その歩み、大山へと至る   作:枯山水の庭園

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 新編開幕!


大山研修

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 荒涼とした世界、広がるものは荒野と岩山ばかり。

 空は不気味に曇り、妖しい光を届ける。

 わずかに彩るものは得体の知れない果実、『桃』しかない。

 天候は時に夏のように暑く、時に冬のように寒く、気まぐれに起こる大雨・雪・強風を以って責め苛む。

 根付く生き物、らしきものは──

 

 

 

 

『『『オオォオオー……!』』』

 

 

 

 

 ──筋骨隆々とした巨体に、面のように白い顔をした怪物『醜鬼』しかいない。

 それが『魔都』という場所だ。

 

 

 

 

「「「はああぁーっ‼︎」」」

 

 

 

 

 ──そして、そんな魔都に現世から駐屯し、魔都の脅威から防ぎ、(まも)る精兵達が居る。

 それが『魔防隊』だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「──魔都を目の当たりにして、いかがですか⁈冬美さんっ‼︎」

 

「……『怖い』場所だな、と。ここは根本的に人を跳ね除けるような作りになっている気が、します」

 

 

 

 

 ──そんな怖い世界を、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「……おおーっ、『怖い』と言いながらその堂々たる態度‼︎やはり冬美さんからは大物の予感がしますっ‼︎」

 

「そうですか?」

 

「そうですよ!──どんなに訓練していても、実際に醜鬼を見ると恐怖に囚われてしまう人はいますので」

 

「そうですか……」

 

 

 

 

 銀奈(ぎんな)さんは私の事を評価してくれるけど──、はてさて、どうなるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ようこそ、魔都防衛特殊部隊へ。貴方の入隊を歓迎するわ」

 

「よろしくお願いします。山城総組長」

 

 

 

 

 検査を済ませ、聴取を受け、入院を終えて、聴取を受け、用意された自室で必要書類を記入して、聴取を受け、簡単なテストと体力測定をして、聴取を受け、制服や通信端末などの装備品を受け取り、聴取を受け、聴取を受け──……。

 私はあっさりと魔都防衛特殊部隊、通称『魔防隊』へと入隊した。

 

 

 

 

「早速だけど貴方の教育係を紹介するわ。十番組組員で私直属の備前(びぜん)銀奈(ぎんな)よ」

 

「ご紹介に預かりました、備前(びぜん)銀奈(ぎんな)です!激‼︎よろしくお願いします!」

 

「こ、こちらこそよろしくお願いします。日ノ出冬美です」

 

 

 

 

 ……教育係につけられた備前銀奈さんは出会った頃の(けい)ちゃん(※高校の友達)みたいなずいぶんと押しが強い人だった。

 

 

 

 

「それじゃあ、後の事は銀奈に聞いてね?貴方が()()なるかは研修の結果次第だから貴方のレポートも怠らないようにして。銀奈なら能力の検証と開発にも役立つはずよ」

 

「はい、了解しました」

 

「はいっ!承りましたっ、恋サマ‼︎」

 

 

 

 

 そうして、仕事が立て込んでるという総組長の元から退出し──

 

 

 

 

「──改めまして!よろしくお願いしますっ、冬美さんっ‼︎八雷神討伐の立役者の教育係を務められるなんて、銀奈、激!感激ですっ‼︎」

 

「び、備前先輩?」

 

「先、輩っ…………‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「あの〜……「はいっ‼︎」わっ「私の事はどうか『銀奈』と呼んでいただければっ‼︎」……よろしくお願いしますね、銀奈さん」

 

「くぅ〜〜〜〜っ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎……笑顔……っ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎……激‼︎任されました‼︎」

 

 

 

 

 ……総組長の前より更に百倍濃い銀奈さんの押しを受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……まぁそんなこんなだったけど銀奈さんプレゼンの魔防隊の組織や隊規の説明の間にまだまだ聴取は続き、今日からはやっと実習、──及び戦闘訓練と能力開発だ。

 

 

 

 

「──ではではーっ!今日再びのっ!『会員制決闘場(ギンナクラブ)』‼︎」

 

 

 

 

 魔都中央・十番組担当区域における醜鬼との戦闘を銀奈さんに連れられて見学し、この区域の拠点であり魔防隊の本丸である魔防隊総本部の近くまで戻って来た私は再び結界の中に居た。

 ──これこそが銀奈さんの桃の能力『会員制決闘場(ギンナクラブ)』。

 さっきの見学では私の守りに貼られていた結界の能力だ。

 

 

 

 

「この中の戦いならどんな怪我でも治せるんですね?」

 

「はい!大きめに貼りましたから大きく動いても大丈夫ですよ‼︎」

 

 

 

 

 名前を入れた人しか入れず、醜鬼千匹相手でも破れない強度を持ち、おまけに中で戦った人に治療を施せるという心強い能力だ。

 組同士で行われるという魔都交流戦に向いた能力だけど、今回のように『自分との戦い』と解釈すれば訓練にも使い道がある。

 ……反面、能力の内容が本当なら結界の中へ誰かを閉じ込める使い方は難しそうだ。

 ……もし銀奈さんが私への監視だとしても、能力で対処するのは別の人になるんじゃないかと思う。

 

 

 

 

「身体が風船みたいに破裂して、血と骨と肉をぶち撒けても治せるんですね?」

 

「はい‼︎…………はい?」

 

「じゃあ小さめにやってきますね」

 

 

 

 

 まぁとにかく遠慮なく──、……できるだけ怪我しないように使っていこう。

 怪我しないならそっちの方が良いよね。

 ──さて、検証だ。

 

 

 

 

 

 ……魂を大きく、強くする私の能力『大山(たいざん)(こころ)』。

 魂“だけ”を増強する力は魔防隊の記録にもないから、使い方は私が見つけていかなくちゃならない。

 では、大きく、強くした魂で何ができるか?

 そもそも魂とは何か、身体の中にどう収まっているのか?

