全てが鮮明に澄み渡って。
ザク、と何かが切れた。
「……ぇ……?」
べたりと、手を濡らすのは
「ぁ」
最初の訓練を思い出して、
意識が、抜けた。
【神奉者・阿南三姉妹、■■──】
……。
※前話で説明しなかった分など含むので後書き長いです!
・三番組VS神奉者
…死力を尽くした。
……原作では、99話の冒頭で三番組は組長のベルを残して、神奉者にたいした傷も与えられず、全滅して力無く転がっています。
……しかも人質とする為に生かしておく手加減までされて。
……そしてそいつらを駆け付けた総組長はあっさり倒した上に『弱い』とまで言い放つ始末。
……さらに言えば三番組はこれで作中二回目の全滅。
現在、作中で唯一結界を破られたのもこの時。
…………。
・実力
…13巻ライナーノーツによれば99話で三番組を倒した神奉者、阿南三姉妹は元組長である下村夢路に準ずる実力者との事。
神奉者の中でも別格らしい。
『姉妹が三人がかりで組長に準ずる』、ではちと弱過ぎるしあんなあっさり三番組を倒せないと思うので、本作では『一人一人が組長に準ずる実力者の三姉妹が阿南三姉妹』だとしました。
……ただなぁー……、……強敵としといてなんだけど原作でのやられ方のせいか三人がかりでも他の組長には負ける気しかしないんだよなぁー……。
・マッチアップ
…ライナーノーツによれば最低でも紅葉・鞠の二人を倒した鳥人型。
そんな三番組+の天敵を冬美が引き剥がした結果……、……残った奴等も普通に強い上に相性も悪く大苦戦。
……かと言って紅葉や小粋では速度が足りないし、ベルではそれに加えて手が届かない、鞠の場合【溶命液】を防ぐ手段も耐える手段も無い為一番悲惨な事になりかねない。
そんな解釈でお願いします。
・結界
…機能はそれっぽいの連ねた捏造です。
:冬美
…太陽になりたかった。
それを『自信が欲しかった』と履き違えた事で長年迷走していた。
見落としや間違いだって多い。
が、咄嗟に新しい事に気付く事もできる。
未熟はあれど、成長性の塊。
……組員歴一ヶ月強なのに、わずかにうめき声を出すだけになった敵を動かなくなるまで叩きのめそうと思える元会社員。
怖い。
重甲型や格闘型相手なら勝てたが、素早いせいで一番相性の悪い鳥人型に粘られまくり激闘に。
最終的にクロスカウンターで一旦気絶し、復帰して背後から【震動】を全身で全力で使い、その後意識を失う。
・『大山の魂』
…普通に発動すると白く、淡く光るだけ。
……だと思っていたその光がごくわずかに体外へ放出される魂だと気付き、それを対象にとって増強したり動かしたりできる事に気が付いた。
今まで『大山の魂』を体内の魂にしか発動できないと無意識に思い込んでいたが、自らのものであるなら体外の魂でも発動できる。
……ただし体内の魂に発動する時には無い、『意識が抜けるような感覚』という謎のリスクがある。
・【扇道】
…前話で使用。
合掌から指を広げ、隙間から扇状に数本以上放たれる【光】。
掌を開くかめはめ波スタイルな【花閃】に比べ発射口が分散される分一発一発の威力は劣るが、発射口が狭く圧縮される分貫通力と射程に勝る。
通常醜鬼なら群れごと十分に仕留められる。
・【合演奏砲】
…普通の発動で体外に放出された魂を基点に【震動】を使う事で全方位に放つ【奏砲】。
詳細を知らなければ轟音のバリアに感じられる。
・【波動花閃】
…普通の発動で体外に放出された魂での【震動】と共に放つ【花閃】。
円柱状だった【光】が喇叭のような円錐状に広がって放出される。
【震動】+ないし×【花閃】で威力も向上。
