その歩み、大山へと至る 作:枯山水の庭園
…………。
前話より短いです。
「──では追って沙汰を下す。下がれ」
「…………」
魔都の地の底。
頭上の高く、独自の紋様が壁面や床に刻まれた其処は拠点であった。
仮面を付け、ローブを纏い浮き上がっている何者かが何処かへと去って行く。
「──さて、これで良いのだろう。紫黒?」
「うん、ありがとう
──魔都に巣食う人への悪意、醜鬼を束ねる八雷神の。
「?何の話だ、紫黒」
「ちょっとやな話でね、……情報源からの連絡が途絶えたんだ」
「私達への裏切りがバレたという事か?」
「うん、──空折が死ぬ前後の時期にね」
……つい先日、その一柱を失った神々の拠点である。
「どういう事かしら紫黒姉‼︎」
『横から失礼しますが……。
「その通りだよ、
「……情報を抜き出せる、とかそういう能力者が空折姉を殺したって事?」
……彼女等は静かに、怒りに燃えている。
「魔防隊だって全員の能力が分かってる訳じゃないし、そもそも現世なんだから、魔防隊以外の奴がそんな能力を使ったのだってあり得るけど……。……もしそうならそいつに魔都を調べさせれば、もっと早く
「……そうであれば、母の耳を煩わせたであろうな」
「では、どういう事なのだ紫黒‼︎」
「……僕の考えは、空折が現世で食べた奴が空折の意識や記憶に作用して、情報を抜き出したって可能性さ。……そしてそいつのせいで空折が倒された」
「──つまり、空折の仇という事だな」
それは深く深く、黒い。
「……まぁ、あくまで僕の考えだからね。本当にいるかは分からないよ、壌竜。……ただ、魔防隊以外の人間にどんな能力者が居るかまで気が回ってなかったのは事実だ。みんなも気を付けてって話と……「ならば皆殺しにすれば良いと言う事だな‼︎」「現世に攻め込むのね‼︎」……雷煉、鳴姫、うるさい」
『ああ分かりました、紫黒姉。我々の情報を知った者に作用する呪いが欲しいのですね?』
「話が早くて助かるよ。できそうかな?」
『条件付けが難しそうですが……、やり甲斐のありそうな仕事です。吉報をお待ち下さい』
「期待してるよ?──それで、情報収集も頼みたいんだ」
「いいかな、
「──任せて、紫黒姉」
──その毒牙は、密やかに迫る。
△
……お腹が空いて、目が覚めた。
「んー……、……⁈」
片手に、手錠がはまっていた。
「……って、ここ……」
……それにここ、治療施設みたいだけど……、
似た意匠ではあるけど、壁紙から部屋の作りまで違う雰囲気だ。
もう一月は前になるけどしばらくあの辺りにいたから分かる。
……そして手錠のもう片側は、ベッドの柵にはめられてる。
「…………」
……多分、対能力者用のもの
「──!」
「起きたわね」
……待て、『
なんでそんなものが分かった?
……
総組長の微かな筋肉の動き、肌のたわみも読み取れるし、そもそもこの部屋の全てが、なんか細かく分かる。
「……もしかして、私幻術にでもかけられてましたか?」
「…………」
……総組長が私に向ける疑いの目も、分かる。
……あの戦いが幻だとは……、……断言できないけど。
……
……みんなは。
ベルちゃんは、
紅葉ちゃんは、
小粋ちゃんは、
鞠ちゃんは、
……どうなった。
「……三番組を出撃してから何をしたのか、詳細に、正直に話しなさい」
「……はい。新粥さんの煙幕の中を進んで、正面入り口方面の醜鬼を拳銃で……、……七体撃破」
……
だから聴取されているといった所だろうか。
それもやらかしたのは、八雷神への利敵行為が疑われるレベルの事。
……『疑い』で済んでるから普通の手錠だけに留まってるって感じ?
……ならみんなをこの手で殺したとかは無さそうだけど。
……それはそうと、話していると色々思い出して……、……反省点が浮かんでくる。
そこらの特殊醜鬼より強く、私達の弱点突ける相手にいつも通り戦えなかった。
焦っていたと言ってもいい。
斧どっかに落としたり、鎖や拳銃の事忘れたりで武器使用に意識が向かなかったとか。
魂周りについて土壇場で気付いた──逆に言えば普段からの理解が浅かったとか。
ちょっとハイになり過ぎてたとか。
「──それで、兜さんとの訓練の時のように【震動】で肉体を破壊しようとして、出力を上げたら、──魂が澄んで、……何かの肉が切れる音がして、血が抜ける感覚がして、意識を失いました」
……
……いやはっきり確証は無い。
けど、初めての訓練でも味わった血が抜けて行くあの感覚は、身体のどこかしらが切られて血が噴き出たのだと思う。
……多分あいつは八雷神にそういう仕掛けを施されていた、って事だ、迂闊に近付きすぎた……。
……そもそも倒せた、のかな。
……で、更に気付いたんだけど。
……
見える限りで傷跡も無いけど治療された、とはまた違う感じがするし……。
「ああ、最後に手見たら赤と緑に染まってました。……もっとも意識を失う直前だったんですが」
「…………、……『魂が澄んだ』とはどういう事かしら?」
「うーん、私の中に感じる魂の感触が澄み渡って、なんの淀みも無くなったというか……。……『魂への理解度が上がった』って感じですかね」
……けどその理由も分かった。
そうだ、こうして話していて『なんで気配が分かったり、解像度が上がったと感じたりしたのか』──『私が世界を感じる感度が向上したのか』、謎が解けた。
──魂について理解したからだ。
「──何か掴んだ、という顔をしてるわね」
「はい、色々と」
「じゃあ、実践なさい」
……多分、ベルちゃん達三番組の安否については教えてくれない気がするからそれも含めて色々検証したいところだけど。
カチャリ、とベッド側だけ外した手錠を引かれる先で、総組長に求められる事を果たさなければ自由は叶わないのだと思う。
「入りなさい」
「はい」
そうして謎の施設の廊下を歩き、連れて来られたのはまた別の部屋。
「おう、待っておったぞ冬美」
「……来たか」
中は病室で、両脇には海桐花さんと京香さん、それに簡素な巫女服の人が二人控えていた。
「──彼女を治してみなさい、冬美」
ベッドには私と同じ病室着を着て、かっこいい系の顔に吸入器をはめられた人が寝ていた──。
:冬美
…生きてます。
今の状態は、呪術廻戦で黒閃キメた呪術師みたいなもん。
:八雷神
…醜鬼の親玉、目下魔防隊最大の敵。
まだ確信には至ってないが、『空折から情報を抜き出した奴』を探してる。
その一環として魔防隊にそいつが居たor匿われてた場合に備え、神奉者に『あからさまに新人な奴か組長以外であからさまに強い奴』が居たら殺すか捕らえろというダミー含んだ命令を出した。
……それはそうと『壌』竜さんを、『穣』竜さんと間違えて書いてました。
すみません。
……最初は『壌』って書けてるので、予測変換ででやすい『穣』を確認怠って使ってた模様。
……あと大極さんはCV日笠さんでしか脳内再生できてなかったけど、能登さんも確かに似合う。
スカサハさん系か……。
:組長組(※元組長を含む)
…すぐ、手を出せるようにしている。