 

 

 横浜の一件で私は自分の中の魂を感じ取り、動かせるようになった。

 私の魂に感覚を向けると、それはガムシロップみたいなとろみのある液体の様に感じられる。

 その液体は身体の中にとぷん、とくまなく満ちて、動かそうとするとするーっ、と動き出す。

 身体の中はぐるぐる自在に動かせるけど、皮膚を越えて身体の外に出そうとすると抵抗を感じる。

 そして身体の中心付近、胸と背骨の間──恐らく心臓の近く──には魂をピンポン球くらいの大きさに抑え込んでいる場所がある。

 まるで海を入れたみたいな重さと厚み、力を感じる塊だ。

 恐らくこれが魂の大き過ぎる部分を抑え込んだ所。

 まずは、身体にどんな影響が出るか分からなかったから動かさなかったこの塊を──

 

 

 

 

「──動かしてるんですけど、何か感じられます?」

 

「……………………銀奈には、感じられませんっ……!」

 

「治療が発動している感じはどうですか?」

 

「それもありませんね……」

 

 

 

 

 周りの魂で押すようにすればそれはあっさり動き出した。

 特に何かに引っ掛かる事も無くするすると身体の中を動かせる。

 弱めの治療を銀奈さんにかけてもらいながら動かしているけど、中で血管や内臓を傷付けてはいないようだ。

 ……ただ塊を手の中に入れようとすると、掌に入れた時点で内から外へ向かう強い圧迫感を感じ、自分から強く抑え込んでないと手が破裂しそうだった。

 更に強く力を込めて抑えると塊はずるん、と腕の中に戻り、そのまま塊を放っておくと腕の中を通って胸の中へと戻って収まった。

 身体の外に出そうとした時と同じように、何か法則があるらしい。

 ……よし、とりあえずは動かす続きを……。

 

 

 

 

「今塊をじっくり解いてるんですけど何か感じますか?」

 

「いいえ……」

 

「……あっ、破裂しそう」

 

「……?」

 

「……今抑え直してるんですけど何か感じますか?」

 

「いいえ……」

 

「今骨に沿うように塊を伸ばしてるんですけど何か感じますか?」

 

「……ちょっと、発動した、……ような?」

 

「やっぱり身体……、肉体に何の影響も与えない訳ではない、と……。……今肋骨の一番下あたりをぎゅるぎゅる早く回してるんですけどどうですか?」

 

「……ほんの少しですけど、感じますね……!さっき冬美さんが『破裂しそう』と言った時にも何かを感じられて……!」

 

「ふむふむ、今度は急にっ、たっ‼︎」

 

「冬美さん⁉︎」

 

(いた)た…………」

 

 

 

 

 ……、

 :塊を解くように魂を動かしていくと魂の感触がどろり、としたものに変わって行き、一定を超えると破裂しそうな圧迫感が生まれる。

 :魂を動かす力を掛けていくとまた魂を塊に戻せる。掛けなくても戻る動きを感じた。

 :骨を意識して塊を動かすと抵抗を感じ、僅かに治療されたらしい(今まで動かしてた時にはそうと感じられなかっただけで骨や筋肉を避けていた?)。

 :魂自体を早く動かすとやはり治療されているらしい。つまり魂を早く動かすと肉体が損傷する。(となると()()()()肉体と魂は連動している?)

 ……とここまで分かった所で今度は『魂を胸から腕に、勢いよく』動かしてみた。

 ……そしたら手がちぎれた……。

 ……ほんとは千切れてないけど千切れるくらい痛い……。

 

 

 

 

「このくらいならすぐですよー!」

 

「ありがとうございます……」

 

 

 

 

 ……手首のあたりが裂けていたのが銀奈さんに治される。

 どうやら『手が千切れそう()()()』らしい。

 ……それだけでなく、身体が引っ張られていたような……?

 

 

 

 

「……今私動いてましたか?」

 

「は、はいっ!腕に引っ張られてるみたいでした」

 

「……もう一度、こっち側に試しますから離れていて下さい」

 

「とっと、はいっ!」

 

「……せーの!……っ‼︎」

 

 

 

 

 ……ジャンプするのに合わせてもう一度、魂を胸から構えた腕へ勢いよく移動させると掌にぶつかっても止まらなかった勢いが私の身体を引っ張って動かした。

 ……その代わり掌が裂けて内出血もしてるみたいだ。

 

 

 ……でもやれる事、見つかった……!

 

 

 

 

「すぐ治しますよー!」

 

「ありがとう、銀奈さん」

 

「……‼︎いえいえ‼︎やりましたね、冬美さん‼︎」

 

 

 

 

 見つかった、けど……。

 

 

 

 

「……で、これどうやって使いましょうか……。使う度怪我するみたいなんですけど……」

 

「……えーと……。…………無理に使わなくても良いのでは?」

 

 

 

 

 勢いはすごいけど使うたびに怪我するし、すごいとは言っても『腕一本でやる割には』であって走ったり跳んだりするのにそこまで勝ってないし……。

 

 

 

 

「……ですよねー「蹴り、殴るのに合わせれば威力を上げられるのではないか?」……え?」

 

 

 

 

 ……と思ってた所に割り込んだ声。

 ……聞き覚えのある声だ。

 

 

 

 

「と、海桐(とべ)サマ⁈」

 

「おう、励んでおるようじゃな」

 

「先程は『……あれは何をしておるんじゃ……?』と言っておられましたが……「余計な事は言わんでよい」……失礼しましたわ」

 

 

 

 

 そこに居たのは同じ髪の色をした二人。

 (あずま)海桐花(とべら)さんと(あずま)麻衣亜(まいあ)さんが結界の外に居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東海桐花さんは先代の魔防隊総組長を務めた大ベテランで、今は九番組の平組員に退いている。

 東麻衣亜さんは海桐花さんのお孫さんで、今は九番組の副組長を務めているそうだ。

 そして二人とも横浜に駆け付けた魔防隊の隊員なので──

 

 

 

 

「──その節は助けていただきありがとうございました」

 

「……!何、お前も尽力したからこそ成せた事じゃ!」

 

「私こそ、あの時は助ける立場に立ちながら羽根を止めて頂き、感謝に堪えませんわ」

 

 

 

 

 ──ぺこり、とお礼をするのが筋な人達なのである。

 

 

 

 

海桐(とべ)サマは何故ここに……⁈」

 

「いや魔防隊総本部(お前達)からの要請じゃろうが。『日ノ出冬美の生命力について検証せい』とな」

 

「え⁈あの要請が出されたの昨日ですし、まだ日程調整もされてなかったはずですが⁈」

 

「……要請が成される事を予測して、虎視眈々と狙っていたのですわ。日ノ出さんに随分興味を持たれていましたので……」

 

「それは、どうも……?」

 

 

 

 

 ……で、それはそれとして海桐花さんは元総組長な訳で陰陽寮との繋がりも疑える立場にあった訳だけど……。

 ……なんか違う気がする。

 そういう後ろ暗い立ち回りをできない訳じゃなさそうだけど選びそうじゃなさそうだし、我が強くて根っこが子供っぽい感じがする。

 同じ総組長経験者でも山城恋はそういう(後ろ暗い)立ち回りもなんら罪悪感無くやりそうだけど……。

 まぁ()()()()()私にできる事はほぼ無いけど、人柄とかを知っておく事に損は無いだろう。

 

 

 

 

「ま、順番は譲ってやるから冬美、お前のやりたい事からやってみよ。途中だったのじゃろう?」

 

「ではお言葉に甘えて。銀奈さん、お願いします」

 

「はいっ!『会員制決闘場(ギンナクラブ)』!」

 

 

 

 

 一度解除された『会員制決闘場(ギンナクラブ)』が、海桐花さんと麻衣亜さんを入れ直して再展開される。

 さて、次はできると分かってる事だ。

 