・【大山霞分】
…普通の発動で体外に放出された魂を瞬間的に増強した勢いで、降りかかるものを弾き飛ばす。
・魂の記憶の模倣(仮)
…魂に刻まれた記憶で身体を動かす。
骨子を掴めていれば刀ではなく、手刀で京香さんの動きをしたようにアレンジもできる。
記憶できていれば自分にできない動きでもできるが、頭が割れると感じられる絶大な負荷がかかる。
トレース中は記憶の動きをした人物に言動を寄せた方がやりやすい。
が、必須ではない。
・【勢拳回動】
…魂に身体を引きずらせて動く【勢動】を利用した、筋肉や関節の動きに全く予兆が現れない奇襲攻撃。
冬美は動けなくなるはずの【援姿】を体表に併用する事で更に威力を増した。
・夢幻
…イマジナリー総組長とイマジナリー空折とイマジナリー色んな人の集合体。
気絶してた間に見ていた幻の中に現れたが、イマジナリーの人々はどれも無意識が昔言われた事と混ぜ合わせて作り出した幻聴の類。
・【勢動】
…『激痛の中では、痛みも気にならない』
──by日ノ出冬美(25)
・【震動】
…なんも対策もせずに喰らい続けると骨は砕け、筋繊維は千切れ、血管が切れて内出血を起こし、膜という膜が剥がれ、臓器の位置がずれ、その上で揺さぶられる全身で無理矢理伸び縮みさせられた皮膚が裂けてひどい有様となる。
組み付かれるなどして複数方向から喰らうと慣れた震動とは別の強弱の震動によって同じ事が引き起こされる。
:ベル
…まだ、成長の只中。
一人称はじめ、変わりつつある。
……しかし、せっかくの銃撃技能が通用しない相手が敵だった。
最悪重甲型だけならなんとかできない事も無かったが、格闘型とコンビを組まれては隙が生まれるまで待つしかなかった。
鳥人型相手でも死にはしないが、行動不能にされる確率が高い。
重甲型に飛び付きながら、【三式決戦砲】の爆発に巻き込まれる。
・『笑う寿老人』
…発動の光を目元に集めて目潰しができるようになった。
成長。
:紅葉
…三番組のメイン火力にして副組長。
熱い女。
……13巻ライナーノーツ見るに原作では鳥人型にやられた模様。
格闘型か重甲型のどちらか片方との1VS1なら頑張ればなんとかならない事も無かったが、お互いにお互いの盾になられるとどうしようも無かった。
炎を厚く纏えば鳥人型にやられもしないが、そうすると周りとの連携や守るべき対象など全て捨てる事になる。
魔防隊でも技の数がかなり多い。
得意が通用するなら組長経験が無い副組長以下の組員でもトップクラス。
……逆に得意を使えないと副組長以下では非戦闘員よりはマシ、程度であり、得意を通せなかった場合も脆かったが……、……改善しつつある。
小粋と投げ付けた【三式決戦砲】の爆発に巻き込まれる。
・【波炎濤火】
…前話で使用。
炎の大波で地表を薙ぎ払う。
防壁代わりにできなくもない。
・【龍炎旋火】
…前話で使用。
龍を象った炎を一定の範囲にぐる、ぐる、と巡らせる。
速度の遅いものを殲滅するのに向いてる。
・【狼炎従火】
…前話で使用。
狼を象った炎を自分の周りの一定の距離に従える。
狼炎はごく簡単に自律して動ける。
・【牙炎猛火】
…前話で使用。
肉食獣の顎を象った炎を突進させ、噛み砕いて焼き潰す。
並の特殊醜鬼ならこれで仕留められる。
・【鳳炎翔火】
…鳳を象った炎を突進させる。
紅葉の技の中では最速。
・【群炎鳥火】
…小鳥を象った無数の炎で攻撃する。
一点集中も、広域拡散もできる。
・【盾炎防火】
…厚く展開した炎を盾やクッションにする。