 

 

 

「──ちょっとこっちの端に寄ってもらって良いですか?行きますよー」

 

 

 

 

 スペースを確保する為に海桐花さん達には端の方に寄ってもらい、塊を右腕の中に移して解いていく。

 すると内側から破裂しそうな圧迫感が生まれる、けど今度はその圧迫感に身を任せ──

 

 

 

 

「──それっ!」

 

 

 

 

 ぼわんと、腕が膨らんで()()()()()

 

 

 

 

「おおっ‼︎」

 

「まぁ……」

 

「壮観じゃな」

 

 

 

 

 魂の大きさに合わせて巨大に膨らんだ腕は元の肉体を膨らませたからか、空気で作ったかのように透明でうっすら赤い色をした腕として浮いている。

 大きさは多分そこらのアパートやマンションに迫るほど。

 ──何も圧迫感を感じないそのあり様に、私は自分の魂がどれだけ抑え込まれていたのか、改めて理解した。

 

 

 

 

「…………」

 

「……あれ、冬美さん?」

 

「……戻すので、お願いします」

 

 

 

 

 ……したんだけど……。

 

 

 

 

「えっ⁈どうしてそんな傷が⁉︎」

 

 

 

 

 ……ぐいっ、と力を入れて元の大きさに戻した腕には()()()()だくだく血を()()()()()大きな傷が付いていた。

 

 

 

 

「……膨らませる時にかすったみたいで……」

 

「……()()、ですわね」

 

 

 

 

 ……麻衣亜さんの言う通り魂の大きさに膨らんだ肉体はすごく脆い。

 ……『私の身体でやったら腕が爆散するんじゃないか』って想像は外れたけど、『煙や空気を固めたみたいなもの』にはなっていた。

 ちょっとかすっただけであっさり崩れるから物に触る事もままならないし、肉体を元に戻すと崩れた部分がそのまま傷になる。

 ……というか気体になって血も流れ出してる……、やばい……、頭がぐるぐるする……

 

 

 

 

「ほれっ」

 

 

 

 

 ──パァッ、と金色の光が差して、みるみる元気が湧いてくる。

 

 

 

 

「あー……、ありがとうございます、海桐花さん」

 

「『生命力』を分け与えてやったのじゃ。見た目より血を流しておったな?」

 

 

 

 

 あっという間に傷を治したこの能力が、生命力を操るという海桐花さんの桃の能力『東の星霜(うたかた)』なのだろう。

 

 

 

 

「はい、膨らませた時に流れ出してたみたいで……」

 

「ええーっ⁈……どんな怪我でも大丈夫と口にしておきながら、怪我に気付かない不覚っ!激!申し訳ありませんっ‼︎」

 

「声が大きいですわ……」

 

 

 

 

 ──そして治療役を取られてしまった銀奈さんがオーバーリアクションで割り込んで謝って来る。

 ……でもこれは仕方ないと思う。

 

 

 

 

「流れた血が気体になって漂ってるなんて初見じゃ分かりませんよ?私もはっきり分かりませんでしたし」

 

「でも……」

 

 

 

 

 見ただけ、──……ひょっとしたら血の臭いが微かに増えたのかもしれない──で分かった海桐花さんが凄かっただけなのだから。

 ……けど他人が凄いからって自分のミスを水に流せるとは限らない。

 ましてや銀奈さんは目の前で起こっていたのだから。

 

 

 

 

「なら、月並みになりますけど『次同じ事があった時』、気が付いて動けるようにしましょう。私も、銀奈さんも」

 

「……!」

 

「この先も、よろしくお願いしますね?」

 

「はいっ‼︎」

 

 

 

 

 ──なら同じ事が起こらないように頑張るしかない。

 そして海桐花さんと同じくらいの事ができるまで鍛えれば良い。

 銀奈さんがどうかは分からないけど、私はその為にここに来た。

 

 

 

 

「──たらしよるのー。じゃが『何か出来る』というその目処は確かなものか?」

 

「分かりません。けれど試さない事には分からないままなので次に移りますね」

 

 

 

 

 海桐花さんから『こわっぱが吠えよるわ……!』的な圧力を感じるけどまぁそれは仕方ないので次に移る。

 

 

 

 

「えーと……。銀奈さん、この結界の中に更に一つ結界を貼る事はできる?」

 

「この結界の中にですか?……うーん、今まで試した事はありませんし、能力の都合上難しいのではないかと……」

 

 

 

 

 という訳で()が欲しいんだけど……。

 あいにくスペースを広く取ったせいか手頃に当てられる岩なんかは無い。

 けどこのまま()()()()()()、全方位に破片が飛ぶからなんとか防げないかと思ったけど……。

 ……それも無理。

 

 

 

 

「じゃあ今から破片が飛ぶので……」

 

「……ふっ。待て待て、()が欲しいのじゃろう?なら腕試しはどうじゃ?」

 

「腕試し?」

 

「うむ。麻衣亜、お前の経験にもなろう」

 

「承りましたわ」

 

 

 

 

 仕方ないから()()()()()()とした所で海桐花さんに制止される。

 すぐに促された麻衣亜さんが能力を使う。

 

 

 

 

足手荒神(おおいなるもの)

 

 

 

 

 すると麻衣亜さんを守るように、浮かぶ一対の大きな手首が現れる。

 

 

 

 

「麻衣亜の能力じゃ。頑丈で、力も強く、動きも早い。おまけにデカいから当てやすいぞ?」

 

「わぁ……、いいんですか?」

 

「貴方に助けられた御礼代わりですわ、御自由にどうぞ」

 

「じゃあさっそくっ、…………」

 

 

 

 

 …………っ……。

 

 

 

 

「冬美さん⁉︎腕ですね⁉︎」

 

「……はい……っ、……タイミングが、合わなくて……」

 

 

 

 

 ……潰されながら引き千切れるみたいだった痛みの余韻が退いていく。

 ……傍目に見てたらいきなり右腕抱えてうずくまったんだから意味不明だろう。

 すぐ来てくれた銀奈さんに感謝だ。

 

 

 

 

「……先程の腕に引っ張られていた技とはまた違うようですわね」

 

「はい……、さっきのは魂の塊を身体の中で急に動かして、その勢いで身体を動かす技で……」

 

 

 

 

 ……ここは手堅く行こう。

 さっきは走り寄って殴り掛かるという、素人が能力開発と並行しながらやるにはプロ過ぎる失敗間違いなしのやり方をしちゃったから……。

 

 

 

 

「今やろうとしてるのは、身体の動きに合わせて魂も動かして力を上乗せする奴ですね。こうやって」

 

 

 

 

 今度は地面近くに浮かぶ麻衣亜さんの『手』の側まで行って、握り構えた拳をその表面に押し当て……

 

 

 

 

「っ‼︎」

 

「……⁉︎」

 

 

 

 

 ズン、と鈍い衝突音が鳴る。

 私の拳は麻衣亜さんの『手』にめり込み、ヒビとへこみを作り出していた。

 ……よし、『支えさせたら』上手く…………

 

 

 

 

 ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ぎぃっ……、たぁ〜〜〜っ……‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「はい『会員制決闘場(ギンナクラブ)』ですよ、大丈夫ですか冬美さん⁈」

 

「支え……っ、解いたら……、痛みが……」

 

「筋肉痛みたいなもんじゃろ、ほれ」

 

「はあっ……、ありがとうございます……」

 

 

 

 

 ……今日の今までで一番痛かった……。

 

 

 

 

「…………察するに肉体に耐えられる以上の力を魂で出した()()、いえ()()ですわね?」

 

「そういうことです……」

 

 

 

 

 ……さっき上手く行かなかったのは魂と身体を『同時』に動かそうとしたからだと考えて、今度はどろり、と解いた魂の塊を『あらかじめ』腕周りに集めてそれを支えに力を出したら成功した、……と思ったんだけど……。

 ……そもそも私にはいいとこ段ボール二箱くらいの荷物を持ち上げる力しか無い事を都合よく頭から追い出してた……。

 過ぎた力への報いは『いっそ千切れてくれた方が楽になる』くらいの激痛として返って来た、……んだけど……。

 

 

 

 

「……」

 

「……自爆技ばかりじゃありません?」

 

「はい……、ちょっと痛々し過ぎます……」

 

「まぁ成果はありましたから」

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()右腕は置いといて口に出す。

 

 

 

 

「──『魂は肉体と連動している』。それがほぼ確定しただけで十分ですよ」

 

「……強がり、では無さそうですわね」

 

「(なんという堂々さでしょう……!)」

 

「ま、使い()は考えねばの。もうよいか冬美?」

 

「あ、じゃあ()()()()()使()()()()()()()()()()()?」

 

「「え⁇」」

 

「ふっ、よいぞ」

 

 

 

 

 ……まぁ、今日はこのくらいだろうと思いながら海桐花さんに返事をすると、銀奈さんと麻衣亜さんが驚いた顔をしていた。

 

 

 

 

「え⁇冬美さんの能力は『魂を大きくして()()()』じゃないんですか⁇」

 

「違いますよ、私の能力(大山の魂)は『魂を大きく、強くする』()()ですよ」

 

 

 

 

 というか動かせてたら……。

 ……いやいや、『もしも』はやめておこう。

 

 

 

 

「じゃあ、今までしてた事は……」

 

「魂って不思議なものみたいですよ?魂を動かせるようになれば規模と強さは違っても誰でもできるはずですよ」

 

「今まではその()()を探っていたという訳じゃな。ほれ、見せてみよ」

 

「はい」

 

 

 

 

 という訳で胸に手を当てて桃の能力を発動する。

 

 

 

 

『──大山(たいざん)(こころ)

 

 

 

 

 ──私の身体が胸元を中心に淡く、白く、光り出す。

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

「……激、神秘的です……!」

 

「……やっぱり……」

 

「……?日ノ出さん?」

 

「……銀奈さん、待機お願い」

 

「冬美さん?」

 

 

 

 

 銀奈さんに声を掛けた直後、胸元が強く輝き、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「冬美さん⁉︎」

 

()()()()()()()()()、お願いしますね」

 

「は……?……はい‼︎」

 

「……何が起きたんですの?」

 

()()()()()()()()()

 

「限界?」

 

 

 

 

 ……そもそもの大事な前提として、『大山の魂が自動で発動していた事』が有る。

 これは横浜で魂を把握して初めて『能力を使う感覚』というものを感じたのに、それ以前から私の魂が大きかった事から確定だろう(だからこそ空折に刺さったのだし)。

 しかし人の背がずっと伸び続けないように肉体には限界があり、どうやら肉体と結び付く魂にもまたそれに伴うサイズ(大きさ)の限度があるらしい。

 恐らくはそれによって大山の(こころ)の自動発動は止まった。

 

 

 けれど横浜を経て、私は自分の意思で能力を発動できるようになった。

 だから今日改めて発動してみたんだけど……、魂はちっとも大きくならない。

 そこで能力に強く力をかける感じで能力を使ってみた。

 すると確かに魂が膨れ上がる感じがして──、同時に腕を膨らませた時に似た圧迫感を感じた。

 だけど今度は身体で押さえ込みながら使い続け……、

 

 

 

 

「……こんな風に胸のとこの皮と肉がばり、っと裂けちゃったんですねー」

 

「……いやそんな激!気軽な理由で自傷しないでください⁉︎」

 

 

 

 

 さっきよりは大分ましな痛みを治療してくれる銀奈さんにつっこまれてしまう。

 この怪我は()()()()()()()()()魂を無理に大きくした結果、限界を迎えた肉体が魂で裂かれたから起こったようだ。

 

 

 

 

「……と、言う事は日ノ出さんの能力にはこれ以上使い道が無いという事で?」

 

「それは()()()()ですけど……、確認なんですけど私が能力使った時の光は皆さんにも見えたという事で良いんですよね?」

 

「?はい」

 

「?ハイっ!」

 

「応」

 

 

 

 

 ……しかし胸に裂き傷ができた瞬間、()()()()()()()()()()()()()()

 これなら条件が緩ければ使い道はありそう、かな。

 ひとまず私のは終了、と。

 

 

 

 

「という訳でお待たせしました海桐花さん、ご用件はなんでしょうか?」

 

「応、最初にも言うたが(魔防隊本部)からの要請でな。──お主は膨大な生命力を持っているかもしれんから一つ、試してみよとの事じゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 例えば『空間』。

 例えば『時間』。

 例えば『魂』。

 魔都の桃が齎す能力は、人類の通常の技術では扱えないものに干渉するものも多い。

 

 

 

 

「ふはははははは!一人からこれ程吸うたのは初めてじゃ‼︎」

 

 

 

 

 海桐花さんの『東の星霜(うたかた)』もまた『生命力』という通常の技術では扱えないものを扱う能力(ちから)だ。

 

 

 

 

「すごい……、輝いてます!海桐(とべ)サマ‼︎」

 

「……日ノ出さんはやつれてますが……」

 

 

 

 

 ……ギンギンに光り続ける海桐花さんに腕に掴まれる私は自分でも分かるぐらい、ごうごうと生命力を吸われている。

 ──……そもそもこうなったのは横浜で空折にも有った生命力を、海桐花さんが吸っても吸っても吸い尽くせないという事態が起きたからだそうで。

 ……それに関わりそうなのが私だったので今こうして生命力を吸われてる訳だけど……。

 …………しんどい…………。

 

 

 

 

「……すみません、そろそろしんどいです……」

 

「おお、やり過ぎたか。済まんのう」

 

 

 

 

 …………しんどい……。

 ……吸い取りは終わったはずなのに元気が水になって排水され続けてるみたい……。

 