冬美の【悠景】や【援姿】での打撃も受けられるが、紅葉はまだ近接での発動が上手くない。
・【尖炎槍火】
…圧縮した槍状の炎で貫く。
射程は短いが超高温により絶大な貫通力を誇る。
『
・【龍炎橋火・九頭龍炎】
…龍を象った炎を弧を描いて放つのが【龍炎橋火】、それを九つ殺到させるのが【九頭龍炎】。
障害物の向こうにいる敵に使いやすい。
・【飛炎衝火】
…炎で飛んで、その勢いのままで殴りかかったり蹴りかかったりする。
紅葉にとって【拳炎蹴火】より扱いやすいが、必要距離が長いので今のところ一撃離脱技。
:小粋
…仲間の危機にいつになく感情的になった。
……13巻ライナーノーツによれば煙を全部吸い込まれたとの事。
原作で誰にやられたかは不明。
一人でも時間をかけていいなら重甲型に勝てなくもないが、格闘型は現時点では無理。
鳥人型には反応できない。
紅葉と投げ付けた【三式決戦砲】の爆発に巻き込まれる。
・【煙字一滴、世界を穿つ】
…水滴一粒サイズに極限まで圧縮した煙を開放する煙の爆弾とも言える技。
他作品で言えばONE PIECEの“熊の衝撃”と同じ原理、煙を操れるので自滅の恐れも無い。
元の煙の規模によっては高層ビルすら粉々に吹き飛ばせるが、圧縮に能力を集中する為これを使うと他の煙は操れない。
・煙による銃弾の超回転(仮)
…銃口に螺旋状に渦巻かせた煙により、銃弾を加速。
速度と貫通力を上昇させる。
:鞠
…限界を超えて力を振り絞った。
……13巻ライナーノーツによれば原作では鳥人型にやられた模様。
飛んでれば重甲型と格闘型相手なら逃げと回避に徹すればやられる事は無いし、格闘型だけなら勝てない事もないがコンビは一人では無理。
鳥人型相手は死にかねない。
体力切れで【三式決戦砲】の爆発に巻き込まれる。
・索敵
…航空偵察の類もできない訳じゃないが、主に体力消費の都合上索敵係には選ばれない。
・二十七連装誘導弾発射筒
…たっぷりの小型ミサイルを詰め込んだミサイルポッド。
小型といっても一発で通常醜鬼なら仕留められる。
誘導系は同じものの無誘導に比べ、
・60mm対地砲
…『N.A.R.I.T.A.』の中でも最大級の威力を出せる。
他の武装にもある『60mm
……もっと小さい口径で恐るべき威力を発揮していたのが、『N.A.R.I.T.A.』で展開できる最大の大きさで発動される事により、『
地上目標の大半を破壊でき、現代の軍艦の艦上構造物にすら大穴を空けられる。
・精密攻撃用光線発振器
…精密レーザー射撃器。
万全ならもっと威力が高かったが、60mm対地砲の直後だったので怯ませる程度に。
・【三式決戦砲】
…三番組+の総力を結集して運用し、発射する合体技。
鞠のユニットに紅葉の炎と小粋の煙を充填、圧縮・加熱し、冬美が支えてベルが射線を決めて放つのが正式な運用。
前話冒頭で放ってたヤバい技。
組長格の火力を誇る。
具体的には恋ビーム(片目)に迫る威力が有る。
今回は色々不十分だったので爆弾代わりにした。
イメージはスーパー戦隊系の大型武器を複数人で放つ必殺技。
:ワルワラ・ピリペンコと八番組
…魔防隊の中でいち早く神奉者を迎撃し、いち早く片付けた。
原作でも異様に早く神奉者を片付けていたが、ワルワラ氏の能力ならそれも納得はできる。
(91話で襲撃されたと言及されているが、97話では他の組も襲われる中、いち早く言及や端末表示から抜けている。……ちなみに同じく91話で襲撃されたと言及される三番組は結局99話に至っても解決できなかった)
……美羅さんと空折でスレイブを認識して、ジャンプ+で初めて読んだスレイブの話がこの人達の戦い。
……七番組魂を体現していた……。(※誤字に非ず)
……そんな八番組の『プ』ラチ副組長を『ブ』ラチと間違えていた事を懺悔します……。
すみませんでした……。
(追記)
ジェナ・ステイ『プ』ルズさん、ごめんなさい……。
うごぉう…………。
:阿南三姉妹
…強い。
裏社会でも名を馳せたベテラン戦闘員。
夢路にババアと言われるぐらいの歳。
……名前は決めない。
本作では便宜的に外見的特徴から『重甲型』『格闘型』『鳥人型』と呼んでいます。
・鳥人型
…三番組+の誰よりも早い神速と、口から吐く溶解液である【溶命液】が武器。
姉妹の中では一番華奢だが、冬美の猛攻を変身解除も含めて耐え、神奉者では唯一、設定された形態から変化した形態に変身し直した。
第二形態では腕がラプトル系の恐竜のようになって飛べなくなり、初めは暴走していたものの、やがて正気を取り戻し、その戦闘経験を神速に乗せて振るうようになった。
・格闘型
…高い身体能力とそれに基づいた高い近接格闘能力、強力な肺活力による気体の吸い込み・吐き出しが武器。
13巻ライナーノーツでは誰が小粋の煙を吸い込んだか分からないので、本作では(比較的)目立った能力の無いコイツの能力に。
重甲型ほどではないが、割とタフ。
姉妹の中ではバランス型であり、重甲型との堅固過ぎるコンビネーションで三番組を追い詰める。
・重甲型
…姉妹で最も重く巨大な体躯と、それに見合った高い防御力の【
……とにかく防御力が高い。
三番組が必殺級の技を打ち込んでようやく
真正面からやるのは骨。
姉妹達程ではないが、その鈍重そうな見た目に反し割と動ける。
姉妹達の盾として、格闘型との堅固過ぎるコンビネーションで三番組を追い詰める。
※前話後書きの不足分
・魔都災害被災者への交通費補填
…捏造。
魔防隊管理のいずれのクナドからも居住地が遠い場合、緊急に帰宅の必要がある場合などに支給されるとか、そんな感じ。
・三番組
…なんか生まれたベル・紅葉・小粋・鞠の三番組の面々に出向中の冬美を加えた五人グループの名称。
『
:『
…十番組の索敵係、蓼科さらさの能力。
星空の夜のように一定の範囲内のエネルギー反応を映し出す銀盤を生み出す。
熱・電気・運動といった大別したエネルギーのみならず、人間を始めとした生物の生態反応や醜鬼の反応など細かく様々な種類の反応を感知できるが、一度に見れるのは一つだけであり切り替えるたびに少しずつ体力を消費する。
星の輝きの強弱でそのエネルギーの大小が分かる。
ただし交流戦や三番組襲撃以前の八雷神のような今まで未知だったものの反応や、魂のようにさらさが上手く理解できないものの反応は映し出せない。
能力などによるステルス状態や分厚くエネルギーを通さない遮蔽物の中を看破するには感知範囲を工夫しつつ、精度を上げないといけない。
最大で魔都全域のエネルギーを探知できるものの精度と範囲は反比例するので、普段は一担当区域くらいの範囲に絞って醜鬼・人間・クナドの反応を切り替えながら映しつつ、映す範囲を順に変えて魔都全域を索敵している。
:特殊醜鬼達
…前話に登場した炎上型と甲殻型の二体の特殊醜鬼。
炎上型は他の組長経験の無い副組長以下の組員であれば大ボスクラスの敵だっただろうに、よりにもよって一番相性の悪い紅葉が来れるとこに出てしまったせいであっさりやられる。
甲殻型はその防御力故に成長すればシンプルに厄介だったかもしれないが、特殊性が無さ過ぎて冬美に掴まれて動きを止められ、近付ければ防御力など関係無いベルの経験値にされた。