 

 

 

「海桐花様、日ノ出さんに返さないと……」

 

「そうさの。ほれ」

 

「はい……」

 

 

 

 

 ……しんどい……。

 元気は戻ったはずなのに身体にずっしり気だるさが残ってる……。

 

 

 

 

「やはりお前は生命力が高い……、……いや、吸い尽くされそうになると()()されるようじゃの」

 

「身体が魂と関わって生まれるみたいですね、生命力……」

 

 

 

 

 感覚からすると生命力を吸い取られた身体が魂を吸い寄せて生命力を生み出してる……、……気がする。

 ……だから身体にも魂にも負荷がかかる訳で。

 

 

 

 

「だ、大丈夫ですか、冬美さん?」

 

「とってもしんどいです……」

 

 

 

 

 しんどいです……。

 しんどい……。

 …………それしか言えないくらいしんどい……。

 

 

 

 

「千人、いや二千人か?ここまで吸ったのは初めてじゃからよう分からんが、並の人間ならそのくらいは干からびるくらいに吸ったからの」

 

「……そんなに吸われて日ノ出さんは大丈夫なんですの?」

 

「精密検査もありますから異変があったら分かりますよ……」

 

 

 

 

 幸い、今すぐ死ぬような感じはしない。

 ……まぁ私の感覚しか証拠は無いけど、精密検査をあと一回は受ける事になってるから何かあれば分かる……、はず。

 だから、大丈夫だと思うけど……。

 

 

 

 

「……それ、どうするんですか海桐花さん……。めっちゃ光ってますけど……」

 

「急激に吸い過ぎてちと溢れてるようだの、──だからこうして放出するのじゃ」 

 

 

 

 

 言った次の瞬間には海桐花さんが結界の外に消えていて、

 

 

 

 

「【宝火閃(ほうかせん)】」

 

 

 

 

 遅れて強風、もしくは圧力と土埃が立ち上がってようやく地を蹴った音がし、

 極太のビームを海桐花さんは撃ち放った。

 絵に描いた大波のように先を尖らせて垂れ下がる岩のアーチに当たり、消し飛ばす。

 

 

 

 

「ふぃ〜、これを撃つのは久方ぶりじゃのう」

 

「……激、大技ですっ‼︎」

 

 

 

 

 銀奈さんは感激しきりだけど……。

 

 

 

 

「(あの……麻衣亜さん、勝手に地形変えて大丈夫なんですか?)」

 

「(訓練の域を超えなければ……、…………、……これは訓練と言い張れないかもしれませんわ……)」

 

「(ですよねー……)」

 

 

 

 

 ……どう見て、考えても地形破壊。

 ……やはり魔都を(まも)る者としてはよろしくなかったようだ。

 

 

 

 

「あのまま溜めておいてはうっかりで九番組を消し飛ばしておったかもしれんし、大丈夫じゃろ」

 

「⁉︎」

 

「ですかー」

 

 

 

 

 まぁそれなら仕方ないか……、といつの間にか隣に居るまだちりちりと輝きを宿す海桐花さんの言にひとまず納得する。

 

 

 

 

「これで要請は終了じゃな。……それにしても驚かぬとはのー」

 

「ついさっき高速移動(それ)見たばかりじゃ驚けませんよ」

 

「ふははっ、やっぱりお前()見所があるのぅ、冬美!どれ、少しおまけをくれてやろう」

 

「おまけ?」

 

 

 

 

 そう言って海桐花さんは──、──拳を構える。

 

 

 

 

「実戦訓練は今日からなのであろう?お前が望むなら素手での戦い、此方が手解きしてやっても良いぞ?」

 

「⁉︎」

 

「ほんとですか⁉︎お願いします‼︎」

 

 

 

 

 願っても無い提案にウキウキで応える。

 

 

 

 

「だ、大丈夫ですか冬美さん?海桐サマは大っ変、お強いですよ?」

 

()()()ですよ。殴り合え、って話なら別ですけど手解きですから」

 

 

 

 

 ミットを持って来てくれる銀奈さんは心配そうな顔だ。

 まぁすごく調子良さそうな今の海桐花さんを見ると『うっかり』で死にかねない気はするけど……、今はそれ以外で()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 さっきの生命力の吸い取り調査。

 ──私を殺すならあれは絶好の機会だった。

 あのまま一時間も吸われていれば私は死ぬ程弱っていただろうし、自爆覚悟で海桐花さんを攻撃したとしても生命力で再生され、逃げ出そうとしても恐らく生命力で強化したらしいあの速度に捕まってた。

 なんなら要請の内容を聞いた時点で『事故に見せかけての処刑かな?』と思ってたけど……、……私がしんどいと言うと海桐花さんはあっさりと吸い取りを止めてしまった。

 だから私を殺すような命令は出てないか……、……出たけど海桐花さんが逆らったか。

 慎重を期してデータ取りからかとも思ったけど海桐花さん向けの仕事じゃない気がするし……、……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 まぁとにかく今の海桐花さんは大丈夫だろうと私は思っている。

 

 

 

 

「……それとも殴り合いが入る手解きですか?」

 

「此方もそこまで鬼ではないわ。今日はただ構えて受けてみよ、良いな?」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

 

 

 と、いう訳で海桐花さんの手解きが始まった。

 

 

 

 

「ほれ!」

 

「あ、っ‼︎」

 

 

 

 

 ……けれどもその、蹴り、殴るのを、

 

 

 

 

「足に力を入れい‼︎」

 

「……っ‼︎」

 

 

 

 

 素人同然の身では、

 

 

 

 

「ここは受け流すのじゃ‼︎」

 

「はっ″、っ!」

 

 

 

 

 あらかじめ構えて受け止める事すら難しく、

 

 

 

 

「……この辺が頃合いかの」

 

「……あ″りがとうございました……」

 

 

 

 

 ……ただただボコボコにされて手解きは終わった。

 

 

 

 

 …………今日はくたくたに疲れたので、銀奈さんに治してもらった後はごはん食べて、お風呂入って、寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 魔都の風に当たりながら一対の『手』が飛ぶ。

 東麻衣亜の『足手荒神(おおいなるもの)』だ。

 麻衣亜の意思で自在に動く『手』は人を乗せて飛ぶのも容易く、飛行出来る移動手段としても便利だ。

 

 

 

 

「ど素人に破られたのがそんなにショックか?」

 

「……はい。そう簡単に破られるものとは思っていなかったので……」

 

 

 

 

 ……しかし密かにその真骨頂は高い強度に有ると自負していた麻衣亜にとって、自爆技の様なものだったとはいえ実戦訓練始めたての新人に力づくで拳をめり込まされて罅を入れられたのは隣に立つ祖母にも容易く解る程の、衝撃だった。

 

 

 

 

「……日ノ出さん、確かに恐ろしい素質をお持ちですわね。()()()()()()()()()()()()……。……私では逃げる事しかできませんわ」

 

 

 

 

 『手』は例え壊れても、消して新しい無傷の『手』を再出現させられるし、そもそも力も速度も出せる。

 だから今は冬美に壊されても激痛で動けなくなった所を新しい『手』で捕まえてしまえば良い。

 ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 身体を鍛えて、『上乗せ』との差が縮まったら?

 縮まらずとも、痛みに耐えて動き回れるようになったら?

 ……『手』の再出現も繰り返し過ぎれば体力を消耗する。

 限界を迎えれば守りを失った麻衣亜は体力切れであの膂力と生身で対峙する羽目になる。

 『()()()』もあるとは言え、そうなった未来では手の届かない空中に逃れる以外出来る事は無くなるだろう。

 

 

 

 

「いや想定が甘いぞ?麻衣亜。()()()()()()()()()()()()()()()()()。避けられない程にでかい、山のような岩をな」

 

「⁈」

 

 

 

 

 ──だがその()()()()()()想定は甘いと、海桐花は切り捨てる。

 

 

 

 

「なんじゃ、忘れておらんか?あの膨らませた腕()()で家よりデカかったんじゃ、全身ならもっとデカかろう。その尺度(スケール)なら山くらい投げ飛ばせようぞ。──冬美(あいつ)はその素質の一粒すら出し切っておらん」

 

「……それは、……末恐ろしいですわね」

 

 

 

 

 ──その身に秘めた魂の巨大さ、それが齎す資質は山すら超えるものだと。

 ……そして『()()()』が冬美相手に無意味になる可能性に思い至ってしまった麻衣亜は僅かに顔を青褪めさせる。

 

 

 

 

「……だから手解きを言い出したのですか?あの時は驚きましたわ」

 

「ま、そうだの。確かめたかったのじゃ。(……正直ドタバタ訓練しとった時は多少軽く見ておったのだがの)」

 

 

 

 

 ……最も海桐花もその素質を最初から見通していた訳ではない。

 だが決して低く見ていた訳ではない。

 むしろ成長によっては組長も目指せる器として高く見積もっていた()()()だった。

 それを感じ取ったのはあの時。

 

 

 

 

『直接?はい、どうぞ』

 

 

 

 

 ──……より強く生命力を吸う為、その腕を掴んだ時だ。

 

 

 

 

 ──鉛の様に重く、海の様に滑らかで、低く、深く、唸りながら騒ついて。

 己が見せた幻像であると同時に濃厚な生命力を吸い取った確かな現実が齎すものとして感じ取った()()はまるで……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……山のようだったぞ、アレは」

 

「……ただ殴られているだけに見えましたが、それ程でしたか?」

 

「……ん?()()()()()()。ど素人と言う割には反応も悪くなかったし、体力も根性も有る。スポーツジムくらいは行ってたかもしれんのう」

 

 

 

 

 孫娘の反応に脳裏の感想を口に出していた事に気が付き、直前の会話から冬美に徒手格闘の手解きをしてみての感想と勘違いしてるとも気が付いた海桐花は『ま、()()()()()()()()()()()』と思い肯定する。

 

 

 

 

『え、なんで手解きを受けたか、ですか?こんな疲れたタイミングでベテランと戦えるなんて貴重な機会、逃せませんよ。──魔防隊に入った以上、どんなキツい状況でどれだけ強い敵と当たっても泣き言は言ってられませんから』

 

「……しかしどれだけ伸びるでしょうか。日ノ出さんは確か25歳、戦闘訓練を始めるには遅すぎるのでは……」

 

 

 

 

 『まぁ、まだ戦いに就くか分かんないんですけどね』と言った彼女の日向の様に優しい笑顔を思い出しながら──、──自分には無い、無謀で向上心に溢れた選択を見せつけられ、影が差した心で口にする。

 ……実際、例外を除けば激務に就く魔防隊隊員は若い内に辞めてしまう。

 体力が落ちてゆく三十代以上の隊員は数えられる程にしかいない事を考えれば、麻衣亜の指摘も的外れなものではないが……、

 

 

 

 

「大丈夫じゃろ、()()()()()()()()()()()()()()

 

「……マジですか?」

 

「恐らくな、……まあ八雷神相手に間に合うかは分からんがな」

 

 

 

 

 ──しかしそれは祖母が否定した。

 ──三十代以上どころか魔防隊創立当初からの大ベテランであり、歳を取らずに若い肉体を保つ例外の中の例外たる祖母が。

 それと同じと言う事は即ち彼女(冬美)もまた──

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。読めたのは当たり障りの無い事じゃ。あれはひっそりと牙を磨くタイプじゃな」

 

「ひっそりと……、…………」

 

 

 

 

 ……麻衣亜はついに黙り込む。

 

 

 

 

「(……ふーむ、刺激が強過ぎたか?学生の頃から実績を積んで魔防隊入りした山城恋とは違いいきなり出て来たからのー。受け切れないのが道理ではあるが)」

 

 

 

 

 冬美は麻衣亜とおよそ同年代。

 海桐花が麻衣亜に本部への(移動手段)を頼んだのは、全くの無名であった冬美が麻衣亜の成長を促す刺激にならないかと思った側面も有る。

 ……だが突如現れた途方も無い素質を処理出来ず、逆効果になってしまったかもしれない。

 

 

 

 

 

「(じゃが硬直はしておられんぞ、さてさてどうなるかの、麻衣亜よ?)──のう、風舞希(ふぶき)

 

「おかえりなさい、母様。麻衣亜、ぼうっとし過ぎよ」

 

「⁉︎え、は、はい‼︎」

 

 

 

 

 いつの間にか『手』の側に海桐花や麻衣亜と似た髪色をした一人の妙齢の女性が現れていた。

 いや、いつの間にか九番組寮に着いていた。

 麻衣亜は半ば無意識に『手』を動かしていたらしい。

 しかし同乗者が居るとは言え、醜鬼蠢く魔都に於いて無意識に身を任すのは余りに危険な行いだ。

 

 

 

 

「それでのー、風舞希。組員として頼みがあるのじゃが」

 

「──日ノ出冬美さんの事ですね」

 

 

 

 

 娘を咎めた彼女こそが(あずま)風舞希(ふぶき)

 海桐花の娘であり、麻衣亜を長女にした三姉妹の母。

 つい先頃名門東家の新たな当主となった、魔防隊九番組組長だ。

 

 

 

 

「そうじゃそうじゃ。もう二、三回、様子を見に行ってもよいかの?」

 

「……彼女の所属は十番組、そして東との縁も無い。しかも既に上の注目の中にある渦中の人でもある。本部からの要請も無く母様(東家前当主にして先代総組長)が訪れるのはそれだけで不要な憶測や注目を生みかねません。──それを覆す程の人だと?」

 

 

 

 

 今や組長の中でも最年長。

 真意を容易く悟らせず、何より強い。

 冷静沈着という言葉がこれ程似合う人も居ない逸材だ。

 

 

 

 

「勿論じゃ。それだけの価値はあると思うぞ?」

 

「──それ程言われるのであれば、まずは母様の所感を聞かせて貰います。よろしいですね?」

 

「応とも」

 

 

 

 

 海桐花はにやり、と笑った。

 

 

 

 

 彼女(冬美)の預かり知らぬ場所であっても、人は、世は動いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……魂とは何か。

 身体の内にあって生命を保証するもの。

 血の巡りと、肉のうねりと、脳の思索と接するもの。

 

 

 

 

「……ならこういう事もある、かー……」

 

 

 

 

 ……十番組寮のベッドで眠りについたはずの私は山の中で寝転んでいた。

 それ自体は横浜でもあったし、ここが魂の仮想空間だとも分かっている。

 ……けれどその光景は様変わりしていた。

 

 

 

 

「……狭くなったなー……」

 

 

 

 

 ……()()()()()()()()()()()()()()

 といってもデカ過ぎるから体感で近く見えるだけで、二・三百mは上にある……ように見える。

 

 

 

 

「でも見せかけ、っと」

 

 

 

 

 だけどここは仮想空間だから掴もう、と思いながら立ち上がって手を伸ばすとあっさり近付いて来て手が届いた。

 周りを見渡せば重力を無視したように逆さになったり横になったりしながら山がどこかへ連なり、その()()に空が有る。

 太陽も無いのに不思議と周りは昼間のように明るく、この景色の果ては山が壁になって分からない。

 まるで山の迷路だ。

 

 

 

 

「……いや、見せかけじゃないよね。()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 ……恐らくは私の記憶と魂が交差して生まれたのがこの仮想空間。

 『身体の内にある』という点で要素を同じくする二つのものの共作。

 私の魂の状態が見える形になっているから、今は抑え込まれた魂を現すような四方八方ぐしゃぐしゃに山が生えているような形になっている。

 手に取る葉っぱの一枚、その手触り・色・匂いまで現実と変わらないように感じるほど精密な再現ができてるけど……。

 

 

 

 

「……こんな正確には覚えてなかったよね?」

 

 

 

 

 ……私の能力を『記憶力の強化』だと思っていた頃、こんな精密に記憶を思い出せてはいなかった。

 いや、今だって起きてる間こんな精密な思い出し方はしてない。

 それに眠った時にこんな空間を見た覚えも無い。

 何が違うのか。

 

 

 ……なんて、そんな疑問には魂に脳が保持する意識と通じる『受け皿』が無かったという事で説明を着けてある。

 そして『受け皿』はココさん波音の大きさを元に作られた──、……と思ってたんだけど……。

 ……無視できないもう一つの可能性に気付いてしまった。

 

 

 

 

仮想体(これ)……、()()()()()()()()()()()()()……?」

 

 

 

 

 ……あの時恐らく、私の魂は私の身体ごと空折の身体中に広がっていた。

 で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 その形を元にして……

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 ……よく考えればあの時の空折は外見は人間大なのに中には私・ココさん・波音さんの三人、美羅さんを倒した後は四人の人間が収まっていた。

 だから中に居た私の魂が外見と中身の大きさが違う空折を元にして人間大の仮想体を作れるのか、……いやそれはちょっと無理じゃない?と気付けたからそれはいい──仮想体というものについてどうにか詳しく確かめないといけないけど──。

 ……だけどもっと怖い可能性に気付いてしまった。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「……うわぁ……。まずいよね、それ……」

 

 

 

 

 横浜の戦いの最後の最後で、私は空折の身体に広がった魂をひと塊に引き戻して羽前さんと和倉くんの合体技を喰らった。

 ……だけどその過程で魂に引きずられた私の身体が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 完全なる初行使で周りを巻き込まないような繊細な動かし方ができたとは思えない。

 ……神の一部なんてどれだけ悪さができてしまうのか。

 

 

 

 

「どうしよう……」

 

 

 

 

 ……どうしようもない。

 検査で分かるか、そもそも巻き込んでない事を願うしかない。

 ……いや、自分の身体の状態も把握できるようにした方が便利だろうから感知方面も鍛えよう。

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……長々考えて来たけど。

 

 

 

 

 

 

 

「……さみしいよ……」

 

 

 

 

 ……山の中で私一人は果てしなく気分が落ち込むし、滅入る。

 初めてだってココさん波音さん美羅さんの三人だけだったけど、いや、初めてが三人()いたからこそ一人きりのさみしさが身に染みるというか……。

 悪い方、悪い方にごちゃごちゃ考えるのに補正がかかるような……。

 

 

 あっ、でもさらりと流してた事一つに説明が着きそうかも。

 

 

 

 

「『なんで魂を動かせるようになったの』、っと」

 

 

 

 私に魂を大きくする力はあっても魂を動かす力はなかった。

 それが横浜で魂の在り処を確かめた後はスイッチが付いたように動かせるようになった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「……脳、──神経細胞の塊が放つ電気信号じゃ魂を動かせなかった。魂に電気信号で動く機能が無かったから」

 

 

 

 

 魂以外一般人の私の脳に自分でも認識してないものを動かす都合の良い力は無かった。

 ……そう、()()()()だ。

 ……あの時、無限の素養を持ち制限なく広がれる空折の身体を前に私の魂は思う存分広がり、増強された魂は空折の意識を押し潰し、私の意識を以って空折の身体は動かされていた。

 では私の意識はいかにして空折の身体を動かしていたんだろうか?

 魂に引っ張られて散り散りになっていただろう私の身体──もとい神経細胞では動かしようはなかったはず。

 

 

 

 

「……だから魂が神経の機能を模倣して、私の意識を伝えて、空折の身体を動かしていた。空折から解放された後も神経の模倣は残っていて、そこに脳の信号を受けて、魂を動かせるようになった……。…………」

 

 

 

 

 ……考えをまとめたら色々思う所ができてしまった。

 

 

 ……まず『ひょっとして瞑想とかしてればもっと早く魂に気付けたんじゃないか』という事。

 ……でもまぁ、桃を食べる前であっても自信が、ひいては自分に自信を持つに足るだけの何かが欲しかった私が手を伸ばすものじゃなかっただろうなー、と。

 

 

 次に『私よく生きてるな……、神おぞましいな』と。

 ……改めて想像したら血肉の霞になっても生きているって意味が分からない。

 死ぬだろ、って。

 空折が呑み込んだ人間を体内で永遠に生かし続けるからこそ生存が適ったのだろう。

 命を生きているはずもない状態で生かし続けられる神を()()()、おぞましいと思った。

 

 

 ……最後に。

 『私に落ちた空折の影が大き過ぎる』と感じた。

 ……非常に、……非っ()ょ〜〜〜〜に、……不本意な事だけど。

 …………今現在の何もかもは空折に目を付けられてなければ起こってなかった事だ。

 

 

 …………。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 ……待て私。

 ()()()()()()()()()

 

 

 昼間の訓練、あれも別に『膨らませ』と『支えさせ』から始めたってよかった。

 私の身体かどうなるかは分からなくてもできる事だとは分かってたのだし、…………でも分かってたのは()()()()()()()()()()()()()()

 ……私は、私の能力の訓練を、あの神がやった事から始めたくなかった。

 

 

 自分の能力が知れて、それがすごい力で、望むものも分かって、誰もが一目置く職場に入って、すごい素質だと持ち上げられて。

 ……私は、信じられないくらい煌びやかな状態だ。

 ……だからこそ必死に排除しようとしてるものが有る。

 『煌びやかな私にあいつ(空折)の影を落としたくないわ!』みたいな無意識を抱いてる。

 口の前で情けなくもがくしかできなかったあの時とか消し去りたい筆頭だろう。

 あれを無かった事にでもしたい?

 

 

 

 

「──違うよね」

 

 

 

 

 あれは私の人生で最も情けない、恥辱の時間だ。

 だけど。

 あれは無かった事にしていい訳が無い。

 空折が、八雷神が、【母】が居なければあの時間は無かった。

 ……同時に、私が、

 

 

 …………。

 

 

 

 

「──……ふぅー……」

 

 

 

 

 ……落ち着こう。

 ちょっと情緒がおかしくなってる。

 あるいは私がどれだけ鍛え上げても、魂を動かせても、能力の扱いを分かっていても、情けない様を晒してたかもしれないのだ。

 『“もしも”は分からない』。

 ……まぁ心構えくらいは用意できたかもしれないけど。

 

 

 今の私にとって確かなのは、

 ──あの光景は、消し去るものではなく。

 踏み越えるものだと言う事だ。

 

 

 

 

「……そのためにも」

 

 

 

 

 ここは私の記憶にあるものなら形にできる。

 木をどけて、岩をどけて、地面を平らにして、ちょっとした広場を作った。

 土をかき分け上がってきたのは……、

 

 

 

 

『──どれ、少しおまけをくれてやろう』

 

 

 

 

 本物と寸分違わぬ海桐花さんの姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 






 とあるキャラの見た目を『邪悪なサハラみたいじゃないか?』と思ってしまってからそのキャラを邪悪なサハラと思うイメージが強まってしまったのですが……(詳細は原作最新話をご覧下さい)。
 原作は日数の経過具合が割と曖昧なので然るべき時までは好きに詰め込みます。


:冬美
…研修期間の魔防隊組員な主人公。
 まだまだ未熟。
 だが内心は読ませない。
 個人的に『総組長・天花さん・麻衣亜さんあたりは同年代(京香さん・美羅さんあたりより年上)』と思っていて、25歳はそのへんの年代に入るものとして設定してます。
 ご了承ください。
・『大山の魂』
…冬美の身体の容量がもういっぱいになってるので魂はほとんど増やせない。
 そして増やした所で魂を認識しないと『生きたまま人を取り込む神に飲み込まれてしまった』時や『生命力を操る能力で生命力を吸い取られる』など限定的な条件でしか役に立たず、ひどく使い道が限られる。
 だが冬美は何か可能性を見つけた様子。
・魂
…普通の物質同様色々法則がある模様。
 その存在は身体と連動し、肉体と交わって生命力を生む模様。
 とんでも設定があると思っても本作世界ではそうなのだと流してください。
・派生技達
…厳密には『大山の魂』で大きくなった魂を使ってるだけで『大山の魂』という桃の能力の派生技ではない。
 今の所大半が自傷技。
 『魂操作』
…魂を扱う上で基礎となる、魂を意のままに動かし操る技能。
 ……であるのに『大山の魂』では身に付かない技能。
 魂に脳からの信号を受けて動く機能が無い為、身に付けるのは難しい。
 『連動移動(仮)』
…魂を動かす勢いを身体に伝えて引っ張らす移動技。
 急激に無理矢理動かした身体が傷付く自傷技。
 『膨らまし(仮)』
…身体を魂に合わせて膨らませる。
 空折が使った【巨万神罰】と同じ原理だが人の身では当たり判定をデカくして防御力を下げる欠陥技。
 『支えさせ(仮)』
…魂に身体を支えさせ、本来出し得ない力を出す──……のだが、冬美の身体能力を超え過ぎると発揮した直後に激痛が襲いかかる自傷技と化す。
 ……空折が使ったものに同じものがある。
 『仮想空間(仮)』
…魂の状態を反映した光景になるので、初登場時は魂が空折の中で広がっていたから山並みが広々と広がっていた。
 なので、魂が抑え込まれた冬美の身体だと重力などなしに上下左右に狭苦しく山が連なる。
 当然接してる人もいないので、発動してしまうと山ん中で冬美一人きりになる。
 そのせいかここだと冬美の情緒がおかしい。

:銀奈
…十番組で教育係ならまぁこの人かな、と。
 ……というか十番組の組員が全然出て来ない……。
 ……てか教育係の制度も謎……。
 空折討伐に一般人ながら貢献した期待の新人である冬美の教育係となり、終始テンションが高い。
 冬美の呼び方は優希と同じく“名前+さん”付け、まだ組長達のような“名前+サマ”付けには至ってない(原作では“苗字+さん”付けもしてるがそこら辺の基準がよく分からない……)。
 『今の総組長を強く慕うこの人は先代総組長の事どう思ってんだろう……』と思ったけど他の組長に対するものと同じ感じの態度にした。
・『会員制決闘場(ギンナクラブ)
…名前を入れた人同士の戦闘なら傷も治り、原作での発言が正しければ二人での訓練にも普通に使える模様。
 ……じゃあ一人で能力磨くのには……?使えるの……?
 ……『自分との戦い』云々はオリ設定となりえます。

:総組長
…忙しい身故教育はおおよそ部下に任せてる。

:海桐花
…てっきり二人称で『あやつ』と言ってると思い込んでたけど『あいつ』だった人。
 のじゃ口調の陥穽……。
 とんでもない量の生命力を吸い取れてご機嫌+とある可能性があると見込んだ逸材にウキウキ。
 ちなみに銀奈に対しては全力でリスペクトされるのを心地良く感じているが、『こいつ誰でも褒めよるのー……』みたいな微妙な気持ちも持っている。
・【宝火閃(ほうかせん)
…オリ技。
 生命力をごん太ビームとして撃ち出す。
 威力は折り紙付きだが生命力の消費が激しい為めったに使えない。

:麻衣亜
…確認できる限りの魔防隊ではレアな眼鏡キャラ。
 全くの一般人上がりに『手』を傷付けられショックを受けてる。

(あずま)風舞希(ふぶき)
…個人的にはこの人も総組長にふさわしい器だと思ってる。
 というかマジで総組長狙ってると思ってたから組長選挙の時は驚いた。


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